JPH0333341Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 この考案はミシンの天秤装置に関し、ことに上
軸に連動して両糸ガイド間を往復動する天秤が往
動時に両糸ガイド間の糸を捕捉牽引してそれをＶ
状に引張り、復動時には解放して縫い目形成に必
要な糸の引締めと繰出しを行うミシンの天秤装置
に関する。

従来技術 本出願人はさきに特願昭60−9737号を始めとし
て一連のこの種の天秤装置について提案した。そ
の種の天秤装置によれば、天秤の目孔への糸通し
を要しないため天秤への糸通し作業が容易とな
り、しかも天秤装置をミシン外に突出させること
のないようミシンに完全に内蔵させることができ
るようになるなどの利点があるが、反面天秤が復
動するときに針糸ループが釡をくぐり抜けるのに
伴い弛みが吸収された糸ガイド間の上糸を再び捕
捉するおそれのあることが一つの難点となつてい
た。

考案が解決しようとする問題点 この考案は天秤の往動時と復動時の軌道を変え
ることによつて上記の問題を解消しようとするも
のである。

問題を解決するための手段 すなわち、この考案は両糸ガイドと、上軸に連
動して天秤を両糸ガイド間の糸経路と交差する方
向に往復動させる作動機構とを有し、天秤の往復
時に両糸ガイド間の糸を捕捉牽引してＶ状に引張
り、往動時にこれを解放して縫い目形成に必要な
糸の引締めと繰出しを行うミシンの天秤装置にお
いて、天秤の軌道を往動時と復動時とで異にして
復動時における天秤の軌道が両糸ガイド間の糸経
路より離れ、該経路と交差しないようにしたこと
を特徴とするものである。

ここで糸ガイドの好ましい例としては、開口が
糸経路と一致するスリツト状のもの、例えば糸経
路の両側適所に配置される各突片に糸経路を含む
面が通るスリツトを形成したもの、断面コ形に屈
曲形成された部材に上述するようなスリツトを形
成したものなどである。

天秤は既存のものと同様、上下方向に往復動す
るようなものであつてもよいが、好ましくは水平
方向に往復動するようにされる。糸ガイドを上下
に配置することにより糸を下方に引張るだけで針
に達することができ、ミシンへの糸掛けが容易に
行えるようになるからである。

天秤の作動機構としては、リンク機構、カム機
構或いはこれらの組合せを採用することができ
る。

実施例 図示する実施例は天秤の作動機構としてリンク
機構を使用した例を示すもので、上軸に連動して
回転する円板１にはその偏心位置にく形に屈折し
た天秤２の一端が軸着され、天秤中間部の屈折点
とブラケツト３とがリンク４によつて回動可能に
連結されている。しかして上軸に連動して円板１
が回転すると天秤先端のフツク５が断面コ形に屈
曲形成した筐体６内を往動時に一点鎖線の経路を
通るとともに復動時に二点鎖線の経路を通るよう
になつており、往動時の経路は上記筐体６に形成
されるスリツト７端に交差し、フツク５が糸を捕
捉しうるようになつている。復動時の経路はスリ
ツト端より離れ、フツク外側部が糸と係合しない
か係合しても先端部に係合し、係合した糸が該部
を滑り落ち易いように該部が形成され、糸を捕捉
したまゝ牽引されようにしてある。

上記実施例では天秤を作動させるのにリンク機
構を使用しているが、別の実施例では上軸に連動
して回転する溝カム、板カム、端面カム等を設
け、該カムによつて天秤を上記実施例と同様の軌
道を描いて往復運動するようにされ、更に別の実
施例では、カムとリンク機構との組合わせが使用
される。

考案の効果 本案の天秤装置は以上のように、天秤の軌道が
往動時と復動時で異なり、往動時には両糸ガイド
間の糸径路と交差するとともに復動時には上記経
路より離れ、糸を捕捉しないか糸に係合してもす
ぐに外れうるようになつており、前述するような
復動時に糸を再捕捉する問題を解消することがで
きる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案に係る天秤装置の平面図を示す。 １……円板、２……天秤、３……ブラケツト、
４……リンク、５……フツク、６……筐体、７…
…スリツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 両糸ガイドと、上軸に連動して天秤を両糸ガイ
   ド間の糸経路と交差する方向に往復動させる作動
   機構とを有し、天秤の往動時に両糸ガイド間の糸
   を捕捉牽引してＶ状に引張り、復動時にこれを解
   放して縫い目形成に必要な糸の引締めと繰出しを
   行うミシンの天秤装置において、天秤の軌道を往
   動時と復動時とで異にして復動時における天秤の
   軌道が両糸ガイド間の糸経路より離れ、該経路と
   交差しないようにしたことを特徴とするミシンの
   天秤装置。