JPH05292704A - 回転子異常監視装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 回転電機の回転子のコイルエンドを支持する
Ｕボルトの伸びや、回転子の各部の温度の異常を監視す
る装置を実現する。 【構成】 第１の手段は、Ｕボルト４の電気抵抗値を測
定する電気回路７を回転部に形成し、抵抗値の測定デー
タを静止部に設置した演算処理装置10に非接触で伝送
し、その信号をＵボルト４の伸び量に換算して、そのデ
ータと予め設定させている伸び量の警報レベル値と比較
して異常を監視する。第２の手段は、回転子１の所望温
度検知部に温度検出センサ23を設け、そのセンサ23の出
力信号をデジタル変換し、光素子28，29を介して非接触
で静止部の演算装置30に入力し、演算回路出力信号ｂを
予め警報値設定回路（36）に設定させている温度の警報
レベル値と比較して異常を監視する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は回転電機の回転子コイル
エンドの変形量又は所望部の温度を監視する回転子異常
監視装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】運転状態における回転子コイルエンドの
変形量を測定し、監視することは、回転子と固定子との
接触事故が発生した場合の電力系統への波及を考えると
きわめて重要な課題である。また、回転子のコイル又は
スラスト軸受回転板、ガイド軸受ジャーナル部、ブレー
キリング等の使用温度には限界がある。

【０００３】大容量巻線形回転子のコイルエンドは、遠
心力をＵボルトで支える構造のものがある。このような
回転子のコイルエンド半径方向へ移動量を測定監視する
ために最近は図３に示すように立軸形回転子（１）の下
側でエアーギャップ（19）を見通すことができる位置に
レーザビーム（13）用光源装置（14）を設け、光源装置
からレーザビーム（13）をエアーギャップ（19）内軸方
向に照射して、回転子の上側の静止部に取り付けられた
受光装置（15）と光ファイバ（16）によって、回転子コ
イルエンド（３）の変形量をレーザビーム受光量の変化
として検出する光電変換器（17）および演算処理装置
（18）からなる監視装置が採用されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上記従来の構成のもの
では、次に述べるような問題点がある。

【０００５】（１） 回転子コイルエンドの変形量を検
出するのに適した断面形状のレーザビーム（13）を発生
させる光源装置（14）が複雑で高価である。

【０００６】（２） 受光したレーザビーム（13）を光
信号として量子化し、更に電気信号に変換するための、
光ファイバ（16）及び光電変換器（17）等の周辺機器が
複雑で高価である。

【０００７】（３） レーザビーム（13）の長時間連続
照射においては、回転電機内のダストによるレンズの汚
れに起因する精度低下が発生し、定期的に精度調整が必
要である。

【０００８】また、第２の課題としては従来のＦＭ変調
による電気信号授受では、多数の測温部をノイズ誤差を
防いで監視することが出来ず精度良く、高信頼性で回転
子の異常高温となるのを監視する必要がある。

【０００９】本発明の第１の目的は、レーザビーム照射
による監視装置よりも簡単な構成で、長時間連続使用に
おいても精度低下が発生しない安定した信頼性の高い回
転子コイルエンドの大径化異常を監視する回転子異常監
視装置を提供することにある。また第２の目的は回転子
の異常高温化を高信頼性で監視する回転子異常監視装置
を提供することにある。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本発明は上記第１の目的
を達成するための手段として（１）回転子コイルエンド
を遠心力に対して支持するＵボルトと、回転子に取付け
コイルエンドの遠心力によるＵボルトの伸び量を電気抵
抗値の変化によって検出し電気信号を発生する変換器お
よび変換器に対向して静止部にて非接触で前記電気信号
に受信して抵抗値信号を発する受信器から成る非接触形
送受信装置と、静止部に設けられて前記抵抗値信号をＵ
ボルトの伸び量に換算して伸び量信号を発生するＵボル
ト抵抗値演算装置および前記伸び量信号を受けて予め記
憶させている伸び量の警報レベル値と比較し異常判定を
行う比較異常判定検出器から成る演算処理装置とを備え
る。又、第２の目的を達成するための手段として、
（２）回転子コイル又はスラスト軸受回転板、ガイド軸
受ジャーナル部、ブレーキリング等の温度を検出して信
号を発生する温度検出センサと、温度検出センサの出力
信号を回転部でデジタル量に変換する変換器並びに変換
器のデジタル出力を受けて発光信号を発生する発光素子
を備えた送信ユニットおよび発光素子に対向して静止部
にて非接触で前記発光信号を受信してセンサ出力信号を
発する受光素子を備えた受信ユニットから成る非接触形
送受信装置と、受信ユニットで受けたデータを数値処理
する処理装置と、数値処理されたデータから回転子測温
部の温度を算出する演算装置と、予め記憶させている判
定値算出回路の温度上昇の警報レベル値と比較する比較
器と、比較器が異常信号を発した場合に、異常表示器お
よび警報器の少なくとも何れか一方を動作させる警報回
路とを備える。

