JPH0336961Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、テンシヨンメンバを有する通信用光
ケーブルを牽引・敷設する際の端末処理に関する
ものである。

［従来の技術］ 従来から通信用光ケーブルは、第１図に示すよ
うに、光ケーブル本体Ａの端末中心部から露出さ
せたテンシヨンメンバＢの端末が牽引具１に締付
けされていた。詳述すると、牽引具１は、外周に
ねじを設けたプーリングボルト２の先端に鍔部３
が設けられ、上記プーリングボルト２には傘状の
締付キヤツプ４が螺合されるとともにリング５が
遊挿されている。従つて、牽引具１へのテンシヨ
ンメンバＢの固設作業は、(1)テンシヨンメンバＢ
の端末の撚りを戻して各撚線Ｃ…を形成し、(2)各
撚線Ｃ…を鍔部３の外径に沿つて一旦外方へ拡散
し(3)その後に収束させつつリング５内を挿通さ
せ、(4)次いで各撚線Ｃ…の端末をリング５の外径
方向へ折曲し、(5)さらに折曲部分に締付キヤツプ
４を締付けしなければならず、非常に作業能率が
悪い欠点があつた。そのうえ、撚り戻し基部を均
一にしつつ各撚線Ｃ…を対して均一なたるみ取り
の下で引掛ける作業は、高度の熟練を要するもの
であつた。しかも、上記たるみ取りが均一に行な
われずに各撚線Ｃ…に異なつた引張力が働く結
果、ブーリングボルト２にガスケツト６、外筒ス
リーブ７およびナツト８を締付けするとともに光
ケーブル本体Ａに外筒スリーブ７をかしめて牽引
具１を牽引すると、光ケーブル本体Ａと外筒スリ
ーブ７との間でずれが起こつて気密を害する難点
があつた。図中、９はプーリングボルト２の基端
から螺合されるアイナツトである。

上記とは別に第２図に示す如き牽引具１０は、
プーリングボルト２の先端にフランジ１１を介し
て締付スリーブ１２を設けて成り、締付スリーブ
１２内にテンシヨンメンバＢを構成する単線を挿
入し、その後に締付スリーブ１２をかしめて成端
するものである。これによれば、かしめのために
特殊な工具が必要であり、一旦締付スリーブ１２
をかしめた後は、再使用できないものであつた。
しかも締付スリーブ１２と光ケーブル本体Ａは牽
引しない状態でかしめられているので、実際の牽
引力の増加に伴なつて軸方向でのずれが避けられ
ないものであつた。

さらに、実開昭55−123908号公報には、コレツ
トチヤツクによる端末牽引具が提供されている。
このコレツトチヤツクは、インナーケースにテン
シヨンメンバ端末を挿入した後、必要に応じて接
着剤を充填して、このインナーケースをアウター
ケースに螺合組付することによつて、引張方向
（後方）に向かう両ケースのテーパ部を締付して
引留する構造である。

［考案が解決しようとする課題］ 然しながら上記構造によれば、前方への引回し
牽引に際して引張強度がテーパ部の抜け方向に作
用することとなるために、抜け出す危険性が高い
等の種々の欠点があつた。

上記欠点を解消するための構造として実開昭57
−41419号公報が提供されている。この公報には、
楔形外形の割れ目付きスリーブをケース開口部の
先細楔形部に牽引方向に向けて収納し、光フアイ
バ端末を割れ目付きスリーブへと挿入し、次でね
じ込み金具を螺合して割れ目付きスリーブの端面
を押圧する技術が開示されている。この場合にお
いても、先細楔形部を牽引方向に向けた場合の具
体的構造が何等示されておらず、直ちに実用化で
きるものではないうえ、以下の欠点が残つてい
る。

まず、光ケーブルの端末処理作業時にケーブル
外部から、ねじ込み金具の螺合量を知ることがで
きない。その螺合量が多いときには貫通孔からテ
ンシヨンメンバ端末を挿入できず、誤操作となる
ものであつて、再度ねじ込み金具を緩める必要が
あつた。しかも、ねじ込み金具と鋼スリーブとの
二度の螺合作業を行なうので、端末処理作業が面
倒であつた。

次に、割れ目付きスリーブは割れ目量の縮小に
よる締付を行なえるだけなので、割れ目量と線径
とが適切でない限り強力な引回し牽引力を得るこ
とが難しく、実際の引回し牽引に伴なう負荷や衝
撃に弱いという致命傷がある。そのうえ、光フア
イバのテンシヨンメンバ端末は各種線径が用いら
れているので、線径に応じて多種類の割れ目付き
スリーブを準備しなければならず、これに応じた
鋼スリーブを準備することは到底不可能である。

