JPH0332783Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は内燃機関用燃料噴射ポンプの等圧型送
出弁に関するものである。

［従来の技術］ 高圧噴射型の燃料噴射ポンプにおいて、燃料噴
射弁が閉じた時に生じる圧力波を緩和し、２次噴
射を防止する燃料噴射ポンプの等圧型送出弁とし
て、例えば実開昭58−63358号公報に開示される
ものがある。上述の燃料噴射ポンプの等圧型送出
弁は、第３図に示すように、スペーサ３と弁ホル
ダ５とから構成され、スペーサ３がプランジヤ室
１２を形成するプランジヤバレル２の上端側大径
円筒部２５に嵌合され、スペーサ３に弁ホルダ５
の重合せ面４が重ね合される。弁ホルダ５の中間
部分に一体的に形成したフランジ２４が、プラン
ジヤバレル２を嵌合する噴射ポンプ本体２６に図
示してないボルトにより結合される。プランジヤ
室１２から弁ホルダ５の送出口７に連なる吐出通
路２２，６と送出口７からプランジヤ室１２へ連
なる戻り通路８，２３が、スペーサ３と弁ホルダ
５に形成される。送出口７は図示してない燃料噴
射管を介して内燃機関のシリンダヘツドに取り付
けられた燃料噴射弁と接続される。

スペーサ３の吐出通路２２には逆止弁１０が、
弁ホルダ５の戻り通路８にはオリフイス９と逆止
弁４０がそれぞれ挿入接続される。逆止弁１０と
逆止弁４０はその寸法をやや異にするが、同様の
構成をなすもので、互いに逆方向に挿入接続され
る。各逆止弁１０，４０はばね座１８と、ボール
１３を結合する弁体１４と、弁体１４のボール１
３が通路を閉じるように付勢するばね１５とから
構成される。

逆止弁４０の場合について説明すると、戻り通
路８の重合せ面４に開口する部分に大径の円筒部
２８が構成され、円筒部２８にねじ穴１９が設け
られる。ばね座１８は六角形の工具穴２０に工具
を係合してねじ部１９ａ（第４図）をねじ穴１９
に螺合される。第４図に示すように、ばね座１８
はばね１５の一端部を支持する段部３２の部分か
ら内端側を小径軸部１８ｂとされる。工具穴２０
がスペーサ３の戻り通路２３と接続されるととも
に、ばね座１８の軸方向に延びる通路３３は径方
向の通路１７と接続される。したがつて、円筒部
２８は通路１７，３３と工具穴２０を経てスペー
サ３の戻り通路２３と接続される。

弁体１４はばね１５の他端部を支持する段部３
５を備えており、弁体１４の端面に形成した半球
形のくぼみ３１にボール１３を強く押し込みかつ
縁部３１ａをかしめて一体に結合され、ボール１
３が戻り通路８へばね１５の力により付勢係合さ
れる。

プランジヤバレル２に嵌合されたプランジヤが
押し上げられると、プランジヤ室１２の燃料が吐
出通路２２へ入り、逆止弁１０の弁体１４をばね
１５の力に抗して押し上げて円筒部２８へ入り、
さらに通路１７、工具穴２０、弁ホルダ５の吐出
通路６を通り、送出口７から燃料噴射管を経て燃
料噴射弁へ入り、シリンダへ噴射される。プラン
ジヤが有効ストローク範囲以上に上昇すると、プ
ランジヤ室１２の圧力が急激に低下するので、吐
出通路２２の逆止弁１０が閉じられ、燃料噴射弁
からの燃料の噴射が終了する。

プランジヤが有効ストローク範囲内で下降する
と、プランジヤ室１２の圧力が低下するので、戻
り通路８の逆止弁４０がばね１５の力に抗して押
し開かれる。燃料噴射管側の燃料がオリフイス
９、逆止弁４０を経てゆつくりとにプランジヤ室
１２へ吸い戻される。

オリフイス９と逆止弁４０の存在により吸い戻
し作用が緩和されるので、燃料噴射弁と逆止弁４
０におけるキヤビテーシヨンの発生が防止され
る。また、燃料噴射弁からの圧力波に対して、逆
止弁４０の弁体１４のばね１５に対する後退によ
り圧力波を緩和するように作用し、圧力波の反射
による２次噴射が防止される。

