JPH0318579B2 - - Google Patents

Info

Publication number
JPH0318579B2
JPH0318579B2 JP58148410A JP14841083A JPH0318579B2 JP H0318579 B2 JPH0318579 B2 JP H0318579B2 JP 58148410 A JP58148410 A JP 58148410A JP 14841083 A JP14841083 A JP 14841083A JP H0318579 B2 JPH0318579 B2 JP H0318579B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
birefringence
belt
polyester
strength
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP58148410A
Other languages
English (en)
Other versions
JPS6040233A (ja
Inventor
Kazuo Kurita
Hideaki Ishihara
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP58148410A priority Critical patent/JPS6040233A/ja
Publication of JPS6040233A publication Critical patent/JPS6040233A/ja
Publication of JPH0318579B2 publication Critical patent/JPH0318579B2/ja
Granted legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Belt Conveyors (AREA)
  • Reinforced Plastic Materials (AREA)
  • Moulding By Coating Moulds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
本発明は産業用機械に使用されるコンベアベル
ト等の平ベルトおよびVベルトに関する。 従来この種のベルトは脂肪族ポリアミド、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリビニルアルコール
などの合成繊維よりなるフイラメント織物を基布
とし、耐摩耗性のあるゴム質または可撓性樹脂を
被覆したものが使用されているが、強力、伸度、
耐薬品性などの点で充分なものとは言い難い。す
なわち平ベルトやVベルト等に要求される特性は
高強力、低伸度および耐薬品性である。高強力が
必要なことは当然であり、それと同時に適度な低
い伸度が要求される。伸度が高すぎると経時的に
ベルトにたるみを生じさせる。極端に低伸度の場
合はベルトに充分な張力を与えることが困難にな
る。高強力のベルトを製造するには太デニール糸
を経糸として用いることができるが、重量や厚み
が増大し、運搬や取扱上の作業面で好ましくな
い。 これらの課題を解決するために、実開昭52−
120775号公報において、ポリパラフエニレンテレ
フタルアミドを主体とする繊維とポリメタフエニ
レンイソフタルアミドを主体とする繊維より成る
合撚糸を経糸に用い、ポリメタフエニレンイソフ
タルアミドを主体とする繊維を緯糸に用いてなる
ベルトが提案されているが、長期間にわたり使用
すると耐摩耗性に問題があり、ベルトとベルト駆
動部の接触面においてベルトが摩耗し、次第にベ
ルトの強力が低下するという欠点がある。これは
ポリパラフエニレンテレフタルアミド繊維が剛直
な高分子鎖から成つているため摩耗性が低いこと
に起因する。一方実開昭52−120774号公報におい
て、金属繊維を芯にし、該芯の外周を全芳香族ポ
リアミド繊維でとり囲んでなるコアスパン糸を経
糸として用い、全芳香族ポリアミド繊維を緯糸と
して用いてなる織ベルトを同時に提供している
が、この場合に全芳香族ポリアミド繊維がポリパ
ラフエニレンテレフタルアミド繊維の場合は上記
と同様な耐摩耗性に関する欠点を有している。ま
た産業用機械に用いられるベルトは、産業分野に
より種々の薬品、最も一般的に用いられるのは硫
酸等の酸或いは苛性ソーダ等のアルカリといつた
薬品によりベルトが濡れたり、また湿潤する場合
があり、こういつた場合はポリパラフエニレンテ
レフタルアミド繊維の強力は、酸、アルカリ等に
