JPH0332536Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〓産業上の利用分野〓 本考案は、糸送給装置に付属するカツタ装置に
関するものである。

〓従来の技術〓 結束紡績糸を紡績する際に、芯糸をその内部に
給糸して芯糸の周囲に短繊維を絡み付かせた糸を
製造する際に用いる芯糸の糸送給装置において
は、不良糸の発生などで装置を停止するとき、芯
糸を切断するためのカツタ装置を備えているが、
このカツタ装置の一型式であるデイスクカツタに
おいては、従来、その円滑な作動と確実な糸切断
作用とを両立させる点に問題があつた。即ち、デ
イスクカツタは中心に環状のナイフエツジを設け
た２枚の刃盤を同心に対面させ、その一方或いは
双方を他方の刃に対し摺動可能にし、通常は環状
ナイフエツジで囲まれた円形開口部に糸を走行さ
せ、糸を切断するときは刃の一方或いは双方を摺
動させることにより糸の切断を行わせるものであ
るから、切れ味を良くするためには、ラツピング
等により摺動面を高度の平滑面にしてナイフエツ
ジを鋭くすることが望ましい。ところが、摺動面
の平滑度が高くなるにつれて、摺動面間が互いに
密着しギリング現象により強い密着力が発生する
ようになり、可動刃盤の摺動が困難になる。そし
て、甚だしい場合には可動刃盤を動かすこともで
きなくなる。

〓考案が解決しようとする課題〓 本考案の目的は、従来のデイスクカツタ装置に
おける上述のような問題点を解決し、作動が確実
で切れ味もよいカツタ装置を提供することにあ
る。

〓課題を解決するための手段〓 本考案は、デイスクカツタにおける２枚の刃盤
の平滑な摺動面の少なくとも一方を、ナイフエツ
ジ形成部近傍以外の部分において部分的に粗面と
して相手方刃盤と接触しないようにした。

摺動面のうち粗面とする部分の形状、配置、平
滑面に対する面積比などは限定されないが、可動
刃盤の摺動状態においても２枚の刃盤の平行関係
を確実に維持する必要上、平行関係維持に必要な
摺動面となる平滑部分を、有効な位置に、十分量
残すようにする。粗面は、その部分が相手方刃盤
の接触面が少なくなればよいので、極めて浅い、
例えばサンドブラストによる微細な凹凸を有する
面としても、或いは表面を僅かに削つて溝状とし
てもよい。

〓作用〓 本考案のカツタの摺動面における粗面は、２枚
の刃盤間の接触面積を減らして両面の密着性を低
下させ、糸切断時における可動刃盤の円滑な摺動
を可能にする。

〓実施例〓 本考案の実施例をサンドブラストによる微細面
を形成した例により、図面と共に次に説明する。

可動刃盤１はエアシリンダ２に連結されたロツ
ド３に固定され且つ固定盤４に接した状態に置か
れていて、エアシリンダ２の作動に伴い上下動可
能である。一方、固定刃盤５はフランジ状の支持
部材６に固定されており、支持部材６の円筒状部
分６ａは、位置固定のバネ受け具７の円筒状突起
７ａに滑動可能に嵌合され、バネ受け具７と支持
部材６との間にはスプリング８が挿入されてお
り、これが支持部材６を可動刃盤１方向へ付勢
し、固定刃盤５は可動刃盤１に圧着している。

可動刃盤１の中心部には、固定刃盤５方向に径
が縮小する円形開口部９があり、その傾斜壁面１
０と摺動面１１とにより、環状のナイフエツジ１
２が形成されている。また、固定刃盤５の中心部
には、可動刃盤１方向に径が縮小する円形開口部
１３があり、その傾斜壁面１４と摺動面１５とに
より、環状のナイフエツジ１６が形成されてい
る。

円形開口部９，１３、およびバネ受け具７の円
筒状突起７ａは、何れも中心軸線を固定盤４の導
糸孔１７のそれに一致させてある。なお導糸孔１
７は、可動刃盤１接触面の反対側で、給糸管１８
に通じている。

可動刃盤１の摺動面１１は、第２図に示したよ
うに、ナイフエツジ１２の近傍の環状部分１９お
よびそれと同心円状に配置された環状部分２０，
２１の３ケ所がラツピング仕上げされた鏡面に近
い高度平滑面であるが、その他の部分２２，２３
は、ラツピング後にサンドブラスト加工されて粗
面となつている。固定刃盤５の摺動面１５は、全
面がラツピング仕上げされたまゝの高度平滑面で
ある。

糸送給装置の非作動時の状態は第１図に示す如
くであつて、給糸管１８、導糸孔１７、可動刃１
の円形開口部９、固定刃５の円形開口部１３、お
よび円筒状突起７ａの中空部を糸Ｙが走行する。

カツタを作動させる必要が生じたときは、エア
シリンダ２を作動させ、ロツド３を前進させて、
ナイフエツジ１２の最上部がナイフエツジ１６の
最も下の部分よりも下になるまで可動刃盤１を押
し下げ、第１図に鎖線で示した状態にする。この
間のナイフエツジ１２，１６同士の摺動により、
糸Ｙの切断が行なわれる。

糸送給装置の運転を再開するときは、エアシリ
ンダ２によりロツド３を後退させて可動刃盤１を
引き上げ、第１図の状態に復帰させる。

以上のカツタ作動そのものには、従来のカツタ
のそれと特に異なるところはない。しかしなが
ら、可動刃盤１の摺動面１１の一部が凹面化さ
れ、固定刃盤５の摺動面１５と密着しないように
なつていることにより、全面が高度平滑面である
従来のカツタの場合よりも摺動面間に生じる密着
力は小さく、従つて、糸切断動作をするときの可
動刃盤１と固定刃盤５との摺動は、十分大きな接
圧を加えておいても円滑に行われる。

以上では、固定刃盤と可動刃盤の一方の摺動面
に粗面部を設けているが、摺動面となる平滑面部
分を固定刃盤と可動刃盤の摺動中対向する位置に
残すならば、両円盤に粗面部を設けても差し支え
ない。

〓考案の効果〓 本考案のカツタ装置は、上述のようにデイスク
カツタにおける２枚の刃盤の平滑な摺動面の少な
くとも一方を、ナイフエツジ形成部近傍以外の部
分において部分的に粗面とし、２枚の刃盤間の接
触面積を減らしたために、両刃盤間に強い吸引力
の発生するのを防止し、糸切断時における可動刃
盤の摺動困難の恐れを無くすことができ、かつ、
そのため摺動面を高度の平滑面としてナイフエツ
ジを鋭くし、且つ両刃盤の接圧を十分大きくし
て、糸切断作用の信頼度を高くすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す断面図、第２図
は第１図における可動刃盤１の摺動面１１を示す
平面図である。 １……可動刃盤、２……エアシリンダ、５……
固定刃盤、９，１３……円形開口部、１２，１６
……ナイフエツジ、１９，２０，２１……平滑な
摺動面、２２，２３……凹面。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 中心に環状のナイフエツジを設けた２枚の刃盤
   を摺動させることにより上記環状ナイフエツジで
   囲まれた円形開口部を走行する糸を切断する糸送
   給装置のカツタ装置において、平滑にした２枚の
   刃盤の摺動面の少なくとも一方を、ナイフエツジ
   形成部近傍以外の部分において部分的に粗面とし
   たことを特徴とする糸送給装置におけるカツタ装
   置。