JPH0331215B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の技術分野〕 本発明は赤血球、白血球等の測定を行う血球計
数装置に関するものである。

〔発明の技術的背景〕

血球を計数する装置は例えば希釈血液を細い管
に流し、途中に設けた一対の電極により血球の通
過に際して変わる静電容量のパルス状の変化を検
出し、これを計数したり、或いは細い流路を流れ
る希釈血液流に対して光を当て血球の反射光を検
知してそれを計数するなどして血液中の血球数を
測定する。

ところで、このような装置では血液の流量が測
定精度に大きく影響を与えることになるので、従
来、流量を一定に保つためのポンプとして第１図
に示すようにＵ字管Ｐに水銀Hgを入れ、Ｕ字管
Ｐの一端には正圧を得るためのエアポンプAPを
逆止弁Ｖ１を介して接続すると共に他端は逆止弁
Ｖ２を介して血球検出を行う検出部Ｄを接続した
構成を用いている。前記逆止弁Ｖ１は大気中に連
通する弁を持ち、エアポンプAPよりＵ字管Ｐに
正圧を与えるときは弁を閉じ、またＵ字管Ｐ側か
らの圧力には弁を開いて内圧を大気中に放出す
る。

このような装置によりまずエアポンプAPを駆
動させてＵ字管Ｐに空気を送るとこの空気圧によ
りＵ字管Ｐ内の水銀Hgは他端側へと押されてｈ
なる落差を作る。

もちろんＵ字管Ｐの他端側には前記逆止弁Ｖ２
の他にＵ字管Ｐの他端側正圧力を外部に放出する
ための逆止弁Ｖ３が設けられており、従つて、エ
アポンプAPによりＵ字管Ｐ内の水銀Hgは容易に
他端側への移動されることになる。

このようにして落差が形成され、次にエアポン
プAPの送風を停止させるとＵ字管Ｐ内の水銀Hg
は落差ｈがなくなるように管内を移動する。この
移動量はＵ字管Ｐの内径が等しいものであれば
ｈ／２の移動距離となり、この分、Ｕ字管Ｐの他端
側が負圧となるので、検出部Ｄに希釈血液試料を
供給する管路を接続しておき、Ｕ字管Ｐに生じた
負圧を利用して前記試料を吸引すれば水銀Hgの
落差に比例した流量だけ試料を検出部Ｄに流すこ
とができる。しかも、水銀Hgの位置エネルギに
よる管内移動を利用するため、試料の吸引による
流速は一定となる。また、流量はＵ字管Ｐの途中
に電極を設け、水銀スイツチの原理で流量を知
り、測定値に対して流量に応じた補正計算を施こ
し最終的な測定結果を得ていた。

即ち、血球計数装置では管路に血液による詰り
が生ずるが水銀による落差を利用したポンプでは
詰りによる流路抵抗を補うだけの吸引力は得られ
ないので流量が変化することになり、一方、測定
は血流に対し所定時間計数を行つて測定値を得る
ので、詰りによる流量変化の先ずる分、誤差とな
つて表われることから流量に応じた補正計算を施
こして真値を得るようにする。

従つて、測定の都度、かかる補正を施こす必要
があり、また、水銀による方式では装置が大形化
してしまう他、流量を時々調べて補正値を得るよ
うな場合には途中での詰り具合の変化に対応でき
ないと云う欠点があつた。

〔発明の目的〕

本発明は上記事情に鑑みて成されたもので、エ
アポンプ等の付属設備が不要で、小形化が図れ、
しかも、常に一定流量が得られて高精度の測定が
行える血球計数装置を提供することを目的とす
る。

