JPH026063B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、加熱ロールと加圧ロールとから成る
ロール型加熱定着装置の高温表面より放射される
放射エネルギーを検出する非接触赤外線温度セン
サーを備えた定着装置に関するものである。

〔従来技術〕 従来、電子写真プロセスを利用した複写機等に
おいては、コピー用紙上に形成された未定着トナ
ー像を定着して永久画像にする必要があり、この
定着装置として加熱ロールと加圧ロールとから成
り、このロール間に未定着トナー像の形成された
コピー用紙を挿通させて定着を行うロール型加熱
定着装置が広く利用されている。

ところでこの装置においては、未定着トナー像
の形成されたコピー用紙が加熱ロールに巻きつい
た場合に、これを直ちに検出したり、あるいは加
熱ロールの表面温度が適正温度範囲内にセツトさ
れているかどうか検出する必要があり、この検出
装置として加熱ロールに接触してその温度を検出
する接触型センサーと、非接触の非接触型センサ
ーとが利用されているが、上記加熱ロール及びセ
ンサー表面の摩耗が少なく、かつ寿命の長い非接
触型センサー、特に非接触赤外線温度センサーが
主に利用されている。

この非接触赤外線温度センサー（以下センサー
という）１は、第１図及び第２図に示すように、
前面に円形状の開口部２を有するハウジング３内
に、赤外線吸収体たる受感部４を収容して成るも
ので、加熱ロール５の表面温度を正確に検出する
ため、センサー１の視野内に加熱ロール５以外の
ものが入らないよう加熱ロール５表面の近傍位置
に、この加熱ロール５の中心軸に対し垂直に設け
られており、かつ上記受感部４表面が浮遊トナー
等にて汚染されないように、上記ハウジング３に
て包囲されていると共に、上記開口部２にはフイ
ルター２ａが装着されており、このセンサー１の
検出信号にもとづき、上記加熱ロール５の表面温
度を所定の値に制御する構成となつている。

ところで最近のロール型加熱定着装置において
は、その操作性を向上させるため、熱容量を小さ
くした加熱ロールを使用して、所定の温度までの
立上り時間を短縮させたものが盛んに利用されて
いる。

すなわち通常加熱ロールは、アルミニウム、
鋼、銅等で形成されるパイプ・コアの表面に、良
好な離型性を有するポリテトラフルオロエチレン
やシリコーン・ゴム等を被覆し、かつ上記パイ
プ・コアの内部にヒーターを配設して成るもので
あるが、加熱ロール表面温度の上昇速度を速めて
その操作性を向上させるには、パイプの肉厚を薄
くしてパイプ・コアの熱容量を下げることにより
なされている。

ところがこの場合、加熱ロールの軸方向の熱伝
導量が低下することにより、例えば巾の狭いコピ
ー用紙が連続して加熱定着される等して加熱ロー
ル表面の一部から多量の熱が消費されると、軸方
向からの熱の補充が充分でないため、加熱ロール
の軸方向の温度分布が大きくなつてしまう傾向が
あつた。

しかし上記センサー１は、上記したように通常
加熱ロール５の中央部近傍位置に、その加熱ロー
ル５の中心軸に対し垂直に設けられており、セン
サー１の温度検出範囲が、第３図に示すようにセ
ンサー１の開口部から入射する加熱ロール５中央
部の放射エネルギーのみであり、加熱ロール５の
端部側はセンサー１の視野内に入らないため、そ
の表面温度を検出することは不可能であつた。

そのため加熱ロールの両端側では、その表面温
度が著しく上昇してしまい、シリコーンゴム等の
被覆層の耐熱温度を越えてしまう場合があり、そ
の寿命を低下させてしまつたり、あるいは巾の狭
いコピー用紙を挿通させた後に巾の広いコピー用
紙を挿通させると、加熱ロールの両端側の表面温
度が高温のためオフセツト現象が起こる場合があ
る等の欠点があつた。

〔発明の目的〕

本発明は、上記した従来技術の欠点を除去、改
良したもので、加熱ロールの中央部と共に、その
端部側表面温度をも検出できる非接触赤外線温度
センサーを備えたロール型加熱定着装置を提供す
ることを目的とするものである。

