JPH0316170B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、都市ごみなどの様に不燃物が混在す
る被処理物を、流動層における熱反応（燃焼又は
熱分解）により処理する熱反応炉に関するもので
ある。

例えば、都市ごみを流動層焼却炉により焼却す
る場合につき、第１図により従来例を説明する。
焼却炉１の内部の中間高さの位置に、燃焼用兼流
動化用の空気を上方に噴出せしめる散気管２が設
けられている。散気管２より上方は流動層３を形
成する流動層形成部８、下方は充填層４を形成す
る充填層形成部９となつている。流動層形成部８
より上はフリーボード１０となつている。流動層
形成部８又はフリーボード１０の一側壁面１１に
はごみの供給口５が開口し、フリーボード１０の
上部には排ガス出口７が設けられている。１２は
充填層形成部９の下部に設けられ、不燃物を流動
媒体と共に排出する排出口であり、スクリユーフ
イーダなどを用いた排出機６が接続している。し
かして、従来のものにおいては、充填層形成部の
側壁面の傾斜（水平面から測つた傾斜）は、供給
口５の直下にある側壁面１３でも、反対側の側壁
面１４でも同じであり、対称に作られており、従
つて排出口１２は充填層４の幅の中央に設けられ
ている。

このような従来の焼却炉１を運転する場合、散
気管２から空気を噴出せしめて流動層３を形成せ
しめ、初期加熱装置（補助バーナなど、図示せ
ず）により燃焼温度に達した後供給口５から都市
ごみを投入すれば、流動層３中にて燃焼する。不
燃物は自重により落下して流動層３の底まで沈降
する。焼却炉１を連続して運転するために、不燃
物を抜き出す必要があり、このため、流動層３の
底まで沈降した不燃物を散気管２の間を通つて充
填層４に落下させ、充填層４の下部の排出口１２
から流動媒体と共に抜き出している。

流動層３の中を不燃物が落下する際に、水平方
向にも移動するが、流動層は上下方向に比べて水
平方向の運動が弱いので、水平方向にはあまり分
散せず、散気管２付近まで沈降する不燃物は供給
口５の直下付近では多く、反対側に離れるに従い
少なくなる偏つた分布となる。一方、充填層４の
流動媒体は、下部中央にある排出口１２から徐々
に排出する際に、排出口１２の直上に位置する流
動媒体は比較的速く降下し、両脇の側壁面１３，
１４に近づくにつれて降下速度は遅くなる。従つ
て散気管２付近で供給口５側に偏つた分布で充填
層４に入つた不燃物は、排出口１２の直上部から
外れる位置のものが多く、降下速度は遅くなり滞
留しがちになり、不燃物の排出を促進させるため
には大量の流動媒体を抜き出す必要があり、後続
設備の排出機、さらに分別、搬送設備も大とな
り、また、流動媒体の循環に伴なう熱損失が大き
くなる欠点があつた。

本発明は従来のものの上記の欠点を除き、充填
層における不燃物の滞流を防ぎ、流動媒体の無駄
な排出を防止し、後方設備の容量及び熱損失の減
少をはかることができる流動層熱反応炉を提供す
ることを目的とするものである。

本発明は、充填層を下降する流動媒体に対して
垂直方向に抵抗を与える複数の抵抗部材を設け、
その抵抗値の、或る水平面内における分布が、供
給口側に近い程小さくなるように抵抗部材を配備
することにより、供給口の直下付近の流動媒体の
降下速度を、他の部分よりも速め、不燃物の滞留
を避け、流動媒体の排出量を最小減にとどめるこ
とができる。

抵抗値の分布を上記の如く選ぶには種々の構造
が用いられる。

例えば、複数本の抵抗部材を水平に互に平行に
並べて設け、相互の間隔及び側壁面と抵抗部材と
の間隔を、供給口に近いもの程広くとるようにす
ればよい。この場合、下方になる程本数を減すよ
うにする。

抵抗部材の断面は、円形、楕円形、角形など任
意のものが用いられるが、流動媒体の流れを円滑
にするため、上端が尖つた菱形、三角形、紡錘形
などが好ましい。

本発明は、流動層形成部と充填層形成部とを備
え、被処理物の供給口が前記流動層形成部又はそ
れより上の一側壁面に設けられ、不燃物を流動媒
体と共に排出する排出口が、前記充填層形成部の
下部に設けられている流動層熱反応炉において、
前記充填層形成部の内部に、該充填層形成部を降
下する流動媒体に抵抗を与える複数本の抵抗部材
を設け、該抵抗部材は、垂直方向の抵抗値が、前
記供給口の設けられている側壁面に近い程小さく
なるように配備されていることを特徴とする流動
層熱反応炉である。

本発明の実施例を図面に用いて説明する。

第２図において、第１図と同一符号の部分は、
以下特記する以外は第１図と同様な構成、作用を
有す。１５は抵抗部材であり、菱形断面を有し、
水平に互に平行に配備されている。しかして、側
壁面１３，１４と抵抗部材１５との間隔ａ，ｂ，
ｃ，ｅ及び抵抗部材１５相互の間隔ｄは、 ａ＞ｂ 及びｃ＞ｄ＞ｅ なる如く、供給口５が設けられている側壁面１１
に近い程広くとられており、流動媒体の降下に対
する垂直方向の抵抗値は小となつている。

従つて供給口５に近い方に偏つて分布する不燃
物を含む、供給口５側の流動媒体の降下速度が比
較的大となり、不燃物の滞留が避けられ、流動媒
体の排出量は最少量で抑えられる。

本発明により、不燃物の滞留を防ぎ、流動媒体
を無駄に大量に排出することなく、後方設備の容
量減少と、熱損失の減少をはかることが可能な流
動層熱反応炉を提供することができ、実用上極め
て大なる効果を奏することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例のフロー図、第２図は本発明の
実施例のフロー図である。 １……焼却炉、２……散気管、３……流動層、
４……充填層、５……供給口、６……排出機、７
……排ガス出口、８……流動層形成部、９……充
填層形成部、１０……フリーボード、１１……側
壁面、１２……排出口、１３……側壁面、１４…
…側壁面、１５……抵抗部材。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 流動層形成部と充填層形成部とを備え、被処
   理物の供給口が前記流動層形成部又はそれより上
   の一側壁面に設けられ、不燃物を流動媒体と共に
   排出する排出口が、前記充填層形成部の下部に設
   けられている流動層熱反応炉において、前記充填
   層形成部の内部に、該充填層形成部を降下する流
   動媒体に抵抗を与える複数本の抵抗部材を設け、
   該抵抗部材は、垂直方向の抵抗値が、前記供給口
   の設けられている側壁面に近い程小さくなるよう
   に配備されていることを特徴とする流動層熱反応
   炉。 ２ 前記複数の抵抗部材が、ほぼ同一の断面形状
   を有し、該抵抗部材と側壁面との水平間隔及び同
   一水平面内で隣り合う抵抗部材間の水平間隔が、
   前記供給口の設けられている側壁面に近い程広く
   なるように配備されている特許請求の範囲第１項
   記載の流動層熱反応炉。