〔発明の概要〕

即ち、本発明は上記目的を達成するため、血液
試料を検出部に流し、この検出部にて血球を検出
して計数する血球計数装置において、与えられる
速度基準に対応した回転速度で回転するモータに
より駆動され前記血液試料を検出部に吸引するポ
ンプと、前記モータの回転速度を検出する装置
と、前記検出部の計数出力を基準値と比較しその
差出力を発生する比較装置と、較正時、この差出
力を受けこの差出力を減少させる補正値を発生し
て前記モータに与える速度基準を補正すると共に
差出力が無くなつたとき、前記モータの検出回転
速度を保持し新たな速度基準とする装置とより構
成し、較正時にスタンダードの血液試料を用いて
計数を行い、その計数出力を基準値と比較し、こ
の比較による差出力が無くなるように速度基準を
調整して、該差出力が無くなつたときのモータの
回転速度を保持してこれを新たな速度基準として
用いるようにし、変化する血液試料の流路状況に
応じたポンプ吸引力を得て血液試料の流量を一定
に保つことができるようにして正確な血球計数を
可能とすると共にモータにより駆動されるポンプ
を用いたことにより、ポンプ系を小形軽量にする
ものである。

〔発明の実施例〕

以下、本発明の一実施例について第２図、第３
図を参照しながら説明する。

第２図は本装置におけるポンプを含む機構系部
分の構成を示す図であり、図中１は垂直に設けら
れた基部であり、２はこの基部１に保持具１ａを
介して取り付けられたシリンジである。このシリ
ンジ２は吸排口２ａ側を上方向にして取り付けら
れ、この吸排口２ａには三ツ又の管路を持つ逆止
弁３がその一つの管路３ａをもつて接続されてい
る。この逆止弁３の残り二つの管路３ｂ，３ｃは
その一方３ｂがシリンジ２の排出作用時逆止状態
となり、また他方の管路３ｃは吸引時逆止状態と
なる。そして、逆止弁３の管路３ｂは管路４ａを
介して血球等の検出を行う検出部５に接続され、
検出部５は管路４ｂを介して試料供給側へと接続
されている。

また、基部１にはシリンジ２の軸方向に沿うよ
うに軸線を向けてリードスクリユー６が設けら
れ、このリードスクリユー６の一端側にはこのリ
ードスクリユー６を回転させるためのサーボモー
タ７が取り付けてある。また、サーボモータ７に
はその回転数を検出するためのタコジユネレータ
８が設けられている。

また、リードスクリユー６にはこのリードスク
リユー６に噛合され、リードスクリユー６の回転
によつてその軸方向に移動する移動体９が取り付
けられ、この移動体９にはシリンジ２のピストン
部２ｂの下端に係合して移動体９の移動によりピ
ストン部２ｂをシリンジ２に対し挿抜操作し、シ
リンジ２をポンプとして機能させるための係合片
９ａが設けてある。

第３図は本装置の回路系部分の構成を示すブロ
ツク図である。図中７は前述のサーボモータ、８
はタコジエネレータである。また、５は前述の検
出部である。この検出部５は血球を検出する検出
器とその検出出力を所定時間レートで計数する測
定カウンタよりなる。

３１は予め設定された基準値が入力されこの基
準値を基準に前記検出部５の測定カウンタのカウ
ント値を比較し、その差の値を出力する比較器、
３２は速度基準値を発生させるためのプリセツト
可能な可逆カウンタ、３３はこの可逆カウンタ３
２の計数値出力をアナログ信号に変換するＤ／Ａ
変換器、３４はこのＤ／Ａ変換器３３の出力とタ
コジエネレータ８の出力を加算する加算回路、３
５はこの加算回路３４の出力を増幅する増幅器、
３６はタコジエネレータ８の出力を回転速度のデ
イジタル値に変換するエンコーダ、３７は計算機
で、初期時は予め設定された速度基準値を可逆カ
ウンタ３２にセツトし、また検出部５の測定カウ
ンタ出力と前記比較器３１の出力及びエンコーダ
３６の出力を受け、較正時には比較器３１の出力
する偏差に応じこれを減少させるべく可逆カウン
タ３２に補正出力を与えて計数値を補正すると共
に比較器３１の出力の偏差が零となるときのサー
ボモータ７の回転数をエンコーダ３６の出力より
得てこれを記憶し、以後、次の較正時までこの回
転数（回転速度）を維持させるようにこの記憶値
を可逆カウンタ３２にプリセツトすると共に記憶
回転速度にサーボモータ７の回転速度を維持した
場合におけるスタンダード試料のカウント値に基
づき、測定試料のカウント値に対して正しい血球
値となるに必要な補正を加えて真値を得る機能を
有する。

