JPH0312866Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は簡易水洗便器に係り、特に便槽封止体
を、使用者の所望の時期にのみ開放し得るよう改
良した簡易水洗便器に関する。

［従来の技術］ 未下水地域等には、汲み取り式の便槽を有する
簡易水洗便器が普及している。この従来の簡易水
洗便器の構成を、図面を参照して説明する。

第７図は、従来の簡易水洗便器１の一部を切り
欠いて示す側面図である。同図に示すように簡易
水洗便器１は、汲み取り式便槽２と、該便槽２に
便排出口３ａが臨んでいる便鉢３とから主として
構成されている。

この便槽２内の雰囲気は、便鉢３の便排出口３
ａに設けられた開閉自在な便槽封止体４によつて
遮断されている。該便槽封止体４の開閉動は、梃
子５によつてなされている。該梃子５は、便器外
郭部６と便鉢３との間にその枢支部が設置されて
おり、前記便槽封止体４は、梃子５の作用点側に
設けられている。また、該梃子５の力点側には、
前記便槽封止体４との平衡を保つ錘部７が設けら
れている。なお８は梃子５を枢支するピンを示
す。用便によつてこの便槽封止体４上に汚物が載
ると、該便槽封止体４と錘部７とのバランスがく
ずれて便槽封止体４が開動し、この汚物は便槽２
へ落ちる。そして、汚物落下後は再び便槽封止体
４と錘部７とのバランスが修正されて、便排出口
３ａが閉止される。図中９は便座、１０は便蓋、
１１は水タンクを示す。

［考案が解決しようとする問題点］ 前記の如き簡易水洗便器１は、便槽封止体４の
閉状態が錘部７とのバランスによつて保たれてい
るものであるから、この便槽封止体４上に僅かな
重量が加えられることによつても簡単に開動する
ように調整されている。従つて、完全水洗式便器
（図示省略）のように、予め便鉢３内に貯水準備
をしておくことはできず、汚物が便鉢内面３ｂに
擦過したり便槽封止体４に直接接触する。従つ
て、これらの付着汚物は、用便後における洗浄水
の流出によつても落ち難くなる。また、この洗浄
時において、便槽封止体４にトイレツトペーパー
等が引掛かつたり、汚物が柔らかくて残留した場
合等には、該便槽封止体４が開きつ放しになり、
悪臭に悩まされるという欠点を有していた。しか
も、このような場合には、便槽２内の害虫が室内
にまで侵入するおそれがある。

［問題点を解決するための手段］ 本考案は、便槽封止体が平衡用錘部を有する梃
子構造によつて作動されて便排出口の開閉を行う
簡易水洗便器において、便槽封止体が便排出口を
閉止している状態にあるとき、梃子の力点側の縁
部に係合して梃子構造の固定をなし得る係止部材
を設置すると共に、係止部材の係合を解除させる
ソレノイドを設置したものである。

本考案の簡易水洗便器では、前記係止部材は弾
性部材により係合位置方向へ付勢されており、該
係止部材のうち、前記力点側端縁が下降してきた
ときに当接する係止部材上面は、該係止部材を係
合解除位置方向へ退動させて便槽封止体を閉止位
置まで回動するように傾斜面１２ｄとなつてお
り、該係止部材のうち、便槽封止体閉止時に該力
点側端縁が当接する係止部材下面は、便槽封止体
に過大な下方押圧力が加えられたときに該係止部
材を係合解除方向へ退動させて便槽封止体を下方
へ回動させ得るように斜面１２ｅとなつており、
前記ソレノイドはスイツチを介してコンデンサか
ら給電可能とされており、励磁時には鉄心が上方
に突出して係止部材を係合解除方向に押圧し、消
磁時に鉄心が下方に退動するよう構成されてい
る。

