JPH0332390B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 (1) 産業上の利用分野 本発明は羽毛の選別方法及び羽毛の除塵選別装
置に係り、特に羽毛布団用のダウン選別方法に関
するものである。

(2) 従来の技術 従来、羽毛布団の羽毛は水鳥の綿毛（ダウン−
down）を用いており、フエザーが混つていない
ものを最高品としている。しかしながら、水鳥か
ら羽毛をむしり取り、種々な工程を経て、フエザ
ーとダウンを分離する工程において、４メートル
から８メートルの背高の選別ケース内に羽毛を収
容し、下方で撹拌羽根を回転させて羽毛を煽つ
て、軽いダウンを浮上させることによつて重いフ
エザーを分離選別するという原始的な選別方法を
行つているのが実情である。

この他、フエザーを破砕してフエザーフアイバ
とフエザー芯とを分離選別するための選別装置と
して、撹拌アームの回転数とダンパによる外部吸
引力の調整が行えるようにした羽毛処理装置も提
案されている（特開昭57−149506公報）。

(3) 発明が解決しようとする問題点 上記のような従来の羽毛選別方法では、 (イ) 選別ケースを４メートルから８メートルもの
背高にしなければならず、天井の高い工場が必
要条件となつて設置位置が限定される難点があ
つた。

(ロ) 背高の選別ケースは高い方がダウンの浮力に
よる選別に適するため、高くする傾向があり、
製造コストが割高となつた。

(ハ) ダウンが萎縮していると浮上しない難があ
り、これら折曲り、萎縮ダウンは除外されるロ
スがあつた。

(ニ) 風力で浮上させるため、スモールフエザーの
軽いものも浮上してダウンに混入されるという
難があつた。

(ホ) さらに、前記の提案装置では、撹拌アームに
よる撹拌段階における分離選別が十分に行われ
ている必要があり、ダウン選別装置としては羽
毛供給量の制約が大きく効率的でないという難
点がある。

(4) 問題点を解決するための手段 本発明は前記問題点を解決するために、 (イ) 羽毛選別室を１メートル50cm以内の低いもの
とした。

(ロ) 羽毛選別室が低いことを補うためにダウンに
浮力を増加させる工夫をこらした。

(ハ) ダウンに浮力を増加させるための手段とし
て、ダウンをイオン化された気体の中で選別す
るようにした。

(ニ) イオン化されたダウンの浮力が十分生かされ
るように、羽毛選別室内に迂回路を構成するよ
うにした。

具体的には、羽毛選別室の空気をイオン化さ
せ、該イオン化空気により羽毛を生来の姿形に復
元させてダウンを浮上させ、該ダウンを気流通路
に設けた障害板で迂回させてから吸引によつてフ
エザーから選別させることを特徴とする羽毛の選
別方法として構成し、装置としては、羽毛選別室
に撹拌羽根と障害板と、イオン化装置と吸引機構
とを付設した。

(5) 作用 上記構成により成る本発明によればイオン化装
置によつて羽毛選別室の空気がイオン化される。
イオン化装置としてはコロナ放電装置が用いられ
る。この羽毛選別室に収容された羽毛はイオン化
された空気によつてイオン化され、静電気が除去
され、ダウンは放射方向に拡伸して生来の姿形に
戻る。羽毛選別室内の撹拌羽根の回転によつて上
昇気流が生じ、微風流でもダウンは浮遊上昇し
て、吸引気流に乗り、送出口に近接して設けられ
た障害板による迂回路を通つて収納室へ選別収容
される。フエザーとダウンは形状が異質であり、
フエザーとダウンとはその重量が異なり、かつ生
来の姿形における浮力に著しい差がある。従つて
荷造り、洗浄、除塵等で折曲し、萎縮していたダ
ウンがイオン化された空気中で選別されることに
よつてイオン化され、折曲萎縮していた組織が活
性化されて生来の姿形に復元するため、充分な浮
力をとり戻して、微風で浮上するもので、これに
対してフエザーは、また生来の姿形で、譬え小さ
く切断されていても浮力が生じず、吸引気流によ
る移動中にダウンの明確に選別される。

(6) 実施例 本発明の実施例を図面に基づいて説明する。第
１図は本発明に係る羽毛除塵選別装置の正面図で
ある。羽毛除塵選別装置１は、イオン化装置２と
選別室３と収納室４とを連接構成してある。

前記イオン化装置２は円筒状に形成した支持筒
２ａ内部に支持台２ｂを水平態に配置してその下
方に集塵部２ｃを形成している。

前記支持台２ｂの中央部は円形に切欠いて略円
錐状のロストル２ｄを配設すると共に該ロストル
２ｄを囲繞するよう円筒壁体２ｅを配設し、その
上部開口部は下部より大径に形成して上記支持筒
２ａ上端縁部に合接させてある。しかして、その
上部には送風筒２ｆを一体に載置し、送風筒２ｆ
上に蓋筒２ｇを被着し、前記円筒壁体２ｅ、送風
筒２ｆ、蓋筒２ｇを連通状としてイオン化室２ｈ
を形成してある。

