JPH0260344B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、人工腎臓に関する。

従来の技術 現行の人工腎臓は、使い捨ての血液透析器と、
血液を通す流体回路を構成する、やはり使い捨て
の部材とから成つている。これらの器材の製造を
簡略にし、コストを削減し、使用を容易にするた
めに、血液透析器に血液通流回路の一部の部材を
組入れて、透析器の周りに単一の使い捨てユニツ
トを構成し、該ユニツトに、数個の付属部品と、
滅菌後再使用しうる透析液通流回路部材を接続す
ることができるようにする構成が提案されてい
る。

又、同じ簡略化コスト削減の目的のために、最
近、各血液透析器に、透析液通流回路の全部又は
一部を構成する一組の予め組立てられた使い捨て
部材と、所望量の超過液を除去し測定すること
を可能にする使い捨て部材を組合せることが提案
されている。このように、各々が特定の機能を果
たし、相互に接続されている複数の使い捨て自蔵
器材から成る人工腎臓はすでに市販されている。

発明が解決しようとする課題 この種の人工腎臓は、従来技術の人工腎臓に対
して大きな改良をもたらすものではあるが、更
に、製造及び組立、並びに輸送及び使用面で経済
的であり、使用が容易で、信頼性の高い人工腎臓
を求める要望がある。

本発明の課題は、このような要望を充足するこ
とを課題とするものである。

課題を解決するための手段 本発明は、所望の機能を達成するのに必要とさ
れるべきの部品の最良の組立方法を見出すことに
基くものではなく、各々少くとも１つの特定の機
能を有するいろいろな部材を１つの共通のユニツ
ト内に組入れることによつて自蔵器材の数を少く
することに基くものである。即ち、本願発明は、
以下に詳述するように、人工腎臓を構成する各部
材を１つの共通のユニツトに「統合」するという
新しい思想に基いている。従つて、本発明によれ
ば、上記の課題は、人口腎臓の構成部材の少くと
も一部を一体的に統合させることによつて達成さ
れる。ここでいう「統合」構造とは、各々特定の
機能を有する少くとも２つの異る部材に代えて、
それらの部材の機能を果たすように統合された１
つの共通の多機能部材を包含した構造のことをい
う。それらの機能は、同種のものである場合もあ
り、異る種類のものである場合もある。

又、ここでいう「完全統合」とは、多機能要素
だけから成る各種部材を組合せたユニツトのこと
をいう。

「部分統合」とは、１つ又はそれ以上の多機能
要素を共有する部材をその一部として含むユニツ
ト、又は、一部だけが多機能要素から成つている
複数の部材によつて構成されたユニツト、又は、
上記２つの場合の組合せから成るユニツトのこと
をいう。

血液透析器に関しては今日まで大量生産による
多くの、そして重要な改良が成されてきている
が、透析液を調製し、貯留し、循環させ、超過
液を点検するための器機の開発はそれほど進んで
いないので両者の間に相当な技術的不均衡が生じ
ている。従つて、本発明は、上記透析液のための
器機のできるだけ多くの要素を血液透析器の周り
に配構される使い捨てユニツトに変換し、大量生
産による利益を得ることを企図したものである。

本発明は、上記課題を解決するために、人工腎
臓において、 入口オリフイスと出口オリフイスを有する第１
画室と、入口オリフイスと出口オリフイスを有す
る第２画室を画定するケーシングと、第１画室と
第２画室とを分離する膜を備えた血液透析器と、
透析液を貯留するための透析液貯留手段と、 透析液貯留手段に接続された吸込オリフイス
と、前記血液透析器の第２画室の入口オリフイス
に接続された吐出オリフイスを有する、透析液を
循環させるためのポンプと、 大気と、前記透析液貯留手段と、前記血液透析
器の第２画室の出口オリフイスとに接続されてお
り、透析液の圧力を調整するための圧力調整手段
と、 少なくとも前記血液透析器と、ポンプと、圧力
調整手段を統合するための共通ユニツトとから成
り、該共通ユニツトは、第１ハウジング部材と、
第２ハウジング部材と、該両ハウジング部材の間
に挟着された可撓性の密封部材とを有し、該第１
ハウジング部材と、第２ハウジング部材と、密封
部材とが組合わされて、 前記血液透析器のケーシングと、 前記ポンプ３８と、 前記圧力調整手段のためのチヤンバーと、 前記ポンプと血液透析器とを連絡するための通
路及びポンプと前記透析液貯留手段とを連絡する
ための通路と、 前記圧力調整手段と血液透析器と連絡するため
の通路、圧力調整手段と透析液貯留手段とを連絡
するための連絡通路、及び圧力調整手段と大気と
を連絡するための通路を構成するようになされて
いることを特徴とする人口腎臓を提供する。

