JPH0310658Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、ボタン形又はコイン形構造にして有
効な、電気二重層コンデンサにおける封口技術に
関するものである。

〔従来の技術〕

周知のように、電気二重層コンデンサは分極性
電極と、電解質（液）との間の境界面に形成され
る電気二重層、すなわち前記境界面にて、相対し
発生する異電荷を利用して大きな静電容量を得る
ことができ、近年、用途に応じて形状並びに大き
さの異なる各種構造のものが開発されている。上
記ボタン形又はコイン形構造とされるものもその
中の一つである。

第４図は従来のボタン形又はコイン形構造の電
気二重層コンデンサを示しており、この場合、活
性炭等からなる分極性電極ａ、電解液を含浸した
セパレータｂなどを収納する金属ケースｃと、こ
の金属ケースｃに嵌め込まれる上蓋ｄと、これら
両者ｃ，ｄ間に介在される絶縁性のガスケツトｅ
を備えている。そして、このガスケツトｅは断面
コ字状となるようにセツトされており、また、上
蓋ｄの周端部分ｆとセパレータｂの周端部分ｈは
重ね合わせ、ガスケツトｅにて挟持させた上、金
属ケースｃの周縁部分ｇをかしめることによつて
封口構造がなされている。これにより、コンデン
サとしての機能を発揮し、小形化が図られてい
る。

しかしながら、上記の如き従来構造であると、
断面コ字状となるガスケツトｅによつて、上蓋ｄ
の周端部分ｆとセパレータｂの周端部分ｈとは単
に重ね合わせて金属ケースｃをかしめるものであ
るから、そのかしめ部分は、前記上蓋ｄの周端部
分ｆが確実に固定できるように周端方向へ向けて
深く差し込まなければならず、このため、前記金
属ケースｃの内容績に比べ、外径寸法が大きくな
らざるを得ず、従つて、分極性電極ａ，ａの大き
さは、金属ケースｃの外径寸法に対して可成り小
径なものに制約されており、小形化するととれに
伴い、必要とされる静電容量が思うように期待で
きなかつた。

また、このような従来構造であると、セパレー
タｂが上蓋ｄと共にガスケツトｅによつてコ字状
に挟持されるものであるから、封口接触面の短い
セパレータｂの内周面部分を通つて電解液が外に
浸み出す虞れがあるといつた種々の問題があつ
た。

〔考案の目的〕

そこで本考案は、上記の如き問題に鑑み、所望
の静電容量を確保しながら小形化が図られると共
に上記の問題を一挙に解決することの可能な電気
二重層コンデンサを提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

上記目的を達成するため、本考案は電極等を収
納する有底円筒形状のケースと、このケースより
も若干小径に形成される円筒形状の上蓋と、これ
らの開口部の間に介設されるガスケツトを有して
いる電気二重層コンデンサにおいて、前記ガスケ
ツトは上蓋の周縁部分の内外面を包持する内壁と
外壁とを有し、その内壁側には内方に突出するセ
パレータ保持部を有した折曲構造としたものであ
る。

〔考案の実施例〕

以下、本考案の実施例を第１図に基づき説明す
る。

第１図はこの実施例のボタン形構造の電気二重
層コンデンサｃを示す縦断面図であつて、図中１
は金属ケース、２は上蓋、３はセパレータであ
る。

前記金属ケース１はアルミ又はステンレス等の
材質からなる断面凹形状の底の浅い円筒から構成
されている。この金属ケース１の内部には前記セ
パレータ３を上下に挟んだ活性炭等からなる分極
性電極４，５と、電解液（例えば有機電解液）を
含浸した前記セパレータ３が収納されている。こ
の金属ケース１の周縁部６は前記上蓋２をかしめ
て固定するために、内方に90度向けて折曲されて
いる。

前記上蓋２は、金属ケース１と同様にアルミニ
ウム又はステンレス等から構成され、円筒形状に
形成されている。この上蓋２の外周部分には、前
記金属ケース１のかしめ部分を受ける凹部７が形
成されている。そして、この上蓋２は、前記金属
ケース１の内径寸法よりも小形に形成され、ガス
ケツト８を介して金属ケース１内に嵌合されてい
る。

