JPH0260750B2 - - Google Patents

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JPH0260750B2
JPH0260750B2 JP16804988A JP16804988A JPH0260750B2 JP H0260750 B2 JPH0260750 B2 JP H0260750B2 JP 16804988 A JP16804988 A JP 16804988A JP 16804988 A JP16804988 A JP 16804988A JP H0260750 B2 JPH0260750 B2 JP H0260750B2
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metal
alloy
amorphous
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Takeshi Masumoto
Akihisa Inoe
Michiaki Hagiwara
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野) 本発明は、耐熱性並びに強度に優れた断面の円
形な非晶質金属フイラメントに関するものであ
る。 (従来の技術) 溶融金属から直接金属フイラメントを製造する
方法は、安価な金属フイラメントの製造方法であ
る。しかも、得られた金属フイラメントが非晶質
構造を有するならば、化学的、電気的、物理的に
数多くの優れた特長を有しており、電気及び電子
部品、複合材、繊維素材等の多くの分野において
実用化される可能性が極めて強い。特に非晶質合
金の場合、適切な合金組成を選択することによ
り、従来実用化されている結晶金属、結晶合金に
比べ、強度が著しく高く、加工硬化もなく、非常
に粘い等の優れた機械的性質を有しているので、
断面の円形な高品位の非晶質金属フイラメントを
得ることができるならば、将来有望な各種工業資
材として大いに期待される。 非晶質金属に関しては、「日本金属学会報」No.
3、Vol.15(1976年)、「サイエンス」No.8(1978
年)等にすでに知られているとおりである。この
ような優れた特性を有する非晶質金属について、
断面が円形な高品位のフイラメントを、溶融紡糸
という簡便な製造方法で得ることが強く嘱望され
ている。 現在、溶融金属から直接冷却液体中に紡出固化
して断面の円形な非晶質金属フイラメントが得ら
れるのは、Pd77.5−Cu6−Si16.5系合金(数字は原
子%)のように、臨界冷却速度が103℃/秒程度
の合金に限られている(Scripta metallurgica
Vol.13、1979年、P463〜467)。合金の非晶質化
の難易は、金属の種類や組成に大きく依存し、特
に実用材として重要なFe、Ni、Co系合金の臨界
冷却速度は、およそ105〜106℃/秒の範囲にあ
り、冷却液体中では冷却速度が遅いため、断面の
円形な非晶質金属フイラメントは得られにくいと
されている。すなわち、現在Fe、Ni、Co系合金
の非晶質金属を得るには、冷却速度の速いガン
法、ピストン・アンビル法、ロール急冷法、遠心
急冷法、プラズマ・ジエツト法等が採用されてい
る。しかし、上記の方法のうち、ロール急冷法及
び遠心急冷法以外は、すべて不定形板状のものし
か得られない。ロール急冷法、遠心急冷法におい
ても、定形リボン状のものしか得られていないの
が実状であり、偏平なるがゆえに特殊な用途以外
には使用できないという欠点を有している。 このリボン状の非晶質金属フイラメントの製造
方法は、前述した非晶質合金に関する文献をはじ
め、特開昭49−91014号(U.S.3856513)、特開昭
53−125228号、特開昭53−125229号、特開昭52−
88219号、特公昭52−50727号、特開昭50−101203
