JPH0335230Y2 -

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【考案の詳細な説明】この考案は本体と蓋体とを気密に結合するとと
もに、蓋体中央部に調圧装置を備えた圧力調理器
の蓋に関するものである。

圧力調理器では、蓋体に設けたノズル部材上部
の調圧部材の重量より、内圧が大きくなると、ノ
ズル開口を閉塞している弁体が蒸気圧により押開
けられて、蒸気が自動的に外部に流出する。この
蒸気はノズル部材と調圧部材との間から下向きに
流出し、更に蓋体の表面に沿つて蓋体周辺まで流
下する。

このため調圧が順調に行われているにもかかわ
らず、本体と蓋体との合わせ目から蒸気が漏出し
ているものと錯覚して、煮炊を途中で止めたりす
ることがあり、また調圧部材を開放した際には、
蒸気が蓋体周辺まで噴出するなどの危険も生じ
た。

このような蒸気の流下を防止するために、蓋体
の途中に突起を環状に設けたものがあるが、突起
の位置がノズル部材から離れているために、突起
を高く形成しなければ、充分な効果は得られなか
つた。

この考案は上記従来の欠点を除くために考えら
れたものであつて、その目的は僅かな深さの誘導
溝を蓋体に設けるだけで下向きに流出する蒸気の
流れを上向きに変えることができる新たな構造の
蓋を提供することにある。

上記目的によるこの考案の特徴は、蓋体のノズ
ル部材に近接した部分に、蒸気の流れを上方に変
える誘導溝を環状に設けてなることにある。

以下この考案を図示の例により詳細に説明す
る。

図中１は本体、２は蓋体である。蓋体２の中央
にはノズル部材３が垂直に貫設してある。このノ
ズル部材３の上部には、内部中央に針状の弁体４
を下向きに突設するとともに、外周囲に重錘５を
設けたキヤツプ状の調圧部材６が、上記弁体４を
ノズル上部開口に挿込んで被せてある。

７は蒸気の流れを上向きに変える環状の誘導溝
で、蓋体２を内方へ押圧して形成され、かつ溝底
は彎曲面に形成してある。また誘導溝７はノズル
部材３の近傍で、調圧部材６を斜にノズル部材３
に係止した際に生ずる蒸気の流出方向に当る部分
に設けてある。

８は蓋体２の内側に取付けたフイルターで、ノ
ズル部材３の下端部に中央部を挿通するととも
に、背面を上記誘導溝７の突出面に当接し、ナツ
ト９をもつて下向きに固定した皿状本体１０の開
口端に取付けてある。

しかして上記構造からなる蓋では、誘導溝７に
よつて、ノズル部材３と調圧部材６との間から流
出する蒸気のほとんどが上方に向きを変えて流
て、蓋体２の周辺まで流れる蒸気はきわめて減少
する。また調圧部材６を斜めに開いたときにも、
蒸気は誘導溝７に当つて上向きに流れを変える。

したがつてこの考案によれば、蓋体２のノズル
部材３に近接した部分に誘導溝７を環状に設ける
だけで蒸気による障害を除くことができ、しかも
その誘導溝７を深く形成する必要はないので、成
形も容易であり、蓋の体裁も損われるようなこと
もないなど、圧力調理器の蓋として頗る具合のよ
いものである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの考案に係る圧力調理器の蓋を例示す
るもので、第１図は一部を切除した圧力調理器の
正面図、第２図は蓋の要部縦断正面図である。１……本体、２……蓋体、３……ノズル部材、
６……調圧部材、７……誘導溝。

【実用新案登録請求の範囲】