JPH0328983Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、ボルトやナツト又はその他各種パー
ツ類等の金属製品をパンチとダイスで圧造成形す
る圧造機械において、圧造に必要なパンチが摩耗
損傷したような場合等にパンチケースよりパンチ
を抜き出して新しいパンチに交換する際にパンチ
ケースの締結を安定した抱持力でパンチの傾きや
振れをなくして正確に取付けを行なうようにした
装置に関する。

（従来の技術及び問題点） 従来の圧造機械においては、圧造に用いられる
パンチの固定手段として、パンチをパンチケース
に挿入後、パンチ周面に軸心と直交する方向より
ボルトを突き立てるように締付けることにより一
体に固定するものであるが、パンチ交換時にパン
チの挿入及び抜き出しを手で軽く行えるようにす
るために、パンチ外径とパンチケースの穴径とは
若干の隙間寸法が設けられており、従つてこの状
態でボルトによる締付けを行うと、締付けに伴い
パンチは一方へ偏つた状態に不安定な締結とな
り、且つこの状態で強力な強大な衝激を間断なく
受けるため、パンチの傾きや振れを生じて、而も
それが原因で製品精度や工具寿命に影響をおよぼ
し、焼付を起すという問題がある。

（考案が解決しようとする課題） 本考案は、従来の技術の有するこのような問題
点に鑑みてなされたものでありその目的とすると
ころは、パンチ交換時にパンチケースへの挿入及
び抜き出しを軽く容易に行い且つ締結に際して
は、パンチを全周より均一に安定した抱持力で正
確に取付けできるとともに、パンチの振れや傾き
をなくして焼付きを防止できるようにした圧造機
械のパンチ取付装置を提供しようとするものであ
る。

（課題を解決するための手段） 上記目的を達成するために、本考案における圧
造機械のパンチ取付装置は、中空筒状のパンチケ
ースに、その先端口より抜差し可能に突出するよ
うにパンチを嵌挿してボルトで締結固定してなる
圧造機械のパンチ取付装置において、前記パンチ
ケースの一側部に軸心と平行に割溝を全長又は後
部を残してほぼ全長に設けて、割り形パンチケー
スとなし、このパンチケースの割溝部にパンチの
抱き締めを行うように割溝の全長に間隔をおいて
複数の割り締めボルトと、その中間にあつて先端
が割溝の一方から他方の対辺に突き立つようにパ
ンチに対する抱持力を調整する調整ボルトを設け
てなるものである。

そして、前記パンチケースには、パンチの上部
平面部を左右２ケ所から何れか一方を押圧してパ
ンチの方向性を調整させるように相互に上下動す
る方向設定用のボルトを設けることが好ましい。

また、前記パンチケースには、パンチに対する
方向性調整の度合いを目印で指示するようにした
指針を設けることもできる。

（作用） 上記の技術的手段は次のように作用する。

第２〜３図において、割り形とされたパンチケ
ース１０にパンチ１１を挿入して定位置に固定す
るには次のようにする。

先づ割り締めボルト１２を緩めると共に、調整
ボルト１３を螺入するとパンチケース１０の割溝
１４は大きく開いてパンチケースの穴径も大きく
なるから先端口１０ａよりパンチ１１を挿入す
る。

次いで調整ボルト１３を適当にして前後の割り
締めボルト１２，１２′を締付けるとパンチ１１
はパンチケース１０の穴径が縮径して全周より抱
締められる。抱締力の調整は、調整ボルト１３に
より行なう。調整ボルト１３を螺入するように締
め付けると該ボルト１３の先端１３ａが割溝１４
の上辺１４ａから突出して対辺１４ｂへ突き立つ
ように作用する為割溝１４が広がるのでこれを適
当に行なえば割り締めボルト１２，１２′による
締付け力を加減し調整できることになる。

パンチケース１０に嵌挿保持されたパンチ１１
の方向性、姿勢制御を行なう場合は次のようにす
る。パンチケース１０の上部前端に下向きに出没
するように設けられた左右２本の方向設定用ボル
ト１５，１６を用い、夫々を適当に操作する。

第２図において、いま左側のボルト１５を螺動
して下向きに突出させると、該ボルト１５の先端
１５ａでパンチ１１の上部平面部１７の左側が押
下される為パンチ１１はパンチケース１０内にお
いて左回転し、逆に右側のボルト１６を下向きに
螺動させるとボルト先端１６ａで平面部１７の右
側が押下されるのでパンチ１１は回転させられ
る。