よる腐蝕により急激に低下すると共に耐摩耗性が
顕著に低下することも判明している。 このような現状のもとに、本発明者らは高強力
と適度の伸度を保有し、酸、アルカリ等による腐
蝕に耐え、かつ優れた耐摩耗性を有するベルトの
構成について鋭意研究の結果、本発明に到達した
のである。 すなわち、本発明の要旨は、下記(イ)〜(チ)の特性
を有するポリエステル繊維からなる撚糸を用いた
基布に、ゴム質または可撓性樹脂を片面あるいは
両面に被覆してなるベルトである。 (イ) 繰返し単位の85モル%以上がエチレンテレフ
タレートよりなるポリエステル (ロ) IV≧0.50 (ハ) △nA−△nB<0 (ニ) △n≧180×10-3 (ホ) LP≧160Å (ヘ) SG≧1.390 (ト) SHD≦15% (チ) dpf≦35 (但し、上記(イ)〜(チ)において、IVは固有粘度、
△nA、△nBは繊維断面内における複屈折率で、 △nA:r/R=0.9の位置における繊維の複屈折
率 △nB:r/R=0.0の位置における繊維の複屈折
率 R:繊維断面の半径 r:繊維断面の中心軸からの距離 △nは繊維の複屈折率、LPは小角X線回折に
おける繊維長周期、SGは比重、SHDは160℃に
おける乾熱収縮率、dpfは単糸デニールを表わし、
それらの定義は本文の記載に従うものとする。) また、さらに好ましくは、上記(イ)〜(チ)の特性の
ほかに、さらに下記(リ)〜(レ)の特性を同時に満
足するベルトである。 (リ) 0.65≦IV≦1.20 (ヌ) △n≧195×10-3 (ル) △nA−△nB≦−1.0×10-3 (オ) LD≧170Å (ワ) 3%≦DE≦10% (カ) DT≧10g/d (ヨ) OA≦8゜ (タ) Tα≧160℃ (レ) Tp≧210℃ (但し、上記(ワ)〜(レ)において、DEは切
断伸度、DTは切断強度、OAは広角X線回折に
より求められる(100)面の配向角、Tαは110c/
sにおける力学的損失正接の温度分散に現われる
主分散のピーク温度、Tpは定長昇温熱応力ピー
ク温度を表わし、定義は本文の記載に従うものと
する。) 本発明のベルトを構成するポリエステル繊維
は、通常の熱可塑性ポリマー繊維に比べて繊維断
面内の複屈折率の分布が逆転しており、繊維外層
部分よりも内層部分の方が複屈折率が高いという
特異な複屈折率分布を有している。また、繊維長
周期が160Å以上(好ましくは、170Å以上)であ
つて通常の高強力ポリエステル繊維に比べて長
く、切断伸度が3%以上10%以下でかつ繊維の複
屈折率△nが180×10-3以上(好ましくは195×
10-3以上)であり、しかも広角X線回折による
(100)面の配向角が8゜以下であつて非常に高い結
晶配向度を有すると共に、微細構造的にも超延伸
構造に対応する傾向を持つている。加えて比重は
1.390以上、定長昇温熱応力ピーク温度は210℃以
上、乾熱収縮率SHDは15%以下であり、十分に
延伸熱処理された物性値を示す。又最も重要な実
用性能というべき繊維の切断強度DTは10g/d
以上であり、従来の高強力ポリエステル繊維の強
度が高々9.5g/dであるのに比べて著しく改善
されている。 以上のことから、本発明のベルトを構成する高
強力ポリエステル繊維は、従来より存在している
高強力ポリエステル繊維と比較すると、全く新規
な微細構造を有しているものといえる。しかも特
に素材自体の分子量は極端に高くする必要がな
く、固有粘度が0.51以上、好ましくは0.58〜1.0程
度のもので十分である。勿論、ポリマーの分子量
は高い方が好ましいが微細構造的に改良されたも
のである点に本発明のポリエステル繊維最大の特
徴がある。 従来高強力ポリエステル繊維を製造する方法と
して高分子量のポリエステルを使用する方法
(USP2880057、フランス特許1261056号、特公昭
53−1367号)、太デニールモノフイラメントによ
る方法(特開昭51−15021号)、高分子量ポリエス
テルを用いて紡糸した後、多段延伸する方法
(USP3651198号)、紡糸時の冷却固化を遅らせる
方法等が提案されている。しかしながら、本発明
ポリエステル繊維の様に低デニールフイラメント
で繊維断面内の複屈折率の分布が、繊維外層部分
よりも内層部分の方が複屈折率が高いという特異
な複屈折率分布を与えることによつて高強強力繊
維としての要請を満足しようとする思想自体はこ
れまでに提案されたことがない。 上記の様な特異な微細構造は固有粘度が0.51以
上、好ましくは0.58〜1.00で、構成単位の少くと
も85%がポリエチレンテレフタレートからなるポ
リエステルを用いた場合を有効に発現され、殊に
