JPH029843Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、フラスコを回転させ蒸発面積を増加
し溶液の減圧蒸留、濃縮、乾燥、回収等を簡単な
操作で実行するための回転式減圧濃縮装置（ロー
タリーエバポレーター）に関するものである。

（従来の技術） 従来、この種の装置では、溶媒の沸点の差に応
じた高沸点溶媒用、低沸点溶媒用の回転式減圧濃
縮装置はある。又、溶媒を還流、回収切り替え可
能な回転式減圧濃縮装置はある［参考：東京理化
器械総合カタログ（(株)東京理化）、柴田科学総合
カタログ（(株)柴田科学器械工業）、ヤマト科学機
器総合カタログ（(株)ヤマト科学）］。しかし、回収
容器を複数個備えた回転式減圧濃縮装置は皆無で
ある。

（考案が解決しようとする問題点） 従来の装置による場合、濃縮しようとする溶液
が突沸しやすい溶液であるか或は、発泡性の溶液
である場合、突沸或は、発泡によつて飛び出した
溶液は溶媒回収容器へ入つてしまう。従つて、溶
液の濃縮を続けようとする場合、溶媒回収容器を
一旦外して突沸或は、発泡によつて飛び出した溶
液を取り出した後、改めて濃縮操作を再開しなく
ではならない。しかし、溶液の性質によつては、
減圧状態から一旦、常圧に戻した場合、溶液中に
空気或は、ガスを吸い込むため、再度の減圧操作
によつて必ず突沸或は、発泡を繰り返す性質を有
する溶液がある。このような性質を有する溶液を
従来の回転式減圧濃縮装置を用いて濃縮しようと
する場合、突沸或は、発泡によつて溶媒回収容器
に飛び出した溶液を再度、常圧に戻して取り出す
ことは出来ない。

本考案は上記の点に鑑み開発されたもので、突
沸或は、発泡が起きた場合でも減圧濃縮を中断す
ることなく続行することが可能で有り、濃縮操作
終了後、突沸或は、発泡によつて飛び出した溶液
を、その濃度が希釈されることなく回収可能な回
転式減圧濃縮装置を得ることを目的としている。

（問題点を解決するための手段） 上記目的達成の為、本考案は、冷却器が接続さ
れる分配管を備えた回転式減圧濃縮装置であつ
て、溶液容器の開口より突沸液が飛び出す方向に
突沸液回収容器用接続枝部が形成されていると共
に、前記突沸液の飛び出す方向とは異なる方向で
あつて、冷却管の接続口下方に溶媒回収容器用接
続枝部が形成されている二股状の分配管を備えた
ことを特徴とする回転式減圧濃縮装置とした。

（考案の作用） 従つて、本考案の回転式減圧濃縮装置に依れ
ば、突沸或は、発泡が起きた場合、その突沸液は
溶液容器の開口より飛び出て、突沸液が飛び出す
方向に形成された分配管の突沸液回収容器用接続
枝部の壁に衝突する。突沸液回収容器用接続枝部
の壁に衝突した突沸液は同突沸液回収容器用接続
枝部の壁に沿つて落下し、突沸液回収容器中に溜
るようになる。一方、溶液容器中に発生した気体
は、溶液容器の開口より分配管内に入り、分配管
に接続された冷却器により液化され、冷却管の接
続口下方に形成された溶媒回収容器用接続枝部を
通つて、溶媒回収容器中に溜るようになる。