而して本考案は、上記実情に鑑みて開発された
ものであつて、光ケーブルの端末処理が確実且つ
簡単に行なえるようにした端末牽引具の提供を、
その目的とするものである。

［考案の構成］ 上記目的を達成するための本考案に係る通信用
光ケーブルの端末牽引具は、通信用光ケーブルの
テンシヨンメンバ端末が咬持される咬合歯を割面
に有する楔形外形の二つ割型チヤツクと、開口内
前半部に内壁を牽引方向に向けて先細の楔形とす
る楔形部が設けられて上記チヤツクが牽引方向に
向けて収納されるとともに開口内後半部に雌ねじ
部が設けられてなるチヤツクケースと、上記雌ね
じ部に螺合する雄ねじ部が前半部に設けられ後半
部に掛止手段が設けられてなるプーリングボルト
と、上記プーリングボルトの後半部のみが露出し
た状態で内部を気密一体化する外筒スリーブとか
ら基本的に構成される。

そして、プーリングボルトには、上記雄ねじ部
の前端に設けられるチヤツク緩み指示部と、雄ね
じ部の前端から牽引方向へ向けて二つ割型チヤツ
クの後端を押圧する前端頂面を突出してなる縮径
部と、縮径部の外周に挿通されてチヤツク後端を
牽引方向へ向けて付勢するスプリングと、上記前
端頂面から軸心に設けられる挿通孔と、雄ねじ部
の後方で切欠される切欠部とが設けられ、さらに
前記チヤツクケースは外形が全体として六角筒状
に形成されていることにある。

［考案の作用］ チヤツクケースからチヤツク緩み指示部が露出
する状態にプーリングボルトを螺合すると、縮径
部の前端頂面と二つ割型チヤツクの後端とは、間
隙を有する適切な緩み具合で螺合されることとな
る。二つ割型チヤツクの各後端にはスプリングが
当接しているので、各割型は楔形部内で前後に向
けて位置ズレすることなく常に同位置に整列させ
られている。

依つて、チヤツクケースの楔形部から二つ割型
チヤツクを押し戻しつつテンシヨンメンバ端末を
挿入すれば、二つ割型チヤツクがスプリングに抗
して楔型部の後方で二割り状態に開放される。そ
の際、圧縮に伴なうスプリングの軸方向での曲が
りが縮径部で阻止されているので、テンシヨンメ
ンバ端末は楔形部の後方で前後に位置ズレなく整
列された割面の咬合歯へ挿通される。その後、テ
ンシヨンメンバ端末が挿通孔に侵入した状態にお
いて二つ割片チヤツクは、曲がりのない状態で圧
縮されていたスプリングの付勢力によつて楔形部
で前後に向けて互いに同位置に整列されたまま、
押し戻される。

次で、プーリングボルトの切欠部とチヤツクケ
ースの六角外形とをスパナ等の工具で締付すれ
ば、縮径部の前端頂面が二つ割型チヤツク後端に
当接することによつて押込み力が牽引力と同等に
設定される。その後には、プーリングボルトの後
半部のみを露出した状態で外筒スリーブ等を被せ
て気密一体化すれば良い。

［考案の実施例］ 図面第３図は、本考案に係る通信用光ケーブル
の端末牽引具の締付状態の一実施例を示す一部切
欠正面図、第４図は同分解斜視図、第５図は挿入
状態を示す同要部断面図である。図中、従来例と
同一符号は同等部分を示すので重複説明を省略す
る。

図中２０は端末牽引具を示し、端末牽引具２０
は、二つ割型チヤツク２１と、チヤツクケース２
２と、プーリングボルト２３とを備えて構成され
る。詳述すると、二つ割型チヤツク２１は一対の
爪から構成され、その外形が楔形とされるととも
に、その割面には咬合歯２４が設けられている。

上記チヤツクケース２２はその外形が全体とし
て六角筒状を呈し、筒内の開口内前半部には内壁
を牽引方向に向けて先細の楔形とする楔形部２５
が形成され、この楔形部２５に上記二つ割型チヤ
ツク２１が合致して収納される。チヤツクケース
２２の開口内後半部には雌ねじ部２６が形成され
ている。