高強力化、耐疲労性向上等に顕著な効果が発揮さ
れる。これは、ポリエチレンテレフタレートを主
成分とするポリエステル繊維の場合、従来法で
は、低デニール高強力フイラメントの繊維断面内
複屈折率分布は、繊維外層部分が内層部分よりも
高くなりやすく、そのために繊維の曳糸性や延伸
性が阻害され実質的に高強力化に寄与するタイ分
子鎖の数を増加させることが困難になつているた
めと考えられる。 また本発明においては単繊維デニールが35d以
下であるところにも特異性を有している。これは
単繊維デニールが大きくなると、糸条内層部分に
均一な延伸応力集中を発現させることが困難とな
り、逆に延伸性を阻害する要因となるためであ
る。 従来より知られている高強力ポリエステルフイ
ラメントの結晶配向度は、(100)面の配向角
(OA)で10゜以上、結晶配向度fc(下記〔1〕式) fc=180−OA/180×100(%) ……〔1〕 は95%未満であるのに対し、本発明を構成する高
強力ポリエステル繊維の場合は(100)面の配向
角で8゜未満、結晶配向度(fc)で表示すると95%
以上であり著しく高い結晶配向度を有している。
又、延伸熱履歴のメジヤーである定長昇温熱応力
ピーク温度が210℃以上であることも、本発明を
構成するポリエステル繊維の大きな特徴である。
特に該ピーク温度が210℃未満であると、本発明
の特徴である繊維断面内の複屈折率の特異な分布
を発現させることが困難となる。ベルトとして用
いる場合、高温での力学特性が実用性能上、最も
重要な要素の一つとなるが、高温での力学特性評
価はかなり困難であり、実際に試験を行なつても
測定前にポリマーが劣化する等のトラブルが起り
やすく測定精度、再現性に問題がある。 本発明者らは、高温での繊維の力学特性を代表
するメジヤーとして動的粘弾性の温度依存性、力
学温度分散特性を110c/sの正弦歪を与えた状態
で評価した。その結果、損失正接(Tanδ)が最
大となる温度(Tα)が、通常の高強力ポリエス
テル繊維であれば高々160℃未満であるが、本発
明のベルトを構成するポリエステル繊維は、該温
度(Tα)が160℃以上という高い値を示す。Tα
は、非晶部分のポリマーの剛直性を示すものであ
り、Tαが高い方が高温における力学特性の低下
度合いが小さい。従つて本発明のベルトを構成す
る高強力ポリエステル繊維の高温での力学特性
は、従来公知の高強力ポリエステル繊維よりも優
れているといえる。 次に本発明にいう繊維断面内での複屈折率分布
を更に具体的に説明すると、本発明では、 △nA−△nB<0 ……(ハ) 好ましくは △nA−△nB≦−1.0×10-3 ……(ル) 〔但し、△nA、△nBは前述の通り〕 のものが選択される。(ハ)、(ル)式において△nA
は糸条外層部の△n、△nBは糸条内層部の△nを
代表するものであり、本発明のベルトを構成する
ポリエステル繊維は、糸条外層部の方が内層部よ
りも△nが小さいという非常に特異な微細構造を
有するものである。 従来のポリエステル繊維の繊維断面内における
複屈折率の分布は、外層の方が内層より高い傾向
があり、切断強度も高々9.5g/d程度しかない。
又、繊維断面内の複屈折率が、内層部より外層部
へ行くに従つて大きくなるという分布を有するこ
とが、紡糸及び延伸工程における曳糸性や延伸性
を阻害する要因となつていると考えられる。 そこで紡糸、延伸技術について鋭意研究を行な
つたところ、次の様な知見を得た。即ち、延伸工
程で例えば糸条表層部を局部的に加熱しながら延
伸する等によつて伸長応力を糸条中心部に集中さ
せることができれば、延伸変形パターンが非常に
マイルドになり、到達最高延伸倍率を通常の延伸
法に比べて高めることができる。しかも従来の延
伸糸で指摘される様に、『糸条表層部に延伸応力
が集中して歪欠陥が生じ繊維強度が理論強度より
も大幅に低下する』という現象が抑制され、最終
的な繊維内微細構造をClarkらの提唱する超延伸
構造〔参考文献:W.N.Taylor、Jr.、E.S.Clark、
Polym.Eng.Sci.、18、518(1978)〕に近づけるこ
とが可能になり、従来の産業資材用高強力繊維に
比べて卓越した引張強度及び破断強度を有するポ
リエステル繊維を得ることが可能となる。一方、
特開昭51−15021号公報に見られる様に、単糸デ
ニールが1000d以上の太デニールポリエステルモ
ノフイラメントであれば、フイラメントの表面の
近くにおける重合鎖セグメントの低い配向部を除
けば、実質的に均一な内部構造を有するものも知
られているが、該公開明細書にも明示されている
様に低デニールフイラメントに対して適した方法
であるからといつて、太デニールモノフイラメン