［作用］ 本考案の簡易水洗便器では、梃子の力点側の縁
部が係止部材で係止されており、所望の場合だ
け、ソレノイドを操作して便槽封止体を開動作さ
せ得る。

従つて、便鉢内に水を貯めておくことができ、
便槽と室内側との通気の遮断が可能になり、さら
に鉢面乾燥の防止、及びこれによる汚物付着の防
止が図れる。

本考案の簡易水洗便器においては、便槽封止体
が閉止方向に回動してきて力点側端縁が係止部材
の傾斜面１２ｄに当つた場合、この係止部材が力
点側端縁に押されて一旦退動し、便槽封止体が全
閉位置まで回動される。このため、便槽封止体は
常に確実に全閉となる。もちろん、便槽封止体が
閉止した後は、係止部材の下側斜面１２ｅが力点
側端縁に係合するので、便槽封止体の全閉状態が
確実に維持される。

本考案の簡易水洗便器においては、力点側端縁
が係止部材に係止された便槽封止体全閉状態にあ
るときに便槽封止体に下向きに大きな力が加えら
れると、係止部材の斜面１２ｅに前記力点側端縁
が係合しているところから、係止部材が係合解除
方向に押されて退動し、力点側端縁と係止部材と
の係合が解除され、便槽封止体が下方に回動す
る。このため、便槽封止体に大きな外力が加えら
れた場合に、便槽封止体を下方へ逃がすことがで
き、便槽封止体やその枢支部分の損壊を確実に防
止することができる。

本考案の簡易水洗便器においては、スイツチを
操作すると、コンデンサからソレノイドに給電さ
れてソレノイドが励磁され、鉄心が突出する。こ
れにより、係止部材が退動方向に押され、力点側
端縁と係止部材の係合が解除される。コンデンサ
の放電電流が減少すると、ソレノイドが消磁状態
となり、係止部材は力点側端縁との係合位置まで
自動的に復帰する。従つて、スイツチを押し放し
にしていても、係止部材が自然に係合位置まで復
帰することになり、閉止位置まで復動してきた便
槽封止体を閉止状態に保持することができる。

［実施例］ 以下図面を参照して実施例について説明する。

第１図は本考案の実施例に係る簡易水洗便器
１′の構成を示す断面図、第２図は第１図の要部
拡大図である。

この第１図において、第７図の従来の便器と同
一部分は同一符号をもつて示されており、便器外
郭部６内に便鉢３が設置され、その排出口３ａに
は、梃子５に支持された便槽封止体４が開閉可能
に下面側から当接している。枢支ピン８を挟んで
反対側である力点側には、錘部７が設置されてい
る。

しかして、本実施例においては、錘部７の端縁
に係合する係止部材１２と、こ係止部材１２を作
動させるためのソレノイド装置１３が設置されて
いる。係止部材１２は、本実施例において、第２
図に示すように、上辺１２ａ、下辺１２ｂ、縦辺
１２ｃを有するコ字形に折曲した形状を有してお
り、フラツパーボツクスに設置された取付プレー
ト１５に対し枢支ピン１６によつて枢支されてい
る。なお、取付プレート１５には、水平方向に延
在するビーム状部材１７が固着されており、係止
部材１２の下辺１２ｂが当接してその位置決めを
行つている。また枢支ピン１６には、スプリング
１６ａが巻回されており、便槽封止体４が排出口
３ａに当接する方向に付勢している。

ソレノイド装置１３は、ソレノイド１８と、こ
のソレノイド１８を作動させるための電気回路１
９から主として構成されている。ソレノイド１８
は、その鉄心２０が上下方向に設置されており、
ソレノイド１８に通電が行われると、鉄心２０が
上方に移動して係止部材１２の下辺１２ｂを突き
上げ、係止部材１２を回動させる。係止部材１２
は、係合解除位置まで退避せしめられる。

電気回路１９へは、コード及びプラグ２１を介
して商用電源が接続可能とされており、また回路
の作動を行うためのスイツチ２２が水タンク１１
の側面部に設置され、電気回路１９にリード線２
３によつて接続されている。（なお、スイツチ２
２の操作片は水タンク１１の操作レバー２４と共
通とされている。） 次に電気回路１９の構成を第３図を参照して説
明する。商用電源に接続それるプラグ２１に対し
て、全波整流器２５が接続されており、該全波整
流器２５の出力端にはコンデンサ２６がスイツチ
２２を介して接続されている。スイツチ２２は、
コンデンサ２６を全波整流器２５に接続するため
の端子２２ａと、コンデンサ２６及びソレノイド
１８によつて閉回路が形成されるよう接続するた
めの端子２２ｂとを備えている。

