JPH0331932B2

JPH0331932B2 -

Info

Publication number: JPH0331932B2
Application number: JP58061956A
Authority: JP
Inventors: Kyosaburo Furumura; Hiromi Sugi; Hiromitsu Asai
Original assignee: NSK Ltd
Current assignee: NSK Ltd
Priority date: 1983-04-08
Filing date: 1983-04-08
Publication date: 1991-05-09
Also published as: JPS59190512A

Description

【発明の詳細な説明】この発明は、動圧形すべり軸受装置に関し、と
くに、平面状、もしくは運動方向と直角な断面が
円弧状に形成されたすべり面を介して正逆両方向
の直線運動が相対的に可能である軌道台と軸受と
のすべり面の少なくとも一方に、矢じり状の動圧
発生用のみぞを配設することにより、正逆両方向
とも動圧を発生させるようにしたものである。

従来、動圧形すべり軸受として、ラジアルすべ
り軸受のすべり面にヘリングポーン状の動圧発生
用のみぞを設け、軸体が軸受に対して一方向に回
転するものが知られている。

また、軸体と軸受とが相対的に往復直線運動す
るリニアーすべり軸受も知られているが、正逆両
方向に動圧を発生させるさせるリニアーすべり軸
受は開発されていない。

この発明は、正逆両方向の直線運動が可能な動
圧形すべり軸受装置を提供することを目的とす
る。

すなわち、この発明は、後述する実施例および
図面に示すように、軌道台１０に設けたすべり面
１１が軸受２０に設けたすべり面２１に対向し、
軌道台１０と軸受２０との何れか一方がすべり面
１１，２１を介して正逆両方向の直線運動が可能
であり、前記すべり面１１，２１は平面状、もし
くは運動方向と直角な断面が円弧状に形成され、
前記すべり面１１，２１の少なくとも一方に矢じ
り状の動圧発生用のみぞ３０，４０が形成され、
該動圧発生用のみぞ３０，４０は、矢先方向が軌
道台１０もしくは軸受２０の一方の運動方向に一
致するみぞ３０と、矢先方向が他方の運動方向に
一致するみぞ４０とをそれぞれ備え、矢先方向が
一方の運動方向に一致するみぞ３０と他方の運動
方向に一致するみぞ４０とは、いずれも軸方向の
二ケ所以上に配列されると共に、軸方向と直角方
向の二ケ所以上に配列されていることを特徴とす
る動圧形すべり軸受装置に係る。

以下、この発明の実施例について、図面を参照
して説明する。

第１図は、この発明の実施例を示し、同図ａは
その一部の正面図、同図ｂは側面図である。同図
において、符号１０は軸状の軌道台、１５はケー
ス、１９は、ケース１５に組み込まれたすべり軸
受部材、２０はケース１５とすべり軸受部材１９
とを備えた軸受をそれぞれ示す。

軌道台１０の軸方向には、三角形状の摺動部１
２が成形され、この摺動部１２の両側傾斜面にリ
ニアー外面１１が形成されている。すべり軸受部
材１９は、一対の平板状体からなり、軌道台１０
の摺動部１２と同一角度に成形されたケース１５
の内面に接着して組込まれている。上記の軸受２
０が軌道台１０のリニアー外面１１と対向する面
（リニアー内面２１）と軌道台１０のリニアー外
面１１とが平面状のすべり面を形成して、軌道台
１０と軸受２０との何れか一方が、すべり面を介
して軸方向に往復直線運動する。

上記の軸受２０のリニアー内面２１には、第２
図に示すように、矢じり状の動圧発生用のみぞ３
０，４０が形成されている。同図ａに示すみぞ
は、矢先方向が軸方向右向きのみぞ３０と軸方向
左向きのみぞ４０とを軸方向にほぼ同一の間隔で
交互に配設し、軸方向と直角方向に適宜の間隔を
おいて配列してある。同図ｂに示すみぞは、矢先
方向が軸方向右向きのみぞ３０と軸方向左向きの
みぞ４０とを菱形状に向い合わせて接続し、この
菱形状のみぞを軸方向にほぼ同一の間隔となるよ
うにして、軸方向と直角方向に適宜の間隔をおい
て配列してある。同図ｃに示すみぞは、矢先方向
が軸方向右向きのみぞ３０と軸方向左向きのみぞ
４０とを波形状に接続して、この波形状のみぞを
軸方向にほぼ同一の間隔をおいて軸方向と直角方
向に配列してある。これらの動圧発生用のみぞ３
０，４０の深さは、数μｍ〜数10μｍの範囲で適
宜選定する。

