JPH0317214Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は水道メータに関するものであり、更に
詳しくは水道メータのレジスタユニツトに対する
磁気の影響を排除する目的で使用される防磁リン
グの構造を改良した水道メータに関するものであ
る。

従来の技術 水道メータは、レジスタユニツト１に記録され
る水量の読み取り値に磁気的な外乱に起因する誤
差を生じるのを防止するため、第３図に例示する
ように上インナケース２内に円筒状の防磁リング
３を嵌め込んだ後、該防磁リング３の内側に水量
記録機構４、シールドリング５、上台板６および
ガラス板７からなるレジスタユニツト１を装着し
ている。このような水道メータに於いて、防磁リ
ング３は、円筒状をなすその側壁部を防磁部材と
して機能させ水量記録機構４に対する水道メータ
の外部からの磁力の影響を排除しているが、底部
を開口状態のまま放置しているため、水量記録機
構４の下面に掛かる水圧に対しては受圧部材とし
て機能することができない。

考案が解決しようとする問題点 従つて、水量記録機構４の下面に水圧が掛かる
ことを防止するため、公知の水道メータに於いて
は、レジスタユニツト１を嵌装支持し受圧部とし
て機能する合成樹脂製の上インナケース２の底部
８の肉厚を増大させ下インナケース９内を流れる
水流に対して剛性の高い受圧部位を形成してい
る。しかしながら、上記の如く上インナケース２
の底部８の肉厚を増大させると、プラスチツク成
形に際して寸法精度に低下を来し易く、また、底
部８の肉厚不同に起因する収縮差や内部応力の発
生等の問題も発生する。

本考案の主要な目的は、在来の水道メータ、殊
に合成樹脂製の上インナケースに認められた上記
の如き問題点を解消し得る防磁リングを備えた水
道メータを提供することにあるる。

問題点を解決するための手段 斯かる目的に鑑みて本考案は、合成樹脂材料か
ら成形された上インナケース１１内に防磁リング
１２を介してレジスタユニツト１３を嵌装支持し
てなる水道メータ１０に於いて、前記防磁リング
１２を炭素含有率の低い軟鉄シート製の有底円筒
状受圧部材に形成することを要旨とするものであ
る。

作 用 炭素含有率の低い軟鉄シートをプレス加工する
ことによつて製作された有底円筒状の防磁リング
１２は、レジスタユニツト１３に対して防磁機能
を発揮するのみならず、その底部を上インナケー
ス１１の底面に密着せしめることによつて、レジ
スタユニツト１３に対して受圧部材として機能
し、上インナケース１１の肉厚の減少に寄与す
る。

実施例 第１図および第２図は、本考案に係る水道メー
タの構造を例示する傾斜図ならびに一部を断面で
示す正面図である。

先ず第１図に示す実施態様に於いては、防磁リ
ング１２は、厚さ約1.8mmの低炭素含有率を有す
る軟鉄シートから深絞りによるプレス成形品とし
て製作されている。即ち、防磁リング１２は、円
筒状をなす側壁部１４の下端に、上インナケース
１１の底壁１５に密着する底板１６を連設した有
底円筒状の受圧部材として一体成形されている。
防磁リング１２は、レジスタユニツト１３に対し
て防磁機能を発揮すると共に、上インナケース１
１の底面にかかる水圧に対して受圧部材として機
能するものであり、その全体的な形状は、その底
板１６を上インナケース１１の底壁１５の厚み減
少部材として機能させ得る限りレジスタユニツト
１３の形状と寸法に応じて自由に選択することが
できる。図示する実施態様に於いては、水量記録
機構２３を嵌装支持するシールドリング１８、な
らびに上インナケース１１への防磁リング１２の
固定位置に狂いが生じるのを防止するため、該防
磁リング１２の側壁部１４の上縁、ならびに底板
１６の適当な位置に、前記シールドリング１８、
ならびに上インナケース１１に設けられた突起
（図示省略）が嵌まり込む係止用の切欠き１９お
よび／または係止孔２０を設けている。ガラス板
２１、上台板２２、水量記録機構２３ならびにシ
ールドリング１８からなるレジスタユニツト１３
は、上記防磁リング１２を介して上インナケース
１１内に嵌着され、この状態で該上インナケース
を水量記録機構２３を駆動するためのマグネツト
２６ならびにフアンホイール１７を回転自在に軸
支する下インナケース２５と一体構造に接合する
ことによつて水道メータ１０を構成している。

これに対し第２図に示す第２の実施態様に於い
ては、防磁リング１２は、厚さ約２mmの低炭素含
有率を有する軟鉄シートから深絞りによるプレス
成形品として製作されている。この第２の実施例
に於ける上インナケース１１は、熱可塑性合成樹
脂の射出成形によつて製作された円筒状の側壁形
成部材２７の底端部に、水道メータ１０の中心部
に向かつてくぼみの深さが漸増する摺鉢状の上面
形状を備えた底壁形成部材１５を接着することに
よつて形成されており、これに対応して前記防磁
リング１２も、円筒状をなす側壁部１４の下端
に、水道メータ１０の中心部に向かつてくぼみ深
さが漸増する摺鉢形の底板１６を連設した有底円
筒状部材として一体成形されている。この第２の
実施例に於いては、上インナケース１１は、別個
に成形された側壁形成部材２７と底壁形成部材１
５とを接着することによつて有底円筒状の器体を
形成しているから、前記第１の実施例と異なり底
壁形成部材１５の厚みの選択幅が比較的制約を受
けない。しかしながら、この場合にも防磁リング
１２は、水量記録機構２３に対して防磁部材兼用
の受圧部材として機能するから、上インナケース
１１の底壁形成部材１５に肉厚の薄い部分が存在
してもレジスタユニツト１３に実用上充分な防磁
性能と耐圧性能を付与することができる。

考案の効果 以上の説明から理解し得る如く、低炭素含有率
を有する軟鉄シート製の有底円筒状防磁リングを
使用することによつて、水道メータの外周面に水
量記録機構の計測値を変更しようとして磁石が近
付けられた際にも、該磁石の磁石線が水量記録機
構に到達しない良好な防磁状態を確実に作り出す
ことができる。従つて、水道メータは、外部から
の妨害があつた場合にも、水量記録機構に誤動作
を発生せしめることのない良好な防磁性能と耐圧
性能を取得することができる。本考案の防磁リン
グは炭素含有率の低い軟鉄シートを材質としたこ
とにより、有底円筒形状に深絞りプレス成形する
ことが容易で加工性が良く、コスト的にも低減化
が図れる。また、本考案によればレジスタユニツ
トを嵌裝支持する上インナケースの底壁部肉厚が
薄い場合あるいは該部に肉厚不同が存在する場合
にも良好な防磁性能を取得することができるか
ら、水道メータの設計の自由度を大幅に増大せし
めることも可能となる。斬くして本考案は、水道
メータの読み取り値の正確な表示と、強度の向上
に対して顕著な効果を発揮することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は、本考案に係る水道メー
タの構造を例示する斜視図ならびに一部を断面で
示す正面図である。また第３図は、在来の水道メ
ータの構造を例示する斜視図であ。 １１……上インナケース、１２……防磁リン
グ、１３……レジスタユニツト、１０……水道メ
ータ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 合成樹脂材料から成形された上インナケース内
   に防磁リングを介してレジスタユニツトを嵌装支
   持してなる水道メータに於いて、前記防磁リング
   を炭素含有率の低い軟鉄シート製の有底円筒状受
   圧部材で形成し、防磁効果と、受圧部の補強効果
   とを兼ね備えたことを特徴とする水道メータ。