このような構成の本装置はサーボモータ７を回
転させてリードスクリユー６を回転駆動させるこ
とにより移動体９を上下移動させ、これによりピ
ストン部２ｂをシリンジ２に挿抜操作させてシリ
ンジ２を吸排動作させる。シリンジ２には逆止弁
３が設けられており、シリンジ２の吸引時には一
方の経路３ｂを介して検出部５側より吸引を行
い、また排出時には他方の経路３ｃを介してシリ
ンダ内の吸引物が外部に排出される。

従つてサーボモータ７の回転方向、回転速度に
よりシリンジ２の吸排力が制御でき、また移動体
９の移動範囲を設定しておくことにより吸排量を
一定に保つことができる。

これにより本装置では検出部５に流れる希釈血
液試料の流速を制御できることになる。

本発明装置においては、測定をはじめるに当つ
てまず血球密度の明らかな基準となるスタンダー
ド試料について計数する。即ち、スタンダード試
料を検出部５に与え、同時に予め適宜に設定され
た基準値を比較器３１に与える。一方、計算機３
７は予め設定された初期時の速度基準値を出力し
て可逆カウンタ３２に与えこれをプリセツトす
る。

従つて、このプリセツト値がＤ／Ａ変換器３３
によりアナログ値に変換され、増幅器３５で増幅
された後、速度基準としてサーボモータ７に与え
られる。これにより、サーボモータ７は該速度基
準に対応する速度まで加速されてゆく。

初期状態では検出部５からの測定出力がないた
め、比較器３１は入力された基準値をそのまま出
力することになるため、これを受ける計算機３７
は比較器３１の差出力を抑える必要な比較器３１
の出力に対応する補正値を発生して可逆カウンタ
３２に与える。そのため、可逆カウンタ３２はこ
の与えられた補正値分、可逆計数して内容を補正
する。

これによりサーボモータ７はこの補正後の可逆
カウンタ３２の計数値を基準とする回転速度に制
御される。

そのため、サーボモータ７によりピストン部２
ｂの送り操作が成されるシリンジ２の吸引状態が
サーボモータ７の回転数に対応したものとなり、
このシリンジ２によつて吸引され、検出部５に流
れるスタンダード試料の流速が変わる。

このようにして比較器３１に与えられる基準値
を基準として検出部５の測定出力を比較し、その
差に応じた補正値を計算機３７より発生させて可
逆カウンタ３２の内容を補正し、この補正後の可
逆カウンタ３２の内容に対応した速度でサーボモ
ータ７を速度制御してゆく。

すると比較器３１の出力は零へと近づいてゆ
く。そして、比較器３１の出力が零に達すると計
算機３７はこれを受けてエンコーダ３６の出力を
取り込み記憶する。

エンコーダ３６はサーボモータ７の回転速度に
対応した出力を発生するタコジエネレータ８の出
力を回転速度値の情報に変換して出力するもので
あるから、計算機３７は比較器３１の出力が零に
達したときのサーボモータの回転速度を記憶した
ことになる。

比較器３１の出力が零となることは最適な流量
状態におけるスタンダード試料の所定時間レート
毎の計数値（即ち、基準値）にスタンダード試料
の検出部５における前記所定時間レート毎の測定
値が一致したことを意味し最適な測定状態となる
サーボモータ７の回転数（即ち、シリンジ２の試
料に対する最適状態の吸引力）が検知されたこと
になる。