この第３図において、スイツチ２２を端子２２
ａに接続した場合には、商用電源から供給される
交流電流は全波整流器２５によつて整流され、コ
ンデンサ２６に充電を行う。スイツチ２２を端子
２２ｂ側に切り換えた場合には、コンデンサ２６
に充電されていた電荷はソレノイド１８に流れ込
み、ソレノイド１８を励磁させ、鉄心２０を突出
させる。コンデンサ２６の放電が終了すると、ソ
レノド１８はその励磁が解除される。従つて、本
実施例において、ソレノイド１８はスイツチ２２
を端子２２ｂ側に切り換えた後短時間のみ作動
し、連続的には通電されない。従つて、ソレノイ
ド１８が長時間通電されることによるソレノイド
１８の発熱現象が回避される。

このようなソレノイド１８の励磁した場合の便
槽封止部材４の作動について第４図〜第６図を参
照して説明する。

第４図はソレノイド１８が励磁していない状態
である。この状態において簡易水洗便器の使用が
なされ、便槽封止体４の上面に汚物２７が溜ま
る。用済み次第、使用者はスイツチ２２を端子２
２ｂ側に切り換える。そうすると、前述のように
してソレノイド１８が励磁し、鉄心２０が上方に
突出作動する。これにより、第５図に示すように
係止部材１２が係合解除位置に退避され、ソレノ
イド１８が突き上げる力と、汚物の重量及び便鉢
３内に供給される洗浄水の重量によるモーメント
とが錘部７のモーメントに打ち勝つて、便槽封止
体４を下方に少なくとも汚物を完全に落下する角
度まで押し下げ、便槽封止体４の上面及び便鉢３
内に堆積、付着した汚物が洗い流される。水洗作
動が終了すると、錘部７によるモーメントが便槽
封止体４によるモーメントを上回るようになり、
便槽封止体４は上方に回動し排出口３ａに下側か
ら当接する。

なお、前述のようにソレノイド１８は、スイツ
チ２２の操作直後には、第４図に示すように係止
部材１２を突き上げる突出作動を行うが、比較的
短時間でソレノイド１８への通電が停止され、鉄
心２０は下部の通常位置に復帰する。そして、係
止部材１２も初期の係合位置に復帰する。しかし
て、この係止部材１２の上辺１２ａの上面は傾斜
面１２ｄとされており、上方から降下してくる錘
部７の下面がこの傾斜面１２ｄに当接すると、第
６図に示すように係止部材１２が退避方向へ押圧
されて若干回動し、錘部７が更に回動降下し、便
槽封止体４の排出口３ａへの当接が行われる。錘
部７が係止部材１２の傾斜面１２ｄを通り過ぎる
と、係止部材１２は、スプリング１６ａによつて
初期姿勢に復帰し、錘部７の上縁と係合する。

なお、本実施例において、係合部材１２の上辺
部１２ａにはその下面側にも水平に対する傾斜角
θの斜面１２ｅが形成されている。（なお、この
傾斜角θは、例えば20〜45°程度とするのが好ま
しい。）そして、便槽封止体４に過大な力が加わ
つた場合には、係止部材１２が退避方向へ跳ね除
けられるようにして押圧回動され、係合部材１２
と錘部７との係合が解除され、便槽封止体４が下
方に回動し得る。従つて、便槽封止体４に予期せ
ざる大荷重が加わつた場合、便槽封止体４を逃が
し、その破損を防止することが可能である。

本考案においては、梃子５に油圧ダンパ等を設
置し、便槽封止体４が排出口３ａに当接する上方
回動速度を小さくし、便槽封止体４と排出口３ａ
との当たりを柔らかくしてもよい。このようにす
れば、不快な衝突音や飛沫の飛散を防止できる。

