JPH032762Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は、車輛用自動変速装置に関し、更に特
定して述べると、歯車式の変速機にアクチエータ
を付設し、外部から印加される制御信号に従つて
該アクチエータへ駆動し、変速機の変速レバーを
所要の変速位置に位置決めするように構成され
た、車輛用自動変速装置に関する。

従来の技術 従来のこの種の車輛用自動変速装置は、変速機
の変速レバーを所要のアクチエータによつてシフ
ト方向又はセレクト方向に移動させて、変速レバ
ーを所望の変速位置に位置決めすることができる
ように構成されており、従つて、変速レバーの位
置がどこにあるのかを常に把握しておくことが制
御上要請されている。このため、ポジシヨンスイ
ツチと称される位置検出スイツチが設けられてお
り、変速レバーのセレクト方向の位置及び又はシ
フト方向の位置をこれらのポジシヨンスイツチの
開閉状態に基づいて検出することができる構成と
なつているか、または、特開昭58−180327号公報
に開示されているように、変速レバーの位置を示
す電気信号を出力する位置センサが各アクチエー
タに連結される構成となつている。

考案が解決しようとする問題点 しかし、変速レバーの作動範囲とポジシヨンス
イツチの作動範囲とが完全に一致していることは
なく、通常では、変速レバーの作動範囲の方がポ
ジシヨンスイツチの作動範囲より広くなるよう調
整されている。このため、変速レバーが所要の変
速位置にあつても、機関の振動等により変速レバ
ーがポジシヨンスイツチの作動範囲から外れてし
まい、ポジシヨンスイツチにより変速レバーの入
つている変速位置を検出することができなくなる
という不具合いがあつた。このため、制御部にお
いては、ギヤ抜けが生じたのか否かを、クラツチ
の接続状態、エンジン速度及び車速から判断しな
ければならず、制御システムが複雑となり、コス
トの上昇を招くという問題点を有している。

ポジシヨンスイツチの作動範囲を調整すること
により上述の問題を解決することも考えられる
が、そのような調整は手間を要し、面倒であるた
め、調整によるコストの上昇を招くという別の問
題を生じることになる。

本考案の目的は、変速レバーが所要の変速位置
に位置決めされている場合に、機関の振動等によ
り、変速レバーがポジシヨンスイツチの作動範囲
から外れる現象が生じても、変速機の変速制御を
安定、確実に行なえることができるようにした車
輛用自動変速装置を提供することにある。

問題点を解決するための手段 上記目的を達成するための本考案の構成は、歯
車式変速機と、上記変速機の変速レバーをシフト
方向に移動させる第１アクチエータ及び上記変速
レバーをセレクト方向に移動させる第２アクチエ
ータを含んで成るギヤシフトユニツトと、上記変
速レバー位置の検出を行なうためのポジシヨンス
イツチと、所望のギヤチエンジ位置を示す指令信
号に応答し該ポジシヨンスイツチの作動結果を示
す検出信号を参照しながら上記変速レバーの位置
が上記検出信号に従つて位置決めされるよう上記
第１及び第２アクチエータの駆動を制御する制御
手段とを備えて成る車輛用自動変速装置におい
て、上記ポジシヨンスイツチによる変速レバー位
置の検出が不可能となつたことを検出する検出手
段と、上記制御手段により位置決めされるその
時々の変速レバーの位置を記憶しておく記線手段
と、上記検出手段により変速レバー位置の検出が
不可能となつたことが検出された場合に上記記憶
手段の記憶内容に従う変速位置に上記変速レバー
を固定するよう上記第１及び第２アクチエータを
作動させるための制御信号を出力する手段とを備
えた点に特徴を有する。

