JPH0319902B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、内燃機関のヘツドガスケツト保護装
置に関するものである。

［従来の技術］ 近年、内燃機関の過給化、高出力化に伴つて燃
焼時の爆発圧力が増大すると共に熱負荷が増大
し、そのためヘツドガスケツトによる燃焼ガスの
シールが著しく困難で、ヘツドガスケツトを耐熱
性にすぐれた高価な材料で構成する必要が生じて
いる。特に高出力デイーゼル機関においては、ヘ
ツドガスケツトの燃焼ガスシール部がより高温、
高圧の条件下にさらされるため、ヘツドガスケツ
トの吹き抜け、亀裂、破損等が生じるという問題
がある。

そのため、従来、第１図及び第２図に示すよう
な構成によりヘツドガスケツトを保護するように
したものは知られている。第１図に示したもの
は、シリンダブロツク１に挿嵌したシリンダライ
ナ２の上端面に環状の突部２ａを設け、その突部
２ａによつてシリンダライナ２とシリンダヘツド
３との間に介設したヘツドガスケツト４を保護し
ようとするものであり、第２図に示したものは、
シリンダブロツク１１に挿嵌したシリンダライナ
１２の上端面に環状の突部１２ａを設け、その突
部１２ａの外側にフアイヤリング１３を配置し、
それらによつてシリンダライナ１２とシリンダヘ
ツド１４との間に介設したヘツドガスケツト１５
を保護しようとするものである。

しかしながら、上記のものはいずれもヘツドガ
スケツト４，１５を燃焼室５，１６から完全に遮
断したものではなく、そのためヘツドガスケツト
４，１５の燃焼ガスシール部が燃焼室５，１６内
の高熱にさらされるのは避けられず、また熱伝導
率の大きい金属を用いているため、ヘツドガスケ
ツトに燃焼室の高温が伝わり易く、従つてヘツド
ガスケツトを燃焼ガスから保護するには不充分で
あり、ヘツドガスケツト４，１５をステンレス鋼
板等の耐熱性を備えた特殊鋼で構成する必要があ
る。

［発明が解決しようとする課題］ 上記に鑑み、本発明は、簡易な手段でヘツドガ
スケツトを燃焼室から遮断することにより、その
ヘツドガスケツトを高価で耐熱性にすぐれた特殊
材料で形成することなく、安価な汎用材料で形成
することのできるヘツドガスケツト保護装置を提
供しようとするものである。

［課題を解決するための手段］ 上記課題を解決するため、本発明のヘツドガス
ケツト保護装置は、シリンダヘツドとシリンダと
の間に、ヘツドガスケツトを介設すると共に、そ
のシリンダヘツド及びシリンダの一方または双方
に設けた環状溝に、ヘツドガスケツトを燃焼室か
ら遮断するセラミツクス製のヘツドガスケツト保
護部材を、ヘツドガスケツトと一体化することな
く別部材のものとして配設することにより構成さ
れる。

［作用］ 熱伝導率の小さなセラミツクス製の保護部材に
よつて、ヘツドガスケツトを燃焼室から遮断して
いるので、燃焼室内の高温ガスが直接的にヘツド
ガスケツトに触れるのを防いでヘツドガスケツト
の熱負荷を減少できる。

また、セラミツクス製のヘツドガスケツト保護
部材は、ヘツドガスケツトと一体化することな
く、別部材のものとしてシリンダヘツドとシリン
ダとの間の環状溝に配設しているので、ヘツドガ
スケツトの加工精度等とは無関係に上記環状溝に
取付け得るばかりでなく、ヘツドガスケツトと全
面的に密着しないため、両者間の熱伝導が抑制さ
れ、しかもセラミツクスからなるヘツドガスケツ
ト保護部材がヘツドガスケツトとの熱膨張係数の
差に基づいて大きな応力を受けることもない。

［実施例］ 以下に本発明の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

本発明の実施例の要部を示す第３図において、
２１はシリンダヘツド、２２はシリンダブロツ
ク、２３は上記シリンダブロツクに嵌着したシリ
ンダライナで、シリンダヘツド２１とシリンダ即
ちシリンダブロツク２２ないしはシリンダライナ
２３との間に、ヘツドガスケツト２４を介設する
と共に、シリンダライナ２３の上面とシリンダヘ
ツド２１に形設した環状溝２１ａとの間に、ヘツ
ドガスケツト２４と一体化することなく別部材と
してセラミツクスにより環状に構成したヘツドガ
スケツト保護部材２５を配設し、それによつてヘ
ツドガスケツト２４を燃焼室２６から遮断してい
る。なお、図中、２７はピストンを示している。