前記送風筒２ｆには、その側面に送羽毛管５ａ
を付設開口し、該送羽毛管５ａの基端部はイオン
化装置２の側方に設置したブロワー室５に接続し
てある。該ブロワー室５には内部に設部したブロ
ワー５ｂに接続する吸入管５ｃを設けてあり、ブ
ロワー５ｂの吸入力によつて吸入管５ｃから洗浄
済みの羽毛を吸入して送羽毛管５ａからイオン化
室２ｈに送りこむ。

前記送風筒２ｆの外周には送風管６が環状に付
設してあり、該送風管６の基端部は図示しない送
風機に接続してある。また送風管６から送風筒２
ｆに向けて複数のノズル６ａ，６ｂが連設されて
送風できるように構成され、各ノズル６ａ，６ａ
は乱流を起すようにイオン化室２ｈ内の任意方向
に向けてある。

前記円筒壁体２ｅの下方外周部には環状に送風
管６′を付設し、その一端部は図示しない送風機
の送気管に連結してある。しかして送風管６′か
ら円筒壁体２ｅに向けて複数ノズル６′ａ，６′ａ
を連設してその各ノズル口は前記ロストル２ｄ頂
部附近へ斜上向き状に向けてある。

前記各ノズル６ａ，６′ａにはその内孔にコロ
ナ放電電極７，７′を内設してあり、該電極７，
７′には配線７ａ，７a′を介して直流電圧を印加
させてコロナ放電をさせるように構成している。

前記蓋筒２ｇの側壁には送出ダクト８を付設
し、送出ダクト８の先端開口はラツパ管状に形成
して前記ロストル２ｄ上部をわずかに覆うよう垂
設している。しかして送出ダクト８の基部は外方
に突出させて前記選別室３内に向けて開口してい
る。

前記蓋筒２ｇの頂部には回送管９を付設し、そ
の先端は前記収納室４に連結開口している。

前記選別室３は方形箱形に形成してあり、下部
中ほどに撹拌羽根３ａをその回転軸３ｂを水平態
に横架軸支して装設し図示しない駆動機で回転さ
せるよう構成している。該撹拌羽根３ａの下方に
はフエザーの受皿３ｃを配置してある。側壁の前
記送出ダクト８の取付部付近には、送出ダクト８
の開口の前部に位置して導壁３ｄを垂設して、送
出ダクト８から送り出される羽毛を選別室３と下
方へ導くよう構成している。また選別室３上部の
前記収納室４側の側壁には送出口３ｅを選別室３
収納室４を連通するよう開設してある。しかして
選別室３の上部には、前記送出口３ｅの下端部に
近傍して障害板３ｆをその基端を収納室側の側壁
に定着し先端は中央よりややイオン化装置方向へ
近接させて横架付設している。図面中符号３ｇは
回送口であり図示しない回送管を付設している。

前記収納室４は方形箱形に形成され、下部に吸
引ブロワー４ａを配設し、上部には前記送出口３
ｅに吸引管４ｂ基端部を付設して、その先端開口
は下向きに構成している。該吸引管４ｂの下方に
は側壁に設けた掛具４ｃ，４ｃを介して収納袋１
０を脱着自在に掛設している。４ｄはフイルター
である。

上記構成により成る本発明によれば、洗浄乾燥
ずみの羽根を吸入管５ｃから吸入してイオン化室
２ｈに吸入する。例えば布団１枚分1.5Kgの羽毛
を吸引すると吸入ブロワー５ｂによる風流で羽毛
はイオン化室２ｈの内周面に沿つて囲回する。ま
た送風筒２ｆ部分の各送風ノズル６ａ，６ａから
圧縮空気が放出されていて、この乱気流によつて
羽毛はイオン化室２ｈ内を乱舞しながら、自重で
自然降下する。この送風ノズル６ａ，６ｂ内には
前記したコロナ放電電極７，７′によるコロナ放
電が行なわれていて、送風ノズル６ａから放出す
る圧縮空気イオン化されて放出されるため、イオ
ン化室２ｈ内はイオン化された空気で充満されて
いる。その結果、羽毛は帯電静電気を除去されて
萎縮したものも拡伸して、乱気流の風力によつて
付着塵埃が除塵され、下降塵埃はロストル２ｄか
ら下方へ落下する。

