JPH0316277Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、硬質絶縁板を用いた電解コンデンサ
の封口板に係り、特に、硬質絶縁板と電解液との
接触に伴う端子部材や電解コンデンサ素子の腐
食、電解液の劣化などの防止に関する。

〔従来の技術〕

電解コンデンサ素子を封入した外装ケースの封
口には、フエノール樹脂板等の硬質絶縁板の表面
にゴム等の弾性絶縁体を設置した積層板からなる
封口板が用いられている。

このような硬質絶縁板を主体とした封口板は、
機械的強度が高く、ゴム単体による封口部材に比
較して、外装ケース内に占める割合が小さく、体
積効率が高められる等の利点がある反面、電解コ
ンデンサ素子に含浸されている電解液と接触する
と、その電解液が硬質絶縁板に含まれている不純
物を抽出させ、長期間使用に伴い硬質絶縁板の近
傍における電極部分、電極用タブ、電極箔等を腐
食させるとともに、電解コンデンサ素子に含浸さ
れている電解液を劣化させることが知られてい
る。

従来、このような電解液による硬質絶縁板から
の不純物の抽出を防止するため、外装ケースの内
面に臨ませられる硬質絶縁板の表面に合成樹脂シ
ートを貼り合わせて硬質絶縁板と電解液とを隔離
するようにした三層構造の封口板が提案されてい
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

このような封口板を形成する場合、合成樹脂シ
ートは封口板を形成するための板状素材に予め熱
加工等によつて被着し、合成樹脂シートが形成さ
れた板状素材を抜打ち加工することによつて所定
形状の封口板を形成している。

このような封口板では、硬質絶縁板の各表面部
が弾性絶縁体又は合成樹脂シートで被覆される
が、その周面部には硬質絶縁板が露出している。
この露出部分には外装ケースの内壁部に接する
が、その接する部分に電解液がしみ込み、腐食を
生じさせる。

また、板状素材を抜打ち加工する際に封口板の
エツジ部分又は端子引出用の貫通孔のエツジ部分
では、被着されている合成樹脂シートが剥離する
おそれがあり、電解液との接触を避けることが困
難である。

そこで、この考案は、封口部材としての硬質絶
縁板と電解液とを確実に分離して端子部材や電解
コンデンサ素子の腐食とともに、電解液の劣化を
防止した電解コンデンサの封口板の提供を目的と
する。

〔問題点を解決するための手段〕

この考案の電解コンデンサの封口板は、第１図
に示すように、電解コンデンサ素子２８を収容し
た外装ケース２２を封口する硬質絶縁板４の外装
ケース２２の外面側の面部に、外装ケース２２の
端面部とを密着させる薄い弾性絶縁層６を設置し
た電解コンデンサの封口板２において、前記硬質
絶縁板４の外装ケース２２の内面側およびその周
面部とともに、前記弾性絶縁層６の周面部を一体
的に覆う薄い合成樹脂被覆（合成樹脂カバー８）
を設置したものである。

〔作用〕

このように構成すると、硬質絶縁板４の外装ケ
ース２２の内面側の面部を確実に合成樹脂被覆
（合成樹脂カバー８）で覆うことができ、硬質絶
縁板４の電解液との接触が回避される。

〔実施例〕

以下、この考案の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。

第１図は、この考案の電解コンデンサの封口板
の実施例を示す。

この封口板２は、フエノール樹脂板等の硬質絶
縁板４の外装ケース２２の外面側となる面部にゴ
ム等の弾性絶縁板を貼り付けて薄い弾性絶縁層６
を形成し、硬質絶縁板４の外装ケース２２の内面
側の面部および周面部とともに弾性絶縁層６の周
面部を覆う合成樹脂カバー８の被嵌によつて薄い
合成樹脂被覆を形成したものである。

すなわち、この封口板２は、第２図に示すよう
に、弾性絶縁層６が貼着された硬質絶縁板４と合
成樹脂カバー８とは別個に形成され、合成樹脂カ
バー８はポリエチレン又はポリプロピレン等の合
成樹脂で有底円筒状に成型加工される。