【００１１】

【作用】本発明は第１の目的を達成するために（１）項
のように構成したので、回転子コイルエンドを支持する
Ｕボルトの伸び量をＵボルト単体の電気抵抗値を測定す
ることによって間接的に検出し、その測定値信号を回転
側から静止側の演算処理装置に非接触で伝送することが
でき、Ｕボルトの伸び量、即ち回転子コイルエンドの変
形量を精度よく連続的に監視することが可能である。

【００１２】また第２の目的を達成するために、（２）
項のように構成したので、多数の回転子コイル又は各部
の温度を精度よく連続的に静止部に伝達できる。また、
温度演算装置を介して所望部の温度を算出し、この値を
警報レベル値と比較できるため、回転子各部温度の異常
を迅速かつ確実に検出することができる。

【００１３】

【実施例】（実施例１）以下本発明の第１の実施例につ
いて図１及び図２を参照して説明する。

【００１４】（１）は可変速発電電動機の図示しない主
機を駆動する電動機の回転子、（２）は回転軸である。
（３）は回転子コイルエンドで、Ｕボルト（４）によっ
て支持され、回転中の遠心力による変形を防ぐように設
計製作されている。

【００１５】Ｕボルト（４）は、回転子コイルエンド
（３）の内径側に位置し、回転子（１）に図示しない構
造物により固定された支えリング（５）に取り付けられ
ている。（６）は非接触形送受信装置で回転軸（２）に
取り付けられた回転側の変換器（６ａ）とそれに対向す
る静止部に取り付けられた静止部の受信器（６ｂ）とに
よって構成され、回転部から静止部へと信号がＦＭ発受
信又は光通信等を媒体として伝送される。

【００１６】Ｕボルト（４）と変換器（６ａ）との間は
運転中のＵボルト（４）の電気抵抗値が連続的に測定で
きるような電気回路（７）が形成されている。（８）は
絶縁スリーブ、（９）は絶縁端子であって、Ｕボルト
（４）単体の電気抵抗値が測定できるように、Ｕボルト
（４）を周辺の構造物から電気的に絶縁している。

【００１７】（10）は静止部に設置された演算処理装置
で静止部の受信器（６ｂ）内に伝送された測定値が入力
される。演算処理装置（10）はＵボルト（４）の電気抵
抗値をＵボルト（４）の伸び量に変換するＵボルト抵抗
値演算装置（10ａ）と、演算された測定値と予め記憶さ
せてあるＵボルト（４）の伸び量の警報レベル値とを比
較し、異常判定を行う。比較異常判定検出器（10ｂ）と
で構成される。

【００１８】次に上記実施例１の作用について説明す
る。

【００１９】Ｕボルト（４）は運転中、回転子コイルエ
ンド（３）の遠心力により半径方向に伸ばされることに
なる。Ｕボルト（４）の伸び量の変化はＵボルト単体の
電気抵抗値の変化として連続的に測定できるので、この
測定値を非接触形送受信装置（６）によって静止部に設
置した演算処理装置（10）に入力して、抵抗値の変化を
Ｕボルト（４）の伸び量の変化に換算して、予め記憶し
てある警報レベル値と比較し、異常判定を行うことがで
きる。

