JPH0316594Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、主として業務用に供される食器洗浄
機に関し、とくに、食器群を収容するラツクの洗
浄槽への出し入れに関して洗浄槽の上方空間の左
右および前方が開放される、いわゆる三方開き式
の食器洗浄機に関する。

（従来の技術） この種の食器洗浄機として、例えば実開昭59−
27069号公報で開示されているものが、一般に良
く知られている。このような洗浄機では、洗浄槽
の上方を箱状のフードで覆つて散水領域を区画
し、食器収容ラツクの出し入れ時には、フードを
上昇移動させて洗浄槽の上方空間の左右および前
方を開放する。フードを昇降案内するのに、一般
に左右一対のガイド支柱が設けられるが、これは
上記の三方向の開放部位を避けるためにフードの
左右後端に配置されていた。

（考案が解決しようとする課題） 上記のようなフード支持構造では、第５図に想
像線で示すように、フードが平面視で左右に傾ぐ
など、フードの閉じ姿勢で洗浄槽を覆うことがで
きないことがあつた。これは、三方開きとするた
めにフードを片持ち状に支持せざるを得ず、フー
ドの前後長が比較的大きいことも原因して、とく
に昇降構造部の寸法のバラツキの影響を受けやす
いことに起因している。フードが正規の閉じ姿勢
にないと、フードと洗浄槽との間の隙間から洗浄
水が散逸したり、第２図のような洗浄システムを
構成するについて、洗浄槽に接続されるテーブル
の連結に支障を生じるなど、使用上問題があつ
た。

また、フードの閉じ姿勢が正規でない場合、こ
れを交換する必要があるが、閉じ姿勢の適否はフ
ードをガイド支柱に組付けた後にしか判定できな
いため、フードの交換が必要となつたとき、その
手間が面倒で製造上も問題があつた。

この考案は、上記のような問題点を解消するも
のであつて、フードの洗浄槽に対する閉じ姿勢を
常に正規の状態にできるようにするとともに、製
造時におけるフードの交換組付けの手間をも解消
できるようにするものである。

（課題を解決するための手段） 先に述べたように、問題の根源はフードが片持
ち支持されていて、集積誤差のバラツキ度合でフ
ードの閉じ姿勢が大きく変わる点にある。直接的
な対応として各部材の許容誤差を小さく設定する
と、フードの姿勢変動の幅も小さくなるが、製造
コストが増加するのを免れず、単に商品化するの
には精度に限界があつて現実的ではない。

そこで、本考案では、製作誤差にバラツキがあ
ることを前提として、バラツキの度合に応じてフ
ードの姿勢を修正できるようにする点に特徴があ
る。

具体的に、本考案の解決手段は、第１図に示す
ように、洗浄槽１の上面を覆つて散水領域を区画
する箱状のフード５と、このフード５の左右側面
後部をフード５の閉じ姿勢と開き姿勢との間で上
下昇降自在に案内支持するガイド支柱７とを備え
た三方開き方式の食器洗浄機を対象とする。そし
て、前記フード５の側面に前記ガイド支柱７に対
向して上下方向に延びるスライド枠１２が固定さ
れている。前記ガイド支柱７に前記スライド枠１
２を昇降案内するガイド部材１５が装着されてい
て、このガイド部材１５には前記スライド枠１２
にその両側から接触してスライド枠１２を挟持状
態で案内する相対峙する一対の突弧状のガイド面
２１が設けられている。前記ガイド部材１５は、
そのガイド面２１のスライド枠１２との接触位置
が変化するようにスライド枠１２と直交する方向
に回動可能にかつ所定回動位置でロツク可能にガ
イド支柱７に取付けられたものである。

（作用） このことにより、本考案では、ガイド部材１５
を回動変位させると、ガイド部材１５のガイド面
２１のスライド枠１２との接触位置が変化するに
伴いスライド枠１２がそれと直交する方向に変位
し、その分だけフード５のガイド支柱７に対する
支持位置がズレる。そして、このズレに相当して
フード５の姿勢も変わる。従つて、左右の各ガイ
ド支柱７に設けられたガイド部材１５の一方ある
いは双方を調節変位させることにより、フード５
の閉じ姿勢を正規状態に修正することができる。
また、この修正操作は、フード５をガイド支柱７
に組み付けた状態のまま、フード５と洗浄槽１の
位置関係を確認しながら行うことができるので、
確実にしかも簡単なフード５の姿勢を修正するこ
とが可能となる。

（実施例） 以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳細に
説明する。

第２図に食器洗浄機Ｗを中心にした洗浄システ
ムの一例を示している。この洗浄システムは、三
方開き式の食器洗浄機Ｗと、これの洗浄槽１の右
側の開口縁に掛止連結される予洗テーブルＴ１
と、洗浄槽１の開口前縁に掛止連結される補助テ
ーブルＴ２とでコーナー設置仕様に構成されてい
る。食器は予洗テーブルＴ１のシンク２で前洗浄
された後、網カゴ状のラツク３に載せられ、食器
洗浄機Ｗの洗浄槽１に収容されて本洗浄し、洗浄
後補助テーブルＴ２側に移される。

