JPH0334588Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、建物内で比較的広い室内における空
調設備に関する。

〔従来の技術とその問題点〕

室内に側壁又は下り天井に横向きに空調用の吹
出口を設け、この吹出口から水平方向に冷房若し
くは暖房用の空調を吹出す横吹出方式の空調設備
があるが、これは天井裏でのダクト配管その他の
面倒がなく経済性、施工性に利点を有するためそ
の利用例は多い。

しかし、この方式のごとく横向きに吹出すもの
では特に冷房用の冷風の場合、途中までは天井面
に沿つて流れるが室内空気との温度差すなわち密
度差により次第に下降し、中央付近で居住域に入
り込みその結果過大なドラフトを発生させたり、
充分な到達距離を確保できないで室内に過度の温
度むらを生じさせるなどの問題を生じる。

その様子を縮尺1/5の室内模型を用いて得た温
度分布として第７図に、風速分布として第８図に
示す。

図中１は側壁、２はその対向壁、３は側壁１に
設ける吹出口、７は吸込口、４は天井面、５は床
面である。前記問題に対し、吹出風速を速くすれ
ば冷風の到達距離を長く確保することが可能とな
るが、風量が増すので機器運転のエネルギー消費
量が増大し経済的でない。しかも、室内全体の平
均的な気流速度を過度に大きくするので、人体に
不快感を与えることにもなる。

本考案の目的は前記従来例の不都合を解消し、
吹出性能を変えることなく吹出口からの冷風の到
達距離を大幅に延ばすことができ、かつ一個所に
片寄ることなくまんべんなく拡散するような到達
距離が得られる簡易構造の空調設備を提供するこ
とにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は前記目的を達成するため、側壁や下り
天井などに空調の吹出口を横向きに設けた場合に
おいて、この吹出口にこれを両側から挟み込むよ
うに連設させて吹出方向と平行する横方向に延び
る２枚の垂れ壁を並行に天井から設けたことを要
旨とするものである。

〔作用〕

本考案によれば、吹出口から出る冷風は天井面
及び垂れ壁に囲まれた、吹出方向と平行に形成さ
れた空間をチヤネルとしてこれに沿つて流れ、対
向壁まで到達可能となる。また、該吹出冷風の一
部は、途中で少しづつ下降して拡散し、これによ
り室内にまんべんなく冷風が降り注がれることに
なる。

〔実施例〕

以下、図面について本考案の実施例を詳細に説
明する。

第１図は本考案の空調設備の実施例を示す斜視
図、第２図は同上縦断正面図で、第７図、第８図
と同じく、図中１は側壁、２は壁１の対向壁、３
は側壁１の上部で天井面４に近い位置に設けた横
向きの吹出口、５は床面である。

本考案は、この吹出口３に連設して横方向に延
びる垂れ壁６，６′を天井面４から垂設した。本
実施例では垂れ壁は６と６′の２枚が並行するよ
うに設けられ、前記吹出口３はこの垂れ壁６，
６′の端で挟み込まれるような配設とした。

なお、他の実施例として壁１，２に直交する壁
がある場合には、この壁を垂れ壁の一方の代用と
することもできる。

また、垂れ壁６，６′の材質も金属、木製、合
成樹脂のいずれを問わず、板体若しくは薄い膜体
でもよいが、目障りとならないことを考慮すれ
ば、ガラスやアクリル板等透明のものも考えられ
る。

次に使用法及び動作について説明すると、吹出
口３より吹出された冷風は２枚の垂れ壁６，６′
の間の空間を対向壁２に向い天井面４近くを直進
する。

このように冷風の大部分は垂れ壁６，６′がチ
ヤンネルガイドとなつて、水平到達距離が延ばさ
れる。

なお、垂れ壁６，６′間の下面は開口となつて
いるので、前記冷風のうち少しずつは下降して室
内にふり注がれる。

第３図、第４図は本考案の性能を試すために製
作した縮尺1/5の室内模型の縦断正面図、縦断側
面図で、この模型による実験結果の温度分布（単
位℃）を第５図に示し、風速分布を第６図に示
す。

この第５図、第６図は前記従来例を示す、第７
図、第８図に対応するもので、これにより垂れ壁
６，６′を設けると、同じ吹出口、吹出風速（風
量）であつても、吹出冷風は、天井面４及び垂れ
壁６，６′に囲まれた空間に沿つて流れ、対向壁
２まで到達し、室中央に過大な気流を生ずること
がないことが知見できる。

なお、垂れ壁なしの場合の室内居住域の平均風
速が0.33m／secであるのに対し、本考案では
0.24m／secである。

〔考案の効果〕

以上述べたように本考案の空調設備は、側壁や
下り天井などに空調の吹出口を横向きに設けた場
合において、垂れ壁と天井面とで形成される吹出
方向と平行する空間をチヤンネルガイドとして吹
出口の形状や吹出風速、風量を変えることなく、
吹出気流の水平到達距離を長くするなどの調整が
可能となり、その結果、室内の環境性能を向上さ
せることが可能となるものである。また、設備部
材としても簡単で安価に製作できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の空調設備の１実施例を示す斜
視図、第２図は同上縦断正面図、第３図は実験模
型の縦断正面図、第４図は同上縦断側面図、第５
図はこの模型による実験結果を示す温度分布図、
第６図は同上風速分布図、第７図は従来例を示す
温度分布図、第８図は同上風速分布図である。 １……側壁、２……対向壁、３……吹出口、４
……天井面、５……床面、６，６′……垂れ壁、
７……吸込口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 側壁や下り天井などに空調の吹出口を横向きに
   設けた場合において、この吹出口にこれを両側か
   ら挟み込むように連設させて吹出方向と平行する
   横方向に延びる２枚の垂れ壁を並行に天井から設
   けたことを特徴とする空調設備。