号、特開昭51−4017号、特開昭51−109221号
(DT2606581、FR2301605)、特開昭53−12719
号、特開昭53−12720号、特開昭52−133826号
(DT2719710、FR2350159)、特開昭52−88220号
等、多くの特許公報によつて知られている。 このように、従来の非晶質金属フイラメントの
製造方法は、溶融金属を急冷体の表面に噴射して
行う原理に基づいているため、接触した面での偏
平化は避けられず、断面の円形なフイラメントを
得ることは到底不可能であつた。ロールの表面に
丸い溝をつけて、そこに溶融金属を噴射して断面
を円形化しようという試みもなされたが、非常に
細いその溝の中に溶融金属が正確に噴射すること
ができない等、技術的には非常に成功の可能性の
小さいものであつた。 一方、溶融金属から直接断面の円形な金属フイ
ラメントを得るため、数多くの製造法が開発され
ている。その一つの方法として、非常に不安定な
低粘性金属流が連続性を保つている間に冷却固化
される、いわゆる現在多量生産されている合成繊
維の溶融紡糸と同様の方式がある。例えば、特公
昭45−24013号公報には、かかる冷却固化にかか
わる安定化手段として、金属と反応性のある雰囲
気ガス中に紡出し、溶融フイラメント表面に酸化
あるいは窒化皮膜を形成する方法が提案されてい
る。ところが、この提案について詳細に検討して
みると、皮膜の形成だけでは溶融金属を固化状態
と同様に安定化することは極めて困難である。ま
してや、この方法は、酸化あるいは窒化皮膜等を
形成する特定の金属しか採用できない。 また、特公昭44−25374号公報は、溶融金属の
冷却方法に極めて有用な一手段を提供するもの
で、特に融剤粒子を不活性ガス中に浮遊する状態
でコロナ放電によるイオン化領域中に噴霧し、こ
の融剤の潜熱を利用して溶融金属を冷却固化する
方法は注目に値する。この同様の冷却方法に関し
ては、例えば、特開昭48−56560号公報、特開昭
48−71359号公報にも、泡沫密集又は気泡中に溶
融金属を紡出し、冷却固化する方法が提案されて
いる。しかるに、いずれの方法においても、冷却
固化速度はかなり遅く、紡糸流の化学的又は静電
気的安定化はまだ不十分である。 また、他の方法として「化繊月報」No.7(1974
年)P61に記載の、ガラス管中に銅、銀、その他
チツプ状の金属を入れ、これを誘導加熱コイルに
よつてガラス管と金属を加熱溶融し、下部より予
め加熱したガラス棒で引つ張り出して巻き取る、
ガラスの曳糸性を利用した金属の複合糸法があ
る。しかしながら、この複合紡糸法は、ガラスの
溶融粘度と金属の溶融温度との特定の組み合わせ
の場合のみ有効であり、すべての金属に利用でき
るには至つていない。しかも、複合紡糸であるが
ゆえに溶融部、紡糸ノズル部の構造が複雑で、か
つ高度に精密性が要求される。そのうえ、金属フ
イラメントとして使用するには、外周部のガラス
皮膜を除去する必要があり、製造コストが高く、
工業化するには多くの問題を含蓄している。 また、特開昭49−135820号公報のごとく、紡糸
した溶融金属を並流する冷却液中に噴出した金属
フイラメントを製造する方法も提案されている
が、紡糸した溶融金属と冷却液が同速かつ低速
(200m/分以下)で、並流なるため、後述のごと
く、冷却能が不十分である。しかも、冷却液が重
力による自然落下流なるため、紡糸した溶融金属
との衝突、沸騰、対流により冷却液及び液面を安
定に保持することが非常に困難で、断面の円形な
高品質の非晶質フイラメントを得ることができな
い。さらに、固化したフイラメントを連続的に直
接巻き取ることは、工業的にも非常に難しい。 また、回転ドラムの中に冷却液体を入れ、遠心
力でドラムの内壁に液膜を形成させ、この液膜中
に溶融した鉛のジエツトを噴出し、断面の円形な
鉛の連続細線を製造する方法が、昭和53年度日本
金属学会・秋期大会(第83回、於:富山)の講演