洗浄槽１の下部の基台４内には、温水や洗剤液
を収容するタンク、ポンプ、モータ等の機器が装
備されている（いずれも図示省略）。また、洗浄
槽１とこれの上方に位置する箱状のフード５の内
部には、それぞれ洗浄ノズル６が配置されてい
る。洗浄槽１の後縁に立設された背面壁の左右両
端に、フード５を昇降案内するガイド支柱７が配
置されている。この左右のガイド支柱７，７は第
３図の如く背板２８によつて一体に連結支持され
ている。フード５は、洗浄槽１に覆い被さつて散
水領域を区画する閉じ姿勢と、第２図のように洗
浄槽１の上方空間の左右および前方を開放する開
き姿勢との間を昇降する。フード５を開閉操作す
るために、角枠状のハンドル９がフード５を取り
囲む状態に配設されている。このハンドル９は、
左右のガイド支柱７に回動軸１０を介して上下回
動自在に支持されており、その側枠前方寄りを連
動リンク１１を介してフード５に連結している。

第１図において、ガイド支柱７に対面するフー
ド５の左右側面の後端部にはスライド枠１２が、
また、その下部には昇降ローラ１３がそれぞれ設
けられており、昇降ローラ１３をガイド支柱７の
断面Ｃ字状の案内溝１４で案内し、スライド枠１
２を案内溝１４の上端に取り付けたガイド部材１
５で案内することにより、フード５がガイド支柱
７に沿つて昇降するようにしている。ガイド支柱
７は案内溝１４の溝開口同士が対向する状態で左
右に配置され、閉じ姿勢にあるフード５の上縁か
ら洗浄槽１の内底付近に至る上下高さに設定され
ている。スライド枠１２は第５図のように、フー
ド５の側面から外側方に張り出されて、ガイド支
柱７の案内溝１４内に上下平行に臨ませている。

第３図および第４図にガイド部材１５の詳細構
造を示している。ガイド部材１５は、正面視六角
形状のベース１７を基体にして、その板面一側の
上半部に曲玉状のガイド突起１８を左右対称に配
置し、上下方向中央付近の左右に一対のネジ穴１
９を形成し、さらにベース１７の下端三個所に姿
勢固定用の切欠２０を連続波形に形成したプラス
チツク成形品からなる。左右のガイド突起１８に
よつて、その対向面のそれぞれに相対峙する一対
の突弧状のガイド面２１が形成されている。この
ガイド面２１は単一径の曲面からなる摺接壁と、
これに連続して下拡がり状に傾斜する逃げ壁とで
突弧を形成している。ガイド面２１が突弧である
ため、スライド枠１２はガイド面２１と線接触状
に摺接し、ガイド面２１で両側から挾持された状
態で昇降案内される。ガイド突起１８のガイド面
２１沿いの縁には、フード５の側壁に摺接する受
止壁２２が突設されている。

ガイド部材１５は、案内溝１４の上端内面に配
置され、ガイド支柱７の外面からネジ込まれる二
本の調節ネジ２３、およびロツクネジ２４で回動
可能にかつ所定回動位置でロツク可能にガイド支
柱７に取付けられている。即ち、各ネジ２３，２
４に対応して、ガイド支柱７に二個一組のネジ挿
通穴２６と、ロツクネジ２４用のネジ穴２７がそ
れぞれ形成されている。このネジ挿通穴２６は、
ガイド支柱７の側壁の上下線を挾む線対称位置
に、円弧状の長穴として形成する。ネジ挿通穴２
６を介して各調節ネジ２３をガイド部材１５のネ
ジ穴１９にネジ込み、ロツクネジ２４をガイド支
柱７のネジ穴２７にネジ込んでそのネジ込み始端
を切欠２０に係合させることにより、ガイド部材
１５は完全に固定される。

以下作用を説明する。

第５図に想像線で示すように、フード５の閉じ
姿勢が正規でない場合、ガイド部材１５を操作し
て姿勢を修正する。まず、図に向つて右側のガイ
ド部材１５のロツクネジ２４と調節ネジ２３を共
に緩め、ガイド部材１５を第４図のようにネジ挿
通穴２６の円弧面に沿つて機体後方側へ回動変位
する。すると、この回動変位に見合う分だけスラ
イド枠１２を介してフード５が機体後方へ寄り、
その前端が第５図に実線で示す側へ近寄る。フー
ド５の姿勢変動幅が小さい場合は、片側のガイド
部材１５を操作するだけで良いが、それでもなお
修正量が不足する場合は、他方のガイド部材１５
を上記とは逆に機体前方へ揺動変位させて不足を
補う。フード５が図例とは逆方向へズレている場
合は、ガイド部材１５を上記の場合と逆方向に回
動変位させる。修正操作の後、調節ネジ２３およ
びロツクネジ２４を再びネジ込んで、ガイド部材
１５を回動変位姿勢に固定する。