〔発明の構成〕

すなわち本発明は、加熱ロールと、この加熱ロ
ールと共に圧接回動する加圧ロールと、上記加熱
ロールに向けて開口する開口部を有するハウジン
グ内に赤外線吸収体を収容し、上記加熱ロールの
近傍位置に設けられて加熱ロール表面より放射さ
れる放射エネルギーを検出する非接触赤外線温度
センサーとを備えるロール型加熱定着装置におい
て、上記センサーを、そのハウジングに開設した
開口部の中心線が、上記加熱ロールの中心軸と鋭
角に交差するように配設することにより、加熱ロ
ールの端部側表面温度をも検出できるようにし、
この検出信号にもとづき加熱ロールの表面温度を
適正温度に制御して上記加熱ロールの交換寿命を
著しく延ばすと共に、オフセツト現象等をも防止
できるようにしたものである。

〔実施例〕

以下本発明の実施例について、図面を参照して
説明する。尚第４図は本発明のロール型加熱定着
装置の概略側面断面図、第５図はその斜視図をそ
れぞれ示している。

まず上記ロール型加熱定着装置は、第４図に示
すように、加熱ロール６、加圧ロール７及び非接
触赤外線温度センサー８とから構成されるもので
ある。

すなわち上記加熱ロール６は、矢印Ａ方向に回
動可能に軸受され、アルミニウムより形成された
肉厚18mm、直径30mmの円筒状の芯金９と、この芯
金９表面を50μｍ厚で被覆するポリテトラフルオ
ロエチレンの被覆層１０とから成り、上記芯金９
内には定着ロール６を加熱するための800w赤外
線ランプ１１が配設されており、図示されない温
度制御装置からの制御信号によりロール表面温度
が200℃程度の値になるように制御されている。

一方加圧ロール７は、上記加熱ロール６の下方
位置に設けられ、この加熱ロール６の回転に伴つ
て矢印Ｂ方向に回動可能に軸受されていると共
に、上記両ロール６，７間には図示されない機構
によつて圧力が印加されており、このロール６，
７間に未定着トナー像の形成されたコピー用紙１
２を挿通させて定着するようになつている。

尚第４図中、１３はペーパーガイド、１４はコ
ピー用紙分離爪をそれぞれ示している。

そして上記加熱ロール６の中心軸と同一の高さ
で、かつ加熱ロール６の周面より15mm離れた個所
には、第５図に示すように非接触赤外線温度セン
サー８が、上記加熱ロール６の中心軸に対し40゜
の傾（γ）をもつて配設されている。

このセンサー８は、第６図に示すように、中央
の赤外線吸収体たる受感部１５と基板（図示せ
ず）とに、一対以上の熱電対の両接点をそれぞれ
連結すると共に、この熱電対を直列に接続して成
り、その外周をハウジング１６にて包囲して構成
されるものである。

また上記ハウジング１６前面には円形状の開口
部１７が開設されており（第６図，第７図参照）、
上記センサー８の加熱ロール６の幅方向に対する
最大視野角（α）及び加熱ロール６の軸方向に対
する最大視野角（β）（第５図及び第６図参照）
が共に50゜になるように形成されており、かつ上
記開口部１７にはフイルター１８が装着され、一
定の波長域（赤外線領域）のみが上記受感部１５
に伝達できるように、ヌトナー粉等が受感部１５
へ付着して検出能力の低下が起こらないように構
成されている。

そしてこのセンサー８の作用について説明する
と、第６図に示すように、加熱ロール６から放射
される放射エネルギーが、センサー８の受感部１
５に到達し、その熱吸収で生じた温度勾配が熱電
対により熱起電力として検出され、この検出信号
を受信した図示されない温度制御装置により所要
の200℃近くの設定温度に上記加熱ロール６の表
面温度を制御するものである。

このとき、上記センサー８は、その開口部１７
の中心線２０が、上記加熱ロール６の中心軸２１
と40゜の傾（γ）で交差するように配設されてい
るため、センサー８の加熱ロール６の軸方向に対
する視野範囲が従来のものと較べ広く（第５図参
照）、加熱ロール６の端部側と高温部分と、中央
付近の低温部分の放射エネルギーを共に検出する
ことができるため、結果的には各表面の平均温度
として検出することができる。

従つて、従来小サイズのコピー用紙を連続して
挿通させた時に頻繁に起こり易かつた加熱ロール
端部側の温度上昇を低く抑えることができると共
に、その設定誤差を減少させることができる。

またこのセンサーは赤外線検出器であるため、
サーミスタ等を用いた他の非接触センサーのよう
に対流による影響を受けにくい長所も有してい
る。

次に本発明の加熱定着装置と、従来の装置とを
比較するため比較実験を行つた。

尚、本発明の定着装置としては上記実施例のも
のを、又従来の装置としては、上記実施例におい
て用いたセンサーを、加熱ロールの軸方向に対し
垂直に、かつロール表面から15mm離れた所に設置
させたものを使用し、かつ加熱ロールの表面速度
は共に150mm／secで毎分12枚のコピー用紙を定着
処理するものであつた。