そして、この封口板２には外部接続用端子の引
出しに用いる２個の貫通孔１０，１２が穿設さ
れ、この封口板２の表面には各貫通孔１０，１２
に挿入されかつ固定ワツシヤ１４で封口板２に固
定されるリベツト１６で陽極側又は陰極側の外部
接続用端子１８，２０が固定されている。

この封口板２は、第３図に示すように、外装ケ
ース２２の開口部近傍に形成した段部２４と、巻
締めによつて外装ケース２２の内方に湾曲させて
封口板２の上面に臨ませて密着する開口端部２６
とによつて外装ケース２２の開口部に固定する。
この場合、外装ケース２２の内面には合成樹脂カ
バー８が臨ませられるとともに、外装ケース２２
の内壁には合成樹脂カバー８の立壁部分が当接さ
れている。従つて、外装ケース２２の密封ととも
に、封口板２の硬質絶縁板４は外装ケース２２の
内部における電解液から遮断されている。

そして、外装ケース２２の内部に収納された電
解コンデンサ素子２８の上端面には陽極側又は陰
極側のタブ３０，３２が引出され、各タブ３０，
３２は封口板２の内面側に突出させている前記リ
ベツト１６を加締めることにより前記固定ワツシ
ヤ１４の上に固定されている。なお、外装ケース
２２の底面には断面Ｖ字状の切溝を十字形に形成
した防爆弁３４が設けられている。

従つて、封口板２は硬質絶縁板４における外装
ケース２２の内面に臨む表面部分を合成樹脂カバ
ー８で被嵌することで、硬質絶縁板４は合成樹脂
カバー８によつて電解液から遮断され、硬質絶縁
板４に含まれている不純物の抽出を確実に防止で
きる。この結果、硬質絶縁板４の近傍における電
極部、この実施例の場合、リベツト１６、固定ワ
ツシヤ１４や電極用タブ３０，３２の腐食並びに
電解液の劣化を防止して、安定した電気的特性を
長期に亘つて維持することができる。

特に、合成樹脂カバー８は従来の合成樹脂シー
トと異なり封口板２の形状に合致させて成形加工
によつて形成され、硬質絶縁板４の周面をも被う
ことができる。しかも、合成樹脂カバー８はポリ
エチレン、ポリプロピレン等電解液に対して安定
した合成樹脂で容易に成形できるとともに、十分
に厚みを取ることができるため封口板２の機械的
強度の向上に役立ち、硬質絶縁板４の占める体積
を少なくすることができる。

なお、実施例では合成樹脂カバー８を硬質絶縁
板４とは別個に構成したが、硬質絶縁板４の表面
及びその周面に直接合成樹脂層を形成して合成樹
脂カバー８としても同様の効果が得られる。

〔考案の効果〕

以上説明したように、この考案によれば、硬質
絶縁板の外装ケースの内面側およびその周面部と
ともに前記弾性絶縁層の周面部を一体的に覆う薄
い合成樹脂被覆を設置したので、硬質絶縁板と電
解液とを確実に遮断して硬質絶縁板からの不純物
の抽出を防止でき、端子部材や電解コンデンサ素
子の電極箔の腐食を防止できるとともに、電解液
の劣化が防止でき、安定した電気的特性を長期に
亘つて維持することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の電解コンデンサの封口板の
実施例を示す断面図、第２図は封口板の分解斜視
図、第３図はその封口板を使用した電解コンデン
サの断面図である。 ２……封口板、４……硬質絶縁板、６……弾性
絶縁層、８……合成樹脂被覆としての合成樹脂カ
バー、２２……外装ケース、２８……電解コンデ
ンサ素子。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 電解コンデンサ素子２８を収容した外装ケー
   ス２２を封口する硬質絶縁板４の外装ケース２
   ２の外面側の面部に、外装ケース２２の端面部
   とを密着させる薄い弾性絶縁層６を設置した電
   解コンデンサの封口板において、 前記硬質絶縁板４の外装ケース２２の内面側
   およびその周面部とともに前記弾性絶縁層６の
   周面部を一体的に覆う薄い合成樹脂被覆を設置
   したことを特徴とする電解コンデンサの封口
   板。 (2) 前記合成樹脂被覆は、ポリエチレン又はポリ
   プロピレンで形成したことを特徴とする実用新
   案登録請求の範囲第１項に記載の電解コンデン
   サの封口板。