JPH0310526Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案は、電子写真方式プリンタ等の定着装置
に関するものである。

〔考案の背景〕

第２図は、電子写真方式プリンタに用いる定着
装置の従来例を示すものである。同図において、
１は印刷用紙、２は内部にヒータ３を有し外周に
離型性の良好な物質（例えば弗素樹脂等）を被覆
してなる熱ローラ、４は熱ローラ２と接触しつつ
回転する加圧ローラであり、印刷用紙１を熱ロー
ラ２と加圧ローラ４の間を通過させて印刷用紙上
の未定着トナー像１９を定着するものである。

このような定着装置においては、トナー定着時
に印刷用紙１のトナーが熱ローラ２に若干付着し
やすく、この付着トナー１９′が、送られてくる
次の印刷用紙上に再転写されるおそれがある。こ
れを防止するために、フエルト材等からなる帯状
体５にシリコンオイル等の離型剤を含浸させ、こ
の帯状体５を送りローラ６及び巻取ローラ７の駆
動力により、印刷用紙１の走行に合わせて走行せ
しめ、走行時に押付部材８の両端８ａ，８ｂを熱
ロール２側に板ばね９の押圧力で押し付けて、帯
状部材５と熱ローラ２の間に接触部Ａ，Ｂを形成
し、接触部Ａで帯状部材５の離型剤を熱ローラ２
の外周面に塗布し、接触部Ｂで熱ローラ２に付着
したトナー、紙紛等を吸着除去して熱ローラ２の
外周面の清掃を行つていた。

しかしながら、このような従来技術において
は、一端を固定した板ばね９に押付部材８を搭載
し、板ばね９の押圧力で帯状体５を熱ロール２の
外周面に接触させているために、帯状体５の巻取
が増加するにつれて巻取ローラ７の巻取張力が押
付部材８側に作用し、その結果板ばね９の自由端
がすべり、押付部材８が矢印方向に後退すること
があつた。従つて、接触部Ｂにおける帯状体５と
熱ローラ２の接触状態が不安定となり、トナー、
紙粉の吸着領域が接触部Ａに移動するために、シ
リコーンオイル等の離型剤の塗布と清掃機能のバ
ランスが不安定となり、熱ローラ２に付着したト
ナーが再び印刷用紙上に転写される不具合が生じ
ることもあつた。

〔考案の目的〕

本考案は上記実情を考慮してなされたものであ
り、その目的とするところは、定着用の熱ローラ
への離型剤の塗布と、トナー、紙粉等のクリーニ
ング機能を安定させることにより、印刷用紙上に
不要な転写がなされることを防止することにあ
る。

〔考案の概要〕

本考案は上記目的を達成するために、印刷用紙
上の未定着トナー像を加熱、加圧して定着させる
熱ローラ及び加圧ローラと、シリコーンオイル等
を含浸し且つ送りローラ及び巻取ローラの駆動力
を介して走行する帯状部材と、両側に押付部が配
設され、この両押付部により前記熱ローラの外周
面に前記帯状部材を押付ける押付部材とを具備
し、この押付部の一方側にて前記帯状部材の離型
剤を前記熱ローラの外周面に塗布し、他方側にて
前記熱ローラに付着した印刷用紙のトナー、紙粉
等を前記帯状部材に吸着してなる定着装置におい
て、前記押付部材を支持る固定部材に長穴を設
け、この長穴に前記押付部材を進退移動可能に枢
着すると共に、この押付部材の両側に配設された
前記押付部を、別個のばね部材の押圧力を介して
前記熱ローラの外周面に押付け、更に前記帯状部
材の走行径路には、この走行径路を一定状態に規
制するガイドシヤフトを配設したものである。

このように構成された本考案によれば、押付部
材は枢着部を介して所定位置に常に支持され、且
つ押付部材の両側に設けた押付部がこれを押圧す
る各ばね部材の安定した押圧力で熱ローラの外周
面に押付けられ、これらの押付位置で帯状部材が
熱ローラの外周面に適正な接触圧で接触すること
ができる。また、定着時に、送りローラ、巻取ロ
ーラの駆動力を介して走行する帯状部材は、その
走行径路をガイドシヤフトを介して一定に規制さ
れるから、巻取ローラの巻径が次第に増大しても
帯状部材の走行径路に変動が生じることがなく、
帯状部材の張力が押付部材側に強く働くことがな
く、押付部材は常に所定位置に保持される。従つ
て、押付部材はその両側に配設したばね部材によ
り常に帯状部材を熱ローラの外周面に安定した状
態で接触させることができる。

〔実施例〕

本考案の一実施例を第１図に基づき説明する。
同図において、印刷用紙１、熱ローラ２、ヒータ
３、熱ローラ４、帯状部材５、送りローラ６、巻
取ローラ７は第１図の従来例と同一のものであ
り、その構成は既述した通りなのでその説明を省
略する。

１０は帯状部材５を熱ローラ２の表面に接触さ
せる押付部材であり、押付部材９は、その両側に
熱ローラ２の外周面に対向する押付部１０ａ，１
０ｂが形成され、中央部に支持軸１１が設けられ
ており、この支持軸１１を固定部材１２に突設し
た突設部１３の長穴１４に枢着して押付部材５が
回転可能に支持されていると共に長穴１４中を支
持軸１１が摺動して回動可能にかつ進退移動でき
るように支持されている。