前記ガスケツト８は、絶縁性プラスチツク材か
ら構成され、第２図に示す如く、上蓋２の周端部
分９の内外面を包持可能な内壁１０と外壁１１と
を有する円筒形状から構成されている。前記外壁
１１は内壁１０よりも長寸に形成され、かつ、内
壁１０はその先端部分と分極性電極５との間にセ
パレータ３を挟持することが可能なように先端部
分を90度内方に向けて折曲し、セパレータ保持部
１０′が形成されている。このガスケツト８は、
前記金属ケース１と、上蓋２との嵌合部分に介設
され、内壁１０側は上蓋２と分極性電極４，５と
の間に介設されている。

このように構成すると、ボタン形又はコイン形
の構造の電気二重層コンデンサにとつて、非常に
効果的である。すなわち、電解液の液漏防止策と
しては、セパレータ３が直接上蓋２に接触してい
ないため、上蓋２の電解液による腐食などがな
く、また、電解液が流出するような場合には、ガ
スケツト８と金属ケース１又は上蓋２の外周部分
１２とガスケツト８との間のいずれかを通過せね
ばならず、従来のものに比べ通過しなければなら
ない経路が非常に長くなり、その分液漏がしにく
くなる。しかも、上蓋２の周端部９は金属ケース
１のかしめ方向に対して押圧されているため、上
蓋２と金属ケース１との間は強固に密着され、よ
り確実に封口することができる。これにより、電
気二重層コンデンサとしての機能を十分発揮させ
ることができ、これを複数個組み合せ、第３図に
示す如き収納ケース１３に組み込むことにより、
製品化することができ、従来のものと同じ大きさ
のものは、より大容量のものが期待できる。

〔考案の効果〕

以上のように本考案に係る電気二重層コンデン
サは、電極等を収納する有底円筒形状のケース
と、このケースよりも若干小径に形成される円筒
形状の上蓋と、これらの開口部の間に介設される
ガスケツトを有しており、そのガスケツトは上蓋
の周縁部分の内外面を包持してなる折曲構造とし
たものであるから、上記実施例で述べた如く、前
記金属ケース、上蓋及びガスケツト相互間の接触
面績が大きくなり、かつ金属ケースのかしめ方向
と上蓋の金属ケースに対する押圧方向とが一致す
るため、強固な封口構造が可能になり、しかも、
この様な構造にすることによつて、かしめ部分の
スペースを特別に設ける必要がないため、分極性
電極を収納できる領域が広くとれる。従つて、液
漏れの虞れがない上に、大きな静電容量が確保で
きるので、小形化を図る上に非常に有効である。

なお、本考案は上記実施例に限らず実用新案登
録請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内におい
て種々設計的変更が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る電気二重層コンデンサの
実施例を示す縦断面図、第２図は同ガスケツトを
示す一部切除斜視図、第３図は同製品化した状態
を示す縦断面図、第４図は従来の電気二重層コン
デンサを示す縦断面図である。 図において、ａは分極性電極、ｂはセパレー
タ、ｃは金属ケース、ｄは上蓋、ｅはガスケツ
ト、１は金属ケース、２は上蓋、３はセパレー
タ、４，５は分極性電極、６は金属ケースの周縁
部、７は上蓋の凹部、８はガスケツト、９は上蓋
の周縁部分である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電極等を収納する有底円筒形状のケースと、こ
   のケースよりも若干小径に形成される円筒形状の
   上蓋と、これらの開口部の間に介設されるガスケ
   ツトを有している電気二重層コンデンサにおい
   て、前記ガスケツトは上蓋の周縁部分の内外面を
   包持する内壁と外壁とを有し、その内壁側には内
   方に突出するセパレータ保持部を有した折曲構造
   としたことを特徴とする電気二重層コンデンサ。