この回転の度合いを目印１８と指針１９とによ
り整合させるようにすれば、パンチ１１の方向
性、を微調整することができる。

（効果） 本考案は上述のように、パンチケース１０の一
側部に軸心と平行に割溝１４を全長又は後部を残
してほぼ全長に設けて、割り形パンチケースとな
し、このパンチケース１０の割溝部にパンチの抱
き締めを行うように割溝１４の全長に間隔をおい
て複数の割り締めボルト１２，１２′と、その中
間にあつて先端１３ａが割溝１４の一方１４ａか
ら他方の対辺１４ｂに突き立つようにパンチに対
する抱持力を調整する調整ボルト１３を設けたの
で、前後に間隔をおいて設けられた割り締めボル
ト１２，１２′を締付けると、パンチは全周均一
な抱持力で締結されるとともに、この状態で中間
の調整ボルト１３を締付けると、前記の抱持力を
加減調整することができ、安定した締め付けで振
れや傾きを完全になくし、焼き付きも防止でき
る。

而も上記の操作によつてダイスに対応するパン
チの整合調整も簡単且つ高精度に行われ、ダイス
及びパンチの耐久性を向上させることができる。

また、左右の方向設定用ボルトによつてパンチ
の方向性、姿勢制御を簡単に行うことができ、且
つそれを指針によつて目で確認できる為操作を楽
に行うことができる。

（実施例） パンチケース１０は単一のパンチホルダー２０
の前面に横一列に間隔を存して複数設けられ、そ
の夫々を割り形となす。

第３図はパンチケース１０の全長に割溝１４を
形成した場合であるが、第４図に示すように前端
部から中途部までを割溝に形成する場合もある。
パンチの大小により、又は圧造力の大小により適
宜に選定される。

割り締めボルト１２，１２′は前後に間隔をお
いて少くとも２本以上必要であるが、調整用ボル
ト１３は前記両ボルト１２，１２′間に位置する
ように設けられるため、１本で足りるが、間隔が
長ければ２本以上設ける場合もある。

調整用のボルト１６は、パンチケース１０の上
部に前方へ突出するブラケツト２２を設けてこれ
に上下貫通するようにボルトねじ部を螺入する。

パンチケース１０にはこれに嵌挿されたパンチ
１１をロツク又はロツク解除するように上下方向
にロツクピン２１が設けられる。ロツクピン２１
の軸部に凹所２１ａを設けてこれを180゜反転する
ことでパンチ１１に対し係合又は係合解除するも
のである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案を実施した圧造機械の平面図、
第２図は圧造パンチ部の拡大正面図、第３図は同
縦断側面図、第４図は第２実施例の圧造パンチ部
の側面図、第５図は従来例の圧造パンチ部の側面
図、第６図は同正面図である。 １０……パンチケース、１１……パンチ、１２
……割り締めボルト、１３……調整用ボルト、１
４……割溝、１５，１６……方向設定用ボルト。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 中空筒状のパンチケース１０に、その先端口
   より抜差し可能に突出するようにパンチ１１を
   嵌挿してボルトで締結固定してなる圧造機械の
   パンチ取付装置において、前記パンチケース１
   ０の一側部に軸心と平行に割溝１４を全長又は
   後部を残してほぼ全長に設けて、割り形パンチ
   ケースとなし、このパンチケース１０の割溝部
   にパンチの抱き締めを行うように割溝１４の全
   長に間隔をおいて複数の割り締めボルト１２，
   １２′と、その中間にあつて先端１３ａが割溝
   １４の一方１４ａから他方の対辺１４ｂに突き
   立つようにパンチに対する抱持力を調整する調
   整ボルト１３を設けてなることを特徴とする圧
   造機械のパンチ取付装置。 (2) 前記パンチケース１０には、パンチ１１の上
   部平面部１７を左右２ケ所から何れか一方を押
   圧してパンチ１１の方向性を調整させるように
   相互に上下動する方向設定用のボルト１５，１
   ６を設けた実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の圧造機械のパンチ取付装置。 (3) 前記パンチケース１０には、パンチ１１に対
   する方向性調整の度合いを目印で指示するよう
   にした指針１９を設けた実用新案登録請求の範
   囲第１項記載の圧造機械のパンチ取付装置。