前記プーリングボルト２３は、その軸方向略前
半部に雄ねじ部２７が設けられており、雄ねじ部
２７を上記雌ねじ部２６に螺合してチヤツクケー
ス２２との結合が図られる。雄ねじ部２７には、
雌ねじ部２６内へのプーリングボルト２３の螺進
量を指示するチヤツク緩み指示部２８がその前端
部周面を切欠いて設けられている。雄ねじ部２７
の前端には牽引方向に向けて縮径部２９が連設さ
れており、縮径部２９の前端頂面３０が二つ割型
チヤツク２１の後端押圧面となる。縮径部２９の
外周部にはスプリング３１が挿通され、スプリン
グ３１を介して二つ割型チヤツク２１の後端が押
圧されている。上記雄ねじ部２７の後方には、切
欠部２８ａを介して鍔部３２が突設されている。
鍔部３２の手前から上記前端頂面３０までの軸心
にはテンシヨンメンバＢの挿通を許容する挿通孔
３３が設けられている。また、前記プーリングボ
ルト２３は、その略後半部に掛止手段を設けるた
めの雄ねじ部３４が設けられており、後端には軸
方向と交差する孔３５が設けられている。上記掛
止手段としては、雄ねじ部３４に螺合するアイナ
ツト３６が用いられている。

また、前記牽引具２０は、その外側に外筒スリ
ーブ３７が被覆されて成る。外筒スリーブ３７は
前端が開放され、後端がソケツト３８に固設され
て収束されており、ソケツト３８の内側には前記
鍔部３２の後側に位置してガスケツトなどの封止
材３９が介在されている。外筒スリーブ３７は、
後端からキヤツプ４０が被せられ、雄ねじ部３４
へのナツト４１によつて締付けられるものであ
る。

次に、上記構成に基づく作用を端末処理作業と
ともに説明する。まず、チヤツクケース２２とプ
ーリングボルト２３とを締め過ぎないようにする
ために、雄ねじ部２７のチヤツク緩み指示部２８
がケース２２の後端から露出している状態にす
る。第５図に示すように、前端頂面３０と二つ割
型チヤツク２１の後端との間は、適当な間隙が形
成されている。二つ割型チヤツク２１の一対の爪
にはスプリング３１の座面が同軸状に当接してい
るので、一対の爪は楔形部２５で前後に向けて位
置ずれすることなく常に同位置に整列させられて
いる。

光ケーブル本体ＡのテンシヨンメンバＢ端末を
二つ割型チヤツク２１の前部開口に当てて後方へ
押圧すると、スプリング３１の弾性に抗しつつ二
つ割型チヤツク２１が楔形部２５から後退される
ので、割れ状態の咬合歯２４，２４内にテンシヨ
ンメンバＢが挿入されるに至る。テンシヨンメン
バＢは、挿通孔３３まで挿入される。

挿入後にはテンシヨンメンバＢが二つ割型チヤ
ツクから外れることで上記押圧が解消するので、
スプリング３１の弾性に従つて、二つ割型チヤツ
ク２１はチヤツクケース２２の楔形部２５に押し
戻され、一定の咬持力が発生する。さらに、チヤ
ツクケース外形の六角形状と切欠部２８ａとにス
パナ等をあてて、チヤツクケース２２の雄ねじ部
２６にプーリングボルト２３の雄ねじ部２７を螺
進させることにより、二つ割型チヤツク２１が楔
形部２５に緊密に押し込まれる。

締付け後には、プーリングボルト２３にその後
端から封止材３９、外筒スリーブ３７、キヤツプ
４０を挿通し、鍔部３２に封止材３９が当接する
まで押し込み、雄ねじ部３４にナツト４１を螺合
して上記部材３９，３７，４０を締付する。この
状態で光ケーブル本体Ａは、この端末が外筒スリ
ーブ３７に被嵌されているが、外筒スリーブ３７
の所定個所がかしめられることによつて気密状態
で一体化される。その後に、プーリングボルト２
３の後端からアイナツト３６を螺合させれば、ア
イナツト３６を介して牽引、敷設することが可能
となる。アイナツト３６は、孔３５にピン４２を
挿通されて戻り止めされている。

考案の他の実施例としては、図示しないが以下
の態様がある。

プーリングボルト２３の掛止手段としてアイナ
ツト３６を示したが、掛止手段はこれに限定する
趣旨ではない。例えば、後端の孔３５にフツク等
を係入して係止する手段が実行できる。

［考案の効果］ 以上説明したように、本考案は、通信用光ケー
ブルのテンシヨンメンバ端末を二つ割型チヤツク
の咬合歯に挿入して牽引方向で咬持させ、プーリ
ングボルトには、雄ねじ部の前端に設けられるチ
ヤツク緩み指示部と、雄ねじ部の先端から牽引方
向に向けて二つ割型チヤツクの後端を押圧する前
端頂面を突出してなる縮径部と、縮径部の外周に
挿通されてチヤツク後端を牽引方向へ向けて付勢
するスプリングと、前端頂面から軸心に設けらる
挿通孔と、雄ねじ部の後方で切欠される切欠部と
を設け、さらにチヤツクケース外形を六角筒状に
構成したので、テンシヨンメンバ端末を抜け出す
ことが無く適切に牽引することができるうえ、以
下の効果を奏する。