（考案の効果） 以上述べたように、この考案は突沸或は、発泡
する性質を有する溶液を、突沸或は、発泡を起こ
した場合にも、中断することなく減圧濃縮を行
い、終了後、１個の容器からは突沸或は発泡によ
つて飛び出した溶液を回収し、又、１個の容器か
らは蒸留によつて出てきた溶媒を回収することが
可能となつた。従来の回転式減圧濃縮装置では溶
媒回収用の容器が１個であるため突沸或は、発泡
によつて飛び出した溶液が、引き続いて蒸留によ
つて回収された溶媒と同一の容器に回収されるた
め再度、溶媒により希釈された溶液から減圧濃縮
を繰り返して溶質を取り出す必要があつた。本考
案による回転式減圧濃縮装置を用いれば、突沸或
は発泡によつて飛び出した溶液はそのまま回収さ
れ希釈されていないため短時間で再度の減圧濃縮
を終えることが出来る。又、本考案の回転式減圧
濃縮装置によれば、溶液容器の開口と、突沸液回
収容器用接続枝部と、溶媒回収容器用接続枝部と
の位置関係で、自動的に突沸液と溶媒とを分取す
ることができる。

（実施例） 次に、この考案の回転式減圧濃縮装置を実施例
に従つて更に詳しく説明する。

本考案の実施例１を第１図及び、第２図に基づ
いて説明する。第１図は斜視図であり、第２図は
分配管の正面図である。第１図及び、第２図は縦
型で二股状をなしている分配管を有する回転式減
圧濃縮装置の一実施例を示したものである。各部
の名称は次の通りである：１突沸液回収用フラス
コ、２溶媒回収用フラスコ、３溶液用フラスコ、
４分配管、５ベーパーダクト、６冷却器、７排気
接続口、８注入管、９駆動部、１０支柱、１１ク
ランプ。１〜８はガラス製である。各々、ガラス
同士の接続は共通摺合せ又は、球面摺合せによつ
てなされている。但し、６の冷却器の構造は蛇管
冷却器或は、ジユワー瓶型冷却器の何れでも可能
であり、共通摺合せ又は、球面摺合せにより接続
の互換性を有する。この縦型の回転式減圧濃縮装
置において、分配管は溶媒と突沸液とを別々に回
収する枝部を有しており、この部分が二股状とな
つているのである。各々、１突沸溶液回収用フラ
スコ、２溶媒回収用フラスコを接続している。９
駆動部によつて５ベーパーダクトが回転運動を受
け、それにともなつて３溶液用フラスコが回転し
内容物を減圧下で撹拌する。６冷却器は蛇管式の
場合、蛇管中に冷却水或は、冷媒を通じることに
より蒸留されてきた溶媒との熱交換をおこなう。
６冷却器がジユワー瓶型の場合はドライアイス或
は、液化ガス（液体窒素等）により蒸留されてき
た溶媒との熱交換をおこなう。７排気接続口を通
じてアスビレーター或は、真空ポンプ等で回転式
減圧濃縮装置のガラス容器系内の減圧を行なう。
この実施例では３溶液用フラスコから突沸或は、
発泡によつて飛び出した溶液は５ベーパーダク
ト、４分配管を通つて１突沸液回収用フラスコに
回収される。又、３溶液用フラスコから蒸留され
て出た溶媒は５ベーパーダクト、４分配管を通つ
て６冷却器に至り、再度４分配管から２溶媒回収
用フラスコに回収される。この実施例の構造で
は、減圧濃縮の状態によつて１に回収されるか２
に回収されるかは自動的に選択される。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案の縦型の回転式減圧濃縮装置
を示した斜視図、第２図は縦型の回転式減圧濃縮
装置の分配管部分を示した正面図である。 第１図及び第２図の各部の名称は次の通りであ
る：１……突沸液回収用フラスコ、２……溶媒回
収用フラスコ、３……溶液用フラスコ、４……分
配管、５……ベーパーダクト、６……冷却器、７
……排気接続口、８……注入管、９……駆動部、
１０……支柱、１１……クランプ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 冷却器が接続される分配管を備えた回転式減圧
   濃縮装置であつて、 溶液容器の開口より突沸液が飛び出す方向に突
   沸液回収容器用接続枝部が形成されていると共
   に、前記突沸液の飛び出す方向とは異なる方向で
   あつて、冷却管の接続口下方に溶媒回収容器用接
   続枝部が形成されている二股状の分配管を備えた
   ことを特徴とする回転式減圧濃縮装置。