トに対して同等の性質を与えることはできない。
またこの公開明細書に記されているモノフイラメ
ントの切断強力は高々8.4g/dに過ぎず、本発
明の意図する様な低デニールの高強力フイラメン
トとは全く異なるものである。 本発明は上記の様な知見を基に研究の結果完成
されたものである。 次に上記の様な特性を有するポリエステル繊維
の製造法について簡単に説明するが、本発明はも
とより下記の方法に限定されている訳ではない。
本発明のポリエステル繊維の製造に当つては紡糸
延伸工程、特に延伸工程が重要である。即ち、例
えばIV≧0.58のポリエステルを溶融紡糸して得た
複屈折率0.002〜0.060の未延伸糸を紡糸に連続し
て、又は一旦巻取つた後延伸する際に、未延伸糸
第1供給ローラと100℃以下に維持された未延伸
糸第2供給ローラとの間において、1.10倍以下の
予備延伸を行い、次いで第1延伸ローラとの間に
おいて全延伸倍率の40%以上の第1段延伸を行う
のが良く、必要に応じて未延伸糸第2供給ローラ
と第1延伸ローラとの間に高温加圧蒸気噴出ノズ
ルを設け、ノズル温度を200℃以上にして高温蒸
気を噴出させ、高温加圧蒸気噴出ノズル付近に延
伸点を固定させる。更に第2段延伸を行う際に、
第1延伸ローラと第2延伸ローラとの間に設けら
れた雰囲気温度170〜420℃のスリツトヒーター
(糸条走行路としてスリツトを設けた加熱装置で、
該スリツト中に非接触状態で糸条を走行させなが
ら加熱するもの:雰囲気温度とは該スリツト内の
温度を言う)中を糸条が0.3秒以上滞在できる様
に通過せしめ、しかる後、第2延伸ローラに供す
る。その際、スリツトヒーター中に温度勾配を設
け、糸条入口の雰囲気温度を170℃以上、出口雰
囲気温度を420℃以下とし、且つ200〜420℃の雰
囲気に糸条が0.3秒以上滞在できる様に糸条を通
過させることが好ましい。又、2段延伸終了後、
一旦巻取ることなく連続的に、あるいは一旦巻取
つた後に、230〜165℃で10%以下のリラツクス処
理を行うことにより、寸法安定性を更に向上させ
ることも可能である。 本発明で意図するベルトの原料たるポリエステ
ルとは、p−クロロフエノール/テトラクロロエ
タン=3/1(重量比)の溶媒中30℃で測定した
固有粘度が0.50以上、好ましくは0.65〜1.20で、
構成単位の85モル%以上、好ましくは95モル%以
上がエチレンテレフタレートからなるものであ
り、少量混入させることのできる他の構成単位と
してはジエチレングリコール、炭素数が1〜10の
他のポリエチレングリコール、ヘキサヒドロ−p
−キシレングリコール、イソフタル酸、ジ安息香
酸、p−tert−フエニール−4,4′−ジカルボン
酸、ヘキサヒドロテレフタル酸等の芳香族ジカル
ボン酸、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸、ヒ
ドロキシ酢酸等のヒドロキシ酸等が挙げられ、こ
の様なポリエステル素材は通常の溶融紡糸法によ
つて繊維化される。 このようなポリエステルには必要に応じて艶消
し剤、顔料、光安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、
帯電防止剤、染色性向上剤或は接着性向上剤等を
配合することができ、配合の如何によつて本発明
の特性に重大な悪影響を与えるもの以外は、全て
利用できる。 本発明における基布の製法は通常用いられる平
織、綾織等いずれの方法でもよいが平織が最も好
ましい。 本発明に言うゴム質あるいは可撓性樹脂とは、
ポリウレタン樹脂、スチレン−ブタジエンゴム、
クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、
ジエンゴム等を言う。 産業用機械に使用されるコンベヤ−ベルト等の
平ベルトは、片面のみベルト駆動ローラーに圧接
されて駆動する場合と、ニツプローラーによりベ
ルトの両面を圧接されて駆動する場合とがあり、
機械の駆動系により異なる。従つて樹脂の被覆は
用途によりベルトの片面あるいは両面に樹脂を塗
布、含浸またはスプレーなどする。また樹脂膜を
基布に重ねて加熱加圧し圧着させる方法で行うこ
ともできる。 本発明のベルトは、特許請求の範囲に記載した
ごとく構成せしめた結果、従来のベルトに比較し
高強力であるとともに、用途に適した適度の伸度
を保有することができ、さらに耐摩耗性ならびに
耐薬品性を兼ね備えたベルトである。 以下に本発明を構成する繊維の構造の特定や物
性の測定に用いられる主なパラメータの測定法に
ついて述べる。 <固有粘度の測定法> 75重量%のp−クロロフエノールと25重量%の