（変形例） 第６図Ａ，Ｂ，Ｃはそれぞれネジ挿通穴２６の
変形例を示している。第６図Ａに示すものは、一
方のネジ挿通穴２６ａを直線状の長穴で形成した
ものである。また、第６図Ｂではネジ挿通穴２６
の一方を縦長に他方を横長の長穴に形成したもの
である。さらに、第６図Ｃではネジ挿通穴２６
ｂ，２６ｃの一方２６ｂを幅広の上下直線状の長
穴とし、他方２６ｃを丸穴にしたものである。こ
のように、ネジ挿通穴２６は必ずしも円弧状の長
穴で形成する必要はなく、要はガイド部材１５が
回動変位できる固定構造であれば良い。また、ネ
ジ穴１９をガイド部材１５の回動中心位置に形成
すると、調節ネジ２３は一本ですむ。

第７図はガイド部材１５の変形例を示してお
り、これでは、ガイド突起１８に代えて２個のロ
ーラ１８ａをベース１７に軸支し、その周面をス
ライド枠１２のガイド面２１とする点、および切
欠２０の数を増やしてより適正な位置でガイド部
材１５の姿勢を固定できるようにする点が先の実
施例と異なる。

第８図Ａ，Ｂはそれぞれスライド枠１２の変形
例を示している。第８図Ａに示すものは、スライ
ド枠１２のスライド面をフード５の側壁と平行な
前後方向に張り出し、前後方向の中心軸回りにガ
イド部材１５を回動変位させるようにしたもので
ある。また、第８図Ｂに示すものは、Ｔ字状に張
り出したスライド枠１２を前後二個のガイド部材
１５で調節変位できるようにしたものである。な
お、ガイド部材１５は必ずしも左右のガイド支柱
７に設ける必要はなく、左右のいずれか一方にの
み設けるようにしても良い。また、スライド枠１
２はフード５の上下ストロークに若干の余裕が加
味された上下長さに設定されている方が好まし
い。

（考案の効果） 以上の如く、本考案によれば、フード５に付設
したスライド枠１２を、ガイド部材１５で回動変
位させ、フード５のガイド支柱７に対する支持位
置を変えることにより、少なくとも閉じ姿勢にあ
るフード５の姿勢変更が可能となるので、寸法の
バラツキ等によつてフード５が正規の閉じ姿勢に
ならない場合でも、その姿勢を修正して正規の状
態に直すことができる。これにより、閉じ姿勢時
のフード５の位置ズレに基づく洗浄水の散逸や、
洗浄システム構成時におけるテーブルの連結が困
難になるなどの問題点を解消することができる。

また、フード５の姿勢修正は、フード５をガイ
ド支柱７に組み付けた状態のまま、洗浄槽１との
関係位置を確認しながら行うことができるので確
実にしかも簡単に修正操作を行うことができ、設
置現場で施工するに便利であり、生産上も、フー
ド５の交換組合せが不必要となるので、生産性向
上の点で有利である。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を示し、第１図は食器洗
浄機の一部を破断した側面図、第２図は食器洗浄
システムの斜視図、第３図はガイド部材とこれの
周辺部材の関係構造を示す分解斜視図、第４図は
ガイド部材の動作状態を示す要部の縦断面図、第
５図は食器洗浄機の平面図である。第６図Ａ，
Ｂ，Ｃはそれぞれネジ挿通穴の変形例を示す要部
の側面図である。第７図はガイド部材の変形例を
示す正面図である。第８図Ａ，Ｂはそれぞれスラ
イド枠の変形例を示す要部のみの平面図である。 １……洗浄槽、５……フード、７……ガイド支
柱、１２……スライド枠、１５……ガイド部材、
２１……ガイド面。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 洗浄槽１の上面を覆つて散水領域を区画する箱
   状のフード５と、このフード５の左右側面後部を
   フード５の閉じ姿勢と開き姿勢との間で上下昇降
   自在に案内支持するガイド支柱７とを備えた三方
   開き方式の食器洗浄機であつて、 前記フード５の側面に前記ガイド支柱７に対向
   して上下方向に延びるスライド枠１２が固定され
   ており、 前記ガイド支柱７に前記スライド枠１２を昇降
   案内するガイド部材１５が装着されていて、この
   ガイド部材１５には前記スライド枠１２にその両
   側から接触してスライド枠１２を挟持状態で案内
   する相対峙する一対の突弧状のガイド面２１が設
   けられており、 前記ガイド部材１５は、そのガイド面２１のス
   ライド枠１２との接触位置が変化するようにスラ
   イド枠１２と直交する方向に回動可能にかつ所定
   回動位置でロツク可能にガイド支柱７に取付けら
   れていることを特徴とする食器洗浄機。