上記構成の軸受装置の潤滑剤としては、潤滑
油、グリースおよび空気等が使用されるが、い
ま、軌道台１０を固定して軸受２０側がＡ方向に
直線運動した場合、この運動方向Ａと反対の運動
方向Ｂに矢先方向が一致する軸方向左向きのみぞ
４０のポンピング作用による動圧が発生して、矢
先部分の圧力が高くなり、リニアー外面１１とリ
ニアー内面２１との間の軸受すき間１６には、矢
先部分から流出した潤滑剤による流体膜が形成さ
れ、この流体膜によつて軸受２０が支持される。
これと反対に、軸受２０がＢ方向に直線運動した
場合は、矢先方向がＢ方向と反対のＡ方向に一致
する軸方向右向きのみぞ３０によるポンピング作
用が発生して、このみぞ３０の矢先部分から流出
した潤滑剤による流体膜が、軸受すき間１６に形
成される。

上記の軸受２０における動圧発生用のみぞ３
０，４０は、第２図ａの場合は軸方向の両端部と
中間部とに設けられ、同図ｂおよびｃの場合は軸
方向の両端部と中間部とに３列設けられているか
ら、軸受２０がＡおよびＢの正逆何れの方向に直
線運動しても、軸方向の少なくとも３個所におい
て等しい動圧が発生する。

上記実施例では、軸受２０側が往復直線運動す
る場合について説明したが、軸受２０側を固定し
て軌道台１０が往復直線運動する場合についても
前記と同様の動圧が発生する。

また、動圧発生用のみぞ３０，４０は、上記実
施例のように軸受２０のリニアー内面２１でな
く、軌道台１０のリニアー外面１１に設けてもよ
く、さらにリニアー内面２１とリニアー外面１１
との双方に設けることもできる。

第３図は、この発明の他の実施例を示し、同図
ａはその一部の正面図、同図ｂは側面図である。
この実施例では、軌道台１０のリニアー外面１１
が、軌道台１０の軸方向に成形された直方形状の
摺動部１２の両側垂直面と、この垂直面の下端縁
に交接する軸方向に平行な水平面とから形成さ
れ、すべり軸受部材１９は、軌道台１０の摺動部
１２と対応する形状に成形されたケース１５の内
面に接着して組込まれ、軌道台１０のリニアー外
面１１と対向する面が、リニアー内面２１を形成
している。

上記の軌道台１０のリニアー外面１１と軸受２
０のリニアー内面２１との何れか一方、もしくは
双方に、第２図に示した動圧発生用のみぞが軸方
向と直角方向に配列されており、軌道台１０と軸
受２０との何れか一方が、平面状のすべり面を介
して軸方向に往復直線運動する。

前記各実施例における動圧発生用のみぞ３０，
４０の深さは、前述したように数μｍ〜数10μｍ
であるから、このみぞ３０，４０以外のすべり面
だけでなく、みぞ３０，４０の部分でも負荷を受
けることができるため、接触面圧が小さく耐摩耗
性が著しく向上するが、すべり軸受部材１９の材
質を合成樹脂とすることにより、さらに耐摩耗性
を増大させることができる。

また、動圧発生用のみぞ３０，４０の配列数
は、必ずしも同数とする必要はなく、軌道台と軸
受との運動方向に対応する負荷の大きさが異なる
場合は、たとえば矢先方向が正方向の運動方向と
一致するみぞの配列数を、矢先方向が逆方向の運
動方向と一致するみぞの配列数よりも多くして、
それぞれの運動条件に適切な配列数とすることが
できる。

