JPH0310153Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は船内からスクリユープロペラを垂直に
船底下に降下してスラスタとして駆動し、スラス
タの不使用時には船内に上昇格納せしめる形式の
昇降装置付旋回式スラスタの垂直駆動軸の構造に
関するものである。

〔従来の技術とその課題〕

昇降装置付旋回式スラスタとして、駆動原動機
側が船体内に固定さていて旋回式スラスタ部が昇
降せしめられる形式の場合、必然的に駆動軸系に
は何等かの伸縮継手機能が要求される。伸縮継手
機能として最も代表的なものは第３図イ，ロに示
すような特開昭52−41389号公報記載のスプライ
ン継手である。すなわち、第３図イは駆動軸の一
部を示す断面で、第３図ロは第３図イのＡ−Ａ線
断面で外管１２の内側の上部にスプライン溝を、
内軸１１の外周にはその殆ど全長に亘つてスプラ
インを形成して両２材を嵌合せしめたものであ
る。

しかしながら、このようなスプライン継手の場
合には、昇降装置付旋回式スラスタも大容量のも
のになるとその伸縮のストロークが長大になり、
ストロークが長大になればなる程その加工が困難
になる。

又、昇降装置付旋回スラスタは船底から突出さ
せて使用する関係上船底付近へ装備されるが船底
付近は接近性が悪く、保守点検が困難であると共
に環境が悪く、一般に機械要素を正常に維持する
ことが困難であるが、スプライン式伸縮継手を採
用するとスプライン係合部に対する軸封が極めて
困難であるため直接上記問題点にさらされるとい
う問題がある。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は上記の問題点を解決するためのもの
で、その要旨とするところは、船内からスクリユ
ープロペラを垂直に降下して船のスラスタに使用
し、不使用時には船内に上昇せしめる形式の旋回
式スラスタにおいて、船内の駆動原動機から垂下
せしめた駆動軸の下端を直角軸伝達装置に接続し
スクリユープロペラに動力を伝達する機構を有し
てなり、該駆動軸は少なくとも同心的に配置した
内軸およびこれに係合する外管の２材によつて構
成し、この内軸の先端部にのみスプライン溝を設
け、しかもこれを除く部分は一部に平面を有する
単純な断面に形成する一方、前記外管の内側端部
にのみ前記内軸のスプライン溝に嵌合すべきスプ
ライン溝を設けると共に、この外管の頭部にはガ
イドを固着し、このガイドに前記内軸の単純断面
に係合すべく開口を形設し、更に該ガイドと前記
内軸との間に軸封装置を設けたことを特徴とする
昇降式スラスタ装置にある。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面により説明する。
第１図イ，ロに示す実施例は旋回式スラスタの側
断面図で、船内に駆動原動機１３を固定し、該固
定部よりスラスタ装置を油圧ピストン２によつて
支持する。このスラスタ装置は封水筒１０と下法
にスラスタを支持する取付台１とよりなり、油圧
ピストン２により昇降せしめられる。取付台１に
は下側にスラスタを有しスラスタの推力を軸受３
により船体に伝達する。該スラスタはスクリユー
プロペラ５とケーシング９とを有し、ケーシング
９はプロペラ軸６及びプロペラ軸６を駆動する直
角軸伝達装置７を内臓する。４は旋回筒で封水筒
１０に軸受３を介し回転自在に支持されスラスタ
に接続しており、上記はウオームホイール１８に
接続しスラスタの方向を制御せしめるものであ
る。駆動原動機１３と前記直角軸伝達装置７との
間に駆動軸８を接続しスクリユープロペラ５を回
転せしめる。駆動軸８は一部分少なくとも外管１
２と内軸１１とよりなり、スラスタ装置とスラス
タの昇降に対応し両２材を同心的に伸縮せしめる
如く係合する。第１図イは船内にスラスタを上昇
し格納した状態、第１図ロは船底１７からスラス
タを突出せしめた状態である。第２図イ，ロ，ハ
は本考案にかかる実施例で、内軸１１の外周は先
端部のみスプラインを形成して外管１２のスプラ
イン溝に嵌合せしめるが、第２図ロに示す如く内
軸のスプライン部以外は単純な断面形状、例えば
二つの平行な平面をもつ軸を形成している。この
単純な断面形状はその他一面軸、四面軸なども考
えられる。外管１２の上端部には軸封装置１４を
設け内軸の円弧部と平行線部をシールする。１５
はガイドで、軸断面に合つた単純な開口を有し、
内軸が摺動する如く二面軸が通過する形状の穴を
あけておく。１０は封水筒、１６は封水装置であ
る。