発明の効果 本願発明による「統合」された人工腎臓は、コ
ンパクトで簡単な構造とすることができ、所要部
品数及び材料所要量が少なく、従つて非常に経済
的である。しかも、計量で、嵩を小さくすること
ができるので、輸送、保管及び使用が容易であ
り、又、作動が迅速、安全で経済的である。

本発明の人工腎臓の透析液回路は、各々特定の
機能を果す複数の部材から成つているので、それ
らの部材の２つの又はそれ以上を共通のユニツト
として統合すれば、以下の記載から明らかになる
ようにいろいろな利点が得られる。

本発明の叙上及びその他の目的、特徴ならびに
利点は、添付図を参照して記述した以下の説明か
ら一層明瞭になろう。

実施例 第１，２図に示される本発明の人工腎臓は、上
下方向に３つの帯域に分割することができる。上
方帯域は、人工腎臓を制御し点検するための諸部
材を組合せて収納したコンソール１０と、血液を
循環させるための、血液透析器１６の外部に設け
られた手段を収納するフエアリング（流線形のお
おい）１１とから成つている。血液循環チユーブ
１２，１３は、この人工腎臓を患者に接続するた
めのものである。コンソール１０はプラグ１４に
よつて電源に接続することができる。

中間帯域１５内には、透析液を調製するための
手段１７と、透析液を循環させるための手段と、
所望量の超過液に等しい量の液体を抽出し計量
するための手段１８が血液透析器１６の周りに組
合わされている。透析液調製手段１７は、予め加
熱された軟水化された水道水にアダプタ即ち入口
手段１９によつて接続することができる。

後述するように、透析液調製手段１７は、透析
液溜め又は透析液タンク３０から成る。透析液を
循環させるための透析液循環手段は、浸漬チユー
ブ即ち出口手段３２、チユーブ又は通路３６、ポ
ンプ３８、チユーブ部材４３及びフロートチヤン
バー４４等から成る。所望量の超過液に等しい
量の液体を抽出し計量するための抽出計量手段１
８は、目盛付受容器５２等から成る。

下方帯域は、１回の透析操作に必要な量の透析
液を収容するための容器２０から成つている。こ
の容器は、通常の応力では変形しない性質のもの
であり、その壁は透析液を透析操作中血液の温度
と同様な温度に保持するために断熱材で形成され
たものであることが好ましい。又、容器２０は、
車輪２１上に取付け、血液透析操作中人工腎臓の
主要要素を結合状態に保持するための迅速締付具
２２を備えたものとすることが好ましい。

例えば週当り70〜90の尿素及び20〜30のビ
タミンB₁₂を浄化する程度の比較的ゆるやかな浄
化度で血液浄化処理を実施した場合、透析液の総
容量を約200〜300から約50以下の容量例えば
50に減少させることが可能である。

本発明によれば、又、透析液通流回路の各部材
を共通のユニツトとして統合することにより装置
の体積を約10以下に減少させることができ、１
回の操作に必要な透析液を含めて人工腎臓全体の
容積は約40を越えることがなく、在来の人工腎
臓の容積が約400であるのに比べてはるかに小
さい。これは、輪送、保チユーブ及び使用のうえ
で大きな利点である。

