JPH0330623Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は燃料噴射ポンプに関する。

〔従来の技術〕 従来の燃料噴射ポンプを第４図に示す。図にお
いて、１はカム、２はローラ、３はプランジヤ、
４はプランジヤばね、５はプランジヤバレル、６
は吐出弁弁座、７は吐出弁、８は吐出弁ばね、９
は吐出弁ホルダ、１０は燃料ポンプ本体、１１は
コントロールラツク、１２はピニオン歯車で、コ
ントロールラツク１１を移動させてピニオン歯車
１２と連結されたプランジヤ３を回転させるよう
になつている。また、１３はプランジヤリード、
１４は縦みぞ、１５は給排油孔、１６は給油室
で、同給油室１６には図示しないフイードポンプ
により燃料が供給されるようになつている。１７
はプランジヤ室、１８は吐出弁室で、プランジヤ
３はカム１の回転により上昇する。このとき、給
油室１６及びプランジヤ室１７には燃料油が充満
しているので、プランジヤ３が上昇して、給排油
孔１５がプランジヤ３の頂部で閉じられると、プ
ランジヤ室１７の油が圧縮されて圧力が上り、吐
出弁７が吐出弁ばね８に抗して押し開かれ、燃料
油が吐出弁ホルダ９内の燃料通路を経て燃料弁
（図示せず）に導かれて、機関のシリンダ内に噴
射される。また、プランジヤ３がさらに上昇して
プランジヤリード１３が給排油孔１５の下縁にか
かると、プランジヤ室１７と給排油室１６とが連
通して、圧力が下がりプランジヤ室１７からの吐
出が完了して燃料弁からの吐出も終る。噴射量の
増減はプランジヤ３を回動させてプランジヤリー
ド１３と給排油孔１５の相対位置を変えて行う。
なお、プランジヤ３は噴射が終つても上昇する
が、プランジヤ３による圧縮はなく、その後カム
１により下降し、プランジヤ３の頂部が給排油孔
１５よりも下がると、給油が行われて次のサイク
ルが開始される。

〔考案が解決しようとする問題点〕

上記のものには次の欠点がある。

燃料噴射圧力はプランジヤの上昇速度（カムの
回転速度）が速い程高くなる。従つて、機関の回
転数が低くなると、プランジヤの上昇速度も遅く
なり、燃料噴射圧力は低下し、良好な燃焼は得ら
れない。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案の目的は上記の点に着目し、機関の回転
速度に関係なく燃料噴射ポンププランジヤ上昇速
度を一定にし、常に高圧の燃料油を噴射弁より吐
出し、良好な燃焼を得ることのできる燃料噴射ポ
ンプを提供することであり、その特徴とするとこ
ろは、上下動自在のプランジヤと、プランジヤに
連結されるとともにバネにより下方へ付勢される
作動ピストンと、ソレノイドの通電により作動ピ
ストン室へ開口する作動油給排路と低圧／高圧ポ
ートとの連通を切換える制御弁とを有し、作動ピ
ストン室へ高圧の作動油を供給しバネに抗して作
動ピストンを上動させることにより、プランジヤ
室内の燃料油を圧縮し、吐出弁より噴射させる燃
料噴射ポンプにおいて、前記バネが設けられてい
るバネ室と前記作動ピストン室とを仕切るピスト
ンリードを前記作動ピストンの外周に形成し、前
記バネ室に開口して定圧ポートに連通する排油路
を設け、作動油給排路の開口位置よりも下方で作
動ピストン室へ開口する逆止弁を作動油給排路と
並列に設けたことである。

〔作用〕

この場合は、適当な時期に方向切換弁を動かす
だけで、その位置に保持され、その間プランジヤ
は上昇し燃料を噴射する。燃料噴射が終るとほぼ
同時に方向切換弁は自動的に逆方向に移動し、プ
ランジヤも下降し初期状態に戻り、一連のサイク
ルを繰り返す。よつてプランジヤスピードは作動
油開口面積と作動油圧力により決まるので、これ
らが一定であれば低回転でもプランジヤ上昇速度
は低下することがない。

〔実施例〕

以下図面を参照して本考案による実施例につき
説明する。

第１図は本考案による１実施例の燃料噴射ポン
プの初期状態を示す断面図、第２図は高圧燃料油
を圧送中の状態を示す断面図、第３図はプランジ
ヤが上死点にある状態を示す断面図である。