弁体１４のリフトは弁体１４とばね座１８の端
面との間の隙間により設定される。弁体１４の端
面１４ａがばね座１８の端面１８ａに衝合した
時、戻り通路８が円筒部２８、通路１７、工具穴
２０を経てスペーサ３の戻り通路２３と接続する
ように、通路１７はばね座１８の径方向に備えら
れている。

上述の従来技術では、ばね座１８の工具穴２０
に連なる軸方向の通路３３とこれと交差する径方
向の通路１７とを機械加工によらねばならない。
逆止弁１０の開弁時弁体１４がばね座１８の端面
１８ａに強く当ると、ばね１５を案内するばね座
１８の小径軸部１８ｂが通路１７のところから折
損する恐れがある。また、径方向の通路１７の開
口縁部とばね１５との間に無理な摩擦が生じ、ば
ね１５が折損する恐れもある。

［考案が解決しようとする問題点］ 本考案の目的は上述の問題に鑑み、加工が容易
であり、ばねが円滑にばね座に案内され、開弁時
の衝撃に対して十分な強度を備えている、燃料噴
射ポンプの等圧型送出弁を提供することにある。

［問題を解決するための手段］ 上記目的を達成するために、本考案の構成はプ
ランジヤ室と送出口とを接続する吐出通路と戻り
通路が、弁ホルダとスペーサとに分割して構成さ
れ、スペーサの吐出通路に備えられる逆止弁と弁
ホルダの戻り通路に備えられる逆止弁がそれぞ
れ、基端部がスペーサと弁ホルダとの一方の通路
に螺合されるねじ部とされ、先端側が段部のとこ
ろから小径軸部とされ、かつ軸方向に貫通する通
路を有するばね座と、基端側にボールを結合され
先端側が段部のところから小径軸部とされ、先端
面に径方向の溝通路を有する弁体と、ばね座の段
部と弁体の段部との間に介装したばねとからなる
ものである。

［作用］ 開弁時ばねの力に抗して弁体が押し戻される
と、弁体の端面がばね座の端面に衝合し、弁体の
リフトが制限される。この時、弁体の端面には例
えば十字形の溝通路が設けられているので、開弁
時燃料は弁体の周囲から溝通路を通り、ばね座の
軸方向の通路へ流れる。弁体は好ましくは鍜造に
より一体的に形成され、十分な強度を備えている
ので、ばね座の端面に衝合しても損傷するなどの
恐れがない。また、ばね座は小径軸部の周面に径
方向の通路がなく、平滑に仕上げられているの
で、ばね座の段部に一端を支持されるばねは小径
軸部により径方向に撓むことなく円滑に案内され
る。

［考案の実施例］ 第１，２図に示すように、ばね座１８はねじ穴
１９に螺合するねじ部１９ａを基端部に備えてお
り、先端側に段部３２の部分から小径軸部１８ｂ
が備えられる。ばね座１８の基端部に工具穴２０
が設けられ、工具穴２０に連続する軸方向の通路
３３が端部まで貫通している点において従来例と
異なる。また、弁体１４は基端側にボール１３を
係合する半球形のくぼみ３１が形成される一方、
先端側は段部３５の部分から小径軸部３６が備え
られ、小径軸部３６の端面１８ａに十字形の溝通
路３７が設けられる。このような弁体１４は鍜造
により一体的に形成することができる。くぼみ３
１にボール１３（第３図参照）を係合し、くぼみ
３１の縁部３１ａをかしめてボール１３が外れな
いように一体的に結合される。そして、ばね座１
８の段部３２と弁体１４の段部３５との間にばね
１５（第３図参照）が介装される。

なお、上述の実施例では、弁体１４の端面に十
字形の溝通路３７が設けられているが、鍜造によ
る場合には必ずしも十字形でなくてもよく、要す
るに弁体１４の端面１４ａがばね座１８の端面１
８ａに衝合した時の通路面積が絞られないよう
に、溝通路３７の数と深さ、溝幅などが決定され
る。したがつて、十字形の溝通路３７の代りにＹ
字形の溝通路を設ければ、ばね座１８の端面１８
ａとの接触面積も広くなり、強度上有利である。