予稿集タイトルNo.331、特開昭55−64948号公報に
記載されている。しかし、この方法は、鉛のよう
な曳糸性の良い低融点金属ではじめて適用できる
ものであつて、特に、この方法の実施の際の必要
条件と記載されている溶融金属流の噴出速度をド
ラムの回転速度より速くする条件では、非晶質合
金の高品質連続細線化は到底不可能であつた。し
かも、この方法で得られた鉛の連続細線は、非晶
質ではなく、断面の真円度も低く、湾曲し、長さ
方向の太さ斑も大きく、実用に供せるものではな
かつた。 (発明が解決しようとする課題) そこで、本発明者らは、先に実用材料として重
要なFe、Ni、Co金属元素に半金属元素を種々組
み合わせた合金を用い、回転冷却液体中に溶融金
属を導いて急冷固化した時、どの金属元素が優れ
た細線形成能を有するかについて検討した。その
結果、Ni基合金は回転冷却液体中でほとんど球
状のシヨツトとなり、細線形成能が劣ることが判
明し、一方、原料価格の一番安いFe基合金が非
常に優れた細線形成能を有しており、Co基合金
がFe基合金に比べやや劣る細線形成能を有して
いる。ここでいう細線形成能とは、回転冷却液体
中に溶融金属流を紡出して冷却固化した時に、断
面が円形で、長さ方向に太さ斑のない均一な連続
フイラメントを形成し得る性質をいう。 実例を挙げてより詳細に説明すると、Ni基合
金の代表的なNi−Si−B系合金は、遠心急冷法
によつて非常に簡単な均一な非晶質連続偏平フイ
ラメントが得られることは周知のことである。し
かし、溶融金属流を回転冷却液体中に紡出して急
冷固化しても、連続フイラメント状のものはほと
んど得られず、ほとんど球状のシヨツトとなる。
また、臨界冷却速度が1.8×103℃/秒と遅いPd82
−Si18(原子%)合金も、回転冷却液体中で急冷
固化すると、ほとんど球状のシヨツトとなり、細
線形成能が劣つているが、この合金にCuを付与
したPd−Cu−Si系合金は、優れた細線形成能を
有しており、非常に均一で断面の円形な非晶質連
続フイラメントを得ることがきる。しかし、この
合金は非常に高価である。 次に、合金の非晶質化に寄与する半金属元素の
細線形成能との関係についても検討してみると、
半金属元素の種類、組み合わせによつても回転冷
却液体中での細線形成能に驚くほど差があり、例
えば、前述のごとく、非常に優れた細線形成能を
有するFe、Co金属元素に半金属元素を付与した
合金系について回転冷却液体中での細線形成能に
ついて比較検討すると、Fe−Si−B≧Fe−P−
Si≧Co−Si−B≧Fe−P−C系合金の順に優れ
た細線形成能を有しており、Fe−P−B、Fe−
C−B系合金はほとんど細線形成能を有していな
い。上述のごとく、金属元素及び半金属元素の種
類によつて明らかに回転冷却液体中での細線形成
能が著しく異なる。その理由については、現在ま
だ明確にすることができないが、多分、溶融金属
流の粘性、表面張力、冷却速度、回転冷却液との
物理的、化学的作用等が影響していると考えられ
る。しかも、細線形成能と同様に、非晶質形成能
についても、付与する半金属元素の種類によつて
大きく左右され、一般には、Fe−P−C≧Fe−
Si−B>Co−Si−B≫Fe−P−Si系合金の順に
非晶質形成能が高く、Fe−P−Si系合金では、
均一な連続細線が得られても、非晶質形成能が低
いため、非晶質構造を有したものは得にくい。 これより、実用材として重要なFeを主体とす
る合金よりなり、断面の円形な非晶質金属フイラ
メント及び非晶質形成能を有する合金を、紡糸ノ
ズルから冷却液を含有する回転体中に噴出して冷
却固化させた後、該回転体の回転遠心力で該回転
体の内壁に連続的に巻き取るに際し、該回転体の
周速度を紡糸ノズルから溶融金属が噴出される速
度と同速にするか、又はそれより速くさせて、断
面の円形なる非晶質金属フイラメントを製造する
方法について提案し、特許出願した。しかし、こ