また、前記各実施例では、ケース１５とすべり
軸受部材１９とが別体となつているが、ケース１
５とすべり軸受部材１９とを同一材質で一体成形
することもできる。

第４図は、この発明の軸受装置の潤滑を、潤滑
油を用いて行なう場合の実施例を、第１図の軸受
装置について示したものである。軸受２０が組込
まれたケース１５の両側端面には、潤滑油を含浸
させた多孔性部材５１を接着して取り付け、該多
孔性部材５１を軌道台１０のリニアー外面１１に
接触させて、潤滑剤溜り部５０を構成する。多孔
性部材５１としては、吸油性にすぐれた素材をフ
エルト状、あるいはスポンジ状にして成形したも
のを使用する。

このように、軸受２０の両側端部に潤滑剤溜り
部５０を設けると、軸受２０が軸方向に往復直線
運動した場合、多孔性部材５１に含浸させてある
潤滑油が、軌道台１０のリニアー外面１１に適度
に付着して潤滑が行なわれる。軸受２０の往復直
線運動に伴つて軌道台１０上の潤滑油の付着量が
減少しても、多孔性部材５１に含まれている潤滑
油が、毛細管作用によつて軌道台１０側に滲出し
てくるから、常に適切な油量が保たれた状態で潤
滑を行なうことができる。また、この多孔性部材
５１により軸受２０の両側端部と軌道台１０との
間が密封された状態となるため、軌道台１０に塵
埃その他の異物が付着した場合でも、軸受２０内
部への侵入を防止することができる。

第５図は、潤滑剤溜り部５０の他の実施例を、
第３図の軸受装置について示したものである。

軸受２０のリニアー内面２１の運動方向の中央
部に、適宜の軸方向幅の凹部１７を軸方向と直角
方向に形成し、この凹部１７に、潤滑油を含浸さ
せた多孔性部材５１を嵌入し、この多孔性部材５
１を軌道台１０のリニアー外面１１に接触させて
ある。この実施例によると、多孔性部材５１が軸
受２０の内部に密閉された状態となるから、多量
の潤滑油を含浸させることができ、潤滑油の蒸発
による消耗を防止することが可能となる。また、
必要に応じケース１５に給油孔を設けて、潤滑油
を補給することもできる。

この実施例の多孔性部材５１には、潤滑油に限
らず、低粘度のグリースを含浸させることもでき
る。また、多孔性部材５１を省略して、凹部１７
にグリースを充填することもできる。

また、この実施例の凹部１７は、軸受２０の運
動方向の両側端部に形成してもよい。

上記の第４図および第５図の実施例のように、
軸受の運動方向の両側端部、もしくは中間部に潤
滑剤溜り部を設けて、潤滑剤溜り部に内蔵した潤
滑油もしくはグリース等の潤滑剤を軌道台のすべ
り面に接触させる構成にすると、軸受もしくは軌
道台の往復直線運動に伴つて常時適量の潤滑剤が
軌道台のすべり面に付着することになる。このた
め、軸受と軌道台とのストローク長の両側端部か
ら漏出する潤滑油もしくはグリースの量を最小限
度に抑制することができ、潤滑油切れやグリース
切れを起すことがなくなるから、単に、軌道台や
軸受のすべり面に潤滑油やグリースを塗布して使
用する場合に比べて、長時間に亘り潤滑剤を補給
せずに使用することが可能となる。さらに、潤滑
油やグリースの漏出が殆んどなくなることから、
軸受装置周辺の機材の汚染を防止することが併せ
て可能となる。

第６図はこの発明の他の実施例であるが、軌道
台１０に設けたリニアー外面１１は運動方向と直
角な断面が円弧状に形成され、また軸受２０に設
けたルニアー内面２１はリニアー外面１１に対応
する形状になつている。そして、リヌアー内面２
１には前記第２図に示すような動圧発生用のみぞ
が設けられており、軌道台１０と軸受２０との何
れか一方がすべり面を介して軸方向に往復直線運
動する。

第７図はこの発明の他の実施例であるが、軌道
台１０に設けたリニアー外面１１は平面状になつ
ており、また軸受２０に設けたリニアー内面２１
は平面状になつている。前記リニアー内面２１に
は第８図に示すように十字状の動圧発生用のみぞ
３０，４０が設けられ、軌道台１０と軸受２０と
の何れか一方は第７図に示すＣ方向とＤ方向とに
往復直線運動することが可能であり、またＥ方向
とＦ方向とに往復直線運動することも可能であ
る。

