JPH0325128Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は推力軸受の温度及び油膜厚さ測定装置
に関し、異常事態を監視するのに必要な温度及び
油膜厚さを、少数のセンサで正確に検出できるよ
うにしたものである。

水車発電機には推力軸受が多用されている。こ
のような推力軸受では、第１図ａ及びパツドを上
方から見た第１図ｂに示すように、回転する主軸
１に回転円板２が固定されており、この回転円板
２は、油槽３に溜められた油４中に浸漬してい
る。油槽３の底面には複数のパツド（メタル）５
が還状に配置されており、パツド５が油膜を介し
て回転円板２に対面している。そして、このよう
な軸受では、従来、温度センサ（サーチコイルや
熱電対等）６をパツド５に埋設しており、更に油
膜厚さセンサ（渦電流形非接触変位計）７をパツ
ド５に備えている。しかも、温度センサ６により
パツド５の温度を検出し、油膜厚さセンサ７によ
り油膜厚さεを検出しており、パツド５の温度が
高かつたり、油膜厚さεが薄かつたりした場合に
は、異常であると判断して水車を停止している。

ところで従来技術の最大の欠点は、温度及油膜
厚さの各センサ６，７が取付けられている近傍だ
けの情報しか得られず、したがつて分割された各
パツド５の温度又は油膜厚さを確実に知るには全
パツドにセンサ６，７を取付けねばならないこと
である。また各パツド５にセンサ６，７を取付け
たとしても、大きなパツドではやはりセンサー近
傍の局部的な温度又は油膜厚さを知るにすぎな
い。したがつて温度・油膜厚さが各パツド及び各
パツドの位置により複雑に変化している。推力軸
受の温度・油膜厚さを精度良く検出するには不十
分であつた。

本案は、上記従来技術に鑑み、少数のセンサー
で軸受全体の温度分布及び油膜厚さを、精度良く
測定出来る推力軸受の温度及び油膜厚さ測定装置
を提供することを目的とする。かかる目的を達成
する本考案の構成は、回転する主軸に固定された
回転円板と、この回転円板に油膜を介して対面す
るよう環状に配置された複数のパツドとを有する
推力軸受において、前記パツドの温度を検出する
温度センサ及び前記油膜の厚さを検出する油膜厚
さセンサを回転円板に備えるとともに、温度セン
サ及び油膜厚さセンサからの検出信号を増幅する
アンプを主軸とともに回転する回転部に設置し、
更にアンプの出力を外部に取り出すためのスリツ
プリングを備えたことを特徴とする。

以下本考案の実施例を図面に基づき詳細に説明
する。

第２図ａは本考案の実施例を示し、第２図ｂは
その回転円板の底面を示す。両図において、１は
主軸、２は回転円板、３は油槽、４は油、５はパ
ツドであり、これらは第１図に示した従来技術と
同様である。更に本実施例では、温度応答速度の
速い３個の輻射形温度センサ８が回転円板２に径
方向に並んで備えられている。また渦電流形非接
触変位計である３個の油膜厚さセンサ９は、回転
円板２に径方向に並んで埋設されている。リード
線１２を介して温度センサ８及び油膜厚さセンサ
９から受けた検出信号を増幅するプリアンプ１０
は、主軸１とともに回転する回転部に設置されて
いる。そしてプリアンプ１０で増幅された信号は
計器用スリツプリング１１を介して外部に取り出
されるようになつている。

かかる本実施例では水車の回転により主軸１並
びに回転円板２が回転すると、温度センサ８及び
油膜厚さセンサ９は、複数のパツド５上を順次走
査して行くことになり、一回転で全部のパツド５
上を走査する。しかも温度センサ８も油膜厚さセ
ンサ９も、回転円板２の径方向に亘る三箇所に分
散して配置しているため、三つの円周上にある全
パツド５の表面温度及びパツド５と回転円板２間
の油膜厚さを連続的に検出することができる。第
３図に油膜厚さεの検出信号を、また第４図にパ
ツド表面温度の検出信号を示す。第３図から油膜
厚さεを連続的に検出可能であることがわかる。
また、第４図からパツド表面温度が連続的に検出
可能であることがわかる。そこで、計器用スリツ
プリング１１から出される信号を監視しておき、
この信号が異常値になつた際に直ちに水車を停止
することにより軸受の損傷を防止できる。

以上実施例とともに具体的に説明したように本
考案によれば次のような効果を奏する。

(1) １個のセンサで同一円周上の全パツドの油膜
厚さが計測されるため従来では不可能であつた
パツド全体の油膜厚さ分布が詳しく測定出来
る。

(2) 油膜厚さセンサの必要数が大巾に減せるため
経済的に有利である。

(3) 従来では油膜厚さセンサ（渦電流形変位計）
の大きさにより取付スペースに制約を受け多く
のセンサが付けられなかつたものまで本考案で
十分対応出来る。

(4) １個のセンサで同一円周上の全パツドの温度
が計測されるため従来では不可能であつたバツ
ド全体の温度分布が詳しく測定出来る。

(5) 温度センサの必要数が大巾に減せるため経済
的に有利である。

(6) 温度センサの取付スペースが大巾に減り従来
不可能であつた軸受メタルの表面温度分布が確
実にわかる。

(7) 以上の結果、軸受の損傷防止に寄与する経済
的で精度の高い測定装置が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図ａは従来技術を示す構成図、第１図ｂは
そのパツドを上方から見た平面図、第２図ａは本
考案の実施例を示す構成図、第２図ｂはその回転
円板を下方から見た底面図、第３図は油膜厚さの
検出信号をパツドの位置に対応させて示す説明
図、第４図はパツド表面温度の検出信号をパツド
の位置に対応させて示す説明図である。 図面中、１は主軸、２は回転円板、４は油、５
はパツド、６，８は温度センサ、７，９は油膜厚
さセンサ、１０はプリアンプ、１１は計器用スリ
ツプリングである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転する主軸に固定された回転円板と、この回
   転円板に油膜を介して対面するよう環状に配置さ
   れた複数のパツドとを有する推力軸受において、
   前記パツドの温度を検出する温度センサ及び前記
   油膜の厚さを検出する油膜厚さセンサを回転円板
   に備えるとともに、温度センサ及び油膜厚さセン
   サからの検出信号を増幅するアンプを主軸ととも
   に回転する回転部に設置し、更にアンプの出力を
   外部に取り出すためのスリツプリングを備えたこ
   とを特徴とする推力軸受の温度及び油膜厚さ測定
   装置。