作 用 上述の構成の装置では、制御手段によつて変速
レバーの位置を変更する毎にその時の変速レバー
の位置を記憶しておき、機関の振動等により変速
レバーがポジシヨンスイツチの作動範囲から外れ
ることによりポジシヨンスイツチによる変速レバ
ー位置の検出が不可能となつたことが検出手段に
より検出されると、記憶されている変速レバー位
置に変速レバーを固定するよう各アクチエータが
駆動される。若し、変速レバーが単にポジシヨン
スイツチの作動範囲から外れただけであれば、各
アクチエータによる上述の変速レバー固定操作を
行なつたときに各ポジシヨンスイツチからの信号
に基づいて得られる変速レバーの位置を示すデー
タは、記憶手段の内容と一致している。一方、ギ
ヤ抜け等が生じている場合には、各アクチエータ
による上述の変速レバー固定操作を行なつても、
各ポジシヨンスイツチからの信号に基づいて得ら
れる変速レバー位置を示すデータは記憶手段の内
容と一致しないことになる。従つて、変速レバー
が所望の変速位置からずれてしまつたのか否かを
容易に確認することができる。

実施例 以下、図示の実施例により本考案を詳細に説明
する。

第１図には、本考案による車輛用自動変速装置
の一実施例が示されている。車輛用自動変速装置
１は、平行軸歯車式の変速機２と、該変速機２の
ギヤチエンジ操作を圧力源３から供給される圧力
流体によつて行なうよう構成されたギヤシフトユ
ニツト４とを備えている。

変速機２の変速位置は、第２図に示されている
ように、バツク位置Ｒ及び第１速位置乃至第６
速位置であり、このほか、ニユートラル位置
N₁乃至N₄が定められている。

変速機２の変速レバー２ａをセレクト方向及び
これと直角のシフト方向に移動させるためのアク
チエータとして、ギヤシフトユニツト４には、セ
レクト動作用の第１流体圧シリンダ５と、シフト
動作用の第２流体圧シリンダ６とが設けられてい
る。第１流体圧シリンダ５のピストン５ａと一体
に構成されている操作ロツド５ｂ及び第２流体圧
シリンダ６のピストン６ａと一体に形成されてい
る操作ロツド６ｂは、変速レバー２ａと連結され
ている。これらの流体圧シリンダを交互に作動さ
せ、その変速レバー２ａを第２図に実線で示すト
ランスミツシヨンアクチエータの作動範囲（即
ち、変速レバー２ａの作動範囲）を示す通路に沿
つて移動させることにより、変速レバー２ａを所
望の変速位置に位置決めすることができる。

第１流体圧シリンダ５の各室７，８，９には、
常閉電磁弁Ｃ，Ｄ，Ｅを介して圧力源３からの圧
力流体が供給され、一方、第２流体圧シリンダ６
の各室１０，１１には、常閉電磁弁Ａ，Ｂを介し
て圧力源３からの圧力流体が供給されるよう、各
流体圧シリンダのための流体圧回路が構成されて
おり、これらの電磁弁の開閉操作により変速レバ
ー２ａの位置制御を行なうことができる。即ち、
第１流体圧シリンダ５は、電磁弁Ｄが開で、電磁
弁Ｃ，Ｅが閉のとき変速レバー２ａをセレクト位
置とし、以下、電磁弁Ｃ，Ｄが開で電磁弁Ｅが
閉のときにセレクト位置、電磁弁Ｃ，Ｅが開で
電磁弁Ｄが閉のときにセレクト位置、電磁弁Ｃ
が開で電磁弁Ｄ，Ｅが閉のときにセレクト位置
とするように構成されている（第２図参照）。

一方、第２流体圧シリンダ６は、電磁弁Ａが開
で電磁弁Ｂが閉のとき変速レバー２ａをシフト位
置ａ○とし、電磁弁Ａ，Ｂが共に開のときシフト位
置ｂ○とし、電磁弁Ｂが開で電磁弁Ａが閉のときシ
フト位置ｃ○とするように構成されている。

上記説明から判るように、ギヤシフトユニツト
４は、これらの電磁弁Ａ乃至Ｅを選択的に開閉す
ることにより変速機２のギヤチエンジを任意に行
なうことができるものである。