の方法では、非晶質金属フイラメントを得るには
十分ではなかつた。 (課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記の問題点を解決すべく鋭意
研究した結果、特定の合金組成と線径及び長さ方
向の太さ斑を規定することにより、フイラメント
自体の強力、伸度のバラツキが少なく、しかも加
工中に破断がおきにくいという断面の円形な高品
質の非晶質金属フイラメントが得られることを見
出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、Si17.5原子%以下で、B5
〜22.5原子%で、SiとBとの和が20〜32.5原子%
であり、残部が実質的にFeからなる合金よりな
り、下記一般式()を満足する線径を有し、か
つ断面が円形で、長さ方向の太さ斑が12%以下で
ある非晶質金属フイラメント及びSi17.5原子%以
下で、B5〜22.5原子%で、Co、Ni、Cr、Mo、
V、W及びZrからなる群より選ばれた1種又は
2種以上の金属が30原子%以下であり、残部が実
質的にFeからなる合金(ただし、SiとBとの和
が20〜32.5原子%であり、Co30原子%以下、
Ni20原子%以下、Cr10原子%以下、Mo10原子%
以下、V5原子%以下、W5原子%以下、Zr5原子
%以下である。)よりなり、下記一般式()を
満足する線径を有し、かつ断面が円形で、長さ方
向の太さ斑が12%以下である非晶質金属フイラメ
ント。 DF≦270−9|Si−10|−25|B+Si/2−20|
………() 〔ただし、DFはフイラメントの線径(μm)、Si
は合金中のSi原子%、Bは合金中のB原子%を表
す。〕 本発明の非晶質金属フイラメントは、以下に示
す合金よりなつており、そのフイラメントの長さ
方向の太さ斑は、以下の実施例が示すごとく12%
以下と優れた均一性を有している。この長さ方向
の太さ斑が非常に少ないということは、そのフイ
ラメントの強力、伸度のバラツキが少なく、しか
も非晶質金属フイラメントが伸線加工、撚り加
工、織り加工、編み加工等が二次加工が必要であ
るため、その加工中に非晶質金属フイラメントの
破断がおきにくいということを示している。 本発明の非晶質金属フイラメントを製造するに
は、例えば、以下に示す製造方法で行えばよい。 まず、本発明における合金について説明する
と、前記したとおり、実用材として重要なFe、
Ni、Co系合金の中で、Fe−Si−B系合金が回転
冷却液体中において優れた細線形成能と非晶質形
成能を兼備している。 また、Fe−Si−B系合金中のSiとBの付与量
により、非晶質形成能が大きく影響される。すな
わち、SiとBの付与量は、Si17.5原子%以下、B5
〜22.5原子%で、SiとBとの和が20〜32.5原子%
であることが必要で、SiとBの付与量をこれより
増加させても、減少させても、非晶質形成能は低
下する。 次に、前記Fe−Si−B系合金では、ノズル塞
りや汚れ等を生じる傾向があり、Fe金属元素の
一部をCo30原子%、Ni20原子%の付与量までで
あれば、非晶質形成能と細線形成能をほとんど変
えずにノズル塞りや汚れ等を改良することができ
る。また、Cr、Mo、V、W及びZr金属元素をFe
金属元素の一部と置換すれば、耐熱性及び強度を
向上させることができる。この場合、Cr、Moに
あつては、それぞれ10原子%以下、V、W及び
Zrにあつては、それぞれ5原子%以下であれば、
大幅な非晶質形成能及び細線形成能を低下させず
に、断面の円形な高品質の連続した非晶質金属フ
イラメントを得ることができる。上記のFe金属
元素の一部を置換する量は、いずれも合計で30原
子%までが限度である。また、Al、Mn、P、C
等を添加した合金であつても、大幅な非晶質形成
能及び細線形成能を低下させない範囲において採
用することができる。 次に、本発明において、紡出ノズルの孔径DN
