JPH0314099B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、クランクギヤからバランサ駆動ギヤ
に動力を伝達するギヤ伝対機構を備えたエンジン
のバランサ駆動機構に関する。

（従来技術及びその課題） バランサ駆動機構として多くはギヤ伝達機構を
備えているが、バランサ自体のアンバランス性に
よるトルク変動及びクランク軸の回転変動による
トルク変動が大きく作用するので、そのトルク変
動による機械騒音（ギヤ打音）が大きく、またギ
ヤの耐久性が劣る場合がある。

（目的） 本発明の目的は、簡単な構造で確実にトルク変
動を吸収できるようにすることにより、機械騒音
（ギヤ打音）を減少させると共に耐久性を向上さ
せることである。

（目的を達成するための手段） 上記目的を達成するために本発明は、ギヤ伝達
機構内のアイドルギヤを、駆動側ギヤ部の従動側
ギヤ部とに分割し、円筒状ゴム製ボスの内周面に
両ギヤ部共通の金属製内環を嵌着し、ゴム製ボス
の外周面に駆動側ギヤ部用の金属製外環と従動側
ギヤ部用の金属製外環状をそれぞれ嵌着し、駆動
側ギヤ部用金属製外環の外周面に駆動側ギヤ部を
圧入し、従動側ギヤ部用金属製外環の外周面に従
動側駆動ギヤ部を圧入し、上記内環の内周面にベ
アリングを嵌着している。

（実施例） 本発明を適用した自動２輪車用エンジンの縦側
断面図を示す第４図において、クランクケース
（ミツシヨンケース）１内にはクランク軸２、入
力軸３、出力軸５及びバランサ軸６等が回転自在
に支承されると共に、アイドルギヤ支持軸７が固
着されている。クランク軸２にはクランクギヤ１
０が固着され、入力軸３にはクラツチギヤ１１が
嵌合すると共に、変速用のギヤ群１２が設けら
れ、バランサ軸６にはバランサ駆動ギヤ１５が固
着され、アイドルギヤ支持軸７にはアイドルギヤ
１６が回転自在に嵌合し、出力軸５には変速用の
ギヤ群１２ギヤ等と噛合い変更自在な各種変速ギ
ヤ群１７が設けられている。バランサ駆動ギヤ１
５はアイドルギヤ１６及びクラツチギヤ１１を介
してクランクギヤ１０に噛合つている。１８はシ
リンダー、１９はピストンである。

第４図の−断面を示す第１図において、ク
ラツチギヤ１１は軸受メタル２０を介して入力軸
３に嵌合すると共に、クラツチハウジング２１を
一体的に備え、クラツチ機構２２を介して入り切
り自在に入力軸３に連結している。アイドルギヤ
支持軸７はクランクケース１の軸支持孔２３に圧
入され、片持ち状に支持されている。アイドルギ
ヤ１６は駆動側ギヤ部２５と従動側ギヤ部２６と
に分割されており、駆動側ギヤ部２５はクラツチ
ギヤ１１に噛合い、従動側ギヤ部２６はバランサ
駆動ギヤ１５に噛合つている。バランサ軸６は軸
芯から偏倚したウエイト部６ａを一体に備えてい
る。３０はバランサ軸支持用の軸受、３１は入力
軸支持用の軸受である。

アイドルギヤ１６の拡大図を示す第２図におい
て、アイドルギヤ１６は前述の駆動側ギヤ部２５
及び従動側ギヤ部２６と円筒状のニトリルゴム製
ボス２７を備えている。ゴム製ボス２７の内周面
には円筒状の金属製内環２８が焼付けにより固着
されており、ゴム製ボス２７の外周面には軸方向
に間隔を隔てて１対のフランジ部２７ａが形成さ
れており、各フランジ部２７ａの外周面にはそれ
ぞれ金属製の外環２９が焼付けにより固着されて
いる。各外環２９の外周面が駆動側ギヤ部２５及
び従動側ギヤ部２６の内周面に圧入固着され、ゴ
ム製ボス２７を介して両ギヤ部２５，２６が連結
している。

内環２８はニードルベアリング３２を介してア
イドルギヤ支持軸７に回転自在に嵌合している。

駆動側ギヤ部２５は第３図に示すようにクラツ
チギヤ１１に対してバツクラシユが極めて小さく
なるように噛合つており、また第１図の従動側ギ
ヤ部２６もバランサ駆動ギヤ１５に対してバツク
ラツシユが極めて小さくなるように噛合つてい
る。

（作用） エンジン運転中、第４図のクランク軸２の回転
力は、クランクギヤ１０、クラツチギヤ１１、ア
イドルギヤ１６の駆動側ギヤ部２５、第１図のゴ
ム製ボス２７、従動側ギヤ部２６及びバランサ駆
動ギヤ１５を介してバランサ軸６に伝達され、バ
ランサ軸６を回転させる。

クランク軸２の回転変動によるトルク変動が生
じた場合やバランサ軸６のアンバランス性による
トルク変動が生じた場合等には、アイドルギヤ１
６のゴム製ボス２７が円周方向に捩れることによ
り、衝撃等は吸収され、それによりギヤ打音は減
少する。