なお、リニアー内面２１とリニアー外面１１と
の少なくとも一方に、矢先方向が上記Ｃ，Ｄ；
Ｅ，Ｆ方向以外の他の方向になつている動圧発生
用のみぞを加えると、軌道台１０と軸受２０との
何れか一方が他の方向に往復直線運動することも
可能であり、多くの方向に往復直線運動するよう
にすることもできる。

以上、説明したところから明らかなように、こ
の発明は、正逆両方向の直線運動が可能な軌道台
と軸受とのすべり面が平面状、もしくは運動方向
と直角な断面が円弧状に形成された動圧形すべり
軸受装置において、前記すべり面の少なくとも一
方に、矢先方向が軌道台と軸受の一方向の直線運
動方向と一致する矢じり状のみぞと、これと反対
の直線運動方向に矢先方向が一致する矢じり状の
みぞとを、それぞれ設ける構成としている。した
がつて、この発明によれば、軌道台と軸受との一
方が正逆何れの方向に直線運動した場合でも、軌
道台と軸受とのすべり面で動圧を発生させること
が可能となり、正逆両方向の直線運動が可能な動
圧形すべり軸受装置が得られる。

また、この発明によれば、矢先方向が一方の運
動方向に一致するみぞと他方の運動方向に一致す
るみぞとは、いずれも軸方向の二ケ所以上で、か
つ軸方向と直角方向の二ケ所以上に配列してある
ので、軌道台と軸受とのいずれか一方は他方に対
して、軸方向の二ケ所以上および軸方向と直角方
向の二ケ所以上で支持され、安定した直線運動を
することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この発明の実施例を示し、同図ａは
一部正面図、同図ｂは側面図、第２図ａ，ｂ，ｃ
は、それぞれ軸受のリニアー内面における動圧発
生用のみぞの形状と配置図、第３図は、この発明
の他の実施例を示し、同図ａは一部正面図、同図
ｂは側面図、第４図は、軸受が潤滑剤を内蔵する
軸受装置の実施例を示し、同図ａは一部正面図、
同図ｂは側面図、第５図は、軸受が潤滑剤を内蔵
する軸受装置の他の実施例を示し、同図ａは一部
正面図、同図ｂは同図ａのＸ−Ｘ線断面図、第６
図はこの発明の他の実施例を示し、同図ａは一部
正面図、同図ｂは側面図、第７図はこの発明の他
の実施例を示す斜視図、第８図は第７図に示す軸
受のリニアー内面の拡大図である。図中、１０は軌道台、１１は軌道台のリニアー
外面（すべり面）、２０は軸受、２１は軸受のリ
ニアー内面（すべり面）、３０，４０は動圧発生
用のみぞである。

Claims

【特許請求の範囲】１軌道台に設けたすべり面が軸受に設けたすべ
り面に対向し、軌道台と軸受との何れか一方がす
べり面を介して正逆両方向の直線運動が可能であ
り、前記すべり面は平面状、もしくは運動方向と
直角な断面が円弧状に形成され、前記すべり面の
少なくとも一方に、矢じり状の動圧発生用のみぞ
が形成され、該動圧発生用のみぞは、矢先方向が
軌道台もしくは軸受の一方の運動方向に一致する
みぞと、矢先方向が他方の運動方向に一致するみ
ぞとを、それぞれ備え、矢先方向が一方の運動方
向に一致するみぞと他方の運動方向に一致するみ
ぞとは、いずれも軸方向の二ケ所以上に配列され
ると共に、軸方向と直角方向の二ケ所以上に配列
されていることを特徴とする動圧形すべり軸受装
置。２軸受の運動方向の両側端部もしくは中間部
に、多孔性部材を介在させるか、あるいは介在さ
せずに潤滑剤を内蔵した潤滑剤溜り部が設けてあ
る特許請求の範囲第１項に記載の動圧形すべり軸
受装置。