(μm)が下記一般式()を満足するように選
定することが望まれる。 DN≦270−9|Si−10|−25|B+Si/2−20|
………() 〔ただし、DNは紡出ノズルの孔径(μm)、Siは
合金中のSi原子%、Bは合金中のB原子%を表
す。〕 この紡出ノズルを用いて得られるフイラメント
の線径DF(μm)は、紡出ノズル孔径DN(μm)
と同じか又はやや細めとなる。この式()を満
足しない紡出ノズル孔径DNを用いて、Fe−Si−
BあるいはFe−Me−Si−B系合金を溶融紡糸し
て回転冷却液体中で冷却固化させても、得られる
フイラメントは結晶構造を有し、脆く、非晶質金
属としての特長を有しておらず、実用性の乏しい
ものとなる。 本発明に用いられる冷却液とは、例えば、純粋
な液体、溶液、エマルジヨン等をいい、紡糸した
溶融金属と反応して安定な表面を形成するもの、
あるいは紡出した溶融金属と化学的に非反応性な
ものであればよい。特に、その冷却液中で急冷し
て断面が円形で均一な非晶質連続フイラメントを
得るには、適切な冷却速度能を有するものを選定
すると同時に、冷却液及び液面が安定して乱れ
ず、しかも人為的に攪拌によつて冷却速度をより
上昇させることができるものが望ましい。特に、
常温もしくは常温以下の水又は金属塩等を溶解し
た電解質水溶液を用いることが好ましい。 一般に、溶融金属を冷却液に接触させて急冷す
る過程は、だいたい3つの段階に分かれていると
考えられている。第1段階では、冷却液の蒸気膜
が金属全体を覆う期間で、冷却は蒸気膜を通して
放射によつて行われるので、冷却速度は比較的遅
い。第2段階では、蒸気膜が破れ、激しい沸騰が
連続的におこり、熱は主として蒸発熱として奪わ
れるので、冷却速度は最も速い。第3段階では、
沸騰が止まり、冷却は伝導と対流によつて行われ
るので、冷却速度は再び小さくなる。すなわち、
急速な冷却を行うためには、(イ)第1段階をできる
だけ短くして、速く第2段階に達するような冷却
液を選ぶこと、(ロ)なるべく速く、人為的な手段に
よつて冷却液又は冷却しようとする溶融金属を速
やかに動かし、第1段階の蒸気膜を破壊し、速く
第2段階の冷却に移らせることが最も有効であ
る。その一例として、強烈に攪拌した水の冷却速
度は、静止水に比べ約4倍になることで十分理解
できる。要するに、冷却速度を上昇させるには、
冷却液として沸騰点が高いこと、蒸発の潜熱が大
きく、その意味からも冷却を速めるごときもので
あること、蒸気又は気泡の逸散が速いため、流動
性が良いこと等が必要条件となる。もちろん、そ
の他に安価なこと、変質しないこと等の問題のあ
ることはいうに及ばない。しかも、人為的に速く
第1段階の蒸気膜を破壊させて第2段階の冷却に
移らせ、かつ冷却液及び冷却液面を常に安定に保
持させるには、冷却液を回転体に含有せしめるこ
と、冷却速度を人為的に上げるには、比熱の大な
る冷却液を用いること、回転体の回転速度を速く
すること、紡出ノズルより噴出される溶融金属の
速度を速くすること、紡出した溶融金属の冷却液
面に対する導入角を大きくすること、紡出ノズル
と冷却液面との距離を近くすることが望ましい。 紡出した溶融金属の冷却液面に対する導入角と
は、紡出した溶融金属が冷却液面に最初に接した
点における接線と紡出した溶融金属とのなす角を
いう。 次に、本発明を図面によりさらに詳細に説明す
る。第1図、第2図及び第3図は、本発明の一実
施態様を示す装置で、第1図及び第2図は横型装
置の概略図、第3図は縦型装置の概略図である。
1は溶融紡糸すべき原料金属3を入れるルツボ
で、このルツボ1は、適当な耐熱性物質、例え
ば、石英、ジルコニア、アルミナ、窒化ホウソ等
のセラミツクよりなる。このルツボ1は、1個以
上の紡出孔を有するノズル2を有しており、金属
フイラメントの所望の直径の大きさに近い。材質
はルツボ1と同様、耐熱性物質からなり、石英、
ジルコニア、アルミナ、窒化ホウソ等のセラミツ