【００２０】以上の本実施例１によれば、回転子コイル
エンド（３）の変形量を簡単な構成で、連続的に精度よ
く測定することができ、安価で安定した異常監視装置を
提供することができる。

【００２１】（実施例２）図４は第２の実施例の全体の
システム構成図を示す。

【００２２】温度センサ（たとえばサーモカップル）
（23）により検出された回転子コイル温度を電気信号に
変換する回転子（１）の上面に置かれた変換器（24）
と、この電気信号をデジタル化し、発光素子（28）にて
静止部に送信するための回転部送信ユニット（25）を取
りつけ、これに対向する静止部には受光素子（29）を有
する受信ユニット（26）を空隙を介して取りつける。
尚、受信ユニット（26）には送信ユニット（25）の受光
素子（29ａ）をトリガするために常時オンの発光素子
（28ａ）を設け、送信ユニット（25）にトリガ用受光素
子（29ａ）を設ける。

【００２３】受信ユニット（26）は送受信速度を高める
ために、図５に示すように周方向に複数個（この場合は
４個）設置する。

【００２４】受信ユニット（26）で受けたデータを数値
処理するために処理装置（27）を設ける。

【００２５】処理装置（27）により数値処理されたでデ
ータから回転子コイル温度の算出は演算装置（30）で行
い、異常が生じた場合の判定演算は、比較器（31）で、
又、異常時の処置は警報回路（32）で、又、警報回路以
降には異常表示器（33）、警報器（34）の少なくとも何
れか一方を装備するものとする。又、センサ（23）から
の電気出力信号（ａ）、演算装置（30）からの演算回路
出力信号（ｂ）、警報値設定回路（36）の警報レベル値
（ｃ）、比較器（31）での異常信号（ｄ）、警報回路
（32）での警報信号（ｅ）等は逐一記録装置（35）にて
データを記録する。

【００２６】次に上記実施例２の作用を説明する。

【００２７】回転子コイル温度は変換器（24）で電気信
号に変換され、静止部受信ユニット（26）の使用時常時
オンしている発光素子（28ａ）の信号を回転部送信ユニ
ット（25）の受光素子（29ａ）で受け、これをトリガと
してサンプリングを行いデータを送信する。

【００２８】このデータにはどのチャンネルのデータで
あるかを判別するアドレスのデータもつける。このデー
タの送受信は各々の光素子（28），（29）が対向してい
る間に行われる。

【００２９】データ通信の一例は図６に示すようにな
る。即ち、回転部送信ユニット（25）はトリガを受ける
毎にチャンネルを更新していく。静止部の受信ユニット
（26）を周方向に複数個配置することにより、１回転周
期の間に複数個のチャンネルデータを送受信することが
可能となる。各々の受信ユニット（26）で受けたデータ
は処理装置（27）でパラレル化し、数値処理される。

【００３０】数値処理された多数の回転子コイル温度の
センサ出力信号（ａ）はコイル温度演算装置（30）に入
力され、この演算装置（30）において信号（ａ）から回
転子コイル温度の信号すなわち演算回路出力信号（ｂ）
が算出されるようになっている。

【００３１】次に演算回路出力信号（ｂ）は比較器（3
1）に入力され、予め定められた警報レベル値（ｃ）と
の比較を行い、演算回路出力信号（ｂ）が警報レベル値
（ｃ）を超えた場合に、異常信号（ｄ）を出力する。ま
た図４においてセンサ出力信号（ａ）、演算回路出力信
号（ｂ）、異常信号（ｄ）はそれぞれ記録装置（35）に
入力される。

【００３２】比較器（31）から出力された異常信号
（ｄ）は、警報回路（32）に入力され、警報信号（ｅ）
が異常表示器（33）、警報器（例えばブザー）（34）等
を動作させ、かつ、警報信号（ｅ）も記録装置（35）に
入力される。