第１図において、１０３は送油プランジヤ、１
０４はピストン戻しばね、１０６は吐出弁弁座、
１０７は吐出弁、１０８は吐出弁ばね、１０９は
吐出弁ホルダ、１１０は燃料ポンプ本体、１１２
はプランジヤ頂部、１１３はプランジヤリード、
１１４は縦みぞ、１１５は給排油口で、同給排油
口１１５には図示しないフイードポンプにより燃
料油が供給される。１１７はプランジヤ室、１１
８は吐出弁室である。送油プランジヤ１０３は作
動ピストン２０１に係着されている。２０４は縦
みぞ、２０２はピストンリード下縁、２０３はピ
ストンリード上縁である。２０５は調節軸、２０
６は作動油給排路、２０７はスプール戻し油路、
２０８は戻しばね室、２０９は作動ピストン室、
３０１は方向切換弁のスプール、３０２はソレノ
イド、３０３はスプール戻しばね、３０４（第２
図）はスプール作動油室、３０５はスプール戻し
油室、３０６は高圧ポート、３０７は低圧ポート
である。

２１０でスプール戻し油口、２１１は排油路、
２１２は逆止弁ポート、２１３は逆止弁ばね、２
１４は逆止弁である。

上記構成の場合の作用について述べる。

第１図は本考案によるポンプの初期状態を示
す。従来の燃料噴射ポンプの噴射タイミングと同
様にクランク軸が設定された回転位置に来ると、
ソレノイド３０２に通電されスプール３０１は、
スプール戻しばね３０３及びスプール戻し油室３
０５の圧力に抗して、上方に移動し作動油出入口
２０６と低圧ポート３０７との接続が閉じられ
る。これとほぼ同時に高圧ポート３０６の高圧作
動油は逆止弁２１４に作用し、逆止弁ばね２１
３、逆止弁ばね室２１５の圧力に抗して逆止弁が
開口する。よつて、高圧ポート３０６の高圧作動
油は作動ピストン室２０９に流入し、圧力が上昇
する。作動ピストン室２０９の圧力は縦みぞ２０
４を通じてピストンリード下面２０２に作用す
る。ピストンリード下面２０２は作動ピストン２
０１の外周に連続してあるので、作動ピストン室
２０９の気密は保たれている。よつて作動ピスト
ン室２０９の圧力はさらに上昇し、作動ピストン
２０１はピストン戻しばね１０４、戻しばね室２
０８圧力、プランジヤ室１１７圧力に抗して送油
プランジヤ１０３と共に上方に動く（第２図参
照）。なお、本実施例ではスプール３０１が作動
してから作動ピストン２０１が作動するように、
スプール戻しばね３０３よりピストン戻しばね１
０４を弱く設計してある。なお、スプール３０１
はソレノイド３０２の通電が終つてもスプール作
動油室３０４とスプール戻し油圧室３０５との圧
力差によつて、そのままの状態で保持される。送
油プランジヤ１０３が上昇し、給排油口１１５を
プランジヤ頂部１１２が閉じると、プランジヤ室
１１７には燃料油が充満しているので、プランジ
ヤ室１１７の油が圧縮されて圧力が上がり、吐出
弁１０７は吐出弁ばね１０８及び吐出弁室１１８
圧力に抗して押し開かれ燃料油が吐出弁ホルダ１
０９内の燃料通路を経て燃料弁（図示せず）へ導
かれて機関のシリンダ内へ噴射される。さらにプ
ランジヤ１０３が上昇してプランジヤリード１１
３が給排油孔１１５の下縁にかかると（第３図参
照）、プランジヤ室１１７と給排油孔１１５が縦
みぞ１１４を通じ連通して圧力が下がり、吐出弁
１０７の閉鎖とともにプランジヤからの吐出が完
了して、燃料弁からの噴射も終る。これとほぼ同
時にピストンリード下面２０２がスプール戻し油
路２０７の下縁にかかり、作動ピストン室２０９
とスプール戻し油室３０５が連通して同圧力とな
るとともにピストンリード上面２０３が排油路２
１１開口部の下縁にかかる。この時点ではスプー
ル３０１はスプール戻しばね３０３力も加わつて
下方に動き、作動ピストン室２０９と低圧ポート
３０７は連通するので、作動油圧力による作動ピ
ストン２０１の上昇力はないが、慣性力により作
動ピストン２０１はさらに上昇して、排油孔２１
１はピストンリード２０２で閉鎖する。よつて、
戻しばね室２０８は密閉されるので、それ以上作
動ピストン２０１が上昇すると戻しばね室２０８
の圧力も高くなり、作動ピストン２０１の上昇は
制動される。作動ピストン２０１の上昇が停止す
ると、作動ピストン室２０９は低圧ポート３０７
に連通しているので、作動ピストン２０１及びこ
れに係着されている送油プランジヤ１０３は戻し
ばね１０４の力で下方に戻る。この時、作動ピス
トン室２０９の逃し作動油は作動油給排路２０６
を通り低圧ポート３０７に逃げる。さらに作動ピ
ストン２０１が下降し、作動ピストン外周２１６
で作動油出入口を閉じると、逆止弁２１４及び逆
止弁ばね２１３により逆止弁ポート２１２も閉じ
ているので、作動ピストン室２０９は密閉され
る。さらに、作動ピストン２０１が下降すると作
動ピストン室２０９内圧力は高くなり、作動ピス
トン２０１の下降は制動され停止する。

