JPH0325705Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 本考案は繰出機構を有したカートリツジ式棒状
化粧料容器に関するもので、特に、不使用時に繰
出機構が働かないようにして、棒状化粧料の損傷
を防止するカートリツジ式棒状化粧料容器に関す
るものである。

〔従来技術とその問題点〕

従来のカートリツジ式棒状化粧料容器は、螺旋
溝のあるパイプが内設された本体と、その溝とか
み合う突起を有する押棒を含む溝パイプの一端に
固定されたブロツクとを一本の筒状構造にしてな
り、ブロツクをつかんで本体を回転させると、押
棒が繰り出され、ブロツクに挿着されるカートリ
ツジ内にある棒状化粧料が押されて、露出する。

このような従来の化粧料容器は、不使用時に、
ブロツクにキヤツプを挿着させても、ブロツクと
本体は相互に回転してしまい、キヤツプ内に化粧
料が繰り出され、従つて、化粧料がキヤツプと擦
れあつて損傷が生じるという欠点を有していた。
また、ブロツクが外に露出しているために、ブロ
ツクと溝パイプの接合部分にねじれ及び曲げとい
つた負担が生じていた。更に、このような化粧料
容器においては、ブロツクが露出しているために
カートリツジを挿着させなくても繰出機構が働
き、延いてはこれが故障の原因となつていた。

更に、このブロツクを、外に飛び出すことなく
回動自在にさせるために、バネ手段が用いられて
いたが、この手段を内設するには、製造工程数が
増加し、コスト高の原因となつていた。

〔考案の目的〕

本考案の目的は、カートリツジ後端を保持する
カートリツジ保持ブロツクを筒状本体の内部に、
筒状本体の外径を増加させることなく、且つカー
トリツジ内容物を細くすることなく内設し、カー
トリツジを筒状本体に挿着した時にのみ繰出機構
が働くようにすると共に、カートリツジの上から
キヤツプを被せると化粧料の不使用時には繰出機
構が働かないようにしたカートリツジ式棒状化粧
料容器を提供することである。

更に、本考案の他の目的は、ブロツクを簡単な
構造により回転自在にし、かつ構成要素を合成樹
脂製にしても全体に細くすることができるカート
リツジ式棒状化粧料容器を提供することである。

〔考案の概要〕

上記目的を達成するため、本考案は、まずカー
トリツジ筒を、キヤツプの内径より小さい外径の
先端部と、これより細径の細径部とから成るもの
として構成する。前記先端部の内周は、断面多角
形状の化粧料案内孔として形成し、細径部の内周
には、化粧料を把持する進退軸を弾性付与手段で
常時後端方向へ押圧して収容する後方孔を形成す
る。進退軸先端の化粧料を把持する部分は、前記
案内孔の多角形状断面に摺接して前後に動き得る
同様な多角形状輪郭の把持部として形成し、該進
退軸の後端はカートリツジ筒から脱落しないよう
に、しかし、後述の押棒により当接されるよう
に、貫通孔を有する尾栓をカートリツジ筒細径部
の後端に嵌着して押える。

このようなカートリツジ筒を挿着すべき繰出機
構を備えた筒状本体は、その後端内周に螺旋部を
形成し、この螺旋部の内径より大なる拡大内径部
分を中間に残して、筒状本体の先端内側にこの拡
大内径部分よりは小なる内径で前記カートリツジ
筒の細径部よりは大なる内径の嵌合パイプ部を設
けて構成する。

筒状本体の前記拡大内径部分には、前記嵌合パ
イプ部及び螺旋部と直列的状態で、筒状本体に対
し相対回転可能にカートリツジ保持ブロツクを嵌
め込んで、カートリツジ筒の前記細径部を摩擦係
合により把持するようにする。カートリツジ保持
ブロツクを、嵌合パイプ部や螺旋部と同心的に重
ねないで、直列的状態で嵌合することにより、筒
状本体の径を太くしなくてもよく、全体をスリム
に構成することができる。カートリツジ保持ブロ
ツクは、カートリツジ筒の前記細径部を挿入して
摩擦係合により保持する筒状の前方孔と、後端に
前記尾栓の貫通孔と整合する後方孔とを有してい
る。

筒状本体の前記螺旋部内には、該螺旋部と螺合
する突起部を有する押棒が挿入され、該押棒の先
端は前記カートリツジ保持ブロツクの後方孔へ挿
通され、該ブロツク内に挿入されたカーリツジ内
の前記進退軸の後端を単に押すように当接させら
れる。

