JPH0312450Y2 - - Google Patents

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JPH0312450Y2
JPH0312450Y2 JP18408284U JP18408284U JPH0312450Y2 JP H0312450 Y2 JPH0312450 Y2 JP H0312450Y2 JP 18408284 U JP18408284 U JP 18408284U JP 18408284 U JP18408284 U JP 18408284U JP H0312450 Y2 JPH0312450 Y2 JP H0312450Y2
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【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、複数個の電極により母材の溶接部
をTIG溶接する多電極式TIG溶接装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、この種多電極式TIG溶接装置の1例は第
3図に示すように構成され、同図において、1は
Δ結線された1次側の第1〜第3巻線1a〜1c
の各接続点2a〜2cが3相交流電源に接続され
た電源トランス、3a〜3cはカソードがそれぞ
れトランス1の2次側の第4〜第6巻線1d〜1
fにそれぞれ接続された第1ないし第3ダイオー
ド、3d〜3fはアノードがそれぞれ第1〜第3
ダイオード3a〜3cのカソーに接続された第4
ないし第6ダイオードであり、ダイオード3a〜
3fにより3相全波整流回路3が構成されてい
る。
4は一端が第1ないし第3ダイオード3a〜3
cのアノードに接続された平滑コンデンサであ
り、他端が第4ないし第6ダイオード3d〜3f
のカソードに接続されている。5はエミツタがコ
ンデンサ4の一端に接続されたNPN型の出力制
御用トランジスタであり、定電流型シリーズレギ
ユレータの出力制御素子を形成する。6は一端が
トランジスタ5のコレクタに接続された電流検出
器であり、通電流に比例した検出信号を出力す
る。7は検出器6の検出信号が入力される駆動制
御回路であり、検出信号にもとづきトランジスタ
5のベースに定電流制御用のベース制御信号を出
力するとともに、後述の第1、第2スイツチング
トランジスタのベースに位相の異なる数100Hzの
低周波のスイツチング制御信号をそれぞれ出力す
る。
8,9はエミツタが検出器6の他端に接続され
たNPN型の第1、第2スイツチングトランジス
タであり、前述のスイツチング制御信号により相
互に逆にスイツチング制御される。10,11は
一端がトランジスタ8,9のコレクタにそれぞれ
接続された2個の結合コイル、12,13は結合
コイル10,11の他端にそれぞれ接続された
TIG溶接用トーチからなる2個の溶接電極、14
は母材であり、第4ないし第6ダイオード3d〜
3fのカソードに接続されている。
ところで溶接電極12,13は母材14の1開
先線などの1溶接線に沿つて走行制御され、該溶
接線を有する1溶接個所の溶接部が両電極12,
13により溶接されるように、両電極12,13
と母材14との配置などが調整設定されている。
そして整流回路3の整流出力がコンデンサ4に
より平滑されるとともに、制御回路7からトラン
ジスタ8,9のベースに第4図a,bに示すよう
に180゜位相に異なるスイツチング制御信号がそれ
ぞれ供給され、トランジスタ8,9が交互にオン
する。
一方、図示省略されたアークスタート用の高周
波高電圧電源がコイル10,11の一端と母材1
4との間に接続され、トランジスタ8がオンし止
める瞬時には、高周波高圧電源の高周波高電圧が
電極12と母材14との間に印加されて電極1
2、母材14間にアークの発生が促され、トラン
ジスタ9がオンし始める瞬時には、高周波高圧電
源の高周波高電圧が電極13と母材14との間に
印加されて電極13、母材14間にアークの発生
が促される。
すなわち、高周波高圧電源により、電極12母
材14間と電極13、母材14間とのアークスタ
ートが交互にくり返し行なわれる。なお、アーク
が発生し始めると高周波高電圧の印加は停止され