またアイドルギヤ１６の相手側のギヤ１１，１
５とのバクラツシユを極めて小さくしているの
で、ギヤ打音の防止効果がより一層向上する。し
かもバツクラツシユを設けなくて、ボス２７の半
径方向の弾性によりバツクラツシユ０の状態で回
転可能なので、ダンパーを有しないギヤの時に発
生する異常なうなり音やギヤ歯面のピツチングも
なく、アイドルギヤ１６の滑かな回転を確保でき
る。即ち従来機構に比べバツクラツユ量を小さい
領域にセツトできるので、より打音低減に対する
効果を発揮する。

（別の実施例） (1) ゴム製ボス２７をニードルベアリングの代り
に軸受メタルを介してアイドルギヤ支持軸７に
嵌合することもできる。

(2) 駆動側ギヤ部２５とクラツチギヤ１１との噛
合い及び従動側ギヤ部２６とバランサ駆動ギヤ
１５との噛合いを、バツクラツシユが０か負と
なるように噛合わせてもよい。この場合には略
完全にギヤ打音の発生を解消できる。

（発明の効果） 以上説明したように本発明は、ギヤ伝達機構内
のアイドルギヤ１６を、駆動側ギヤ部２５と従動
側ギヤ部２６とに分割し、駆動側ギヤ部２５及び
従動側ギヤ部２６の内周面を円筒状のゴム製ボス
２７に固着してゴム製ボス２７を介して両ギヤ部
２５，２６を連結し、ボス２７の内周面をアイド
ルギヤ支持軸７に回転自在に嵌合し、クランクギ
ヤ側から駆動側ギア部２５、ゴム製ボス２７及び
従動側ギヤ部２６を介してバランサ駆動ギヤ側に
動力を伝達するようにしているので： (1) バランサ自体のアンバランス性によるトルク
変動及びクランク軸の回転変動によるトルク変
動が大きく作用しても、その衝撃をゴム製ボス
２７の円周方向の捩り作用により吸収すること
ができ、それによりトルク変動の衝撃を緩和で
き、耐久性が向上する。

(2) トルク変動が大きく作用しても、その衝撃を
ゴム製ボス２７の円周方向の捩り作用により吸
収することができ、それにより機械騒音（ギヤ
打音）の発生を減少させることができる。

(3) ゴム製ボス２７を円筒状に形成して内外に鉄
環２８，２９を焼付けて内外径を同芯度を加工
で出してギヤとベアリングを圧入するようにす
ると、トルク変動によりボス２７が捩れた場合
でも、駆動側ギヤ部２５及び従動側ギヤ部２６
の同芯度がずれる心配はない。

従つてトルク変動により相手側ギヤ（クラツ
チギヤ１１及びバランサ駆動ギヤ１５）との噛
合い深さが不均一になる心配はなく、常に良好
なアイドルギヤ１６の回転を維持できる。

(4) 駆動側ギヤ部２５及び従動側ギヤ部２６を、
バツクラツシユが無くなる程度でそれぞれ相手
側ギヤに噛合わせるようにすると、機械騒音
（ギヤ打音）をより一層減少させることができ
る。

(5) ２つのギヤ部２５，２６を１つのゴム製ボス
２７を介して軸に装着する構造において、ギヤ
部２５，２６をそれぞれ直接ゴム製ボス２７に
嵌着して同心度を出すことは困難な作業である
が、本発明のようにゴム製ボス２７の内周に共
通の金属製内環２８を嵌着し、外周に各ギヤ部
用の金属製外環２９をそれぞれ嵌着し、内外の
環２８，２９を成型ガイドとしてゴム製ボス２
７の所定の形に成型して、上記金属製外環２９
にそれぞれギヤ部２５，２６を嵌着している
と、コイニングや研磨などにより２つのギヤ部
２５，２６であつても精度良く同心度を出すこ
とができる。

特に各ギヤ部２５，２６をそれぞれの相手側
ギヤにバツクラシユ無く噛み合わせる場合等
に、上記のように同心度を精度良く出せると好
都合である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明を適用したエンジンのバランサ
駆動機構の断面図（第４図の−断面図）、第
２図はアイドルギヤの断面拡大図、第３図は第２
図の矢視図、第４図は本発明を適用したエンジ
ンのバランサ駆動機構の縦側断面図である。６…
…バランサ軸、７……アイドルギヤ支持軸、１０
……クランクギヤ、１５……バランサ駆動ギヤ、
１６……アイドルギヤ、２５……駆動側ギヤ部、
２６……従動側ギヤ部、２７……ゴム製ボス。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ クランクギヤからバランサ駆動ギヤに動力を
   伝達するギヤ伝達機構を備えたエンジンのバラン
   サ駆動機構において、ギヤ伝達機構内のアイドル
   ギヤを、駆動側ギヤ部と従動側ギヤ部とに分割
   し、円筒状ゴム製ボスの内周面に両ギヤ部共通の
   金属製内環を嵌着し、ゴム製ボスの外周面に駆動
   側ギヤ部用の金属製外環と従動側ギヤ部用の金属
   製外環状をそれぞれ嵌着し、駆動側ギヤ部用金属
   製外環の外周面に駆動側ギヤ部を圧入し、従動側
   ギヤ部用金属製外環の外周面に従動側駆動ギヤ部
   を圧入し、上記内環の内周面にベアリングを嵌着
   したことを特徴とするエンジンのバランサ駆動機
   構。 ２ 駆動側ギヤ部及び従動側ギヤ部を、バツクラ
   ツシユが無くなる程度でそれぞれ相手側ギヤに噛
   み合わせたことを特徴とする特許請求の範囲第１
   項記載のエンジンのバランサ駆動機構。