JPH0315135Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は溶剤、特に有機溶剤の回収装置に関す
る。

〔従来の技術〕

溶剤回収装置は、活性炭を吸着剤とする吸着法
が多用され、第３図に示すものが一般的に知られ
ている。図中１は溶剤含有空気（以下原ガスと称
す。）であり、これをブロア２にて吸引昇圧し、
吸着槽５−１へ導き原ガス中の溶剤を活性炭１４
に吸着させる（これを吸着工程と呼ぶ。）。一方吸
着槽５−２では活性炭１４に吸着された溶剤を蒸
気により脱着している（これを脱着工程と呼
ぶ。）。この吸着及び脱着は各吸着槽５−１，５−
２に付属された夫々４つの制御弁（原ガス入口弁
４−１，４−２、ガス出口弁６−１，６−２、蒸
気入口弁９−１，９−２、蒸気出口弁１０−１，
１０−２）を自動的に切り替えることにより行わ
れる。

また脱着された溶剤蒸気と水蒸気は凝縮器１２
で凝縮され、その後セパレータ１３で溶剤と水に
分離され溶剤の回収と排水が行われる。

なお、同図において、３は原ガスライン、７は
排ガスライン、８は蒸気ライン、１１は溶剤ライ
ンを示している。

〔考案が解決しようとする問題点〕

従来の溶剤回収装置においては、前述したよう
に吸着・脱着のたびに４つの弁の開閉を自動で行
いかつ吸着槽本体の保護（脱着時に蒸気出口弁が
閉塞すると吸着槽に蒸気圧力そのものがかかる。）
も兼ねた弁相互間のインタロツクも必要であり、
弁の自動切替システムが複雑となつている。

又弁本体の作動トラブル、作動空気系のトラブ
ルや蒸気出口弁１０−１，１０−２の溶剤による
腐食や活性炭粉によるリーク等のトラブルが生じ
やすい不具合点を有している。

本考案は、上記不具合点を解決するためになさ
れたもので、その目的とするところは弁の数を減
少させ複雑な制御システムを簡素化するととも
に、設備費の低廉化と管理のしやすい溶剤回収装
置を提供するところにある。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、各吸着槽からの蒸気出口配管に蒸気
出口弁を設けず、凝縮器の凝縮室両端に直接接続
するとともに凝縮器の凝縮液を凝縮室中央下部か
ら抜き出すようにしたものである。

〔作用〕

本考案装置においては、脱着された溶剤と水蒸
気は凝縮器の凝縮室両端に接続された吸着槽から
の蒸気出口配管の一方から凝縮器に流入し、もう
一方の蒸気出口配管に至るまでに完全に凝縮する
ため、吸着工程側の吸着槽へ流入することはな
い。又凝縮液は抜出口を凝縮室の中央下部に設け
ているためシヨートパスの問題もない。さらに吸
着工程側の原ガスは凝縮器に充満している原ガス
よりも高い圧力を有する蒸気により流路を遮断さ
れているため脱着工程側へ流入することはない。
以上により吸着工程側と脱着工程側との遮断を目
的とする蒸気出口弁は不要となる。また不凝縮ガ
ス（脱着初期の吸着槽内空気）を原ガスラインに
戻す不凝縮配管として吸着工程側の蒸気出口配管
を併用出来ることになり、当該配管が不要とな
る。

これに対し、従来の溶剤回収装置において採用
される凝縮器の構造は、第４図に示すように凝縮
室の一端に蒸気流入口ａを設け、その反対端に凝
縮液の出口ｂを設けている。これは伝熱面積を有
効に使う関係上この構造となる。この構造のま
ま、蒸気の流入口ａを凝縮室ｄの両端に設ける
と、凝縮液出口ｂ側から流入する蒸気に対して
は、凝縮液の冷却不足という問題が生じる。なお
図中、ｃは不凝縮ガスの排出口である。