第３図は、人工腎臓内で透析液を調製し、貯留
し循環させるのに必要な器材及びそれらの主なコ
ネクターを示している。これらの器材のあるも
の、例えばコネクター２９の中央を示す鎖線Ａ―
Ａの上流に配置された器材は、透析操作のたびに
再使用しうるように恒久的に設置することができ
る。本発明によれば、このコネクターより下流に
配置される各器材を少くとも部分的に統合して共
通のユニツトを形成する。コネクターの下流に配
置する器材は、ほとんどすべて使い捨て器材とす
るのが有利である。

水道水を供給するための流体回路は、冷水導入
チユーブ２３と温水導入チユーブ２４とから成つ
ており、市販のサーモスタツト付混合器２５によ
り37℃〜40℃の範囲の所望の温度の水を供給する
ようになされている。

必要ならば、この水は、周期的に再生できる、
例えば周知のイオン交換樹指式の軟水化装置２６
を通して送ることができる。軟水化された水は、
手動コツク２７及び自動弁２８を通して送られ
る。弁２８の開閉は、下流の水圧を水銀柱100mm
程度の所定値に制限する圧力制御器によつて制御
される。

再使用可能な上流側器材と、多くの場合使い捨
てにする下流側器材とは周知の型式の迅速着脱コ
ネクタ２９によつて接続する。

このコネクタ２９は、アダプタ１９を介してタ
ンク３０に接続する。タンク３０には、最初に透
析液の濃縮溶液を入れておくことが好ましい。こ
のタンクの容量は、流体回路の透析液容量に正確
に対応する所要量の濃縮液を予め収容することが
できるように定められる。約１の濃縮液（±25
mlの精度で規定しなければならない）が、30の
透析液に相当する。タンク３０には、アダプタ１
９を通つて流入してくる水による濃縮溶液の変位
を容易にするじやま板３１を設けておくのが有利
である。

タンク３０内の上方部分と、容器２０から成る
透析液貯留手段の底部とを浸漬チユーブ３２によ
つて連通させる。水及び濃縮透析液は、容器２０
内に収納した変形自在の柔軟な流体密プラスチツ
ク袋の２つの画室３３，３５のうちの一方の画室
３３内に入れることが好ましい。このプラスチツ
ク袋は、容器２０の内容積に等しい容積を有する
ものとし、液体を入れる前に予め空気を抜いてお
く。

容器２０は、カバー３４によつて閉鎖されてお
り、浸漬チユーブ３２などのチユーブは、カバー
３４を貫通して延長させる。プラスチツク袋の画
室３３は、例えばカバー３４の内側面にヒートシ
ールによつて固着することにより浸漬チユーブ３
２の周りに封着することができる。この袋は、ポ
ンプ３８の吸込オリフイス３７に接続されたチユ
ーブ３６にも流体密状態に接続する。

ポンプ３８は、膜式ポンプであつてよく、第７
図に示されるように、後述する第１ハウジング６
１と、第２ハウジング６２と、可撓部材６０とか
ら成る共通ユニツトによつて構成される。可撓部
材６０の動作部分７１によつて構成されるポンプ
膜を例えば電気モータにより制御されるカムなど
の任意の適当な装置によつて矢印F₁の方向に作
動させることによりポンプ動作を行うことができ
る。

ポンプ３８の吐出オリフイス３９は血液透析器
１６の入口オリフイス４０に接続する。血液透析
器は、チユーブ１２，１３にそれぞれ連結される
入口オリフイス１２ａと出口オリフイス１３ａの
間で血液を通す第１画室即ち血液通流画室と、入
口オリフイス４０と出口オリフイス４２の間で血
液に対して向流関係をなして透析液を通すための
第２画室即ち透析液通流画室とを画定するケーシ
ングと、該第１画室と第２画室とを分離する膜４
１から成る。ケーシングは、後述するハウジング
部材６１と６２によつて構成される。