噴射量の増減は調節軸２０５を回転することに
より、これと連続している作動ピストン２０１及
びプランジヤ１０３を回動し、プランジヤリード
１１３と給排油孔１１５、ピストンリード２０２
とスプール戻し油路２０７及びピストンリード２
０３と排油路２１１の相対位置を変えて行う。な
お、本実施例では全ての増減域でわずかではある
がプランジヤリード１１３の方がピストンリード
２０２よりも早く作用するように設計している。
以下機関回転に同期して上記作用を繰返す。

〔考案の効果〕

上述の場合には次の効果がある。

(1) 上記のように適当な噴射時期に方向切換弁を
短時間一方向に動かすだけで、方向切換弁はそ
の位置に保持され、その間プランジヤは上昇し
燃料を噴射する。燃料噴射が終るとほぼ同時に
方向切換弁は自動的に逆方向に移動し、プラン
ジヤも下降し初期状態に戻り、一連のサイクル
を繰り返す。よつてプランジヤスピードは作動
油開口面積と作動油圧力により決まるので、こ
れが一定であれば低回転でもプランジヤ上昇速
度は低下することなく、高圧の燃料噴射を行な
い良好な燃焼が得られる。

(2) 作動ピストン上昇時、同作動ピストンが逃げ
油口を閉じることにより、作動ピストンを制動
させる液圧が生じる。よつて、金属間衝突によ
る装置の損傷を防止できる。

(3) 作動ピストン下降時、同作動ピストンが逃げ
油口を及び逆止弁が別の逃げ油路を閉じること
により、作動ピストンを制動させる液圧が生じ
る。よつて、金属間衝突による装置の損傷を防
止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案による１実施例の燃料噴射ポン
プの初期状態を示す断面図、第２図は高圧燃料油
の圧送中の状態を示す断面図、第３図はプランジ
ヤが上死点にある状態を示す断面図、第４図は従
来の燃料噴射ポンプを示す断面図である。 １０３……送油プランジヤ、１１３……プラン
ジヤリード、２０１……作動ピストン、２０２，
２０３……ピストンリード、２０６……作動油給
排路、２０８……戻しばね室、２０９……作動ピ
ストン室、２１１……排油路、３０１……スプー
ル、３０２……ソレノイド。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 上下動自在の送油プランジヤ１０３と、送油プ
   ランジヤ１０３に連結されるとともにピストン戻
   しばね１０４により下方へ付勢される作動ピスト
   ン２０１と、ソレノイド３０２の通電により作動
   ピストン室２０９へ開口する作動油給排路２０６
   と低圧ポート３０７、高圧ポート３０６のいづれ
   か一方との連通を切換えるスプール３０１とを有
   し、作動ピストン室２０９へ高圧の作動油を供給
   しピストン戻しばね１０４に抗して作動ピストン
   ２０１を上動させることにより、プランジヤ室１
   １７内の燃料油を圧縮し、吐出弁１０７より噴射
   させる燃料噴射ポンプにおいて、前記ピストン戻
   しばね１０４が設けられている戻しばね室２０８
   と前記作動ピストン室２０９とを仕切るピストン
   リードを前記作動ピストン２０１の外周に形成
   し、前記戻しばね室２０８に開口して低圧ポート
   ３０７に連通する排油路２１１を設け、作動油給
   排路２０６の開口位置よりも下方で作動ピストン
   室２０９へ開口する逆止弁２１４を作動油給排路
   ２０６と並列に設けたことを特徴とする燃料噴射
   ポンプ。