JPH0329882Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

この考案は内部発生ガスの排出機能を有すると
とともに耐漏液性の向上を図つたアルカリ電池に
関する。 アルカリ一次電池は放電中あるいは貯蔵中に微
少ながらガス発生があることが知られている。 この場合普通程度のガス発生では電池自身は勿
論電池使用機器に対し何ら問題ないが、例えば急
放電したり、電池をシヨートさせたりあるいは機
器への挿填ミスによる充電などにより異常なガス
発生があると、最悪の場合電池に破裂事故を招く
おそれがある。 このためこの種の電池には防爆弁を有する絶縁
ガスケツトを用い、さらに電池外部へのガス排出
を容易にするため陰極封口板に透孔を設けるなど
したものがある。ところが、このようにすると透
孔より電池内部に水分や酸素が供給され易くなる
ためクリープを促進する結果になつてしまう。 しかして、従来このような不都合を除去した電
池として第１図に示すように中心部に陰極剤３を
充填するとともにその周囲にセパレータ４を介し
て陽極合剤２を充填した筒状の陽極金属缶１内の
開口部近傍に突出座１ａを形成し、この突出座１
ａに上記陰極剤３より導出される集電棒６を挿着
した絶縁ガスケツト５を支持し、このガスケツト
５の内側円筒部５１および外側円筒部５２の間の
段部に金属支持体７を介挿し、この支持体７上に
周縁に排気孔８ａを有する陰極封口板８を載置
し、この状態で金属缶１の開口部を内方に折曲げ
締付けるとともにガスケツト５の折返し部にて封
口板８の排気孔８ａを塞ぐようにし、もつて電池
を完成したものがある。なお、図で７ａは透孔、
５３は防爆弁としての薄肉部である。 ところが、このものは封口板８の排気孔８ａを
ガスケツト５にて塞ぐようになるため孔８ａの閉
塞が完全であるとガスの排出が悪化し破裂事故を
招き易く、逆に閉塞が不完全だと漏液の原因にな
るなど依然として安定したガス排出が得られない
欠点があつた。 この考案は上記欠点を除去するためなされたも
ので、封口板の周縁に沿つて隆起状鍔部を形成す
るとともにこの鍔部のガスケツトに覆われること
のない部分にガス排出孔を設けることにより所定
圧力以上の内部発生ガスを速みやかに外部に放出
することができ、しかも常時は良好な耐漏液性を
得られるアルカリ電池を提供することを目的とす
る。 以下、この発明の一実施例を図面に従い説明す
る。 第２図において、１１は筒状の陽極金属缶で、
この金属缶１１は内厚0.2〜0.4mmのニツケルメツ
キ鋼板、ステンレス、ニツケル又はステンレス鋼
板のクラツト板あるいは鋼板を絞り加工し、外径
寸法13.1mm、高さ寸法43mmの大きさに形成してい
る。この場合金属缶１１は開口端の径を外径寸法
13.6mm程度に拡げてある。また金属缶１１の開口
部近傍の内周面に沿つて環状の突出座１１ａを形
成している。 金属缶１１内には発電要素を充填している。す
なわち、この場合金属缶１１の中心部にはアルカ
リ電極液とゲル化剤粉末および亜鉛粉末を混合し
たゲル状亜鉛の陰極剤１２を充填し、この陰極剤
１２の周りにビニロン、ポリプロピレンなどの合
成繊維からなるセパレータ１４を介して二酸化マ
ンガン又は酸化銀などの陽極活物質粉末と黒鉛あ
るいはアセチレンブラツクなどの電導剤とポリス
チロールを有機溶媒に溶解したバインダー溶液を
添加混合し加圧成形してなる陽極合剤１３を充填
している。 金属缶１１開口部の突出座１１ａ上に絶縁ガス
ケツト１５を設けている。このガスケツト１５は
ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなど
の熱可塑性合成樹脂あるいはクロロプレンゴム、
ブタジエンゴムなどの合成ゴムを用いて一体成形
されるもので、第３図に示すように内側円筒部１
５１と、この内側円筒部１５１の周囲に厚さ２mm
mm程度の防爆弁としての薄肉部１５３を一部に形
成したドーナツ状板部を介して外側円筒部１５２
を有し、また内側および外側円筒部１５１，１５
２の上部に段部１５４，１５４を形成し、さらに
外側円筒部１５２の周縁に沿つて折返し用突壁１
５５を有している。 そして、このようなガスケツト１５は内側円筒
部１５１の中空部に上記陰極剤１２より導出され
る真鍮製の集電棒１６を挿着するとともに外側円
筒部１５２を上記金属缶１１の突出座１１ａ上に
載置している。 ガスケツト１５の段部１５４に例えば環状の金
属支持体１７を載置している。この金属支持体１
７は真鍮、ニツケルメツキ鋼板、ステンレス板、
鋼板をプレスで打抜き加工して得られるもので、
この場合肉厚0.7〜1.5mm、外径寸法11.0mmおよび
中空部の直径2.5mm程度のものが用いられる。１
７ａは一部に開けた透孔である。 また、この支持体１７上に陰極封口板１８を載
置している。この封口板１８は内面に銅メツキ、
外面にニツケルメツキもしくはこれらの金属をク
ラツドした肉厚0.2〜0.3mmの鋼板またはステンレ
ス板を絞り加工したもので第４図に示すように周
縁に沿つて上方に突出する隆起状の鍔部１８ａを
形成するとともにこの鍔部１８ａにガス排出用孔
１９を有している。この場合ガス排出用孔１９は
後述する金属缶１１の開口部の切曲の際ガスケツ
ト１５により覆われることのない位置、即ち鍔部
１８ａの内側斜面に形成している。封口板１８に
は上記集電棒１６が溶接などにて固定している。
これによりガスケツト１５、集電棒１６、金属支
持体１７および封口板１８は一体化している。 この状態で金属缶１１の拡大した開口を半径方
向に締付け外径寸法13.1mmまで縮径したのちガス
ケツト１５の折返し用突壁１５５を介して金属缶
１１の開口部を内方に折曲げ封口板１８の隆起状
鍔部１８ａ上を押圧し鍔部１８ａの基部を金属支
持体１７上に圧接させるようにして密封口し電池
を完成する。 しかして、このような構成によると常時は金属
缶１１開口部の折曲げによる押圧力にて封口板１