電磁弁Ａ乃至Ｅによるギヤチエンジ操作を制御
するため、制御ユニツト１３が設けられている。
制御ユニツト１３には、所望のギヤチエンジ位置
を示す指令信号S₁がギヤチエンジ指令信号発生器
１４から入力されると共に、第１流体圧シリンダ
５によつてセレクトされたセレクト位置を示す第
１位置信号S₂と、第２流体圧シリンダ６によつて
シフトされたシフト位置を示す第２位置信号S₃と
が、セレクトセンサ１５及びシフトセンサ１６か
ら夫々入力されている。

セレクトセンサ１５は、変速レバーによつて操
作される４つのポジシヨンスイツチP₁乃至P₄を
備えている。ポジシヨンスイツチP₁は、変速レ
バーが、ニユートラル位置N₁に属するシフト方
向の通路にあるか否かを検出するものであり、第
１流体圧シリンダ５の操作ロツド５ｂが変速レバ
ーをセレクト位置に位置決めした場合に、オン
となるよう、ギヤチエンジユニツト４内のフレー
ムに配設されている。他のポジシヨンスイツチ
P₂乃至P₄も、同様に、ギヤチエンジユニツト４
内のフレームに配設され、変速レバーがセレクト
位置乃至に夫々位置決めされた場合に対応す
るポジシヨンスイツチがオンとなるよう構成され
ている。

これらのポジシヨンスイツチP₁乃至P₄の各作
動範囲は、第２図中、SR₁乃至SR₄の巾で示され
るように、各セレクト位置におけるトランスミツ
シヨンアクチエータの作動範囲（第２図に実線で
示す範囲）より狭くなるように設定されており、
従つて、変速レバー２ａの位置がこの点線で示さ
れる作動範囲内にある場合にのみ対応するポジシ
ヨンスイツチがオンとなる。

一方、シフトセンサ１６は、変速レバーによつ
て操作される３つのポジシヨンスイツチP₅乃至
P₇を有している。これらのポジシヨンスイツチ
P₅乃至P₇は、変速レバーがシフト位置ａ○乃至
のいずれにあるかを検出するために設けられたセ
ンサ素子であり、上述のセレクトセンサ１５と同
様の構成となつている。即ち、ポジシヨンスイツ
チP₅は、変速レバーがシフト位置ａ○を含む所定
の作動範囲SC₁内にある場合にオンとなり、他の
ポジシヨンスイツチP₆，P₇も、変速レバーが
夫々所定の作動範囲SC₂，SC₃に入つた場合にオ
ンとなる。

セレクトセンサ１５は、ポジシヨンスイツチ
P₁乃至P₄の各オン、オフ状態から、変速レバー
２ａがいずれのセレクト位置にあるかを検出し、
その検出結果を示す信号S₂を出力する。シフトセ
ンサ１６は、ポジシヨンスイツチP₅乃至P₇の各
オン、オフ状態から、変速レバー２ａがいずれの
シフト位置にあるかを検出し、その検出結果を示
す信号S₃を出力する。これらの信号S₁，S₂，S₃
は、制御ユニツト１３において処理され、指令信
号S₁によつて指示されている所望のギヤチエンジ
が行なわれるよう、電磁弁Ａ乃至Ｅを選択的に開
閉するための制御信号Sa乃至Seが制御ユニツト
１３から出力される。制御信号Sa乃至Seは、対
応して夫々設けられている増幅器１７乃至２１を
介して電磁弁Ａ乃至Ｅの各励磁コイル２２乃至２
６に供給される。