こうして、本考案によれば、カートリツジを筒
状本体に挿着した時、カートリツジの筒状本体か
ら突出している先端部と筒状本体との間に相対回
転をさせた時だけ、螺旋部とこれに螺合している
押棒とから成る繰出機構によりカートリツジ内の
化粧料が繰り出されるが、カートリツジが挿着さ
れていない時、又は挿着されていてもキヤツプが
被せられている時は、筒状本体を回しても繰出機
構を働かせることはできないから、不時に化粧料
をカートリツジから突出させて損傷させるような
ことがなく、また、化粧料を突出させて使用した
後は、繰出機構を逆に回して押棒を下げれば、カ
ートリツジ筒に内蔵された弾性部材が進退軸及び
それに把持されている化粧料を自然に後退させる
から、逆回しの時化粧料を一緒に引き戻す力を要
さず、軽い操作で済むし、自然復帰するから化粧
料の出し忘れもなくなる。

〔考案の実施例〕

第１図は、本考案の思想を具現したカートリツ
ジ式棒状化粧料容器の好適実施例を示す縦断面図
である。この容器はカートリツジとそれを収納す
る本体とからなる。

カートリツジは、横断面が円形の化粧料１、例
えば眉墨、アイライナー、アイシヤドウと、化粧
料１を把持して進退させる進退軸５と、前方に案
内孔２ａを、後方に後方孔２ｂを有するカートリ
ツジ筒３から成り、図示のように案内孔２を有す
る部分の外径は後方孔２ｂを有する細径部３ｄよ
り大きいが、キヤツプ２６の内径よりは小とす
る。案内孔２ａは、その断面を化粧料１を内接す
る三角形状に形成され（第４図参照）、後方孔２
ｂは、その断面をその三角形状の案内孔２ａを内
接する円形状に形成されたものである。案内孔２
ａは直線的な３辺からできているので、円形の化
粧料１はＡ（第４図）で示す如く線接触で案内孔
２に接触し、少ない摩擦抵抗でその内壁上を案内
される。

進退軸５は、化粧料１の後端を把持する把持部
６を先端に有し、止めリング５ａを後端に有す
る。把持部６は案内孔２ａとほぼ同一の三角形状
をなすもので、その案内孔２ａの中を摺動するも
のである。その把持部６には、各頂点３ａ（第４
図）付近から化粧料１の円周にまで延びる３本の
化粧料把持爪６ａが、軸線方向長さにわたつて形
成されている。各把持爪６ａは、少なくとも化粧
料１と案内孔２ａとの線接触部を設けるように互
いに離間されている。各把持爪６ａの化粧料１を
把持する面は、第４図の断面で見られるとおり、
円弧切片である。

把持部６の輪郭をなす三角形状の形は、通常案
内孔の断面形状のものよりも僅かに小さい（相似
形）ものとするが、把持部の外側壁及び孔壁を滑
りのよい材質とし、把持部を若干弾性圧縮可能な
材質とした場合は、両方の形を実質上同一寸法、
乃至把持部をわずかに大きめの寸法に形成するこ
とができる。やや大きめの把持部を案内孔に押込
んだ場合は、把持爪６ａの化粧料把持力が増大す
る。

カートリツジ筒３の案内孔２ａと後方孔２ｂと
の間に形成された段部３ｂと進退軸５の止めリン
グ５ａとの間に、スプリング７が配置されてい
る。このスプリング７により、進退軸５を介して
化粧料１は常時カートリツジ筒３内に収納され
る。進退軸５は、貫通孔を有する尾栓４を細径部
３ｄの後端に嵌着して脱落を防止される。

カートリツジ筒３の案内孔２ａとその中を摺動
する把持部６ａとの断面を三角形状に形成するこ
とにより、それら相互の回転、ガタつき、横ブレ
などは最大限に防止されると共に、化粧料１と案
内孔２ａとの接触部は事実上極小であるから芯の
摩損は最小限となる。しかも、把持爪６ａは三角
形の頂点対応部に位置するので、その厚みを減じ
る必要がなく、十分な把持力を発揮することがで
きる。

好適実施例として三角形状について詳述した
が、他の実施例が第６乃至第９図に示されてい
る。

第６図において、化粧料１が内接する断面四角
形の案内孔６２ａがカートリツジ筒３内に形成さ
れている。四角形の各頂点６３ａに対応する４本
の把持爪６６ａを有する把持部６６が案内孔６２
ａに摺動自在に挿入される。カートリツジ筒６３
の外形は、四角形状に示されているが、これに限
らない。化粧料１は、各把持爪６６ａの間隔の間
で案内孔６２ａの各辺の線接触Ａして案内され
る。