上記実施例は、簡易水洗便器が洋風タイプであ
る場合について説明されているが、本考案は和風
タイプの簡易水洗便器についても適用できること
は明らかである。

［効果］ 以上の通り、本考案に係る簡易水洗便器によれ
ば、便槽封止体を使用者を必要なときだけ開放さ
せることができる。従つて、便槽封止体を便鉢の
排出口に当接させた状態で便鉢内に水を貯留させ
ておき、これによつて汚物が直接的に便鉢内面や
便槽封止体に接触することをなくし、洗浄後に汚
物が付着することを解消することが可能である。

また、便鉢内に常時水を貯留しておき、便槽雰
囲気と便鉢内とを水封遮断し、臭気や害虫の室内
への侵入を確実に阻止することが可能である。ま
た、万が一便鉢内に貴重品等を落下させてしまつ
た場合であつても、便槽封止体は回動することが
ないのでその回収を容易に行える等の効果もあ
る。

本考案の簡易水洗便器では、便槽封止体が閉止
状態まで回動してきたときに係止部材が自動的に
いつたん退動し、便槽封止体が全閉状態になると
係止部材が力点側端縁を係止し、全閉状態が確実
に実現、保持される。

本考案の簡易水洗便器では、全閉状態の便槽封
止体に大きな外力が加えられたときには便槽封止
体を下方に逃がすように回動させ得るので、便槽
封止体やその枢支部材の損壊を防止できる。

本考案の簡易水洗便器では、ソレノイドのスイ
ツチを押し放しにしていても、鉄心が後退して係
止部材が係合位置まで復帰されるようになるの
で、閉止方向に回動してきた便槽封止体を確実に
全閉状態に係止することができる。

このように、本考案の簡易水洗便器では、便槽
封止体の開放が必要なときには確実に開放させ、
便槽封止体の閉止が必要なときには確実に閉止さ
せるとともに確実に全閉を維持し、しかも大きな
外力が便槽封止体に加えられたときには自動的に
便槽封止体を逃がすことができるので、きわめて
実用性に富み、耐久性にも優れる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例に係る簡易水洗便器の
構成を示す縦断面図、第２図は第１図の要部拡大
図、第３図はソレノイド装置の電気回路図、第４
図、第５図及び第６図は実施例に係る簡易水洗便
器の作動を示す要部断面図、第７図は従来の簡易
水洗便器の構成を示す断面図である。 ３……便鉢、３ａ……排出口、４……便槽封止
体、５……梃子、６……便器外郭部、７……錘
部、８……枢支ピン、１２……係止部材、１３…
…ソレノイド装置、１８……ソレノイド、２０…
…鉄心。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 便排出口が汲み取り式便槽に臨んでいる便鉢
   と、該便排出口を閉止する便槽封止体とを有し
   ており、該便槽封止体は上下方向へ揺動自在に
   枢支された梃子の作用点側に設けられ、梃子の
   力点側には前記便槽封止体との平衡を保つ錘部
   が設けられた簡易水洗便器であつて、 便槽封止体閉止状態時の梃子の力点側端縁に
   係合する位置と、この係合位置から離反する係
   合解除位置とを取り得る係止部材を設置すると
   共に、この係止部材を係合解除位置へ退避させ
   るソレノイドを設けた簡易水洗便器において、 前記係止部材は弾性部材により係合位置方向
   へ付勢されており、 該係止部材のうち、前記力点側端縁が下降し
   てきたときに当接する係止部材上面は、該係止
   部材を係合解除位置方向へ退動させて便槽封止
   体を閉止位置まで回動するように傾斜面１２ｄ
   となつており、 該係止部材のうち、便槽封止体閉止時に該力
   点側端縁が当接する係止部材下面は、便槽封止
   体に過大な下方押圧力が加えられたときに該係
   止部材を係合解除方向へ退動させて便槽封止体
   を下方へ回動させ得るように斜面１２ｅとなつ
   ており、 前記ソレノイドはスイツチを介してコンデン
   サから給電可能とされており、励磁時には鉄心
   が上方に突出して係止部材を係合解除方向に押
   圧し、消磁時に鉄心が下方に退動するものであ
   ることを特徴とする簡易水洗便器。 (2) 前記係止部材下面の斜面１２ｅは、水平に対
   する傾斜角θが20〜45°である実用新案登録請
   求の範囲第１項記載の簡易水洗便器。