JPH0316101Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、アジマス角度を容易に調整できるよ
うな可動磁気ヘツドの支持構造に関するものであ
る。

磁気ドラムを利用した音声出力装置は従来公知
であり、各種アナウンスシステムとして使用され
ている。この装置は、磁気ドラム外表面の記録媒
体層を多数のトラツクに区分し、トラツク選択動
作をする磁気ヘツドが各トラツクにランダムにア
クセスし、該磁気ヘツドを介して所定のトラツク
に音声情報を記録・再生するように構成されてい
る。

この場合、磁気ドラムをできるだけ小型軽量化
し、しかもある程度の記憶容量を確保する必要が
あるから、通常、出力レベル向上のため磁気ヘツ
ドは磁気ドラム表面に圧接される。そのとき、常
時できるだけ均一な圧力で、かつ良好な接触状態
が維持されねばならない。そのため第１図に示す
ように、ヘツドアーム１の一端に板ばね２を螺着
するとともに、板ばね２の先端部にて、磁気ヘツ
ド３を収納するケース４を固着し支持する構成が
採られている。そして、磁気ヘツド３は、板ばね
２の弾性によつて、あるいは別の例としては、板
ばね２は単に支持作用のみを果たしヘツドアーム
１に作用するコイルスプリング（図示せず）の弾
性によつて、磁気ドラム（図示せず）の表面記憶
媒体層に圧接される。

ところで、この種の装置においては、磁気ドラ
ムをカセツト式にして交換可能とし、それによつ
て再生するメツセージの種類を時間帯や場所等に
応じて自由に換えうるようにしたものもある。特
にこのような場合には、磁気ヘツドのアジマス角
度の調整が重要となる。従来の装置では、第１図
に示されているように、板ばね２の基端側に２個
の長穴５を並列に穿設しておき、取り付けねじ６
で螺着する際、板ばね２の角度を調整して締め付
け固定していた。

しかしこのような構造ではアジマス角度を調整
しようとすると、どうしても磁気ヘツド３の位置
が上下方向にも大きく移動しがちであり、トラツ
クずれが生じるという欠点がある。従つて、磁気
ヘツドの上下方向位置並びにアジマス角度を同時
に調整する作業は非常に煩瑣なものとなつてい
た。

本考案の目的は、このような従来技術の欠点を
解消し、トラツクずれが生じることなくアジマス
角度の微調整を容易に行うことができ、装置の組
み立てや保守を著しく簡素化しうるような磁気ベ
ツドの支持構造を提供することにある。

かかる目的を達成することのできる本考案は、
ヘツドアームに取り付けられている板ばねの先端
に直接磁気ヘツド収納ケースを取り付けるのでは
なく、Ｌ字型形状をなすホルダを介して取り付け
るようになつており、磁気ヘツド収納ケースは該
Ｌ字型ホルダに対してピンによりに回動自在に軸
支されるとともに、スプリングを巻装したねじに
よつて任意の傾きで結合固定されうるように構成
されたものである。

以下、図面に基づき本考案について更に詳しく
説明する。第２図は本考案の一実施例を示す斜視
図、第３図はその正面図である。この磁気ヘツド
支持機構は、トラツク選択動作のため磁気ドラム
の回転軸と平行な方向（矢印Ｘにて示す）に移動
自在のキヤリツジ部材（図示せず）上に載置され
る。キヤリツジ部材にて支持されるヘツドアーム
１の先端に板ばね２が取り付けられる点では第１
図に示す従来のものと同様である。しかし本考案
においては板ばね２に長穴は必要はないし、適当
な位置で単に固着するだけでよい。板ばね２の先
端には断面Ｌ字型をなすホルダ７が螺着される。
Ｌ字型ホルダ７は、その一端に切欠部８が形成さ
れ、他端中央にねじ穴付ピン１３が圧入された構
造である。また、磁気ヘツド収納ケース４は、磁
気ヘツド３を内蔵するとともに、該磁気ヘツド３
のメデイア摺動面１０に対し垂直な一稜に突出部
１１が形成された構造である。そして、ケース４
の突出部１１がＬ字型ホルダ７の切欠部８に嵌合
する。その状態でピン１２が両者をを貫通し、そ
れによつて相対的に回動自在とされる。磁気ヘツ
ド収納ケース４の他端側（前記ねじ穴付ピン１３
に対応する位置）には貫通孔１６が形成されてお
り、該貫通孔１６内にアジマス調整用ねじ１４が
挿通され、その先端部は前記Ｌ字型のホルダ７に
圧入されたねじ穴付ピン１３に螺合する。その
際、ねじ穴付ピン１３の外周にはスプリング１５
が巻装され、その弾撥力によつて磁気ヘツド収納
ケース４とＬ字型ホルダ７との間隔が拡開し、ね
じ穴付ピン１３とアジマス調整用ねじ１４との間
の不可避的な「がた」を吸収し、前記間隔を一定
に保ちうるようになつている。

従つて前述したように、本考案では、ヘツドア
ーム１と板ばね２、及び板ばね２とＬ字型ホルダ
７とはそれぞれ単にねじにより適当な位置で固定
しておくだけでじゆうぶんである。アジマス角度
を調整するには、アジマス調整用ねじ１４を締め
緩めすればよい。それにより磁気ヘツド収納ケー
ス４がピン１２を中心として回動し（第３図矢印
Ｙにて示す）、実質的に磁気ヘツド３のヘツドギ
ヤツプの磁気記憶媒体に対する角度を自由に変え
ることができるとともに、所定の位置で固定する
ことができるのである。特に本実施例では、アジ
マス調整用ねじ１４の取り付け方向（挿通方向）
が磁気ドラムの中心軸方向、換言すればキヤリツ
ジの移動方向Ｘに平行であるから、第１図に示す
従来技術と大きく異なり、磁気ドラムが邪魔にな
らずに、磁気ヘツドが磁気ドラム表面に当接した
ままの状態でアジマス角度の調整が可能となる。

以上、本考案の好ましい一実施例について説明
したが、Ｌ字型ホルダが磁気ヘツド収納ケースの
形状、あるいはピンやアジマス調整用ねじの取り
付け構造等については用途や設計・使用条件等に
応じて適宜変更しうることは言うまでもない。

本考案は上記のように構成した磁気ヘツドの支
持構造であるから、単にアジマス調整用ねじを回
動するだけでトラツクずれが生じることなくアジ
マス角度の微調整を正確かつ容異に行うことがで
きるし、磁気記憶装置の組み立てが保守を著しく
簡素化でき、磁気記録・再生性能の向上、すなわ
ち再生出力レベルの向上を図ることができる点で
実用的効果は極めて大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来技術の一例を示す説明図、第２図
は本考案の一実施例を示す斜視図、第３図はその
正面図である。 １……ヘツドアーム、２……板ばね、３……磁
気ヘツド、４……磁気ヘツド収納ケース、７……
Ｌ字型ホルダ、１０……磁気ヘツド摺動面、１２
……ピン、１４……アジマス調整用ねじ、１５…
…スプリング。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 磁気ヘツドを収納したケースが該磁気ヘツドの
   メデイア摺動面に対し垂直な一稜近傍にて、板ば
   ねで支承されているＬ字型ホルダの一端に、ピン
   により回動自在に軸支されるとともに、両者は前
   記Ｌ字型ホルダの他端中央近傍位置にてスプリン
   グを巻装したアジマス調整用ねじにより結合固定
   されてなり、該アジマス調整用ねじの回転により
   前記磁気ヘツド収納ケースがピンを軸として回動
   自在かつ任意の位置で固定可能とした磁気ヘツド
   の支持構造。