JPH0326789Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はステツピングモータの構造に関するも
のである。

従来のステツピングモータにあつては、回転子
軸を回転可能に保持する軸受が、回転子軸の突出
を許容する貫通孔が設けられた前端部の内面と、
この前端部と対向する後端部の内面とに夫々設け
られた軸受収納部内に配設されたボールベアリン
グよりなつている。そして、これらボールベアリ
ングは回転子コアの上下にブツシユを介してイン
ナーレースに回転子軸を圧入嵌合した状態で組立
てられ、夫々軸受収納部に配設されるものである
が、ボールベアリングの価格は高く、特に、イン
ナーレース内周面の寸法が高精度なものを要求す
る場合は更に高価なものとなり、モータ自体の価
格もそれに応じて自ずと高いものになつている。

この問題を解決する為には、従来のボールベア
リングに代えて内周面精度が比較的出し易すく安
価な焼結含油合金よりなる軸受メタルが考えられ
るが、この軸受メタルの場合、軸受メタル内で回
転子軸が摺動回転する為に、摺動接触面積が大き
く、それがモータの負荷となつて好ましくない。

本考案に係る従来のステツピングモータの問題
点に鑑みなされたもので、ステツピングモータの
前端面側にのみボールベアリングを配設し、後端
面側には軸受メタルを使用するにもかゝわらず、
該軸受メタルの内筒面に該内筒面のサイジング加
工を兼ねて鋼球を圧入させると共に、スラストバ
ネにより該回転子軸をスラスト方向へ付勢し、該
軸受メタル内に収納された回転子軸の他端面を該
軸受メタル内で該鋼球に当接位置決めせしめ、一
端側をボールベアリングで回転可能に保持した該
回転子軸の他端側を該鋼球で略点状に保持する構
成とすることによつて、回転子軸に対する摺動接
触面積が大きくならず、ボールベアリングに準ず
る機能を有した安価なステツピングモータを提供
することを目的とする。

以下、本考案に係るステツピングモータの一実
施例を図面を用いて詳細に説明する。

第１図は本考案に係るステツピングモータの外
観平面図で、第２図は第１図のＡ−A′線に沿い
断面をして見た軸方向断面図である。尚、リード
線導出部１は断面していない。

第１図乃至第２図に於いて、２はフロントケー
ス３とリヤーケース４とからなるモータケース、
５は該フロントケース３とリヤーケース４間に挾
設されたステータコアであつて、これらフロント
ケース３、リヤーケース４及びステータコア５の
外周枠形状は略四角形をなし、且つ、各々四隅に
は該リヤーケース４、ステータコア５及びフロン
トケース３を通つて貫通され、該フロントケース
３の前面側に突出したネジ部を機器６の取付部に
固定されるビス７を挿通させる貫通孔３Ａ，５
Ａ，４Ａが夫々対応した関係で設けられており、
又、フロントケース３の貫通孔３Ａはビス７がネ
ジ込まれるネジ穴となつている。前記ステータコ
ア５Ａは、第３図に示されるように内周部に突極
５₁〜５₈が約45゜毎に配置され、更に該突極５₁〜
５₈の先端部に小歯５Ｂを形成するように一枚の
鋼板より打抜いた板片を複数積層してなり、その
各突極５₁〜５₈には絶縁性ボビン８を介して駆動
コイル９が巻回されている。又、前記フロントケ
ース３は、その中央部に回転子軸１０の突出を許
容する為の貫通孔３Ｂが、そして該貫通孔３Ｂを
囲むようにして内面側に軸受収納部３Ｃが夫々設
けられており、その全体は一端が開口する箱状に
形成されている。前記リヤーケース４は前記フロ
ントケース３と同様に、その中央部に内面側に軸
受収納部４Ｂが設けられ、該軸受収納部４Ｂには
回転子軸１０の一端を受け入れる為の筒状部１１
Ａを有した焼結含油合金で形成された軸受メタル
１１が嵌合されていて、該リヤーケース４は一端
が開口する箱状に全体が形成されている。そし
て、前記軸受メタル１１の筒状部１０の内径は回
転子軸１０の直径と略等しいか若しくは若干小さ
目に形成され、この筒状部１０に対して前記回転
子軸１０の直径と略等しい鋼球１２を嵌合圧入さ
せてサイジング加工し、該筒状部１０の内径寸法
精度出し並びに内周面の平滑化を計る様にしてい
る。

前記回転子軸１０上に固定されている回転子Ｒ
は、軸方向に異なる磁極が着磁された円筒状永久
磁石１３と、この永久磁石１３の各磁極面に対向
して配設されたロータコア１４₁，１４₂とよりな
り、各ロータコア１４₁，１４₂はその外周面に第
３図で示される様に軸方向へ延びる等ピツチで形
成されたロータ歯１４₁A，１４₂Aを有し、各ロ
ータコア１４₁，１４₂のロータ歯１４₁A，１４
₂Aは互いに1/2ピツチ分ずれた関係で形成されて
いる。