テトラクロルエタンからなる混合溶剤中で測定す
る。 重合体を室温において溶剤中に溶解し且つ粘度
の測定をオストワルド−フエンスケ毛細粘度計中
で30℃において行なう。 固有粘度は、溶液粘度の溶媒粘度に対する比の
自然対数を溶液100ml当りの重合体のグラム数で
表わした重合体溶液の濃度によつて除した値が濃
度ゼロに近づくときの極限値である。 <複屈折率(△n)の測定法> ニコン偏光顕微鏡POH型ライツ社ベレツクコ
ンペンセーターを用い、光源としてはスペクトル
光源用起動装置(東芝SLS−3−B型)を用いた
(Na光源)。5〜6mm長の繊維軸に対し45゜の角度
に切断した試料を、切断面を上にして、スライド
グラス上に載せる。試料スライドグラスを回転載
物台にのせ、試料が偏光子に対して45゜になる様、
回転載物台を回転させて調節し、アナライザーを
挿入し暗視界とした後、コンペンセーターを30に
して縞数を数える(n個)。コンペンセーターを
右ネジ方向にまわして試料が最初に暗くなる点の
コンペンセーターの目盛a、コンペンセーターを
左ネジ方向にまわして試料が最初に一番暗くなる
点のコンペンセーターの目盛bを測定した後(い
ずれも1/10目盛まで読む)、コンペンセーターを
30にもどしてアナライザーをはずし、試料の直径
dを測定し、下記の式にもとづき複屈折率(△
n)を算出する(測定数20個の平均値)。 △n=Γ/d Γ:レターデーシヨン、=nλ0+ε λ0=589.3mμ ε:ライツ社のコンペンセーターの説明書のC/
10000とiより求める i=(a−b)(:コンペンセーターの読みの差) <繊維断面内の△n分布の測定法> 透過定量型干渉顕微鏡を使用して得られる中心
屈折率(n⊥、0及びn、0)及び外層屈折率
(n⊥、0.9及びn、0.9)の値によつて、本発
明の繊維の特異な分子配向が明らかとなり、本発
明の繊維の優れた強度との関連を示すことができ
る。透過定量型干渉顕微鏡(例えば東独カールツ
アイスイエナ社製干渉顕微鏡インターフアコ)を
使用して得られる干渉縞法によつて、繊維の側面
から観察した平均屈折率の分布を測定することが
できる。この方法は円形断面を有する繊維に適用
することができる。繊維の屈折率は、繊維軸の平
行方向に振動している偏光に対する屈折率(n
)と繊維軸の垂直方向に振動している偏光に対
する屈折率(n⊥)によつて特徴づけられる。こ
こに説明する測定は全て光源としてキセノンラン
プを用い、偏光下、干渉フイルター波長544mμ
の緑色光線を使用して得られる屈折率(n及び
n⊥)を用いて実施される。以下nの測定及び
nより求められるn、0とn、0.9につい
て詳細に説明するが、n⊥(n⊥、0及びn⊥、
0.9)についても同様に測定できる。試験される
繊維は光学的にフラツトなスライドグラス及びカ
バーグラスを使用し、0.2〜1波長の範囲内の干
渉縞のずれを与える屈折率(nE)をもつ繊維に対
して不活性の封入剤中に浸漬する。封入剤の屈折
率(nE)は緑色光線(波長λ=544mμ)を光源
としてアツベの屈折計を用いいて測定した20℃に
おける値である。この封入剤はたとえば流動パラ
フインとα−ブロムナフタリンの混合液より1.48
〜1.65の屈折率を有するものが調整できる。この
封入剤中に1本の繊維を浸漬する。この干渉縞の
パターンを写真撮影し、1000倍〜2000倍に拡大し
て解析する。第1図に略示した如く繊維の封入剤
の屈折率をnE、繊維のS′−S″間の平均屈折率をn
、S′−S″間の厚みをt、使用光線の波長をλ、
バツクグランドの平行干渉縞の間隔(1λに相当)
をDn、繊維による干渉縞のずれをdnとすると、
光路差Lは L=dn/Dnλ=(n−nE)t で表わされる。試料の屈折率をnsとすると、封入
液の屈折率n1及びn2は、 ns<n1 ns>n2 の2種のものを用いて第1図に示すような干渉縞
のパターンを評価する。 L1=d1/D1λ=(n−n1)t L2=d2/D2λ=(n−n2)t n=L1n2−L2n1/L1−L2 ……〔2〕 従つて〔2〕式にもとづいて繊維の中心から外
周までの各位置での光路差から、各位置の繊維の
平均屈折率(n)の分布を求めることができ
る。厚みtは得られる繊維が円型断面と仮定して
計算によつて求めることができる。しかしながら
製造条件の変動や製造後のアクシデントによつ
て、円形断面になつていない場合も考えられる。
このような不都合を除くため、測定する個所は繊
維軸を対称軸として干渉縞のずれが左右対称にな
つている部分を使用することが適当である。測定
は繊維の半径をRとすると0〜0.9Rの間を0.1R
の間隔で行ない、各位置の平均の屈折率を求める
