JPH0332314Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は片面天然へちま繊維パイル植毛タオル
に関する。さらに詳しくは片面に天然へちま繊維
のパイルが植毛された織物基布と他の綿タオル地
の組織からなる織物基布との二枚を重ね合わせた
構成からなる片面に天然へちま繊維のパイルを植
毛したタオルに関する。

〔従来の技術〕

従来よりタオルは一般に浴布とも呼ばれ、古く
から我々の日常生活にきわめて関係の深いもので
ある。そして織物ととしては手織、ななこ織、ま
す織などの組織の綿、麻等の織物が多く用いら
れ、通常タオル地という場合、ループを片面又は
両面に繊り出したもので、主に綿糸で経糸をわな
につくつて織つた浴布を指称している。

また、古くよりあかすり布又は単にあかすりと
呼ばれ、入浴の際に肌の垢こすり落とすのに用い
るものとしてへちまの実の繊維を用いたもの、軽
石等を用いたものがよく知られている。

近年、上記のあかすり布、或いは浴用アカ落し
としてポリアミド系合成繊維素材より構成された
網目が比較的粗く、通気性の高いものが広く普及
し、健康指向の今日単に洗うだけでなく、適度な
刺激を肌に与えて血行をよくし、マツサージ等の
効果も得られるとして若年層においても多く用い
られるようになつている。

〔考案の解決しようとする問題点〕

しかしながら、上記のポリアミド系合成繊維素
材などからなる浴用タオル又はあかすりの場合、
半硬直性を有する構成素材の特性から普通綿タオ
ル等では期待し得ない皮膚への刺激、摩擦が得ら
れる。一方、これらを使用する場合、繰り返し使
用している間に使用開始時の痛みがなくなり、次
第に強く摩擦するようになり、これらに起因して
黒常症と呼ばれる皮膚の異常症状が多発してお
り、今日社会問題としてもとりあげられている。

このため、従来のポリアミド系合成繊維素材に
代わり、麻のからみ織など、天然繊維を使用して
肌への刺激を強めたもの、或いは古来より使用さ
れているへちまを輪切り又は長手方向に切断して
いわゆるスポンジ状として使用するか、又はこれ
ら従来のタオル地や、不織布又は把持具に取付け
た構造のもの等が公知である。

しかしながら、上記の如きものでは、使用上も
片手で持つて体の手前側の各所を摩擦したりする
ことはできるが、背中部のアカ落しや摩擦などに
は使い勝手も悪く不適であり、また麻織物等も柔
軟性において劣り、せつけんの泡立ちも十分とは
いえない難点があつた。

また、実開昭60−152396号の如く、あかすり用
の布地の片面にナイロン、レーヨン、綿等の短繊
維を植毛して植毛層を設けたものが提案されてい
るが、これらは柔軟性があり、肌触りが良好なタ
オル地の感触を付与したあかすり布であつて、綿
繊維では血行をよくするマツサージ効果の如き刺
激まは摩擦を期待し得ず、また、、ナイロンなど
を使用した場合には前記のような皮膚の炎症を起
こすおそそれがあり、好ましいとかいえない。

このため本考案者は実願昭60−198959号で、へ
ちま繊維の粉砕パイルを用い、へちま繊維素材の
感触を付与したへちま繊維植設タオル、さらに実
開昭61−8280号で、植物繊維混合パイル植設タオ
ルを提案している。

しかし、上記提案では、たとえば基布の両面に
天然へちま繊維を植毛した場合、静電植毛による
コスト上昇の他、速乾性に欠けること、また、重
量が増すことや、塗布した接着剤により基布の柔
軟性或いは通気性が損なわれる難点があり、せつ
けん等の含み料のコントロール効果においても劣
るなどの問題点があつた。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案はかかる欠点にかんがみ、種々の検討の
結果到達したもので、片面に天然へちま繊維を紛
砕して得たパイルを植毛した基布と、一方ループ
状突起を形成したわな織の綿織物からなるタオル
地、或いはシヤーリングタオル地等の基布の二枚
を重合させて周縁部を縫着した構成とすることに
より、片面の天然へちま繊維のパイルによる皮膚
への刺激、摩擦が得られると共に、他の片面に縫
着したタオル地等により天然へちま繊維のパイル
を植毛した基布の粗剛性は緩和され、かつ該タオ
ルの柔軟性、通気性などが損なわれることもな
く、さらに、せつけん等の含み料のコントロール
効果を向上せしめることができる。

したがつて、両面に天然へちま繊維のパイルを
植毛した基布のコスト高や、粗剛性等の欠点を解
消し得るのみならず、片面を通常の綿等の所望の
タオル地の組合せとすることにより、通常の綿タ
オル等としても使用できる多機能のあかすり用両
面タオルを得るに至つた。

本考案は、片面が天然へちま繊維のパイルが植
毛された粗剛性織物基布からなり、一方の片面は
ループ状輪奈を有する綿タオル織物からなること
を特徴とするの片面はは他の組織からなる織物基
布であることを特徴とする片面天然へちま繊維パ
イル植毛タオルを提供することを目的とする。ま
た、他の目的は粗剛性を緩和し、通気性を維持
し、かつ、天然へちま繊維等の植物繊維植毛タオ
ル独特の刺激、摩擦効果と、一方他の表面感触の
異なる基布組織からなるタオルとの組合せにかか
る多目的、かつ機能性を有し、コスト低減を図り
工業的有利に片面天然へちま繊維パイル植毛タオ
ルを提供することを目的とする。