【００３３】次にこの実施例２の効果を説明する。

【００３４】本実施例２により多数の回転子コイル温度
を非接触で静止部に連続的に通信することができる。さ
らにデジタル化した信号を光素子を介して送受信できる
ため、耐ノイズ性を高めることができ、データ送受信に
おける誤差を小さくできる。また演算回路によりコイル
温度を算出して警報レベル値と比較するため、常時回転
子コイル温度の異常を迅速かつ確実に検出できる異常監
視装置が得られる。

【００３５】（他の実施例）上記実施例２では回転部の
測定対象として回転子コイル温度としたが、この他にも
回転子のスラスト軸受回転板の温度、ガイド軸受ジャー
ナル部の温度、ブレーキリング温度等も監視できる。

【００３６】

【発明の効果】以上説明したように本発明の第１の手段
によれば、Ｕボルトで支持した回転子コイルエンドの変
形量を簡単な構成で、連続的に精度よく測定することが
できるので、極めて実用性が高く、安価で安定した信頼
性の高い回転子異常監視装置を提供することができる。

【００３７】また第２の手段によれば、従来のＦＭ変調
による電気信号授受方式ではノイズ発生のため多数の回
転子測温部を精度よく監視できなかったのに比べ、本発
明ではデジタル化した信号を光素子を介して非接触でし
かも多数送受信できるため、回転子の多数の測温部を連
続的に精度よく静止部に伝えることができる。また、静
止部に伝えられたデータから演算装置を介して所望温度
を算出し、この値を警報値設定回路の警報レベル値と比
較する構成にしているので、回転子所望部温度の異常を
迅速かつ確実に検出することが可能な回転子異常監視装
置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の回転子異常監視装置の第１の実施例を
示す一部断面ブロック図。

【図２】図１の要部拡大断面図。

【図３】従来例を示す一部断面ブロック図。

【図４】本発明の第２の実施例を示す一部断面ブロック
図。

【図５】図４の発光素子および受光素子の配置を示す説
明図。

【図６】図４のデータ通信の一例を示すタイムチャー
ト。

【符号の説明】

１…回転子 ４…Ｕボルト ７…電気回路 10…演算処理装置 23…温度検出センサ 28…発光素子 29…受光素子 30…演算装置 36…警報値設定回路

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転子コイルエンドを遠心力に対して支
   持するＵボルトと、回転子に取付けコイルエンドの遠心
   力によるＵボルトの伸び量を電気抵抗値の変化によって
   検出し電気信号を発生する変換器および変換器に対向し
   て静止部にて非接触で前記電気信号を受信して抵抗値信
   号を発する受信器から成る非接触形送受信装置と、静止
   部に設けられて前記抵抗値信号をＵボルトの伸び量に換
   算して伸び量信号を発生するＵボルト抵抗値演算装置お
   よび前記伸び量信号を受けて予め記憶させている伸び量
   の警報レベル値と比較し異常判定を行う比較異常判定検
   出器から成る演算処理装置とを備えたことを特徴とする
   回転子異常監視装置。
2. 【請求項２】 回転子コイル又はスラスト軸受回転板、
   ガイド軸受ジャーナル部、ブレーキリング等の温度を検
   出して信号を発生する温度検出センサと、温度検出セン
   サの出力信号を回転部でデジタル量に変換する変換器並
   びに変換器のデジタル出力を受けて発光信号を発生する
   発光素子を備えた送信ユニットおよび発光素子に対向し
   て静止部にて非接触で前記発光信号を受信してセンサ出
   力信号を発する受光素子を備えた受信ユニットから成る
   非接触形送受信装置と、受信ユニットで受けたデータを
   数値処理する処理装置と、数値処理されたデータから回
   転子測温部の温度を算出する演算装置と、予め記憶させ
   ている判定値算出回路の温度上昇の警報レベル値と比較
   する比較器と、比較器が異常信号を発した場合に、異常
   表示器および警報器の少なくとも何れか一方を動作させ
   る警報回路とを備えたことを特徴とする回転子異常監視
   装置。