自然降下した羽毛は下方の送風ノズル６′ａ，
６′ａから噴出する圧縮空気によつて送出ダクト
８内へ舞い上げられる。この送風ノズル６′ａ，
６′ａの内部には前記したコロナ放電電極７，
７′が内装されていてコロナ放電をしているため、
放出される圧縮空気はイオン化されて送出ダクト
８を介して羽毛と共に選別室３内に送り出され
て、選別室３はイオン化された空気で充満されて
いる。選別室３内に送りこまれた羽毛は下降して
堆積しようとするが、撹拌羽根３ａの回転によつ
て撹拌され浮遊する。浮遊する羽毛は充分イオン
化された空気によつてイオン化されて、ダウンは
ダウン生来の姿形に復元し、撹拌羽根３ａによつ
て生じる微風によつても充分に浮上するが、大部
分のフエザーは生来の姿形で微風による浮上がで
きずに受皿３ｃ上に下降する。

さらに前記収納室４の吸引ブロワー４ａを回転
させることによつて吸引管４ｂを介して選別室３
内上部の空気が収納室４へ吸引される。従つて、
前記選別室３上方へ浮上したダウンは障害板によ
つて構成される迂回路を通過する過程でさらに混
合するフエザーを分離しながら収納室４へと吸引
されて吸引管４ｂ下方の収納袋１０へ収納され
る。前記、布団１枚分約1.5キロの羽毛の選別は
約３分〜10分で終了し、選別能力は99％にも達す
る。前記選別室３の高さは、わずか９５cmであ
る。囚みに、50年前に造られた羽根布団の羽毛を
本装置で処理した。使い古した羽毛は折れ曲り萎
縮して団塊状になつていたが、イオン化された空
気中で美事、生来の姿形に蘇生復元して選別する
ことができた。従来の技術ではこのような故物処
理は不可能であつたし、選別室を４ｍから８ｍに
も及ぶ背高のものとし、風力でダウンを舞い上げ
てフエザーと選別する方法をとつているため、風
力が強いとフエザーの小さな片鱗も混入して選別
能力は約60％であるため、２〜３回選別をくり返
すという手間を要してなおかつ萎縮したダウンは
取り残されてロスが大きかつたが、本発明におい
てはイオン化された空気中で選別をすることによ
つて萎縮したダウンも生来の姿形に復元して回収
されるため99％もの選別能力を有するものであ
る。

前記回送管９は、イオン化室２ｈ内上部に浮遊
する微細片等を吸引イブロワー４ａで収納室４に
吸引するのに利用する。また前記回送口３ｇはブ
ロワー室５に直結するようにして選別室３に直接
羽毛を挿入することもできる。

前記選別室３にはイオン化装置２とは別にコロ
ナ放電電極を適宜装置することができる。

(7) 効果 本発明は前記するようにイオン化された空気中
で羽毛の選別をするため、 (イ) 羽毛は生来の姿形にリフレツシユされ、ダウ
ンはダウン本来の浮力を充分に発揮できるから
微風で浮上し、選別は撹拌羽根から送出口まで
の過程で行えるから効率的で、フエザーとの重
量差で100％に近い完全選別することができる。

(ロ) 微風選別ができるため、撹拌羽根と障害板と
の適切な組合せで、選別室の高さを著しく低い
コンパクトなものとすることができ、製作コス
ト安に加えて設置場所をとらない。

(ハ) 古い羽毛もイオン化された空気によつてリフ
レツシユされ再使用できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る羽毛の除塵選別装置の正
面図、第２図はコロナ放電電極取付部分拡大図。 １……羽毛の除塵選別装置、２……イオン化装
置、２ａ……支持筒、２ｂ……支持台、２ｃ……
集塵部、２ｄ……ロストル、２ｅ……円筒壁体、
２ｆ……送風筒、２ｇ……蓋筒、２ｈ……イオン
化室、３……選別室、３ａ……撹拌羽根、３ｂ…
…回転軸、３ｃ……受皿、３ｄ……導壁、３ｅ…
…送出口、３ｆ……障害板、３ｇ……回送口、４
……収納室、４ａ……吸引ブロワー、４ｂ……吸
引管、４ｃ……掛具、４ｄ……フイルタ、５……
ブロワー室、５ａ……送羽毛管、５ｂ……ブロワ
ー、５ｃ……吸入管、６，６′……送風管、６ａ，
６′ａ……ノズル、７，７′……コロナ放電電極、
７ａ，７a′……配線、８……送出ダクト、９……
回送管、１０……収納袋。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ イオン化装置で選別室内の空気と羽毛をイオ
   ン化させてダウンを生来の姿形に復元させると共
   に、該ダウンを撹拌羽根で浮上させ、気流通路に
   設けた障害板で迂回させてから、収納室に吸引収
   納することを特徴とする羽毛の選別方法。 ２ 上部にダウンの送出口を有し、該送出口に近
   接して障害板を付設し、かつ撹拌羽根を備えた選
   別室に、該選別室の空気をイオン化させるイオン
   化装置と、選別室の上部空気と浮上ダウンを前記
   送出口を経由して吸引する吸引ブロワーを備えた
   収納室とを連設して成ることを特徴とする羽毛の
   除塵選別装置。