る。
そしてトランジスタ8がオンする間には、前述
の高周波高電圧により電極12、母材14間にア
ークが発生するとともに、母材14から電極1
2、コイル10、トランジスタ8のコレクタ、エ
ミツタ、検出器6を介してトランジスタ5に電流
が流れ、このとき電極12と母材14との間のア
ークにもとづき溶加材が溶融して電極12による
母材14の溶接部のTIG溶接が行なわれる。
また、トランジスタ9がオンする間には、前述
の高周波高電圧により電極13、母材14間にア
ークが発生するとともに、母材14から電極1
3、コイル11、トランジスタ9のコレクタ、エ
ミツタ、検出器6を介してトランジスタ5に電流
が流れ、このとき電極13と母材14との間のア
ークにもとづきき、溶加材が溶融して電極13に
よる母材14の前記溶接部の溶接が行なわれる。
ところでトランジスタ5、検出器6、制御回路
7により定電流型のシリーズレギユレータが形成
されている。
また、母材14から電極12に流れる電流およ
び母材14から電極13に流れる電流は検出器6
により検出される。
そして検出器6から制御回路7に検出に比例し
た検出信号が出力され、該検出信号にもとづき制
御回路7からトランジスタ5に、定電流制御用の
ベース制御信号が出力され、母材14から電極1
2に流れる溶接電流および、母材14から電極1
3に流れる溶接電流がそれぞれ定電流制御され
る。
以上の動作のくり返しにより、母材14と両電
極12,13との間に第4図cに示すような所定
レベルIの溶接電流が連続的に流れこのとき、両
電極12,13が溶接部に沿つて走行するため、
両電極12,13により、母材14の1溶接個所
の溶接線に沿つた各溶接部それぞれのTIG溶接が
交互に行なわれる。
そして第3図のように両電極12,13と母材
14との間に交互にアークを発生させると、母材
14および両電極12,13間それぞれに同時に
通電してアークを発生した場合に生じる一方のア
ークへの他方のアークの引き込み現象、すなわち
アークの干渉が防止され、均一な溶接ビードが形
成される。
ところで第3図の場合は説明を簡単にするため
に1個のトランジスタ5によりシリーズレギユレ
ータの出力制御素子を構成したが、通常は溶接電
流が大電流であるため、複数個のトランジスタの
ダーリント回路などにより出力制御素子を構成す
る必要があり、この場合シリーズレギユレータの
構成が複雑化するとともに、トランジスタの放熱
手段などを設ける必要がある。
また、コンデンサ4が電極12,13、母材1
4への通電回路側に設けられ、コンデンサ4によ
り、大電流の溶接電流を直接平滑するため、コン
デンサ4を大容量の大型のコンデンサにより形成
する必要がある。
さらに、トランス1の2次側出力を整流、平滑
して溶接電流が形成されるため、トランス1にも
大容量の大型のトランスを用いる必要がある。
加えて、シリーズレギユレータのトランジスタ
5のベース制御信号を制御して溶接電流の定電流
制御を行なつているため、溶接電流の変動に対す
る応答が遅く、溶接電流の迅速な制御が行なえな
い不都合がある。
そこで実願昭59−66800号の出願には、直流電
源と、高周波制御信号および低周波制御信号を出
力する制御回路と、前記電源に接続され前記高周
波制御信号によりスイツチングして前記電源から
の直流を高周波交流として出力する高周波スイツ
チング回路と、1次巻線が前記スイツチング回路
に接続された高周波トランスと、前記トランスの
2次巻線に接続され前記両巻線を介した前記高周
波交流を整流する整流回路と、前記整流回路に接
続され前記低周波制御信号により順次スイツチン
グする複数個の低周波スイツチング素子と、前記
各素子を介して母材との間に前記整流回路からの
電流が順次に通電されて前記母材の溶接部を順次
に溶接する複数個の電極とを備え、電源電流の高
周波変換により形成された高周波交流を整流して
各電極それぞれと母材との間に順次に電流を供給
し、前述のシリーズレギユレータを不要にすると
ともに平滑コンデンサを小容量にし、かつ、大型
の電源トランスを不要にして構成の簡素化および
小型化を図ることが記載されている。
〔考案が解決しようとする問題点〕
ところで前記出願に記載の装置の場合にも、第
3図の装置の場合と同様に、複数の低周波スイツ