次に、本考案による燃料噴射ポンプの等圧型送
出弁の作動について説明する。開弁時ばねの力に
抗して弁体１４が押し戻されると、弁体１４の端
面１４ａがばね座１８の端面１８ａに衝合し、弁
体１４のリフトが制限される。この時、端面１４
ａには十字形の溝通路３７が設けられているの
で、燃料は弁体１４の周囲から溝通路３７を通
り、ばね座１８の通路３３へ流れる。

弁体１４は鍜造により一体的に形成することに
より十分な強度を備えているので、ばね座１８の
端面１８ａに衝合しても損傷するなどの恐れがな
い。ばね座１８は小径軸部１８ｂの周囲に径方向
の通路がなく平滑に仕上げられているので、ばね
の伸縮を円滑に案内する役目を果す。ばね座１８
の段部３２に一端を支持されるばね１５は小径軸
部１８ｂにより横方向に撓むことなく円滑に案内
される。小径軸部１８ｂに径方向の通路がないの
で、強度が従来例に比べて大幅に向上され、ばね
座１８の小形化が可能である。

［考案の効果］ 本考案は上述のように、プランジヤ室と送出口
とを接続する吐出通路と戻り通路が、弁ホルダと
スペーサとに分割して構成され、スペーサの吐出
通路に備えられる逆止弁と弁ホルダの戻り通路に
備えられる逆止弁がそれぞれ、基端部がスペーサ
と弁ホルダとの一方の通路に螺合されるねじ部と
され、先端側が段部のところから小径軸部とさ
れ、かつ軸方向に貫通する通路を有するばね座
と、基端側にボールを結合され先端側が段部のと
ころから小径軸部とされ、先端面に径方向の溝通
路を有する弁体と、ばね座の段部と弁体の段部と
の間に介装したばねとからなるものであるから、
次のような効果が得られる。

(a) ばね座に軸方向の貫通通路が備えられる一
方、弁体のばね座と対向する先端面に溝通路が
構成されるので、弁体のリフトを制限するばね
座の強度が十分確保される。

(b) 小径軸部を横切る孔がないので、ばねがばね
座の小径軸部に円滑に案内され、ばねが局部的
に摩耗折損する恐れがない。

(c) ばね座に径方向の通路を設ける代りに、弁体
の先端面に径方向の溝通路を設けたから、弁体
の強度を損うことなく、弁体のリフトが小さく
て十分な通路面積を確保できる。

(d) 弁体を鍜造により溝通路と一体に成形できる
ので、従来のばね座に径方向の通路を機械加工
するものに比べて、ばね座の強度が向上し、加
工コストが節減される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る燃料噴射ポンプの等圧型
送出弁の正面断面図、第２図は同等圧型送出弁の
弁体についての底面図、第３図は従来の等圧型送
出弁を備えた燃料噴射ポンプの要部を示す正面断
面図、第４図は同等圧型送出弁の正面断面図であ
る。 ３：スペーサ、５：弁ホルダ、６，２２：吐出
通路、８，２３：戻り通路、９：オリフイス、１
０，４０：逆止弁、１４：弁体、１４ａ，１８
ａ：端面、１５：ばね、１８：ばね座、１８ｂ：
小型軸部、１９ａ：ねじ部、３２，３５：段部、
３３：通路、３６：小径軸部、３７：溝通路。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. プランジヤ室と送出口とを接続する吐出通路と
   戻り通路が、弁ホルダとスペーサとに分割して構
   成され、スペーサの吐出通路に備えられる逆止弁
   と弁ホルダの戻り通路に備えられる逆止弁がそれ
   ぞれ、基端部がスペーサと弁ホルダとの一方の通
   路に螺合されるねじ部とされ、先端側が段部のと
   ころから小径軸部とされ、かつ軸方向に貫通する
   通路を有するばね座と、基端側にボールを結合さ
   れ先端側が段部のところから小径軸部とされ、先
   端面に径方向の溝通路を有する弁体と、ばね座の
   段部と弁体の段部との間に介装したばねとからな
   ることを特徴とする、燃料噴射ポンプの等圧型送
   出弁。