以下、本考案の一実施例を示す図面により説明
する。

第１図は本考案にかかる両面タオルの斜視図、
第２図は第１図のＡ−Ａ線断面図である。第１図
ならびに第２図において、１は両面タオル本体、
２は表面基布織物であり、切断又は紛砕された植
物繊維のパイル４が塗布された接着剤５の上に静
電植毛により植設されている。３は裏面基布織物
でループ状輪奈を有する綿タオル地からなり、こ
れらの両基布織物は周縁部６をバイヤステープ７
で縫着されると共に、内側の適宜箇所に表裏両面
の綴じ付け８を設けた構成となつている。

第３図は別実施例を示すもので、表面基布織物
２と裏面基布織物３の中間に発泡ウレタンシート
からなる充填基材９を介装せしめ、これら三層が
ずれないようにステツチで斜め状にとめる技法に
よるキルテイング１０が施されている。これによ
つて該タオル本体１の表裏両面が一体化されて柔
軟性が付与され、かつ、空隙層がさらに形成され
るのでせつけん含み料が向上する効果が得られ
る。

また、表面基布織物２と裏面基布織物３の彩色
を任意に行なうことができ、表裏面を異なつた色
調として装飾的効果により商品価値を高めること
もできる。

さらに、表面基布織物２に植毛する植物性繊維
としては、へちま繊維の他、やし等の果実繊維、
綿等の種子毛繊維、亜麻、大麻等の靭皮繊維、サ
イザル麻、マニラ麻等の葉脈繊維等が用いられ、
これら各繊維を切断又は紛砕した繊維パイルを単
独或いは適宜混合した混合パイルを適用すること
ができる。用途上たとえば粗硬性を要求される場
合には、麻等の葉脈繊維或いはやし等の果実繊維
の比較的硬いパイルを用いることができる。

本考案にかかる表面基布織物２又は裏面基布織
物３は綿、麻等の天然繊維を素材とする織物、編
布等が適当であり、また、植物性繊維のパイル４
を植毛する表面基布織物２は、その表面に接着剤
４が塗布されて植物性繊維のパイル４が植毛され
る以上、、疏水性のポリアミド系等の合成繊維で
あつても妨げにならず、公知の静電植毛により植
物性繊維のパイル４を植毛し得るものであばいず
れでもよい。

次に、本考案にかかる天然へちま繊維のパイル
４の植毛に当たつては、必要により脱色又は着色
処理を行ない、これらを切断又は紛砕、或いはふ
るい分けした平均繊維長0.2〜10mmのパイルを用
いることができる。そして、これらのパイルを混
合したブレンド植毛を行ない、ブレンド比率の変
化により異なつた効果を得ることができ、或いは
パイルカツト長の変化比率を調整した二重植毛等
の構成とすることもできる。

次に、本考案での植毛加工に用いる接着剤５は
ノンフオルマリン型が適当であり、表面基布織物
２に適合したものが選択されるが、エマルジヨン
型であり、かつ接着性の高いものが望ましい。ま
た、柔軟性を付与する効果を得る点では、たとえ
ばアクリル酸樹脂エマルジヨンなどを用いること
ができる。その他酢酸ビニール系、酢酸ビニー
ル・アクリル共重合系、合成ゴム、天然ゴム、ウ
ルレタン、エポキシ樹脂等のエマルジヨン又は水
溶性タイプを用いることができる。

さらに、植毛加工を施す片面の表面基布織物で
は、天然へちま繊維のパイル４を所望の模様形状
に植毛する等、その基布の一部又は全部に植毛部
分を設けることができる。また、予め着色した植
物性繊維のパイル４を用いて植毛を施すこともで
き、さらに表裏両面を異なつた着色として装飾的
効果を高めることもできる。

〔考案の効果〕

本考案によれば、少なくとも片面に独特の感触
と刺激、摩擦が得られる天然へちま繊維のパイル
を植毛したものであるため、従来市場に全く見ら
れなかつた新しい特性を有する身体摩擦用タオル
として利用価値の高いものである。また、他の片
面には所望の綿ループ状輪奈を有する組織織物や
シヤーリングタオル地等を重合し縫着したため、
片面が通常のタオルの機能も兼備するするのみな
らず、コスト低減を図ることができると共に、該
パイル植毛地の粗剛性を緩和してタオル全体に柔
軟性を付与し、かつせつけん等の併用において泡
立ちがよく、機能性を有する利用価値の高い天然
へちま繊維パイル植毛タオルとして優れたもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す斜視図、第２
図は第１図のＡ−Ａ線断面図、第３図は中間に発
泡ウレタンシートからなる充填材を介装せしめた
断面図である。 １……タオル本体、２……表面基布織物、３…
…裏面基布織物、４……パイル、５……接着剤、
６……周縁部、７……バイヤステープ、８……綴
じ付け、９……充填材、１０……キルテイング。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 片面が天然へちま繊維のパイルが植毛された
   粗剛性織物基布からなり、一方の片面はループ
   状輪奈を有する綿タオル織物からなることを特
   徴とする片面天然へちま繊維パイル植毛タオ
   ル。 ２ 前記粗剛性織物基布と綿タオル織物の中間に
   発泡ポリウレタンシートからなる充填材を介装
   せしめてなる実用新案登録請求の範囲第１項記
   載の植毛タオル。