JPH0312304Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 本考案は、蟹の歩脚大腿部肉取出し具に関する
ものである。

(ロ) 従来の技術 従来、ガザミ、ケガニ、ズワイガニ、タラバガ
ニ等の蟹は、食用として家庭や蟹料理専門で調理
されたり、又は罐詰製造されている。

そして、蟹の肉は歩脚大腿部肉が大部分を占め
ており、同大腿部肉の取出し量が歩留りに大きく
影響している。

かかる歩脚大腿肉の取出し作業は、あらかじめ
歩脚大腿部の両端を、チエンソー等の切断装置で
切断することにより、同大腿肉の両端を大きく開
口させておき、その後、歩脚大腿肉を機械作業に
より取出したり、また、手作業により取出したり
している。

すなわち、機械作業による場合は、上記両端切
断済の歩脚大腿部を、挾圧ローラー間に挿入挾圧
させて、殻内部の歩脚大腿肉を絞り出すものであ
る。

また、手作業の場合は、両端切断済の歩脚大腿
部の殻裏面側を、さらに、所定の切断具により縦
割り切断して、同殻を外側方へ拡張自在として、
歩脚大腿肉を取出しやすいようにしておき、その
後、歩脚大腿部の一端開口部より棒状の取出し具
で押出したり、又は細長スプーン状の取出し具で
掻出したりしている。

また、一般家庭では、歩脚大腿肉の取出し作業
が煩わしいこと等を理由に蟹の需要が少ないこと
から、最近では、上記のような手作業、或は機械
作業により既に取出された歩脚大腿肉を、商品と
して販売することが行われている。

(ハ) 考案が解決しようとする問題点 ところが、歩脚大腿肉の取出し作業は、機械作
業の場合、ローラで絞り出すために肉質を損傷す
ることが多く、商品価値を保つた状態での取出し
効率が悪くなつて、販売価格増大の誘因となつて
いる。

しかも、かかる機械作業においては、歩脚大腿
肉の取出しが不十分で、ロスが多いという問題を
有している。

また、手作業の場合は、機械作業よりもロスが
少なくなるものの、人手を時間を多大に要し、人
件費等との兼合いで、この場合も販売価格を増大
させる結果となつている。

しかも、手作業の場合、肉質の損傷が多く、歩
留りが悪いという大きな問題がある。

また、一般家庭において歩脚大腿肉を食する場
合には、殻から取出された歩脚大腿肉がココスト
高であるために、殻付の歩脚大腿肉を買うわけで
あるが、この場合、歩脚大腿肉の取出しが煩しい
上に、同大腿部肉がこまかく細断損傷された状態
で取出されるために、本来、美味しい歩脚大腿肉
を充分に賞味することができないという不具合が
ある。

(ニ) 問題点を解決するための手段 そこで、本考案では、左半部に刃部を有し、右
半部に握操作部を有する一対のはさみ構成片の中
途部を交差状に枢支し、両刃部の内側面に協働し
て蟹の歩脚大腿部の端部をはさみ切る刃面を設
け、一方のはさみ構成片の刃部前端縁に、蟹の歩
脚大腿部の殻を長手方向に縦割り切断するための
傾斜状の縦割り切断刃を形成し、同縦割り切断刃
の傾斜下端に、歩脚大腿部の殻内で歩脚大腿肉を
押圧する押圧体を取付けてなる蟹の歩脚大腿部肉
取出し具を提供せんとするものである。

(ホ) 作用 本考案に係る取出し具により、蟹の歩脚大腿部
より歩脚大腿肉を取出す際には、まず同歩脚大腿
部の両端部を、一対のはさみ構成片の握り操作部
を操作して協働する刃面によりはさみ切ることに
より、両端部を切断開口させて、同歩脚大腿部の
一端開口部より押圧体を挿入可能としておき、そ
の後、歩脚大腿部を長手方向が前後方向となるよ
うにして、歩脚大腿部の後端開口部より押圧体を
歩脚大腿肉の後端面に当接させると共に、傾斜状
の縦割り切断刃を歩脚大腿部の殻の後端中央部に
当接させ、同状態で取出し具本体を押圧すること
により、縦割り切断刃を歩脚大腿部の前端開口部
まで長手方向に移動させれば、同縦割り切断刃が
歩脚大腿部の殻を長手方向に縦割り切断すると共
に、押圧体が歩脚大腿肉を押圧して同大腿部肉を
歩脚大腿肉の前端開口部より放出させるものであ
る。

この際、歩脚大腿肉は、歩脚大腿部の殻が縦割
り切断刃により縦割り切断されるために、同殻が
外側方へ拡張自在となつて、損傷、型崩れ等する
ことなく完全に保形された状態で取出せるもので
ある。

(ヘ) 効果 本考案によれば、歩脚大腿肉の取出し作業が安
全にして迅速、かつ、簡易に行なえると共に、取
出された歩脚大腿肉に損傷、型崩れ等がなく、同
大腿部肉が完全に保形された状態であるために、
歩脚大腿肉の商品価値を確保することができると
共に、料理の仕方が著しく増大するという効果が
ある。