ク、人工ルビー、サフアイア等からなつている。
5は溶融紡糸すべき原料金属3を加熱溶融するた
めの加熱炉であり、6は駆動モーター7によつて
回転する回転ドラムで、8は回転遠心力により回
転ドラム6の内側に冷却液面9を形成する冷却液
である。10はその冷却液8を供給及び排出する
ための管である。冷却液8の種類及びその温度の
選択は、溶融金属4の熱容量に関係して行われ、
溶融金属4の熱容量は、その温度、比熱、融解潜
熱及びその断面積に正比例して増加する。従つ
て、溶融金属4の熱容量が大きくなればなるほど
冷却液をより冷たく、又はその比熱、密度、蒸発
熱及び熱伝導率をより高くすることが望ましい。
冷却液の他の望ましい性質は、溶融金属4の液媒
体中での分裂を最小にするように、低粘度、非燃
性かつ低価格であることである。その代表的な冷
却液としては、常温以下の水が使用される。しか
し、一般に冷却速度を高くした方が高品質金属フ
イラメントが得やすいため、常温以下に冷却した
電解水溶液、例えば、10〜25%重量の塩化ナトリ
ウム水溶液、5〜15%重量の苛性ソーダ水溶液、
10〜25%重量の塩化マグネシウム水溶液、50%重
量の塩化亜鉛水溶液が好ましい。溶融金属4と冷
却液面9とのなす導入角及び回転ドラム6の回転
は任意の方向でよい。紡出ノズル2より噴出され
る溶融金属4及び回転ドラム6の速度は、細線形
成能に大きな影響を及ぼし、回転ドラム6の周速
度は、紡出ノズル2より噴出される溶融金属4の
速度と同速又はそれ以上にすることが好ましい。
特に、回転ドラム6の周速度を、紡出ノズル2よ
り噴出される溶融金属4の速度よりも5〜30%速
くすることが好ましい。また、回転ドラム6の周
速度は、冷却液を安定にドラム内に保持すると同
時に冷却速度を上げる点からも、300m/分以上
が好ましい。導入角の大きさは20゜以上が好まし
い。また、紡出ノズルル2と冷却液面9との距離
は、紡出した溶融金属4が乱れ、破断、切断を生
じない範囲で、できるだけ近くすることが好まし
く、特に10mm以下が好ましい。11はルツボ1を
支持して上下に移動するためのエアピストンであ
り、12はルツボ1を一定の速度で左右に移動
し、冷却固化した金属フイラメントを回転ドラム
6内壁に連続して規則正しく巻き取るための綾振
器である。また、第3図は、機構的には第1図及
び第2図の装置を縦型にした装置を示すもので、
利点としては、冷却液の供給、排出をする必要が
ないこと、非常に低速回転でも均一な冷却液面を
形成し得ることである。逆に、回転速度を変える
と、冷却液面の角度が変化する(低速回転の場
合、点線で図示した液面の方向に移動する)。ま
た、冷却液面に紡出した溶融金属を垂直にするた
め、紡出ノズル部を細工(曲げる)する必要があ
る。14は回転ドラム6に脱着可能な遮蔽板で、
紡出巻き取り中の状態をよく観察できる透明板が
好ましい。 原料金属3は、まずルツボ1の送入口よりガス
流体輸送等により導入され、加熱炉5の位置で加
熱溶解される。同時に、駆動モーター7により回
転ドラム6を所定の回転速度にして、冷却液供給
管10より冷却液を回転ドラム6の内側に供給す
る。次いで、綾振器12、エアピストン11によ
り、紡出ノズル2が冷却液面9に対向するごと
く、第1図、第2図に示す位置に下降されると同
時に、原料金属3にガス圧が加えられて、溶融金
属4が冷却液面9に向かつて導入される。ルツボ
1内部は、原料金属3の酸化を防ぐため、絶えず
不活性ガス15、例えば、アルゴンガスを送入
し、不活性雰囲気としておくものとする。冷却液
面9に導入された金属は、噴出方向と回転ドラム
の回転方向及び遠心力の合力により冷却液8の中
を進み、冷却固化され、回転ドラム6の内壁もし
くはすでに冷却固化した集積金属フイラメント1
3の内側に、綾振器12によつて規則正しく巻か
れる。紡出終了後は、冷却液排出管10の先端を
冷却液8中に挿入し、冷却液を排出する。回転ド