ことができる。同様にしてn⊥の分布も求められ
るので複屈折率分布は次式 △n(r/R)=n、r/R−n⊥、r/R
……〔3〕 より求められる。△n(r/R)は少なくとも3
本のフイラメント、好適には5〜10本のフイラメ
ントについて測定したものを平均して得られる。 <繊維の強伸度特性の測定法> 東洋ボールドウイン社製テンシロンを用い、試
料長(ゲージ長)100mm、伸長速度=100%/分、
記録速度500mm/分、初荷重1/30g/dの条件で
単繊維のS−S曲線を測定し切断強度(g/d)、
切断伸度(%)、初期弾性率(g/d)を算出し
た。初期弾性率は、S−S曲線の原点付近の最大
勾配より算出した。各特性値の算出に関し、少な
くとも5本のフイラメント、好適には10〜20本の
フイラメントについての測定したものを平均して
得られる。 <小角X線回折による繊維長周期LPの測定法> 小角X線散乱パターンの測定は、例えば理学電
機社製X線発生装置(RU−3H型)を用いて行な
う。測定には管電圧45KV、管電流70mA、銅対
陰極、ニツケルフイルターで単色化したCuKα
(λx=1.5418Å)を使用する。サンプルホルダー
に繊維試料を単糸どうしが互いに平行になるよう
に取り付ける。試料の厚さは0.5〜1.0mm位になる
ようにするのが適当である。この平行に配列した
繊維の繊維軸に垂直にX線を入射させ理学電機社
製PSPC(Position Sensitive Proportional
Counter)システムを用いて測定する。本システ
ムの概要は、例えば〔Polmer Journal、vol.13、
501(1981)〕に詳しく紹介されている。 測定条件は、0.3mmφ×0.2mmφ中ピンホールコ
リメータを用い、 試料とプローブ間距離:400mm MCA(マルチチヤンネルアナライザー) 測定チヤンネル数:256 測定時間:600秒 とした。データの処理は、測定散乱強度から空気
散乱強度を差し引いたものを移動平均処理により
求め、その強度最大位置を読みとることにより、
長周期小角散乱角度2αから、下記〔4〕式に従
い、繊維長周期を算出する〔第2図A,B参照:
図中1は試料、2はPSPCプローブ、3はポジシ
ヨン・アナライザー、4はMCA、5は表示部を
夫々示す〕。 LP=λx/2sinα ……〔4〕 λx=1.5418Å 移動平均処理は、次式に従つて算出する。 I(S)Ni=N+Ki=N-K I(S)i/2K+1 ただし、上式中、I(S)N及びI(S)iは、それ
ぞれチヤンネルナンバーN及びiの測定散乱強度
(空気散乱強度を差し引いた強度)、Kは移動平均
の採用点数(ここではK=7)、N−K>0、N
+K≦256 <配向角(OA)の測定法> 繊維の配向角(OA)の測定は、例えば理学電
機社製X線発生装置(RU−3H)、繊維測定装置
(FS−3)、ゴニオメーター(SG−7)及びシン
チレーシヨンカウンタを用いて実施する。測定に
はニツケルフイルターで単色化したCuKα(波長
λ=1.5418Å)を使用する。 配向角の測定は(100)面反射の2θを使用する。
使用される反射の2θは、赤道線方向の回折強度曲
線から決定される。 X線発生装置は45KV、70mAで運転するもの
とし、繊維測定装置に繊維試料を単糸どうしが互
いに平行となるように取り付ける。試料の厚みは
0.5mm位になるようにするのが適当である。 予備実験により決定された2θ値にゴニオメータ
ーをセツトする。この平行に配列した繊維の繊維
軸に垂直にX線を入射させる(ビーム垂直透過
法)。方位角方向を−30゜〜+30゜走査し、シンチ
レーシヨンカウンターで回折強度を記録紙に記録
する。さらに−180゜と+180゜の回折強度を記録す
る。 この時、スキヤニングスピード4゜/min、チヤ
ートスピード1.0cm/min、タイムコンスタント
2秒あるいは5秒、コリメーター1mmφ、レシー
ビングはスリツト縦横とも1゜である。 得られた回折強度曲線から配向角を求めるに
は、±180゜で得られる回折強度の平均値を取り、
水平線を引く。ピークの頂点から基線に垂直をお
ろし、その高さの中点を求める。中点を通る水平
線を引く。この水平線と回折強度曲線の交点間の
距離を測定し、この値を角度(゜)に換算した値
を配向角(OA)とする。 <力学温度分散> 東洋測器社製Rheovibronを使用し、初糸長4
cm、昇温速度2℃/分、測定時の正弦周波数110
Hzの条件で測定し、損失正接tanδ=E′/E″が最
大となる温度(Tα)を求める。 ただし、上式中、E′は貯蔵弾性率(dyne/
cm2)、E″は損失弾性率(dyne/cm2)である。 〔詳細は、Memoirs of the Faculty of