チング素子がオンし始める各瞬時に高周波高電圧
を用いて母材と各電極それぞれとの間のアークス
タートを行なう必要があり、溶接期間中に何度も
アークスタートを行なうことになり、この場合、
各低周波スイツチング素子のスイツチングと高周
波高電圧の印加とのタイミング制御、すなわちア
ークスタートのタイミング制御などを行なう必要
があり、構成が複雑化するなどの問題点がある。
〔問題点を解決するための手段〕
この考案は、複数個の溶接電極により母材の溶
接部をTIG溶接する多電極式TIG溶接装置におい
て、高周波スイツチングにより電源直流を高周波
交流に変換する高周波変換部と、1次側に前記高
周波交流が供給される高周波トランスと、該トラ
ンスの2次側出力を整流し前記各電極と前記母材
との間にアーク持続用の補助電流を常時供給する
補助電流出力部と、前記2次側出力を整流し前記
各電極と母材との間に前記補助電流より大電流の
主電流を順次にくり返し供給する主電流出力部と
を備えた多電極式TIG溶接装置である。
〔作用〕
そして母材と各溶接電極との間それぞれに常に
アーク持続用の補助電流が供給されるため、最初
にアークスタート用の高周波高電圧を印加して、
母材と各溶接電極との間のアークスタートを1回
だけ行なえば、以降は、補助電流によりアークが
持続されて高周波高電圧を印加する必要がなくな
る。
さらに、母材と各溶接電極との間に補助電流よ
り大電流の主電流が順次に供給されるため、母材
と各溶接電極との間それぞれに供給される電流
は、補助電流、該補助電流に主電流が重畳した大
電流に交互に変化し、該大電流のときに母材の溶
接部が溶接される。
〔実施例〕
つぎにこの考案を、その1実施例を示した第1
図および第2図とともに詳細に説明する。
第1図において、15a,15b,15cは商
用3相交流電源端子、16は電源端子15a〜1
5cの3相交流を整流する入力整流器、17は整
流器16の整流出力を平滑する平滑コンデンサで
あり、電源直流を出力する。
18は後述の第3、第4スイツチングトランジ
スタのベースに位相が180゜ずれた数KHzの高周波
スイツチング制御信号をそれぞれ出力する高周波
スイツチング制御回路、19はNPN型の第3、
第4スイツチングトランジスタ19a,19bか
らなる高周波スイツチング回路であり、両トラン
ジスタ19a,19bのベースが制御回路18の
両高周波スイツチング制御信号出力端子にそれぞ
れ接続されるとともに、両トランジスタ19a,
19bのエミツタが整流器16とコンデンサ17
との負側接続点nに接続されている。20は制御
回路18、スイツチング回路19および後述の電
流検出器からなる高周波変換部である。
21は1次巻線21aおよび2次巻線21bを
有する高周波トランスであり、1次巻線21aの
タツプ端子taが整流器16とコンデンサ17との
正側接続点pに接続され、1次巻線21aの一端
がトランジスタ19aのコレクタに接続されると
ともに、1次巻線21aの他端がトランジスタ1
9bのコレクタに接続されている。
22は第1、第2高周波サイリスタ22a,2
2bを有する第1出力整流器であり、サイリスタ
22aのカソードが2次巻線21bの一端に接続
されるとともに、サイリスタ22bのカソードが
2次巻線21bの他端に接続されている。
23は第3、第4高周波サイリスタ23a,2
3bを有する第2出力整流器であり、サイリスタ
23aのカソードが2次巻線21bの一端に接続
されるとともに、サイリスタ23bのカソードが
2次巻線21bの他端に接続されている。
24は一端がサイリスタ22a,22bのアノ
ードに接続された第1平滑リアクトル、25は一
端がサイリスタ23a,23bのアノードに接続
された第2平滑リアクトル、26はアノードがサ
イリスタ22a,22bのアノードに接続された
第1フライホイルダイオードであり、カソードが
2次巻線21bのタツプ端子tbに接続されてい
る。27はアノードがサイリスタ23a,23b
のアノードに接続された第2フライホイルダイオ
ードであり、カソードが2次巻線21bのタツプ
端子tbに接続されている。
28は一方の結合コイル29を介してリアクト
ル24の他端に接続された一方の溶接電極であ
り、TIG溶接用トーチからなる。30は他方の結