第７図は、第６図に示した把持部６６ａ及び進
退軸６５の一部を示す斜視図である。

第８図は五角形断面の実施例であり、適宜の外
輪郭をもちうるカートリツジ筒８３内に断面五角
形の案内孔８２ａが形成され、ここに５本の把持
爪８６ａをもつ把持部８６が摺動自在に挿入され
る。把持部８６に後端を把持された化粧料１は、
各把持爪の間隔から案内孔８２ａの各辺に線接触
Ａして案内される。

六角形断面の場合は第９図に示されている。こ
の場合も、適宜外形輪郭を取りうるカートリツジ
筒８３の中に六角形の案内孔９２ａが形成され、
ここに６本の把持爪９６ａをもつ把持部９６が摺
動自在に挿入され、これに後端を把持された化粧
料１が孔壁各辺と線接触Ａで摺動案内される。

本考案によれば、断面多角形状に形成した案内
孔の孔壁各辺に内接線接触させて化粧料を案内す
るから、その摩損を最小にし安定度を最大にして
化粧料を前進後退させることができる。

また、多角形状輪郭の各頂点相当部に把持部の
把持爪を位置させるから、把持爪の肉厚を薄くす
る必要もなく、また従来の把持手段のように、案
内孔の孔壁に把持爪を追い込むための凹溝などを
加工する必要もなくすことができ、案内孔壁は直
線的な平面の集合であるから加工を極めて容易に
することができる等、多大の効果がある。

上記詳説したカートリツジを収納する本体は、
本体２０と、嵌合パイプ２２と、ブロツク２３
と、押棒２５とから成る。これらはすべて合成樹
脂製である。

本体２０は後方内周に螺刻された螺旋部２１を
有し、先端内側には、カートリツジ筒３の収納部
３ｄの外径よりわずかに大きい径の貫通孔を有す
る嵌合パイプ２２を有している。

螺旋部２１と螺合する突起２５ａを後端に有す
る押棒２５が本体２０内に収納され、押棒２５の
先端は、カートリツジ筒３内の進退軸５の後端に
当接する。

螺旋部２１と嵌合パイプ２２の間に、ブロツク
２３が、本体１に関して回転自在に収納されてい
る。ブロツク２３は、カートリツジ筒３の後端を
収納する前方孔２３ａ及び押棒２５が貫通する後
方孔２３ｂを有している。ブロツク２３とカート
リツジ筒３は、板バネ２４を介して一体的とな
る。従つて、カートリツジ筒３は本体２０に関し
て回転自在となる。

ブロツク２３の後方孔２３ｂには内側に伸びた
突起２３ｃが形成され、押棒２５にはその突起２
３ｃと噛み合う軸線方向にそつて伸びた溝２５ｃ
が形成されている（第５図参照）。これらの噛み
合いにより、ブロツク２３と押棒２５は、軸線方
向に摺動可能ではあるが相互に回転不能となる。

このように回転不能にするためには、ブロツク
２３の後方孔２３ｂを断面多角形にし、押棒をこ
の断面多角形と同じ断面多角形にすることによつ
てもおこなえる。

嵌合パイプ２２は、その後端とブロツク２３の
先端とが当接することにより、ブロツク２３を本
体２０内に収納しておく内設手段で、嵌合パイプ
２２及びブロツク２３は合成樹脂製であることか
ら、それらの肉厚を、ブロツク２３を本体２０内
に収納し得る程度にとれる。

また、嵌合パイプ２２とブロツク２３とは、図
面から明らかなように、同心状に重なることな
く、筒状本体の軸線方向に直列状態で並ぶことか
ら、これらの肉厚を厚くとつても、本体２０全体
は細く保つことができる。

しかし、嵌合パイプとブロツクとの当接部分
が、完全に合致するならばそれらの材質は合成樹
脂でなくても、金属製でもよい。例えば、嵌合パ
イプを金属製にし、その後端に内側に伸びるスリ
ーブを設けることによつて同様の効果が得られ
る。

第２図は、化粧料１を全て繰り出した状態のカ
ートリツジ棒状化粧料容器の縦断面図を示す。

化粧料を使用するには、キヤツプ２６を取つて
露出したカートリツジ筒３を握つて固定し、本体
２０を相対回転させる。カートリツジ筒３は板バ
ネ２４を介してブロツク２３と一体的になつてい
るので、本体を回転させると、押棒２５は繰り出
され、押棒２５の先端と当接する進退軸５は、ス
プリング７力に抗して前進し、化粧料１がカート
リツジ筒３の先端から露出する。

化粧料１をカートリツジ筒３内に収納するに
は、本体２０を逆回転させることによりおこな
う。その逆回転により、押棒２５は繰り戻され、
進退軸５はスプリング７により後方に移動し、化
粧料１はカートリツジ筒３内に収納される。