ラム6を停止し、遮蔽板14を取り外し、回転ド
ラム6内壁に集積された断面が円形で、高品位の
非晶質金属フイラメント13を得ることができ
る。この形体は、このままで製品として直接使用
できる。また、使用量に応じてこれを再度小量に
巻き返すことは、もちろん可能である。また、よ
り高強度、高品位の非晶質金属フイラメントを得
るため、ダイスを用いて伸線加工等を行うことも
できる。 本発明における断面の円形な金属フイラメント
とは、同一断面の最長軸直径Rnaxと最短軸直径
Rnioの比Rnio/Rnax×100が70(%)以上の真円度
のものをいう。 得られた金属フイラメントが非晶質構造を有し
ているか否かは、X−線回折測定により判定し
た。 (実施例) 次に、本発明を実施例により具体的に説明す
る。 実施例1〜11、比較例1〜13 第1図及び第2図に示した内径500mmφの横型
回転ドラムを有する装置を用い、各種金属組成
(原子%)よりなる合金を、アルゴン雰囲気中で
融点より70℃高い温度で溶融し、種々の孔径DN
(μm)の紡出ノズル(ルビー)よりアルゴンガ
ス圧を調整して、400m/分の速度で溶融金属を
噴出させ、深さ25mmの水中(5℃)に導いた。こ
の時の回転ドラムの速度は400m/分、導入角は
75゜であつた。噴出した溶融金属は、冷却水中で
急速に冷却固化されつつ、遠心力により回転ドラ
ムの内壁に連続して集積された。この時の紡出ノ
ズルと冷却液面との距離は5mmに保持した。な
お、溶融金属の噴出速度は、大気中に一定の時間
噴出して集められた金属重量から測定した。 用いた合金組成、紡出ノズル孔径DN(μm)、
細線形成能及びX−線回折結果を、表−1にまと
めて示す。
【表】 実験No.3、13、19の合金は、細線形成能が低
く、X−線回折測定に供し得る程度の試料も得ら
れなかつた。実験No.1、5、7、9では、用いた
紡出ノズルル孔径DN(μm)が式()を満足せ
ず、大きすぎるため、非晶質構造を有するフイラ
メントは得られなかつた。実験No.11〜24は、Fe
金属元素の一部をCo、Ni、Cr、Mo、V、Zr、
Wで置換した合金で、そのうち、実験No.11、13、
15、17、19、21、23は置換量が多く、本発明の範
囲外のため、非晶質構造を有するフイラメントを
得ることができなかつた。 なお、長さ方向の太さ斑の測定には、10m試長
中ランダム10点直径を測定し、直径の最大と最小
との差を平均直径で割り、それを100倍して求め
た。なお、X−線回折分析には、FeKα照射を用
いて測定した。 実施例 12 Fe77.5原子%、Si10原子%、B12.5原子%組成
の合金をアルゴン雰囲気中で溶融し、紡出ノズル
孔径(DN)150μmよりアルゴンガス3.5Kg/cm2
ージ圧で溶融金属を噴出させて、回転ドラム速度
480m/分、導入角60゜で導いた以外は、実施例1
と同様にして金属フイラメントを製造した。な
お、この時の溶融金属の噴出速度は430m/分で
あつた。 得られた金属フイラメントの平均直径は135μ
m、真円度98%、長さ方向の太さ斑2.5%の高品
位の非晶質極細フイラメントであつた。 上記フイラメントは、引張強度320Kg/mm2、結
晶化温度500℃と優れた機械的、熱的性質を有し
ており、しかも、このフイラメントをダイヤモン
ドダイスを用いて常温で直径110μmまで伸線加
工すると、引張強度400Kg/mm2と向上し、非常に
均一な非晶質極細フイラメントであつた。 実施例 13 Fe71.3原子%、Cr6.2原子%、Si10原子%、
B12.5原子%組成の合金をアルゴン雰囲気中で溶
融し、実施例2と同様にして平均直径135μm、
真円度95%、長さ方向の太さ斑5%の高品位の極
細フイラメントを得た。 このフイラメントを、FeKα照射を用いてX−
線回析分析したところ、非晶質状態の特長のある
広い回折ピークのみが観察された。このフイラメ
ントの機械的強度、結晶化温度を測定すると、そ