第３図には、制御ユニツト１３の構成がブロツ
ク図にて示されている。符号３０で示すブロツク
は、第１位置信号S₂と第２位置信号S₃とによつて
その時々のギヤチエンジ位置を検出し、変速機２
を指令信号S₁によつて示される所望のギヤチエン
ジ状態とするために必要な一連の電磁弁開閉操作
のための演算を行なう演算部であり、該演算部３
０における演算結果に従つて、電磁弁Ａ乃至Ｅの
開閉制御を夫々行なうための制御信号Ta，Tb，
Tc，Td，及びTeが出力される。これらの制御
信号Ta乃至Teは、電磁弁Ａ乃至Ｅに対応して設
けられたオアゲート３１乃至３５の各一方の入力
に印加されている。

制御信号Ta乃至Teに従い、第１流体圧シリン
ダ５又は第２流体圧シリンダ６を順次操作し、変
速レバー２ａから、所望の変速位置（ニユートラ
ル位置を含む）に位置決めされている場合、変速
レバー２ａの変速位置が正しい位置にあるか否か
を確認することができるように、変速レバー２ａ
をその変速位置に対応するポジシヨンスイツチの
作動範囲内に拘束するよう第１及び第２流体圧シ
リンダを駆動するのに必要な１組の制御信号Ua
乃至Ueを演算出力するための信号発生部３６が
設けられている。

信号発生部３６は、第２、第３信号S₂，S₃に応
答し、その時の変速レバー２ａの位置を各ポジシ
ヨンスイツチP₁乃至P₇の作動状態から判別する
のが不可能な状態となつたことを検出し、その検
出結果を示す検出信号Ｄを出力する検出部３７
と、演算部３０における演算結果に従つて変速レ
バー２ａが所望の変速位置に位置決めされる場合
に、演算部３０から出力されるその時々の変速位
置を示す位置データDpをストアするメモリ３８
とを有している。

符号３９で示されるブロツクは、検出信号Ｄに
よつて変速レバー２ａの位置の検出が不可能とな
つたことが検出された場合に、メモリ３８からそ
の記憶内容を読出し、第１及び第２流体圧シリン
ダによつてメモリ３８に記憶されている変速位置
に対応するポジシヨンスイツチの作動範囲内に変
速レバー２ａを拘束するために必要な１組の制御
信号Ua乃至Ueを出力する出力回路である。これ
らの制御信号Ua乃至Ueは、対応するオアゲート
３１乃至３５の各地方の入力端子に入力されてい
る。

従つて、指令信号S₁によつて示される変速位置
に変速レバー２ａを順次移動させるために必要な
１組の電磁弁駆動信号が演算部３０から出力さ
れ、オアゲート３１乃至３５を介して出力され
る。一方、変速レバー２ａが所望の変速位置に位
置決めされたのちその変速位置に対応するポジシ
ヨンスイツチの移動範囲から外れた場合、変速レ
バー２ａをその変速位置に押え込むために必要な
一組の制御信号Ua乃至Ueもまたオアゲート３１
乃至３５を介して出力される。このようにして、
オアゲート３１乃至３５からは、最終的に、一組
の制御信号Sa乃至Seが得られ、夫々対応する電
磁弁Ａ乃至Ｅに印加される。

この結果、変速レバー２ａが所望の変速位置に
位置決めされたのち、機関の振動等により、その
変速位置に対応するポジシヨンセンサの作動範囲
から変速レバー２ａが外れた場合、変速レバー２
ａが自動的にその変速位置に押え込まれるように
所定の電磁弁が作動することになる。これによ
り、変速レバー２ａが所定の変速位置に移動すれ
ば、演算部３０において変速レバー２ａが所要の
位置にあることを確認することができる。若し、
ギヤ抜け等の理由によつて検出部３７から検出信
号Ｄが出力された場合には、上述の変速レバー２
ａの押え込みの動作によつても、所要のポジシヨ
ンスイツチは作動せず、従つて、演算部３０にお
いては、変速レバー２ａの位置を確認することが
できない。