【表】 しかして、かかる結果からこの考案により得ら
れた電池は従来電池に比べ耐漏液性が向上するこ
とが判明した。 なお、この考案は上記実施例にのみ限定されず
要旨を変更しない範囲で適宜変形して実施でき
る。 例えば第２図と同一部分には同符号を付して示
す。第５図に示すように陰極封口板１８の鍔部１
８ａの基部と金属支持体１７との圧接部にエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体や、マタクチツクポリプ
ロピレンなどのホツトメルト剤又はエポキシ系樹
脂などのシール剤２０を厚さ0.05〜0.2で塗布す
るようにし、この間の密封性をより高めるように
してもよい。ちなみにこのような構成を適用した
LR６形アルカリマンガン電池〔Ａ〕と従来の同
型電池〔Ｂ〕を夫々100個について第１表と同一
条件の下で漏液発生率を調べたところ第２表の結
果が得られた。

【表】 しかして、かかる結果からこのように構成され
る電池は耐漏液性が一層向上することが判明し
た。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のアルカリ電池を説明するための
概略的構成図、第２図はこの考案の一実施例を示
す概略的構成図、第３図は同実施例に用いられる
絶縁ガスケツトを示す断面図、第４図は同実施例
に用いられる陰極封口板を示す断面図、第５図は
この考案の他実施例を示す概略構成図である。 １，１１……金属缶、１ａ，１１ａ……突出
座、２，１３……陽極合剤、３，１２……陰極
剤、４，１４……セパレータ、５，１５……絶縁
ガスケツト、５１，１５１……内側円筒部、５
２，１５２……外側円筒部、１５３……肉薄部、
１５４……段部、１５５…突壁、６，１６……集
電棒、７，１７……金属支持体、８，１８……陰
極封口板、１８ａ……鍔部、１９……ガス排出用
孔、２０……シール剤。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 発電要素を充填した筒状の金属缶と、一部に
   防爆弁としての薄肉部を設けて前記金属缶の開
   口部に設けられる絶縁ガスケツトと、一部に透
   孔を開けて前記ガスケツト上に載置された金属
   支持体と、この支持体上に載置され且つ周縁に
   沿つて隆起状鍔部を有し上記金属缶開口部の内
   方への折曲げにより上記ガスケツトを介して上
   記鍔部の基部を上記金属支持体に押当てられた
   封口板と、この封口板の隆起状鍔部の上記ガス
   ケツトにより覆われることのない内側斜面に形
   成されたガス排出用孔とを具備したことを特徴
   とするアルカリ電池。 (2) 上記封口板鍔部の基部と上記金属支持体との
   圧接部にシール剤を介在させたことを特徴とす
   る実用新案登録請求の範囲第１項記載のアルカ
   リ電池。