れぞれ350Kg/mm2、550℃と、Cr付与の効果も認
められた。 実施例 14 Fe58原子%、Co14.5原子%、Si10原子%、
B17.5原子%組成の合金をアルゴン雰囲気中で溶
融し、紡出ノズル(DN)180μmよりアルゴンガ
ス4.0Kg/cm2ゲージ圧で溶融金属を500m/分の速
度で噴出させ、深さ30mmの−15℃に冷却した濃度
20%塩化ナトリウム水溶液中に導いた。この時の
回転ドラムの速度は550m/分、導入角は80゜であ
つた。噴出した溶融金属は、−15℃の冷却塩化ナ
トリウム水溶液中で急冷固化されつつ、遠心力に
より回転ドラムの内壁に連続して集積された。 得られた金属フイラメントは、平均直径160μ
m、真円度94%、太さ斑4%、強度300Kg/mm2
あつた。また、機械的強度及び均一性を上げる目
的で、ダイヤモンドダイスを用い、直径130μm
まで伸線加工を行つたところ、強度は380Kg/mm2
となつた。 この金属フイラメントを、FeKα照射を用いた
X−線回折で測定すると、非晶質状態の特長ある
幅広い回折ピークのみが観察された。 (発明の効果) 本発明の断面の円形な非晶質金属フイラメント
は、安価で、かつ強度が著しく高く、加工硬化も
なく、非常に粘い(靱性)等の優れた機械的性質
を有しており、断面を円形にし、長さ方向の太さ
斑を少なくすることによつて、伸線加工、撚り加
工、織り加工、編み加工等の二次加工ができるよ
うになつたため、従来より製造されている板状、
粉末状の非晶質金属では適用できなかつた織編
状、撚り状等の繊維素材として、さらには電気及
び電子部品、複合材等の各種工業用資材として、
非常に有用である。
【図面の簡単な説明】
第1図及び第2図は、本発明に用いる模型装置
の一例を示す概略図、第3図は、本発明に用いる
縦型装置の一例を示す概略図である。 1……ルツボ、2……紡出ノズル、3……原料
金属、4……溶融金属(流)、5……加熱炉、6
……回転ドラム、7……駆動モーター、8……冷
却液体、9……冷却液面、10……冷却液供給、
排出管、11……エアピストン、12……綾振
器、13……金属フイラメント、14……遮蔽
板、15……不活性ガス。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 Si17.5原子%以下で、B5〜22.5原子%で、Si
    とBとの和が20〜32.5原子%であり、残部が実質
    的にFeからなる合金よりなり、下記一般式()
    を満足する線径を有し、かつ断面が円形で、長さ
    方向の太さ斑が12%以下である非晶質金属フイラ
    メント。 DF≦270−9|Si−10|−25|B+Si/2−20|
    ………() 〔ただし、DFはフイラメントの線径(μm)、Si
    は合金中のSi原子%、Bは合金中のB原子%を表
    す。〕 2 Si17.5原子%以下で、B5〜22.5原子%で、
    Co、Ni、Cr、Mo、V、W及びZrからなる群よ
    り選ばれた1種又は2種以上の金属が30原子%以
    下であり、残部が実質的にFeからなる合金(た
    だし、SiとBとの和が20〜32.5原子%であり、
    Co30原子%以下、Ni20原子%以下、Cr10原子%
    以下、Mo10原子%以下、V5原子%以下、W5原
    子%以下、Zr5原子%以下である。)よりなり、
    下記一般式()を満足する線径を有し、かつ断
    面が円形で、長さ方向の太さ斑が12%以下である
    非晶質金属フイラメント。 DF≦270−9|Si−10|−25|B+Si/2−20|
    ………() 〔ただし、DFはフイラメントの線径(μm)、Si
    は合金中のSi原子%、Bは合金中のB原子%を表
    す。〕
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