次に本考案の作用効果について説明すると、ス
ラスタを使用するときには第１図イの状態から第
１図ロの状態にスラスタを船底１７より突出せし
める。即ち、油圧ピストン２を伸張させ封水筒１
０を押し出すと封水筒は封水装置１６を摺動して
降下し、封水筒１０の下端にある取付台１が降下
し、スラスタは船底より突出する。このとき駆動
軸の内軸１１及び外管１２が伸長し、外管１２の
上部と内軸１１の下部がスプライン嵌合する。即
ち駆動原動機１３には内軸１１が接続しており、
スラスタ側には外管１２が接続してスラスタの降
下と共に降下するので、内軸１１の先端部のスプ
ラインが外管１２の内側のスプライン溝に係合し
駆動力の伝達状態となる。このとき内軸１１の先
端部以外のところは伸縮の全ストローク分に亘り
平面を有する単純な断面になつており、例えば二
面軸であるので円周方向のズレを発生せずスプラ
イン嵌合が確実に行われる。外管１２、内軸１１
の２材の伸張しきらない状態、あるいはスラスタ
の格納状態においてはスプライン嵌合は行われず
外管１２内で内軸１１のスプライン溝を有する端
部は遊んでいるが駆動力を伝達する必要がなく、
外管１２上部のガイドが内軸１１と外管１２との
周方向の係合位置を確保する。又、スプライン継
手による動力伝達部には通常潤滑油が使用される
が、本考案は軸封装置１４により潤滑油を外管１
２内に保持し、内軸１１の外周を密封し塵埃の侵
入を防止することができるものである。

〔考案の効果〕

上記説明の如く、本考案はスラスタの昇降時に
船内の駆動原動機から垂下せしめた駆動軸の下端
をスラスタの直角伝達装置に接続しスクリユープ
ロペラに動力伝達する機構において、駆動軸は少
なくとも同心的に配置した内軸および外管の２材
によつて構成し、外管の内側の上部のみスプライ
ン溝として内軸の先端部と係合せしめると共に、
スプライン継手の嵌脱に支障をきたさないよう内
軸の先端部のみに外管と嵌合するスプライン溝を
設け、それを除く部分を一部に平面を有する単純
な断面形状としたものであるので、スプラインの
切削長さを最少に押さえることができ、かつ外管
端部と内軸との間に設けた軸封装置が単純な断面
形状の内軸外周に接して外管内を封鎖し、塵埃の
侵入を防止し外管内に潤滑油を保持することがで
きるから、加工上及び機能上すぐれた特徴を有す
るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は本考案の実施例を説明す
るための図面であつて、第１図イはスラスタ装置
の側面図でスラスタの格納状態、第１図ロは同じ
くスラスタ装置の側断面図でスラスタの使用状態
を示し、第２図イは本考案の駆動軸の部分側断面
図、第２図ロ，ハはそれぞれ第２図イのＢ−Ｂ及
びＣ−Ｃ断面図である。第３図イ，ロは従来技術
の説明図であつて、第３図イは駆動軸の部分側断
面図、第３図ロは第３図イのＡ−Ａ断面図であ
る。 １……取付台、２……油圧ピストン、３……軸
受、４……旋回筒、５……スクリユープロペラ、
６……プロペラ軸、７……直角軸伝達装置、８…
…駆動軸、９……ケーシング、１０……封水筒、
１１……内軸、１２……外管、１３……駆動原動
機、１４……軸封装置、１５……ガイド、１６…
…封水装置、１７……船底、１８……ウオームホ
イール。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 船内からスクリユープロペラを垂直に降下して
   船のスラスタに使用し、不使用時には船内に上昇
   せしめる形式の旋回式スラスタにおいて、船内の
   駆動原動機から垂下せしめた駆動軸の下端を直角
   軸伝達装置に接続しスクリユープロペラに動力を
   伝達する機構を有してなり、該駆動軸は少なくと
   も同心的に配置した内軸およびこれに係合する外
   管の２材によつて構成し、この内軸の先端部にの
   みスプライン溝を設け、しかもこれを除く部分は
   一部に平面を有する単純な断面に形成する一方、
   前記外管の内側端部にのみ前記内軸のスプライン
   溝に嵌合すべきスプライン溝を設けると共に、こ
   の外管の頭部にはガイドを固着し、このガイドに
   前記内軸の単純断面に係合すべく開口を形設し、
   更に該ガイドと前記内軸との間に軸封装置を設け
   たことを特徴とする昇降式スラスタ装置。