１５，１６は固定部材１２と押付部材１０の間
に支持軸１１を中心に対称に配設されたコイルば
ねであり、このコイルばね１５，１６の押圧力を
介して押付部材１０の押付部１０ａ，１０ｂのそ
れぞれが熱ローラ２の外周面に当接されている。

１７，１８は帯状部材５の走行径路に設けたガ
イドシヤフトで、ガイドシヤフト１７は送りロー
ラ６と熱ローラ２の間に、ガイドシヤフト１８は
熱ローラ２と巻取ローラ７の間にそれぞれ配設さ
れており、ガイドシヤフト１７，１８を介して帯
状部材５の走行径路が押付部材１０と平行になる
ように支持されている。

次に、本実施例の作用について説明する。

送りローラ６及び巻取ローラ７を駆動させる
と、シリコンオイル等の離型剤を含浸する帯状部
材５がガイドシヤフト１７，１８を介して一定の
走行径路を保持されつつ巻取ローラ７側に走行す
る。一方、押付部材１０は、その中心を支持軸１
１、長穴１４を介して支持され、この状態で押付
部材１０の両側に配設された押付部１０ａ，１０
ｂがコイルばね１５，１６の押圧力を受けて熱ロ
ール２側に付勢され、このようにして帯状部材５
は熱ロール２の外周面に接触部Ａ、接触部Ｂを形
成しつつ走行する。そして接触部Ａにおいて、帯
状部材５が熱ロール２の外周面にシリコーンオイ
ル等の離型剤を塗布すると共に、接触部Ｂにおい
て、帯状部材５が熱ロール２の外周面に付着した
印刷用紙１のトナー１９′が、紙粉等を吸着除去
し、これらの一連の過程を経て帯状部材５が巻取
ロール７に巻取られていく。また、帯状部材５が
巻取られ、巻取ロール７の巻取径が増大した場合
においても、帯状部材５は、ガイドシヤフト１
７，１８を通過することから、帯状部材５の走行
径路に変動が正じることがなく、常に押付部材１
０と平行になる一定の径路を保持されつつ走行す
る。

従つて、巻取ロール７の巻取径が増大しても、
押付部材１０側には、常に略一定の荷重（帯状部
材５の押付部材１０側に働く荷重）が作用し、押
付部材１０は後退することなく所定の位置で帯状
部材５を熱ロール２側に押付けることができる。
その結果、帯状部材５と熱ロール２の接触部Ａ，
Ｂのいずれもが常に均一な安定した接触状態を保
持し、接触部Ａにおけるシリコンオイル等の塗
布、及び接触部Ｂにおけるトナー１９′等の吸着、
除去を確実に行うことができる。

以上の本実施例によれば、定着用の熱ロール２
の外周面にトナーが融着するのを確実に防止し、
且つ熱ロール２の清掃性を大幅に向上できるので
定着時に印刷用紙に不必要なトナーが再転写され
ることがなく、印刷用紙の質を向上させることが
できる。

更に、本例ではコイルばね１５，１６のばね定
数を相対的に変えることにより、熱ロール２と帯
状部材５の接点となる接触部Ａ，Ｂの接触圧を必
要に応じて任意に変えることもでき、帯状部材５
によるシリコーンオイル等の塗布性能と、トナー
等を吸着除去する清掃性能をより一層向上させる
ことができる。

〔考案の効果〕

以上のように、本考案によれば、帯状部材の走
行径路を巻取ロールの巻取径の変動いかんにかか
わらず常に一定状態に規制することができると共
に、押付部材の押付位置を別々のばね部材を介し
て相対的に押圧することから、常に熱ロールにシ
リコンオイル等の離型剤を安定した状態で塗布
し、且つ熱ロールの清掃性を向上させることがで
きる。従つて、定着時の印刷用紙に不要なトナー
が再転写されることがなく、印刷用紙の汚れを確
実に防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例を示す概略構成図、
第２図は従来の定着装置を示す概略構成図であ
る。 １……印刷用紙、２……熱ローラ、４……加圧
ローラ、５……帯状部材、６……送りローラ、７
……巻取ローラ、１０……押付部材、１０ａ，１
０ｂ……押付部、１１……支持軸、１２……固定
部材、１４……長穴、１５，１６……ばね部材、
１７，１８……ガイドシヤフト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 印刷用紙上の未定着トナー像を加熱、加圧して
   定着させる熱ローラ及び加圧ローラと、シリコン
   オイル等の離型剤を含浸し且つ送りローラ及び巻
   取ローラの駆動力を介して走行する帯状部材と、
   両側に押付部が配設され、この両押付部により前
   記熱ローラの外周面に前記帯状部材を押付ける押
   付部材とを具備し、前記押付部の一方側にて前記
   帯状部材の離型剤を前記熱ローラの外周面に塗布
   し、他方側にて前記熱ローラに付着した印刷用紙
   のトナー、紙粉等を前記帯状部材に吸着可能にし
   た定着装置において、前記押付部材を支持する固
   定部材に長穴を設け、該長穴に前記押圧部材を進
   退移動可能に枢着すると共に、前記押付部材の両
   側に配設された前記押付部を、別個のばね部材の
   押圧力を介して前記熱ローラの外周面に押付け、
   更に前記帯状部材の走行径路には該走行径路を一
   定状態に規制するガイドシヤフトを配設してなる
   ことを特徴とする電子写真方式プリンタ等の定着
   装置。