JPH0317078B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、ヘツダー管とパイプの接続位置を一
方の側に集めた点検補修作業性にすぐれる熱交換
器の分岐配管構造に関するものである。本発明の
配管構造は、蓄熱式の空間システムや給液システ
ムなどを形成するための第１及び第２熱交換系か
らなる複合熱交換装置における第１熱交換系を形
成する場合に好適に用いられる。

背景技術 従来、建築物の地下部等に貯液槽を設け、この
槽中に第１熱媒体を通すための配管系を設置する
とともに第２熱媒液を蓄え、該配管系を介して第
１熱媒体と第２熱媒体とを熱交換させ、その第２
熱媒体を建築物内に供給し、その供給域と該槽と
を循環させるようにした建築物の空調システムが
提案されている。このシステムは、第１熱媒体と
第２熱媒体とで形成される第１熱交換系と、第２
熱媒液と当該供給域とで形成される第２熱交換系
とからなる複合熱交換系であり、第２熱交換系が
未使用のときすなわち、第２熱媒液を目的域（供
給域）に供給しないとき、第１熱交換系のみを稼
働させて第２熱媒液に蓄熱させる蓄熱システムと
して利用できる利点を有している。

しかし、前記の提案は当該システムを概念的に
説明するにとどまり、その第１熱交換系を形成す
るための配管構造を具体的に提示するものではな
かつた。

本発明者らは、建築物の空調システムのそれに
とどまらず、船舶や野外等における建築物の空調
システム、給液システムとして適用可能な当該複
合熱交換装置における第１熱交換系を形成するた
めの配管構造を開発するために鋭意研究を重ねた
結果、ヘツダー管間に介在させるべきパイプとし
て架橋系ポリエチレン製のものが好ましく用い得
ることを見出した。すなわち、従来一般の熱交換
器に常用されていた銅パイプやポリエチレンパイ
プあるいは塩化ビニルパイプでは、パイプ中を流
れる第１熱媒体の削剥作用によるパイプの薄肉化
が著しく、そのほかに銅パイプでは溶解による第
１熱媒体、第２熱媒体液の汚染問題、ポリエチレ
ンパイプではストレクスクラツキングによるパイ
プの破壊問題などがあつて実用に供することがで
きない。架橋系ポリエチレンパイプを用いること
により前記の問題点は解消される。

しかしながら、架橋系ポリエチレンパイプの場
合、その接続処理が塩化ビニルなどの他のプラス
チツクほどに容易でない。したがつて、該パイプ
で配管を形成する場合その接続部に対する配慮が
特に必要となる。

発明の開示 本発明は、その配管構造における架橋系ポリエ
チレンパイプとヘツダー管との接続位置を工夫し
たものである。

すなわち、本発明は、熱交換器内を循環する第
１熱媒体の入方又は出方となる少なくとも１対の
ヘツダー管、前記ヘツダー管のそれぞれにより、
対を形成する他方のヘツダー管の方向とほぼ平行
な方向に向つて分岐する複数の副ヘツダー管、及
び前記副ヘツダー管よりそのほぼ直角方向に派生
して迂回状態に入方と出方からなる１対の前記副
ヘツダー管間に連通介在する架橋系ポリエチレン
パイプからなり、第２熱媒液中に浸潰される熱交
換器の分岐配管構造を提供するものである。

本発明においては、肉厚が影響するパイプの強
度と熱交換度との関係における平衡性、作業時の
取扱い性、耐食性、衛生性、耐熱性、耐ストレス
クラツキング性、殊に湾曲部での耐久性などの点
ですぐれることから架橋系ポリエチレンパイプが
用いられる。パイプを形成する架橋系ポリエチレ
ンとしては、例えばポリエチレンに有機過酸化物
を配合した加熱下に橋かけ構造を形成する化学架
橋系ポリエチレン、ポリエチレンとビニルトリメ
トキシシラン、ビニルトリエトキシシランなどの
ような不飽和シラン化合物と有機過酸化物とを用
いてシラングラフト体としたもの又はエチレンと
前記不飽和シラン化合物とを用いて共重合体とし
たもののような水により架橋して橋かけ構造を形
成する水架橋系ポリエチレン（特開昭56−第8446
号公報、特公昭48−第171号公報）などをあげる
ことができる。本発明における該パイプは、前記
の架橋系ポリエチレンのみからなつていてもよい
し、必要に応じて酸化防止剤、カーボンブラツ
ク、顔料、その他の配合剤を含有していてもよ
い。水架橋系ポリエチレンについては、そのほか
にジプチル錫ジラウレートのようなシラノール縮
合触媒を含有していてもよい。該パイプ、殊に水
架橋系のものは、その配管作業時に架橋がすでに
完了していてもよいし、進行途中ないし未進行で
あつてもよい。架橋したポリエチレンパイプは、
物理的（機械的）、化学的特性にすぐれるが、本
発明においては、第２熱媒液として水が好ましく
用いられるので、水架橋系ポリエチレンパイプが
有利に用いられる。