そして、嵌合パイプ２２の先端にキヤツプ２６
を装着すると、ブロツク２３は、キヤツプ２６と
完全に別体であることから、キヤツプ２６を装着
したまま、本体２０を誤つて回転させても化粧料
１は繰り出されることはない。

第３図は、他の実施例のカートリツジ式棒状化
粧料容器の縦断面図を示す。

本体２０と嵌合パイプを一体的に形成したもの
にブロツク２３を収納し、内周壁に螺刻された筒
状の螺旋部２１を挿入し、最後に尾栓を接着して
形成したものである。その他の構造は前述したカ
ートリツジ式棒状化粧料容器と同じで同一要素は
同一符号が付されている。

〔考案の効果〕

本考案によれば、ブロツクを本体内に内設して
構成していることから、繰出機構は、カートリツ
ジが挿着されたときに働くことができ、従つて、
キヤツプをしたまま誤つて本体を回転させても化
粧料の繰り出されることがない。

更に、ブロツクを本体内に収納させるために、
嵌合パイプ又は螺旋部のみを用いるだけで、従来
の繰出機構のようにバネ手段を使用することがな
く、従つて製造工程を簡単化できる。

また、ブロツク及び嵌合パイプ又は螺旋部は、
直列状に並ぶことから、それらが合成樹脂製にも
かかわらず容器全体を細くすることができると共
に、カートリツジ筒の案内孔を断面多角形状に形
成してその孔壁各辺に化粧料を内接線接触させて
案内するから、化粧料の摩耗損失やガタつきを最
小限に抑え使用に快適な化粧品を提供する効果が
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案を実施したカートリツジ式棒
状化粧料容器の縦断面図である。第２図は、化粧
料を繰り出したカートリツジ式棒状化粧料容器の
縦断面図である。第３図は、本考案の他の実施例
のカートリツジ式棒状化粧料容器の縦断面図であ
る。第４図は、第２図４−４線における横断面拡
大図である。第５図は、第２図５−５線における
横断面拡大図である。第６図は、他の実施例のカ
ートリツジ筒の縦断面図である。第７図は、第６
図の把持部の一部切除した斜視図である。第８及
び第９図は、更に他の実施例のカートリツジ筒の
縦断面図である。 主要符号の説明、１……化粧料、２ａ……案内
孔、３……カートリツジ筒、５……進退軸、６…
…把持部、６ａ……化粧料把持爪、７……スプリ
ング、２０……本体、２１……螺旋部、２２……
嵌合パイプ、２３……ブロツク、２４……板バ
ネ、２５……押棒。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 キヤツプ２６の内径よりは小さい大外径部の内
   周を断面多角形状の案内孔２ａ，６２ａ，８２
   ａ，９２ａに形成し、該大外径部に続く細径部３
   ｄの内周を後方孔２ｂとして形成し、該後方孔２
   ｂ内に、前記案内孔に摺接して進退し得る同様多
   角形状輪郭の化粧料把持部６，６６，８６，９６
   を先端に設けた進退軸５の常時後端方向への弾性
   力を作用させて収容し、後端に前記進退軸を脱落
   させない貫通孔を有する尾栓４を嵌着して成るカ
   ートリツジ筒３，６３，８３，９３と、 後端内周に螺旋部２１を形成し、該螺旋部の内
   径より大なる拡大内径部分を中間に残して先端内
   側に、該拡大内径部分よりは小径で、前記カート
   リツジ筒３の細径部３ｄを摺接させずに挿入させ
   る内径の嵌合パイプ部２２を設けて成る合成樹脂
   製の筒状本体２０と、 前記拡大内径部分内に、前記嵌合パイプ部及び
   螺旋部と直列的状態で、筒状本体２０に対し相対
   回転可能に嵌め込んだ、前端内周に前記カートリ
   ツジ筒３の細径部３ｄを挿入して摩擦係合により
   把持する前方孔２３ａを有し後端に前記尾栓４の
   貫通孔と整合する後方孔２３ａを有する合成樹脂
   製のカートリツジ保持ブロツク２３と、 前記筒状本体２０の後端内に挿入され、後端の
   突起部２５ａを前記螺旋部２１と螺合させ、先端
   を前記カートリツジ保持ブロツクの後方孔２３ａ
   内に非回転的に挿入されて前記尾栓４を通つて前
   記進退軸５の後端に単に当接するようにされた押
   棒２５と から成り、 以つて前記カートリツジ筒を前記筒状本体に挿
   着した時、該カートリツジの大外径部と筒状本体
   とを相対回転させて前記押棒を前進させると、カ
   ートリツジ筒から化粧料が所望量突出され、反対
   回転させると前記押棒が戻されると共に化粧料が
   弾性的にカートリツジ内に復帰するようにしたこ
   とを特徴とするカートリツジ式棒状化粧料容器。