従つて、次の較正までの期間、計算機３７によ
りその記憶回転速度を可逆カウンタ３２にプリセ
ツトしてこれを速度基準とすることにより、試料
の流路状態に見合う最適な吸引力で試料を吸引
し、検出部５に一定流量の試料を流すことができ
る。

血液試料の場合は測定を続けてゆくと血液の凝
固などにより、試料の流路が次第に狭ばめられ、
特に検出部５において流路が変化することは測定
値そのものの誤差につながるので、一定時間毎に
上述の較正作業を行つて、現在の試料の流路の状
況に合わせた最適なシリンジ吸引力を得て検出部
５を流れる試料の流量が一定となるように較正す
る。

尚、加算器３４にタコジエネレータ８の出力を
与える回路は速度基準に対するサーボモータ７の
速度偏差を是正するためのフイードバツク系とし
て働き、サーボモータ７が常に速度基準に対応し
た回転速度となるように保つ。

この結果、本装置は定期的にスタンダード試料
を用いて較正を行うことで、自動的に一定流量が
得られるようにサーボモータの回転速度が設定さ
れ、常に正確な血球測定が行えるようになる。ま
た、シリンジにより、試料の吸引を行うため、ポ
ンプ系は従来のような大がかりなものとならず、
小形軽量化が図れる。

〔発明の効果〕 以上詳述したように本発明は、血液試料を検出
部に流し、この検出部にて血球を検出し計数する
血球計数装置において、与えられる速度基準に対
応した回転速度で回転するモータにより駆動され
前記血液試料を検出部に吸引するポンプと、前記
モータの回転速度を検出する装置と、前記検出部
の計数出力を基準値と比較し、その差出力を発生
する比較装置と、較正時、この差出力を受けてこ
の差出力を減少させる補正値を発生して前記モー
タに与える速度基準を補正すると共に差出力が無
くなつたとき前記モータの検出回転速度を読み込
み新たな速度基準として設定する装置とより構成
し、較正時にスタンダードの血液試料を用いてそ
の計数出力を基準値と比較し、この比較による差
出力が無くなるように速度基準を調整して該差出
力が無くなつたときのモータの回転速度を保持し
てこれを新たな速度基準とするようにしたので、
血液試料の流路の状況に応じて検出部における血
液試料の流量が一定になるようなポンプ吸引力を
得ることができ、従つて定期的に上記較正を行う
ことにより、該流路の状況に合わせて常に一定流
速が得られるようにポンプの制御を行うことがで
き、従つて血球計数を高精度で行うことができ、
しかもモータにより吸引力を得るポンプを用いた
ことで従来の水銀を満たしたＵ字管によるポンプ
に比べ装置を小形且つ軽量化することができるな
ど、優れた特徴を有する血球計数装置を提供する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来装置の構成を示す図、第２図は本
発明装置の機構部の構成を示す図、第３図は本発
明装置の回路系の構成を示す図である。 １……基部、２……シリンジ、２ｂ……ピスト
ン部、４ａ，４ｂ……管路、５……検出部、６…
…リードスクリユー、７……サーボモータ、８…
…タコジエネレータ、９……移動体、３１……比
較器、３２……可逆カウンタ、３３……Ｄ／Ａ変
換器、３６……エンコーダ、３７……計算機。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 血液試料を検出部に流し、この検出部にて血
   球を検出して計数する血球計数装置において、与
   えられる速度基準に対応した回転速度で回転する
   モータにより駆動され、前記血液試料を検出部に
   吸引するポンプと、前記モータの回転速度を検出
   する装置と、前記検出部の計数出力を基準値と比
   較し、その差出力を発生する比較装置と、較正
   時、この差出力を受け、この差出力を減少させる
   補正値を発生して前記モータに与える速度基準を
   補正すると共に差出力が無くなつたとき前記モー
   タの検出回転速度を保持し、新たな速度基準とす
   る装置とより構成し、較正時にスタンダードの血
   液試料を用いて計数を行い、その計数値の基準値
   に対する差出力を用いてモータの基準速度を較正
   することを特徴とする血球計数装置。