JPH027593Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （技術分野） この考案は、らせん軸を利用して重力に基づく
下降運動を回転運動に変換する自重式回転機構に
関するものである。

（背景技術） 従来より、らせん軸を利用して重力に基づく下
降運動を回転運動に変換する自重式回転機構が知
られている。しかし、従来のものはらせん軸に回
転体が直接螺合されていたので、回転体が下降す
るとすぐにその回転が止まつてしまい、回転玩具
などに適用した場合、興味深さ、不思議さに今一
歩乏しいものがあつたといつて過言ではない。

（考案の目的） この考案は上記欠点を除去するためになされた
もので、回転軸がらせん軸に沿つて下降し終つて
もしばらくの間回転状態を維持することのできる
重力式回転機構を提供することを目的とする。

（考案の構成） この目的を達するために、この考案に係る重力
式回転機構は、略垂直に設けられた天地逆さにす
ることが可能ならせん軸と、該らせん軸に自重で
降下可能に螺合された中子体と、該中子体の外側
に遊嵌された状態に設けられた該中子体の上側と
なつた部分に垂り、該中子体とともに前記らせん
軸を中心として回転する外枠と、該外枠に取り付
けられた錘り体とから構成した。

（考案の作用効果） 中子体自体も自重でらせん軸に沿つてある程度
下降が可能であるが、錘り体の重力が外枠を介し
て中子体に負荷されると、中子体は、その分、自
重だけのときよりも急速にらせん軸に沿つて回転
しながら下降（らせん運動）する。このとき、中
子体の上に乗つた外枠も中子体と一緒に回転し、
ひいては外枠に取り付けた錘り体も一緒に回転
（実質はらせん運動）する。

しかも、錘り体及び外枠がらせん軸の下端に到
達してもなお、中子体だけが自重でさらに下降す
るので、外枠は中子体上に乗つていた状態から開
放されることになり、錘り体とともにそれまでに
蓄積された慣性運動エネルギを消費し尽すまで回
転し続ける。

即ち、錘り体および外枠がらせん軸に沿つて下
降し終つてもその回転がある程度継続する不思議
さがあり、興味深いものとなる。とりわけ、錘り
体を玩具として趣味感に訴える形態のものとする
と、いわゆる回転作動玩具として面白いものとな
る。

（実施例） 第１図と第２図は、この考案に係る重力式回転
機構を適用したボール型玩具を示している。

図中１はプラスチツクにより透明に作られた中
空のボール体で、このボール体１内の球心を通る
位置には両端をボール体１に固定した状態でらせ
ん軸２が垂設されている。このらせん軸２には中
子体３（第２図）が螺合されており、中子体３の
外側には外枠４が遊嵌されている。この外枠４の
外側部には120゜間隔で放射状に延びる腕６を介し
て錘り体５が回転自在に軸支されている。

ボール体１には、その外面であつてらせん軸２
の延長線部位に、該ボール体１をある程度安定静
止させる広さの平面部７，７が形成されている。
従つて、ボール体１を前記平面部７のところで床
面上に静止させる限り、らせん軸２は必ず垂直に
なる。

らせん軸２は、円柱棒の外周にコイル状のワイ
ヤ２ａを一様に引き伸ばしてらせん角度をかなり
急な角度にし、一定ピツチで巻装した構成とされ
ている。但し、らせん条を一体的に突出成形し叉
は削設した構成のものであつてもよい。このらせ
ん軸２はボール体１の中空部内に突設したソケツ
ト８，８中に両端を嵌合固定されている。

中子体３は中空円筒状に成形されたものであ
り、その中空部内にらせん軸２のらせんワイヤ２
ａを伝う突起３ａが形成されている。

外枠４は前記中子体３の外側に遊嵌される大き
さの中空円柱形状に形成されており、ボール体１
の天地が変わるごとに、外枠４の上下の端壁４
ａ，４ｂの内側面が中子体３の上下の端面に交互
に当接し、もつて錘り体５の重力が中子体３に伝
達負荷されるようになつている。

錘り体５の重力が中子体３に負荷されると、突
起３ａがらせんワイヤ２ａに沿つて滑降するとこ
ろとなり、外見上は固定されたらせん軸２に対し
中子体３の方が回転しつつ降下するといつたらせ
ん運動（回転）をする。同時に、中子体３上に乗
つた外枠４及びこれに取り付けられた錘り体５も
らせん軸２のまわりを回転しながら降下するので
あり、この回転運動は透明なボール体１の外から
明瞭に視認できる。

しかして、降下した外枠４の下端壁４ｂの下面
がソケツト８の上端面に当接すると、外枠４およ
び錘り体５の下降は止まるが、中子体３はその自
重により回転しながらさらに下降し外枠４の下端
壁４ｂの上側面上に至つて止まる。このように中
子体３がらせん軸２に沿つて完全に下降し終わる
と、らせん軸２のらせんワイヤ２ａに妨げられて
中子体３はそれ以上回転できなくなる。従つて仮
に、中子体３が下降し終つた状態にあるときにお
いてもなお外枠４がその上に乗つていて、その接
触部分どうしの摩擦係数が大きければ、中子体３
が下降し終わつた時点で直ちに外枠４および錘り
体５の回転も止まるはずであるが、上記のように
中子体３が下降することによつて外枠４が中子体
３上に乗つていた状態から解放されることになる
ので、外枠４および錘り体５は慣性力によつて、
しばし、そのまま回転し続けて後静止する。

静止した後、さらにボール体１を転がして天地
を逆にすると、中子体３上に外枠４が乗つた状態
で、中子体３と一緒に外枠４および錘り体５が回
転しながら下降する。

なお、錘り体５を本実施例の如く猫の顔および
頭としてキヤラクタ化した形態にしておくと、外
見上は３匹の猫が回旋塔に乗つているが如き景観
を呈し、玩具として面白い。

また、この実施例の場合、錘り体５は、その下
部重量の大きい偏重量の構成とし、かつ、腕に対
して回転自在に取り付けてあるので、ボール体１
の天地を逆にしても常に錘り体５の天地は一定に
保たれる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案に係る重力式回転機構を適用
したボール型玩具の斜視図、第２図はその要部の
断面図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 略垂直に設けられ天地逆さにすることが可能な
   らせん軸と、該らせん軸に自重で降下可能に螺合
   された中子体と、該中子体の外側に遊嵌された状
   態に設けられ該中子体の上側となつた部分に乗
   り、該中子体とともに前記らせん軸を中心として
   回転する外枠と、該外枠に取り付けられた錘り体
   とよりなる重力式回転機構。