次に、本発明の分岐配管構造を図面に基づいて
説明する。

実施例は、冷房システムに関するものである。
第１図のように本発明の配管構造を適用した複合
熱交換装置は、水等の第２熱媒液を入れるための
貯液槽１、この槽中に設置された２本のヘツダー
管２と、それぞれのヘツダー管より３本ずつ分岐
した副ヘツダー管３と、上下に５列、左右に３列
配列された柔軟性を有する架橋系ポリエチレンパ
イプ４とからなり、本発明の構造を有するグリコ
ール等の第１熱媒体を通すための配管、第１熱媒
体を冷すための冷却器５、該配管及び冷却器内を
第１熱媒体に循環させるためのポンプ６、貯液槽
中で配管を介して第１熱媒体と熱交換した第２熱
媒液を目的域９に供給するための供給管７並びに
供給管を介して第２熱媒液を目的域と貯液槽の間
を循環させるためのポンプ８からなつている。

第２図のように該配管における２本のヘツダー
管２は、貯液槽１の上部及び底部にそれぞれ配置
されており、上部のものは第１熱媒体の出方、下
部のものはその入方として機能する。対を形成す
るそれぞれのヘツダー管より他方のヘツダー管の
方向とほぼ平行な方向に向つてその近くまで派生
する副ヘツダー管３は、それぞれ対応する出方又
は入方の副ヘツダー管として機能し、その自由端
は閉塞状態となつている。入方及び出方からなる
１対の副ヘツダー管間には、柔軟性を有する架橋
系ポリエチレンパイプ４がＵ字状に曲げられた状
態（第１図）で水架橋性ポリエチレン系接着剤を
介して接続されて連通介在している。すなわち、
該パイプは副ヘツダー管の一方よりそのほぼ直角
方向に貯液槽の側壁近くまで派生し、そこでＵタ
ーンして他方の副ヘツダー管に至る状態（第１
図）で連通介在している。

なお、前記実施例におけるヘツダー管は、直径
120mm、肉厚15mm、長さ３ｍのものであり、副ヘ
ツダー管は直径60mm、肉厚６mm、長さ２ｍ、該パ
イプは直径10mm、肉厚１mm、長さ約12ｍのもので
ある。

実施例は、柔軟性を有する架橋系ポリエチレン
パイプを用いたので屈曲自在であり、必要に応じ
てパイプを曲げて副ヘツダー管間に連通介在させ
ることが可能であるとともに取扱いが容易であつ
てパイプ交換等の補修作業、配管作業が容易な利
点を有している。

本発明においては、該パイプをネツト（図示せ
ず）の格子間で保持させてもよい。ネツト該パイ
プを保持した場合、該パイプの配管をほぼ等間隔
で行うことができ、また、第２熱媒液の供給循環
時における貯液槽中でのパイプの動揺を抑制しう
る利点がある。

上記の実施例は、冷房システムに関するもので
あるが冷却器に代えて加熱器を用いることにより
暖房システムとすることができるし、また、供給
管に第２熱媒液取出口を適宜設けることにより、
冷液又は温液の供給システムを形成することも可
能である。

発明の利点 本発明によれば、架橋系ポリエチレンパイプを
用いたので長寿命で信頼性の高い配管を得ること
ができる。

また、入方と出方の副ヘツダー管の対を複数と
してその間隔を狭くしたので両端に位置する１対
の副ヘツダー管間にパイプをＵ字状あるいは蛇行
状など同形態で連通介在させる場合に比べ、連通
介在させるために要する１本当りのパイプ長さを
短かいものとすることができる。その結果、パイ
プの流動抵抗が軽減するので第１熱媒体の必要移
送圧力を低くすることができ、パイプや副ヘツダ
ー管あるいはその接続部等の応力を減少せしめる
ことができ、長期安定性にすぐれるより一層信頼
性の高い配管とすることができる。他方、同じ移
送圧力とする場合には、第１熱媒体の循環度を高
めることができる。

さらに、入方と出方のヘツダー管の対が形成す
る平面とほぼ平行に副ヘツダー管を分岐させ、副
ヘツダー管からそのほぼ直角方向にパイプを派生
させて迂回状態の配管としたので、配管効率（パ
イプ占有率）ひいては熱交換効率の高い配管とす
ることができるとともに、パイプと副ヘツダー管
との接続部を一方の側、すなわちヘツダー管の対
が形成する平面側に位置せしめることができ、一
般に故障率の高い当該接続部の点検作業、補修作
業を容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本発明の配管構造を適用した複合熱
交換装置の説明（平面）図、第２図はその配管構
造の説明（正面）図である。 ２：ヘツダー管、３：副ヘツダー管、４：架橋
系ポリエチレンパイプ。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 熱交換器内を循環する第１熱媒体の入方又は
   出方となる少なくとも１対のヘツダー管と、前記
   の対を形成するヘツダー管の一方より他方に向う
   方向とほぼ平行な方向にそれぞれのヘツダー管よ
   り分岐する複数の副ヘツダー管と、入方と出方か
   らなる１対の前記副ヘツダー管間に副ヘツダー管
   に対してほぼ直角方向に派生して迂回状態で連通
   介在する架橋系ポリエチレンパイプとからなり、
   第２熱媒液中に浸漬される熱交換器の分岐配管構
   造。 ２ パイプを形成する架橋系ポリエチレンが水架
   橋系ポリエチレンである特許請求の範囲第１項記
   載の構造。