Engineering Kyushu University、vol.23、41
(1963)参照〕 複素弾性率Eは次式で算出される。 |E|=2.0×1/A・D×109×L/S ……〔5〕 ただし、 A:tanδ測定時のアンプリチユードフアクター
(Ampl:Factor)による係数(第1表参照) D:Dynamic Force Dial値 L:試料長(cm) S:試料断面積(cm2
【表】 損失弾性率E″は E″=|E|sinδ ……〔6〕 により算出される。 <単糸デニール> JIS−L1073(1977)に従つて測定。 <乾熱収縮率> 160℃でJIS−L1073(1977)に従つて測定。 <比重> n−ヘプタンと四塩化炭素よりなる密度勾配管
を作成し、30℃±0.1℃に調温された密度勾配管
中に十分に脱泡した試料を入れ、5時間放置後の
密度勾配管中の試料位置を、密度勾配管の目盛り
で読みとつた値を、標準ガラスフロートによる密
度勾配管目盛〜比重キヤリブレーシヨングラフか
ら比重値に換算し、n=4で測定。比重値は原則
として小数点以下4桁まで読む。 <定長昇温熱応力ピーク温度> 試長4.5cm、昇温速度20℃/分、初荷重0.05
g/dの条件で、室温より溶断温度までの熱収縮
応力を測定し、熱応力が最大となる温度を求め
る。〔詳細はTextile Research Joural、vol.47、
732(1977)参照。〕 以下実施例を挙げて本発明の構成及び作用効果
を具体的に説明する。尚実施例中「部」及び
「%」は特記しない限り、「重量部」及び「重量
%」を示す。 実施例 1 第2表に示す固有粘度のポリエチレンテレフタ
レートを原料とし、同表に示す条件で紡糸を行
い、同表に示す複屈折率の未延伸糸を得た。紡糸
にあたつては、未延伸糸引取り前に適量の紡糸油
剤を糸条表面に付着させた。 得られた未延伸糸を第3表に示す条件で延伸
し、第4表に示す糸質の延伸糸を得た。第4表中
に比較例2として、市販の高強力グレードのタイ
ヤコード用ポリエステル繊維の糸質を併記する。
【表】
【表】
【表】 実施例1及び比較例2によるポリエチレンテレ
フタレート繊維よりなる1000デニール及び1500デ
ニールのマルチフイラメントヤーンを製造し、第
5表に示す条件で二重の綾織組織に製織し、平滑
剤としてシリコーン樹脂を含むウレタン樹脂を含
浸させたベルトを作成した。製品の物性は第5表
に示す様に、従来品に比較して高強力でかつ適度
の伸度を保持している。
【表】
【表】 【図面の簡単な説明】
第1図Aは本発明の繊維を干渉顕微鏡で横方向
から観察したときに見られる干渉縞を示す模式
図、同Bは繊維断面の模式図、第2図AはPSPC
システムによる小角X線回折測定における試料及
びフイルム面等の配置を示す模式図、同Bは本発
明繊維の小角X線回折パターンを示す模式図であ
る。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 下記(イ)〜(チ)の特性を有するポリエステル繊維
    からなる撚糸を用いた基布に、ゴム質または可撓
    性樹脂を片面あるいは両面に被覆してなるベル
    ト。 (イ) 繰返し単位の85モル%以上がエチレンテレフ
    タレートよりなるポリエステル (ロ) IV≧0.50 (ハ) △nA−△nB<0 (ニ) △n≧180×10-3 (ホ) LP≧160Å (ヘ) SG≧1.390 (ト) SHD≦15% (チ) dpf≦35 (但し、上記(イ)〜(チ)において、IVは固有粘度、
    △nA、△nBは繊維断面内における複屈折率で、 △nA:r/R=0.9の位置における繊維の複屈折
    率 △nB:r/R=0.0の位置における繊維の複屈折
    率 R:繊維断面の半径 r:繊維断面の中心軸からの距離 △nは繊維の複屈折率、LPは小角X線回折に
    おける繊維長周期、SGは比重、SHDは160℃に
    おける乾熱収縮率、dpfは単糸デニールを表わし、
    それらの定義は本文の記載に従うものとする。) 2 ポリエステル繊維が、さらに下記(リ)〜(レ)
    の特性を同時に満足する特許請求の範囲第1項記
    載のベルト。 (リ) 0.65≦IV≦1.20 (ヌ) △n≧195×10-3 (ル) △nA−△nB≦−1.0×10-3 (オ) LP≧170Å (ワ) 3%≦DE≦10% (カ) DT≧10g/d (ヨ) OA≦8゜ (タ) Tα≧160℃ (レ) Tp≧210℃ (但し、上記(ワ)〜(レ)において、DEは切
    断伸度、DTは切断強度、OAは広角X線回折に