合コイル31を介してリアクトル25の他端に接
続された他方の溶接電極であり、TIG溶接用トー
チからなる。32は電極28,30により溶接さ
れる母材である。
33は2次巻線21bのタツプ端子tbと母材3
2との間に設けられた電流検出器であり、通電電
流に比例した検出信号を制御回路18に出力す
る。34は検出器33の検出信号が入力される出
力制御回路であり、各サイリスタ22a,22
b,23a,23bにゲート信号をそれぞれ出力
し、サイリスタ22a,22bとサイリスタ23
a,23bとを数100Hzで交互にオンする。35
は整流器22,23、リアクトル24,25、ダ
イオード26,27、制御回路34からなる主電
流出力部である。
36は第7、第8ダイオード36a,36bを
有する第3出力電流器であり、ダイオード36a
のカソードが2次巻線21bの一端に接続される
とともに、ダイオード36bのカソードが2次巻
線21bの他端に接続されている。
37はダイオード36a,36bのアノードと
リアクトル24の一端との間に設けられた第1限
流用抵抗、38はダイオード36a,36bのア
ノードとリアクトル25の一端との間に設けられ
た第2限流用抵抗、39はアノードがダイオード
36a,36bのアノードに接続された第3フラ
イホイルダイオードであり、カソードが2次巻線
21bのタツプ端子tbに接続されている。40は
整流器36、抵抗37,38およびダイオード3
9からなる補助電流出力部である。
そして溶接電極28,30は第3図の電極1
2,13と同様に、母材32の1開先線などの12
溶接線に沿つて走行制御され、該溶接線を有する
1溶接個所の溶接部が両電極28,30により溶
接されるように電極28,30と母材32との配
置などが調整限定されている。
そして整流器16の整流出力がコンデンサ17
により平滑され、コンデンサ17の平滑により形
成された電源直流が高周波変換部20に入力され
る。
さらに、制御回路18の高周波スイツチング制
御信号によりトランジスタ19a,19bが数K
Hzで交互に高周波スイツチングし、該トランジス
タ19a,19bのスイツチングにより電源直流
が数KHzの高周波交流に変換され、該高周波交流
がトランス21の1次側すなわち1次巻線21a
に供給される。
そしてトランジスタ19aがオンしているとき
は、接続点pからタツプ端子ta、トランジスタ1
9aを介して接続点nに電流が流れ、トランジス
タ19bがオンしているときは、接続点pからタ
ツプ端子ta、トランジスタ19bを介して接続点
nに電流が流れ、トランス21の2次巻線21b
に数KHzの高周波出力からなる2次側出力が生じ
る。
一方、整流器22のサイリスタ22a,22b
および整流器23のサイリスタ23a,23b
は、制御回路34の数100Hzのゲート信号により
交互に点弧制御され、サイリスタ22a,22b
の同時オンとサイリスタ23a,23bの同時オ
ンとが交互にくり返えされる。
そして2次巻線21bに生じた高周波出力は、
サイリスタ22a,22bのオンの間に整流器2
2により整流され、サイリスタ23a,23bの
オンの間に整流器23により整流され、整流器2
2,23が前記高周波出力を交互に整流する。
なお、整流器36はダイオード36a,36b
により形成されているため、2次巻線21bに生
じた高周波出力を常時整流する。
ところで最初のアークスタートは、アークスタ
ート用の高周波高電圧電源(図示せず)の高周波
高電圧を用いる。
すなわち、最初にリアクトル24,25とコイ
ル29,31との接続点と、母材32との間に、
前記高周波高電圧電源の高周波高電圧を印加し、
母材32、電極28の間および母材32、電極3
0の間のアークの発生を促す。
そしてアークが発生し始めると、このとき整流
器36の整流出力からなるアーク持続用の補助電
流が、2次巻線21bのタツプ端子tbから、検出
器33、母材32を介して、電極28、コイル2
9、リアクトル24、抵抗37の直列回路と、電
極30、コイル31、リアクトル25、抵抗38
の直列回路との並列回路を流れ、母材32、電極
28の間のアークおよび母材32、電極30の間
のアークが形成される。
ところで整流器36が2次巻線21bの高周波
出力を常に整流するため、補助電流が母材32か