しかも、歩脚大腿肉の歩留りも良く、販売価格
の低減を図ることができて、一般家庭の需要が増
大するという効果がある。

(ト) 実施例 本考案の実施例を図面にもとづき詳説すれば、
第１図は、本考案に係る蟹の歩脚大腿部肉の取出
し具Ａを示す側面図、第２図は、同取出し具Ａの
平面図である。

取出し具Ａは、左半部に刃部１ａ，２ａを有
し、右半部に握り操作部１ｂ，２ｂを有する一対
のはさみ構成片１，２の中途部を交差状に枢支３
し、両刃部１ａ，２ａの内側面に協働して蟹の歩
脚大腿部Ｂの端部をはさみ切る刃面１′ａ，２′ａ
を設け、一方のはさみ構成片１の刃部１ａ前端縁
に、蟹の歩脚大腿部Ｂの殻B′を長手方向に縦割
り切断するための傾斜状の縦割り切断刃１ｃを形
成し、同縦割り切断刃１ｃの傾斜下端に、歩脚大
腿部Ｂの殻B′内で歩脚大腿肉ｂを押圧する押圧
体４を取付けてなる。

そして、取出し具Ａは、握り操作部１ｂ，２ｂ
と枢支部３と刃部１ａ，２ａとが、各々てこの原
理にもとづくてこの力点と支点と作用点に相当す
るように構成している。

しかも、縦割り切断刃１ｃを設けた一方の刃部
１ａには、歩脚大腿部ｂを係合可能な半円弧凹状
刃部１ｄを設けている。

また、傾斜状の縦割り切断刃１ｃと刃部１ａの
刃面１′ａとの各刃先が形成する角度θは、約135
℃の鈍角となるようにして、縦割り切断刃１ｃに
よる歩脚大腿部Ｂの殻B′の切断が円滑に行なえ
るようにしている。

また、押圧体４は、第２図に示すように、正面
視において横長楕円形状に形成して、同押圧体４
により歩脚大腿部肉ｂを完全に殻B′から押出す
ことができるようにしている。

次に、第３図、第４図にもとづき、取出し具Ａ
による歩脚大腿部肉ｂの取出し作業を説明する
と、まず、第３図は、取出し具Ａの刃部１ａ，２
ａにより蟹の歩脚大腿部Ｂの端部を切断している
状態を示す説明図であり、同歩脚大腿部Ｂの端部
を刃部１ａの半円弧凹状刃部１ｄ内に位置させ
て、握り操作部１ｂ，２ｂを操作することによ
り、同半円弧凹状刃部１ｄと他方の刃部２ａの刃
面２′ａとにより歩脚大腿部Ｂの端部をはさみ切
るものである。

この際、歩脚大腿部Ｂの端部は、半円弧凹状刃
部１ｄにより位置決めされて切断されるために、
端面が潰れることなく確実に切断されて、後続の
押圧体４による歩脚大腿部肉ｂの押出し作業に支
障とならないものである。

次に、第４図は取出し具Ａの縦割り切断刃１ｃ
により歩脚大腿部Ｂの殻B′の上面中央部を縦割
り切断すると共に、押圧体４により歩脚大腿部肉
ｂを押出している状態を示す説明図であり、上記
のように両端部を切断開口した歩脚部Ｂを開口端
が前後に位置するように一方の手で固定し、他方
の手で取出し具Ａの握り操作部１ｂ，１′ｂを把
持して、押圧体４を歩脚大腿部Ｂの後端開口部に
当接させると共に、同押圧体４を殻B′の内壁に
沿つて前方へ押圧摺動させれば、同時に、縦割り
切断刃１ｃが殻B′の上面中央部を長手方向に縦
割り切断して、殻B′の歩脚大腿部肉ｂを円滑、
かつ確実に前方へ押出すことができるものであ
る。

このように、本考案に係る取出し具Ａによれ
ば、蟹の歩脚大腿部Ｂの両端切断作業から、歩脚
大腿部肉ｂの取出し作業まで一連の作業が簡易、
かつ確実に行なえるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案に係る蟹の歩脚大腿部肉の取
出し具を示す側面図。第２図は、同取出し具の正
面図。第３図は、同取出し具による歩脚部の端部
切断作業の説明図。第４図は、同取出し具による
歩脚部肉の取出し作業の説明図。 Ａ……取出し具、Ｂ……蟹の歩脚大腿部、
B′……殻、ｂ……歩脚大腿部肉、１，２……は
さみ構成片、１ａ，２ａ……刃部、１′ａ，２′ａ
……刃面、１ｂ，２ｂ……握り操作部、３……枢
支部、４……押圧体。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 左半部に刃部１ａ，２ａを有し、右半部に握り
   操作部１ｂ，２ｂを有する一対のはさみ構成片
   １，２の中途部を交差状に枢支３し、両刃部１
   ａ，２ａの内側面に協働して蟹の歩脚大腿部Ｂの
   端部をはさみ切る刃面１′ａ，２′ａを設け、一方
   のはさみ構成片１の刃部１ａ前端縁に、蟹の歩脚
   大腿部Ｂの殻B′を長手方向に縦割り切断するた
   めの傾斜状の縦割り切断刃１ｃを形成し、同縦割
   り切断刃１ｃの傾斜下端に、歩脚大腿部Ｂの殻
   B′内で歩脚大腿肉ｂを押圧する押圧体４を取付
   けてなる蟹の歩脚大腿部肉取出し具。