    より求められる(100)面の配向角、Tαは110c/
    sにおける力学的損失正接の温度分散に現われる
    主分散のピーク温度、Tpは定長昇温熱応力ピー
    ク温度を表わし、定義は本文の記載に従うものと
    する。) 3 ゴム質あるいは可撓性樹脂がポリウレタン樹
    脂、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴ
    ム、エチレンプロピレンゴム、ジエンゴムからな
    る群から選ばれた1種または2種以上の組合せで
    ある特許請求の範囲第1項または第2項記載のベ
    ルト。
JP58148410A 1983-08-12 1983-08-12 ベルト Granted JPS6040233A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP58148410A JPS6040233A (ja) 1983-08-12 1983-08-12 ベルト

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP58148410A JPS6040233A (ja) 1983-08-12 1983-08-12 ベルト

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPS6040233A JPS6040233A (ja) 1985-03-02
JPH0318579B2 true JPH0318579B2 (ja) 1991-03-12

Family

ID=15452163

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP58148410A Granted JPS6040233A (ja) 1983-08-12 1983-08-12 ベルト

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPS6040233A (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2503509B2 (ja) * 1987-05-14 1996-06-05 東洋紡績株式会社 ベルト

Also Published As

Publication number Publication date
JPS6040233A (ja) 1985-03-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0056963B2 (en) Polyester fiber dyeable under normal pressure and process for the production thereof
JP2733547B2 (ja) 高強靭性の高モジュラスポリアミド糸およびそれの製造方法
US4414169A (en) Production of polyester filaments of high strength possessing an unusually stable internal structure employing improved processing conditions
JPS63528B2 (ja)
JPS63529B2 (ja)
JPH0210243B2 (ja)
JPS61194209A (ja) 高強力ポリアミド繊維及びその製造法
JPS5947726B2 (ja) ポリエステル繊維の製造法
KR860001502B1 (ko) 뛰어난 강도를 가지는 폴리아미드섬유 및 그 제조방법
JPH01162820A (ja) ポリエステル繊維の直接紡糸延伸方法
JPH0318579B2 (ja)
JP5862076B2 (ja) スクリーン紗用ポリエステルモノフィラメント
JPS591714A (ja) ポリエステル繊維
JPH0232161B2 (ja)
JPS6038206A (ja) 空気入りタイヤ
JPS6036210A (ja) ベルト
JPS62133108A (ja) 高強度高タフネスポリアミド繊維の製造方法
JPH0413456B2 (ja)
JP3259483B2 (ja) 高強度ポリフッ化ビニリデンモノフィラメント及びその製造方法
JPS6240454B2 (ja)
JPH0549847B2 (ja)
JPS6240453B2 (ja)
JPS62268814A (ja) 高強力ポリアミド繊維の製造法
JPS59167402A (ja) ベルト
JPH0378269B2 (ja)