ら電極28,30に常に流れ、母材32、電極2
8の間および母材32、電極30の間のアーク
は、以降、補助電流により持続する。
そこで最初に1回だけ高周波高圧電源の高周波
高電圧を用いてアークスタートを行なえば、以降
は高周波高電圧を用いてアークスタートを行なう
必要がない。
なお、補助電流によつて溶接を行なうのではな
いため、ダイオード36a,36bの容量、抵抗
37,38のインピーダンスなどにもとづき、補
助電流はアークの持続が行なえる小電流量に設定
され、補助電流のときのアークの干渉は防止され
る。
また、溶接を開始すると、電極28,30が母
材32の溶接部に沿つて走行する。
さらに、整流器22,23が交互に2次巻線2
1bの高周波出力を整流し、たとえばサイリスタ
22a,22bがオンして整流器22が2次巻線
21bの高周波出力を整流するときは、タツプ端
子tbから検出器33、母材32、電極28、コイ
ル29、リアクトル24、整流器22を介して2
次巻線21bに、整流器22の整流出力により形
成された主電流が流れる。
また、サイリスタ23a,23bがオンして整
流器23が2次巻線21bの高周波出力を整流す
るときは、タツプ端子tbから検出器33、母材3
2、電極32、コイル31、リアクトル25、整
流器23を介して2次巻線21bに、整流器23
の整流出力により形成された主電流が流れる。
なお、主電流の供給により溶加材を溶融して溶
接を行なうため、主電流は補助電流より大電流に
設定されている。
そして補助電流および主電流が2次巻線21b
の高周波出力を整流して形成されるため、母材3
2、電極28の間に供給される電流、すなわち母
材32から電極28に流れる電流が第2図aに示
すようになるとともに、母材32、電極30の間
に供給される電流、すなわち母材32から電極3
0に流れる電流が同図bに示すようになる。な
お、図中のTaはサイリスタ22a,22bがオ
ンする期間を示し、Tbはサイリスタ23a,2
3bがオンする期間を示す。
すなわち、母材32から電極28に流れる電流
は、サイリスタ22a,22bのオンする期間
Taに補助電流に主電流が重畳した大電流となる
とともに、サイリスタ23a,23bのオンする
期間Tbに補助電流のみの電流になる。
そしてサイリスタ22a,22bがオンし、母
材32から電極28に、補助電流に主電流が重畳
した電流が流れると、このときのアークにもとづ
き、電極28に対応する溶加材が溶融して電極2
8による母材32の溶接部の溶接が行なわれる。
さらに、サイリスタ22a,22bがオフして
サイリスタ23a,23bがオンする期間Tbに
は、母材32から電極28に流れる電流が補助電
流のみの小電流に減少し、このとき母材32と電
極28との間のアークが持続され、つぎにサイリ
スタ22a,22bがオンすると、このときアー
クスタートを行なうことなく、補助電流に主電流
が重畳した大電流により、つぎの溶接が行なわれ
る。
また、母材32から電極30に流れる電流は、
サイリスタ22a,22bのオンする期間Taに
補助電流のみの電流になるとともに、サイリスタ
23a,23bのオンする期間Tbに補助電流に
主電流が重畳した電流になる。
そしてサイリスタ23a,23bがオンし、母
材32から電極28に、補助電流に主電流が重畳
した大電流が流れると、このときのアークにもと
づき、電極30に対応する溶加材が溶融して電極
30による母材32の溶接部の溶接が行なわれ
る。
さらに、サイリスタ23a,23bがオフして
サイリスタ22a,22bがオンする期間Taに
は、母材32から電極30に流れる電流が補助電
流のみの小電流に減少し、このとき母材32と電
極30との間のアークが持続され、つぎにサイリ
スタ23a,23bがオンすると、このときアー
クスタートを行なうことなく、補助電流に主電流
が重畳した大電流により、つぎの溶接が行なわれ
る。
一方、検出器33は母材32から各電極28,
30に流れる電流の総合電流を常時検出し、検出
した電流量に比例した検出信号を制御回路18に
出力する。
さらに、入力された検出信号にもとづき、制御
回路18は、前記総合電流が所定の定電流になる
ようにトランジスタ19a,19bのスイツチン
グ周波数を制御する。
そこで母材32を流れる電流すなわち前述の総