チヤツク緩み指示部があるので、光ケーブル
の端末処理作業時にケーブルの外部から二つ割
型チヤツクの緩み具合を知ることができ、二つ
割型チヤツクの締過ぎ状態のままでのテンシヨ
ンメンバ端末の誤挿入を防止できる。

プーリングボルトに、雄ねじ部の前端に設け
られるチヤツク緩み指示部と、雄ねじ部の前端
から牽引方向へ向けて二つ割型チヤツクの後端
を押圧する前端頂面を突出してなる縮径部と、
縮径部の外周に挿通されてチヤツク後端を牽引
方向へ向けて付勢するスプリングと、前端頂面
から軸心に設けらる挿通孔と、雄ねじ部の後方
で切欠される切欠部とを設けることによつて、
楔形部を有して二つ割型チヤツクを収納するチ
ヤツクケースとで螺合組付することができ、作
業性を向上させて実用化を図ることができた。

テンシヨンメンバ端末線径に応じた適切な締
付力を二つ割型チヤツクで付与することがで
き、そのうえに咬合歯で強力に咬持することに
よつて従来の割れ目付きスリーブ等と異なつ
て、実際の牽引負荷や衝撃に耐えて実用化でき
た。

殊に、二つ割型チヤツクは、テンシヨメンバ
端末の挿入に伴なつて二つ割れ状態で後退して
スプリングを圧縮するが、圧縮に伴なつて誘起
し易いスプリングの軸方向での曲がりが縮径部
の外周で防止されているので、楔形部の後方に
おいて二つ割れ状態での前後に向けての位置ズ
レを起こすことがなく、テンシヨンメンバ端末
を正確に挿入することができた。挿入後には、
同軸状態のまま付勢するので、上記二つ割れ状
態でのチヤツク戻り具合が前後することなく常
に整列されるので、強力な牽引力が得られる。

さらに、チヤツクケース外形の六角形状と切
欠部とによつて、チヤツクケースとプーリング
ボルトとの締付作業を簡単に行なえるものであ
る。上記理由によつて、チヤツクケースからプ
ーリングボルトを後退させて二つ割型チヤツク
からテンシヨンメンバを容易に外すことがで
き、再使用できる利点がある。

【図面の簡単な説明】

図面第１図及び第２図は、通信用光ケーブルの
端末牽引具の従来例をそれぞれ示す一部切欠正面
図、第３図以降は本考案に係る通信用光ケーブル
の端末牽引具の一実施例を示し、第３図は締付状
態を示す一部切欠正面図、第４図は同分解斜視
図、第５図は挿入状態を示す同要部断面図であ
る。 Ａ……通信用光ケーブル本体、Ｂ……テンシヨ
ンメンバ、２０……牽引具、２１……二つ割型チ
ヤツク、２２……チヤツクケース、２３……プー
リングボルト、２４……咬合歯、２５……楔形
部、２６……雌ねじ部、２７……雄ねじ部、２８
……チヤツク緩み指示部、２８ａ……切欠部、２
９……縮径部、３０……前端頂面、３１……スプ
リング、３３……挿通孔、３６……掛止手段、３
７……外筒スリーブ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 通信用光ケーブルのテンシヨンメンバ端末が咬
   持される咬合歯を割面に有する楔形外形の二つ割
   型チヤツクと、開口内前半部に内壁を牽引方向に
   向けて先細の楔形とする楔形部が設けられて上記
   二つ割型チヤツクが牽引方向に向けて収納される
   とともに開口内後半部に雌ねじ部が設けられてな
   るチヤツクケースと、上記雌ねじ部に螺合する雄
   ねじ部が前半部に設けられ後半部に掛止手段が設
   けられてなるプーリングボルトと、上記プーリン
   グボルトの後半部のみが露出した状態で内部を気
   密一体化する外筒スリーブとを備え、 上記プーリングボルトには、上記雄ねじ部の前
   端に設けられるチヤツク緩み指示部と、雄ねじ部
   の前端から牽引方向へ向けて二つ割型チヤツクの
   後端を押圧する前端頂面を突出してなる縮径部
   と、縮径部の外周に挿通されてチヤツク後端を牽
   引方向へ向けて付勢するスプリングと、上記前端
   頂面から軸心に設けられる挿通孔と、雄ねじ部の
   後方で切欠される切欠部とが設けられ、 さらに前記チヤツクケースは外形が全体として
   六角筒状に形成されていることを特徴とする通信
   用光ケーブルの端末牽引具。