〔実施例〕

次に本考案装置の一実施例を図面に基いて説明
する。

第１図および第２図において、２つの吸着槽５
−１，５−２は一方は吸着工程、一方は脱着工程
にある。

吸着中の吸着槽５−１のガス入口弁４−１、及
び出口弁６−１は開、蒸気入口弁９−１は閉であ
り、脱着中の吸着槽５−２のガス入口弁４−２、
及び出口弁６−２は閉、蒸気入口弁９−２は開で
ある。蒸気ライン８を通り吸着槽５−２に入つた
蒸気は、溶剤と共にライン２１を経て凝縮器２３
に入り凝縮・冷却された後、セパレータ１３で溶
剤の回収と排水が行われる。

又、原ガス１はガス入口弁４−１を経て吸着槽
５−１へ入り、活性炭１４で溶剤が吸着捕集され
排ガスライン７ガス出口弁６−１を経て放出され
る。吸着工程側の吸着槽５−１から凝縮器２３へ
の原ガス１の流入は凝縮器２３の凝縮室２３ａに
充満している蒸気により防止出来る。

又、吸着槽５−１が脱着中の場合、蒸気ライン
８を通り吸着槽５−１に入つた蒸気は、溶剤と共
にライン２２を経て凝縮器２３に入り凝縮、冷却
された後抜出口２４よりセパレータ１３に導入さ
れ溶剤の分離回収が行われる。

なお、凝縮器２３において、冷却用の水はまず
水ジヤケツト２５ａに入り、その後凝縮室２３ａ
内に多数配設された伝熱管２６を通り、もう一方
の水ジヤケツト２５ｂに達したのち、また伝熱管
２６を通つて水ジヤケツト２５ａに戻り、凝縮器
外に排出される。

吸着工程から脱着工程に移る時、吸着槽内に存
在する空気は流入する蒸気により凝縮器２３へ追
い出されるが、空気のため凝縮しない（これを不
凝縮ガスと呼ぶ。）。このため凝縮器には不凝縮ガ
スを逃がすラインが必要となる。不凝縮ガスを逃
がすラインがなければ、凝縮器内は不凝縮ガスで
充満し蒸気の凝縮器への流路が断たれ、吸着槽か
ら凝縮器に至る系は蒸気の１次圧を直接受けるこ
とになり、種々の問題が生じる。

通常、この不凝縮ガスは、相当量の溶剤を含ん
でいるため、大気へは放出出来ず、活性炭に再吸
着させるために原ガスラインへ戻す。

従来の溶剤回収装置においては、不凝縮ガスの
出口を第４図に示すように凝縮器の末端に設け、
原ガスラインへ戻しているが、本考案装置では、
吸着工程側の蒸気出口配管２１，２２が不凝縮ガ
ス配管の役割りも果たすことになる。

〔考案の効果〕

以上のように、本考案によれば、蒸気出口弁を
不要にしたことにより、弁の自動切替えシステム
が簡素化されると共に、特に溶剤による腐食や、
閉塞によるトラブルがなくなり管理がしやすくな
る効果がある。また蒸気出口配管を不凝縮配管と
して併用出来る利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案装置の一実施例の概要を示す
説明図、第２図は第１図の装置の凝縮器２３を示
す拡大断面図、第３図は従来の溶剤回収装置の概
要を示す説明図、第４図は第２図の装置の凝縮器
１２を示す拡大断面図である。 １……溶剤含有空気、２……ブロア、４……原
ガス入口弁、５……吸着槽、６……ガス出口弁、
９……蒸気入口弁、１３……セパレータ、２１，
２２……蒸気出口配管、２３……凝縮器、２４…
…抜出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 溶剤を吸着捕集する活性炭を具えガス出入口弁
   と蒸気入口弁とを具えた複数の吸着槽と、前記複
   数の吸着槽に溶剤含有空気を導く手段と、前記吸
   着槽と直接接続された凝縮室の両端に蒸気入口及
   び同凝縮室の中央下部に凝縮液の抜出口を有する
   凝縮器と、脱着時に前記凝縮器を介して凝縮され
   た凝縮液を溶剤と水とに分離回収する手段とを具
   えたことを特徴とする溶剤回収装置。