１５は回転子軸１０の出力側に嵌合固定された
ボールベアリングで、該ボールベアリング１５は
円筒状ローターホルダー１６の介在によつて回転
子Ｒとの所定距離が保たれて配置されている。１
７はボールベアリング１５と軸受収納部３Ｃの内
端面間に配設された波状リングバネで、該バネ１
７はボールベアリング１５を介して回転子軸１０
にリヤーケース４方向へのスラスト力を付与する
為のものである。

この様に構成されているステツピングモータの
組立方法に付いて説明すると、先づ、回転子軸１
０に回転子Ｒ、ロータホルダー１６、ボールベア
リング１５が組付けられた回転子体が用意され、
これに対して、鋼球１２を有する軸受メタル１１
を軸受収納部４Ｂに配設したリヤーケース４の開
口端に、コイル９が巻回されたステータコア５が
載置され、この状態で回転子体がステータコア５
及びリヤーケース４内に収納される。この収納さ
れた回転子体は、回転子軸１０の一端が軸受メタ
ル１１の内筒体１１Ａに収納され、該回転子軸１
０の一端面が鋼球１２に点当接されて位置決めら
れる。そしてこの状態に於いて、回転子軸１０に
リングバネ１７をはめた後、回転子軸１０の出力
側が貫通孔３Ｂより延出するようにしてフロント
ケース３をステータコア５上に載置する。そして
この状態にあつてはリングバネ１７とボールベア
リング１５とが軸受収納部３Ｃに収納された状態
となる。この様にしてフロントケース３、ステー
タコア５、リヤーケース４及び回転子体とを組合
せた後、ビス７にてこれらを一体に固定して完成
される。

この様にして形成されたステツピングモータ
は、リングバネ１７のスラスト力にて回転子軸１
０がリヤーケース４側に付勢され、該回転子軸１
０の端面が鋼球１２と点接触状態となり、軸受メ
タル１１の筒状部１１Ａの内周面に接触する力も
弱められる為に回転子軸１０に加えられる負荷も
少なくなる。尚、筒状部１１Ａ内に収納される回
転子軸１０の量は、実施例図面に示す量よりも、
もつと少なくても良い。

以上説明した様に本考案に係るステツピングモ
ータは、ステツピングモータのケース前端面側に
のみボールベアリングを配設し、後端面側には安
価な軸受メタルを使用すると共に該軸受メタルの
内筒内に該内筒内のサイジング加工を兼ねて鋼球
を圧入し、且つ、一端が前記ボールベアリングで
回転可能に保持された回転子軸をスラストバネで
該軸受メタル側に付勢して、該軸受メタル内に収
納された回転子軸の他端面を該軸受メタル内の鋼
球に当接位置決めさせ、該回転子軸の他端側を略
点状で保持せしめてなるものであるから、従来の
ステツピングモータの様に、回転子軸の両端をボ
ールベアリングで保持した場合とモータ負荷及び
精度がさほど変わらないものを得ることが出来、
安価なステツピングモータを提供することが出来
る効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るステツピングモータの外
観平面図で、第２図は第１図のＡ−A′線に沿つ
て断面した軸方向断面図である。第３図は第２図
のＢ−B′線に沿つて断面した横断面図で、コイ
ル９、ボビン８を省略して示してある。 ５……ステータコア、３，４……ケース、１０
……回転子軸、３Ｂ……貫通孔、３Ｃ……第１の
軸受収納部、４Ｂ……第２の軸受収納部、１１…
…軸受メタル、１１Ａ……内筒部、１２……鋼
球、１５……ボールベアリング、１７……スラス
トバネ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ステータコアを保持するケースの前端部に回転
   子軸の突出を許容する貫通孔が設けられ、該貫通
   孔を囲む該前端部の内面に第１の軸受収納部を、
   又、該前端部と対向する後端部の内面に第２の軸
   受収納部が夫々設けられ、前記第２の軸受収納部
   内には前記回転子軸の一端が受入れられる内筒部
   にサイジングを兼ねて圧入した鋼球を収納してな
   る軸受メタルが、又、前記第１の軸受収納部内に
   は前記回転子軸に嵌合されたボールベアリング
   と、該ボールベアリングを介して前記回転子軸を
   後端スラスト方向へ圧接するスラストバネとを収
   納し、前記軸受メタルに収納された前記回転子軸
   の一端面が前記鋼球に当接した状態で前記軸受メ
   タルと前記ボールベアリングとで前記回転子軸を
   回転可能に保持したことを特徴とするステツピン
   グモータ。