すなわち、これら装置のセンサーを用いて、上
記加熱ロールの表面温度を検出し、表面温度の制
御を行いながらB5、A4及びB4サイズの各コピー
用紙をそれぞれ100枚ずつ連続的に定着させた後、
加熱ロールの表面温度をそれぞれ測定した。

第８図は、従来の装置における測定結果を示す
もので、B4サイズのような広巾のコピー用紙を
除き、B5サイズ、及びA4サイズを定着させた後
の加熱ロールの両端側表面温度は、200℃を著し
く越えたものとなつている。この理由は、従来の
装置においては、センサーが加熱ロールの中心軸
に対し垂直に設置されており、加熱ロールの軸方
向に対するセンサーの視野の長さが14mmと狭く、
（最大視野角50゜、加熱ロールまでの距離15mmよ
り）加熱ロール端部側の表面温度の検出ができな
いため、適切な温度制御を行うことができないか
らである。

これに対し、本発明においてはセンサーが加熱
ロールの中心軸に対し40゜の傾をもつて設置され
ており、加熱ロールの軸方向に対するセンサーの
視野の長さが50mmと広く、加熱ロール端部側の表
面温度の検出ができるため、正確な温度制御を行
うことができる。

従つて、B5サイズのコピー用紙を連続して100
枚定着させた後の加熱ロール端部の表面温度は、
第９図のロで示すように従来の装置のものイと較
べ低下させることができ、例えばロール端部の最
高温度を従来のものの240℃から218℃まで低下さ
せることができ、かつA4サイズのもの（図示せ
ず）も同様であつた。

尚本発明においては、加熱ロールの中央部分の
表面温度もロール端部と同様低下して200℃から
180℃まで下がるが、加圧ロール表面が充分に加
熱されているため、定着強度への影響はみられな
かつた。

〔発明の効果〕

本発明は以上のように、センサーをその開口部
の中心線が上記加熱ロールの中心軸と鋭角に交差
するように配設する構成となつているため、対象
とする加熱ロールの端部側表面温度をも検出する
ことができる。

従つて加熱ロールの表面温度を広範囲にとら
え、平均値として制御することができるため、小
さいサイズのコピーを連続してとつても、上記加
熱ロールの両端部の温度上昇を抑制することがで
き、従来のものと較べて加熱ロールの交換寿命を
著しく延ばすことができると共に、オフセツト現
象等をも防止することができる等、本発明の実用
上の効果は多大である。

【図面の簡単な説明】

第１図は、従来の非接触赤外線温度センサーの
側面断面図、第２図はその正面図、第３図はこの
センサーを組み込んだロール型加熱定着装置の斜
視図を示し、又第４図〜第７図は本発明の実施例
を示すもので、第４図は本発明の定着装置の側面
断面図、第５図はその斜視図を示し、第６図は本
発明の定着装置に組み込まれた非接触赤外線温度
センサーの側面断面図、第７図はその正面図を示
し、又第８図は従来の定着装置における加熱ロー
ルの表面温度を示すグラフ図であり、第９図は本
発明の定着装置における加熱ロールの表面温度を
示すグラフ図を示す。 符号説明、６……加熱ロール、７……加圧ロー
ル、８……センサー、９……芯金、１０……被覆
層、１１……赤外線ランプ、１２……コピー用
紙、１３……ペーパーガイド、１４……コピー用
紙分離爪、１５……受感部、１６……ハウジン
グ、１７……開口部、１８……フイルター。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 加熱ロールと、この加熱ロールと共に圧接回
   動する加圧ロールと、上記加熱ロールに向けて開
   口する開口部を有するハウジング内に赤外線吸収
   体を収容し、上記加熱ロールの近傍位置に設けら
   れて加熱ロール表面より放射される放射エネルギ
   ーを検出する非接触赤外線温度センサーとを備
   え、未定着トナー像の形成されたコピー用紙を上
   記ロール間に挿通させて未定着トナー像の定着を
   行うロール型加熱定着装置において、上記非接触
   赤外線温度センサーを、そのハウジングに開設し
   た開口部の中心線が上記加熱ロールの中心軸と鋭
   角に交差するように配設したことを特徴とする定
   着装置。