合電流は、第2図cに示すように常に所定の定電
流に制御され、該制御にもとづき各電極28,3
0を流れる電流が定電流制御される。
以上の動作のくり返しにより、最初に1回だけ
高周波高電圧電源の高周波高圧を用いてアークス
タートを行なえば、以降は、アークスタートを行
なうことなく、電極28,30による母材32の
溶接部の定電流溶接が交互にくり返し行なわれ
る。
そして溶接期間中に何度もアークスタートを行
なう必要がないため、アークスタートのタイミン
グ制御などが不要になつて構成が簡素化するとと
もに、定電流制御にもとづき安定した溶接が行な
える。
また、トランジスタ19a,19bのスイツチ
ング周波数の制御にもとづく高周波交流の制御に
より、母材32から電極28,30に流れる電流
を定電流制御するため、第3図の装置のシリーズ
レギユレータのような複雑かつ熱損失の大きなレ
ギユレータを母材32、電極28,30の通電回
路側に設ける必要がない。
さらに、トランジスタ19a,19bのスイツ
チング周波数が高いため、母材32から電極2
8,30に流れる電流の変動に対して制御応答が
迅速に行なえ、高精度の定電流制御が行なえる。
なお、コンデンサ17により3相交流を平滑し
て電源直流を形成するため、コンデンサ17が第
3図のコンデンサ4より小容量かつ小型のコンデ
ンサでよいのは勿論であり、また、トランス21
が第3図のトランス1より小容量かつ小型のトラ
ンスでもよいのも勿論である。
なお、前記実施例では、主電流出力部36をサ
イリスタ式の整流器22,23などにより形成し
たが、実願昭59−66800号の出願に記載された整
流回路および複数個の低周波スイツチング素子に
より形成してもよい。
また、前記実施例では2個の電極28,30を
備えた場合について説明したが、溶接電極の個数
は3個以上でもよく、この場合は主電流出力部
に、たとえば整流器22,23と同様の整流器を
溶接電極の個数だけ設け、各整流器により2次巻
線21bの2次側出力を順次に整流することをく
り返し、各溶接電極に順次に主電流を供給すれば
よい。
〔考案の効果〕
したがつて、この考案の多電極式TIG溶接装置
によると、電源直流を高周波変換部20により高
周波交流に変換するとともに、該高周波交流を高
周波トランス21に供給し、トランス21の2次
側出力を補助電流出力部40により整流して母材
32と電極28,30との間それぞれにアーク持
続用の補助電流を常時供給し、かつ、トランス2
1の2次側出力を主電流出力部40により整流し
て母材32と電極28,30との間それぞれに順
次に補助電流より大電流の主電流を供給したこと
により、最初にアークスタートを行なえば、以降
の溶接期間中には、補助電流によりアークが持続
されてアークスタートを行なうことなく溶接が行
なえ、簡単かつ安価な構成により安定してTIG溶
接が行なえるものである。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの考案の多電極式TIG溶接装置の1
実施例の結線図、第2図a〜cは第1図の動作説
明用の波形図、第3図は従来の多電極式TIG溶接
装置の結線図、第4図a〜cは第3図の動作説明
用のタイミングチヤートである。 20……高周波変換部、21……高周波トラン
ス、28,30……溶接電極、32……母材、3
5……主電流出力部、40……補助電流出力部。

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 複数個の溶接電極により母材の溶接部をTIG溶
    接する多電極式TIG溶接装置において、高周波ス
    イツチングにより電源直流を高周波交流に変換す
    る高周波変換部と、1次側に前記高周波交流が供
    給される高周波トランスと、該トランスの2次側
    出力を整流し前記母材と前記各電極との間それぞ
    れにアーク持続用の補助電流を常時供給する補助
    電流出力部と、前記2次側出力を整流し前記母材
    と前記各電極との間に前記補助電流より大電流の
    主電流を順次にくり返し供給する主電流出力部と
    を備えた多電極式TIG溶接装置。
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