検出信号Ｄは、演算部３０にも入力されてお
り、検出信号Ｄが出力されたことに応答し、演算
部３０では、信号S₂，S₁に従う変速レバー２ａの
位置とそのときの所要の変速位置とが一致してい
るか否かの判別を行ない、若し一致していれば、
変速レバー２ａが単にポジシヨンスイツチの作動
範囲から外れたことが確認される。一方、出力部
３９からの一組の制御信号Ua乃至Ueが出力され
ても、変速レバー２ａの位置が演算部３０におい
て確認できない場合には、ギヤ抜け等により変速
レバー２ａが所要の変速位置よりずれているもの
と判断され、演算部３０において適宜の処理が行
なわれることになる。

上述の如く、変速レバー２ａが所望の変速位置
に位置せしめられたのち、何らかの理由で、ポジ
シヨンセンサP₁乃至P₇からの信号により変速レ
バー２ａの位置検出を行なえなくなつた場合に
は、検出部３７が作動し、変速レバー２ａを所望
の変速位置に押え込むように第１及び第２流体圧
シリンダ５，６が駆動され、これにより、変速レ
バー２ａが対応するポジシヨンセンサの作動範囲
から外れたのか否かを容易に判別することができ
るので、自動変速制御を安定に行なうことができ
る。

尚、第３図により制御ユニツト１３の構成の一
例を説明したが、制御ユニツト１３の構成はこれ
に限定されるものではなく、例えばマイクロコン
ピユータを用いて上述の機能を実現するように構
成してもよい。

効 果 本考案によれば、上述の如く、変速レバーが所
望の変速位置に位置せしめられたのち、何らかの
理由により、ポジシヨンセンサからの信号により
変速レバーの位置検出を行なえなくなつた場合に
は、これを検出して、変速レバーを所望の変速位
置に押え込むよう変速操作用のアクチエータが駆
動され、これにより、変速レバーが対応するポジ
シヨンセンサの作動範囲から外れたのか否かを容
易に判別することができるので、ギヤ抜けチエツ
ク用の複雑なプログラムを用いることなく、自動
変速制御を安定に行なうことができる優れた効果
を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す概略構成図、
第２図は第１図に示す変速機の変速位置、変速レ
バーの作動範囲及びポジシヨンスイツチの作動範
囲を示す図、第３図は第１図に示す制御ユニツト
の構成を示すブロツク図である。 １……車輛用自動変速装置、２……変速機、２
ａ……変速レバー、４……ギヤシフトユニツト、
５……第１流体圧シリンダ、６……第２流体圧シ
リンダ、１３……制御ユニツト、３０……演算
部、３７……検出部、３８……メモリ、３９……
出力部、Ａ乃至Ｅ……電磁弁、P₁乃至P₇……ポ
ジシヨンスイツチ、Ｄ……検出信号。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 歯車式変速機と、前記変速機の変速レバーをシ
   フト方向に移動させる第１アクチエータ及び前記
   変速レバーをセレクト方向に移動させる第２アク
   チエータを含んで成るギヤシフトユニツトと、前
   記変速レバー位置の検出を行なうためのポジシヨ
   ンスイツチと、所望のギヤチエンジ位置を示す指
   令信号に応答し該ポジシヨンスイツチの作動結果
   を示す検出信号を参照しながら前記変速レバーの
   位置が前記検出信号に従つて位置決めされるよう
   前記第１及び第２アクチエータの駆動を制御する
   制御手段とを備えて成る車輌用自動変速装置にお
   いて、前記ポジシヨンスイツチによる変速レバー
   位置の検出が不可能となつたことを検出する検出
   手段と、前記制御手段により位置決めされるその
   時々の変速レバーの位置を記憶しておく記憶手段
   と、前記検出手段により変速レバー位置の検出が
   不可能となつたことが検出された場合に前記記憶
   手段の記憶内容に従う変速位置に前記変速レバー
   を固定するよう前記第１及び第２アクチエータを
   作動させるための制御信号を出力する手段とを備
   えたことを特微とする車輛用自動変速装置。