上記ヘツドガスケツト保護部材２５の高さとシ
リンダヘツド２１の溝２１ａの深さとの関係は、
シリンダヘツド２１をシリンダブロツク２２上に
締着した状態において、その保護部材２５の上面
が溝２１ａの底面と接するか、それらの間に若干
の隙間が存在するようにすればよく、また保護部
材２５と溝２１ａは必ずしも緊密に嵌合させる必
要はなく、さらにその保護部材２５を構成するセ
ラミツクスとしては、エンジニアリング用の高性
能セラミツクス、即ち窒化珪素、炭化珪素、窒化
アルミニウム及びサイアロン等を用いることがで
きる。

第４図は、本発明の他の実施例を示すもので、
環状のヘツドガスケツト保護部材３１の上下両端
部を、シリンダヘツド３２及びシリンダライナ３
３に形設した環状溝３２ａ，３３ａに挿嵌してい
る。

なお、その他の構成は第３図のものと略同様で
あり、従つて同等部分に同一の符号を付して説明
を省略する。

而して、上記ヘツドガスケツト保護部材が嵌入
する溝は、第３図及び第４図の実施例に示した態
様ばかりでなく、シリンダライナのみにそれを凹
設することもできる。

また、上記各実施例は、シリンダとしてシリン
ダブロツクにシリンダライナを嵌着した場合を示
しているが、上記ヘツドガスケツト保護装置は、
シリンダライナを嵌着しない場合についても適用
することができる。

［発明の効果］ このような本発明のヘツドガスケツト保護装置
によれば、ヘツドガスケツトをセラミツクス製の
保護部材によつて燃焼室から遮断し、燃焼室内の
高温ガスが直接的にヘツドガスケツトに触れるの
を防止したので、ヘツドガスケツトの熱負荷を減
少させ、ヘツドガスケツトな高価な特殊材料によ
ることなく、安価な汎用材料によつて構成して
も、ヘツドガスケツトとしての耐久性を保持させ
ることができる。

また、上記保護部材をヘツドガスケツトと連結
一体化すると、複数のシリンダボアを有するヘツ
ドガスケツトの場合などには、その保護部材相互
間の位置の精度を確保する必要があるなど、その
製造を簡単且つ容易に行うことができないもので
ある。

しかるに、本発明においては、上記セラミツク
ス製のヘツドガスケツト保護部材を、ヘツドガス
ケツトと一体化することなく、別部材のものとし
て構成しているので、上述した保護部材相互間の
位置の精度を確保する必要がなく、またヘツドガ
スケツトとは無関係に上記環状溝に嵌合して取付
けることができるので、その組立、破損時の交換
及び保守管理等を容易に行うことができる。

さらに、上記ヘツドガスケツト保護部材は、ヘ
ツドガスケツトと全面的に密着しないため、それ
らの間の熱伝導も効果的に抑制され、しかも、セ
ラミツクスからなるヘツドガスケツト保護部材
は、ヘツドガスケツトとの熱膨張係数の差に基づ
いて大きな応力を受けることもなく、それが破損
したりするのも防止できる 従つて、結果的にヘツドガスケツトを安価な汎
用材料で形成することが可能になる。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はそれぞれ異なる従来例の部
分断面図、第３図及び第４図は本発明のそれぞれ
異なる実施例の部分断面図である。 ２１，３２……シリンダヘツド、２１ａ，３２
ａ，３３ａ……環状溝、２３，３３……シリンダ
ライナ、２４……ヘツドガスケツト、２５，３１
……ヘツドガスケツト保護部材、２６……燃焼
室。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ シリンダヘツドとシリンダとの間に、ヘツド
   ガスケツトを介設すると共に、そのシリンダヘツ
   ド及びシリンダの一方または双方に設けた環状溝
   に、ヘツドガスケツトを燃焼室から遮断するセラ
   ミツクス製のヘツドガスケツト保護部材を、ヘツ
   ドガスケツトと一体化することなく別部材のもの
   として配設したことを特徴とする内燃機関のヘツ
   ドガスケツト保護装置。