必要ならば、コンソール１０と一体に設けた、
例えば赤外線式の加熱器５３により血液透析器の
出口における血液の温度を所望の範囲に維持する
ようにすることができる。

血液透析器の出口オリフイス４２は、コンソー
ル１０内に配設した、周知の型式の比色計（図示
せず）と協同する透明なチユーブ部材４３に接続
する。チユーブ部材４３は、透析液の圧力を調整
するための圧力調整手段に接続する。この圧力調
整手段は、頂部にオリフイス４５を備えたフロー
トチヤンバー４４と、針弁４６を備えたフロート
チヤンバー４４と、針弁４６を備えたフロート４
７とから成り、オリフイス４５は、フロート４７
の針弁４６の弁座を構成する。フロート４７は、
フロートチヤンバー４４内で浮動しうるようにな
されている。フロートチヤンバー４４の底部は、
ハウジング部材６１に形成されたオリフイス又は
通路４８（第４，８，１０図）を介して容器２０
内へ直接開口している。又、フロートチヤンバー
４４は、チユーブ又は通路４９を介して大気に開
口している。

使用ずみ透析液は、容器２０内の柔軟袋の画室
３５内に蓄積することができる。画室３５は、画
室３３と同様のチヤンバーであり、画室３３と補
完関係をなす。

フロート４７と、それと一体の針弁４６から成
る流れ閉塞装置がその弁座４５に対して上下に移
動することにより、血液透析器内の透析液の圧力
を常に大気圧と血液の圧力との間の範囲に自動的
に調節する。

所望量の超過液に等しい量（容積、重量及
び／又は流量）の液体を抽出し測定するための抽
出計量手段は、可撓部分５１を備えたチユーブ即
ち連絡通路５０を有している。この可撓部分５１
を調節自在ねじなどの周知の適当な外部器具によ
つて第３図に矢印F₂で示される方向に押圧する
ことにより流量を調節することができる。チユー
ブ５０は、目盛付受容器５２の底部に接続する。
チユーブ５０を通して抽出される液体は、直ち
に、膜４１を通して透過してくる等量の超過液
によつて埋め合わされ、血液透析器内の透析液の
圧力は元の値にまで戻される。かくして、本発明
による人工腎臓は、超過液を定量法によつてチ
エツクすることができる。

本発明の１実施例として、以下の各種器材を共
通のユニツト内に統合することができる。

−−ポンプ３８、 −−血液透析器１６、 −−透明チユーブ部材４３、 −−圧力調整手段（フロートチヤンバー４４とフ
ロート４７）、及び −−透析液を除去し、除去された透析液の量を測
定するための手段（目盛付受容器５２、チユー
ブ４９，５０及び流れ開閉器５１） この共通ユニツトは、又、上記各部材を連絡す
るためのチユーブを含む。

この共通ユニツトを一方ではコネクタ２９によ
つて、予め加熱され軟水化された水の供給源に接
続し、他方では血液透析に必要な正確な量の透析
液を貯留するための容器２０に接続することがで
きる。容器２０自体も、上述の共通ユニツト内へ
統合することが好ましい。

例えば密封ガスケツトや保持具などの血液透析
器の諸構成要素に多重機能をもたせるのが有利で
ある。本発明によるこの統合は、既知の部材を、
そのコネクタ部材を短くしたり、あるいは接続部
を簡略化したりして単に並置しただけのものでは
なく、ごく少数の部品の助けをかりて、上述の各
器材が個々に達成するすべての機能を達成しうる
ようにした新規な共通ユニツトの創造である。

又、これらのすべての機能は、実質的に平坦な
可撓性の柔軟な薄い部材６０（以下、単に「可撓
部材」又は「密封部材」又は「膜」とも称する）
（第６図）の助けをかりて達成することができる。
可撓部材６０は、剛性、又は半剛性の第１（下側）
ハウジング部材６１（第４図）と剛性、又は半剛
性の第２（上側）ハウジング部材６２（第５図）
との間に締付けて保持する。下側ハウジング部材
（以下、単に「ハウジング部材」とも称する）６
１及び上側ハウジング（以下、単に「ハウジング
部材」とも称する）６２の形状は、果すべき機能
に応じて定める。従つて、これらの３つの部材６
０，６１，６２は多重機能を有している。即ち、
可撓部材６０は、ハウジング部材６１，６２と協
同して特に透析液の漏れ止めを保証するという本
来の機能の他に、以下に述べるような特定の機能
を有している。

第４図〜第６を参照して説明すると、下側ハウ
ジング部材６１（ポリ塩化ビニルやポリエチレン
などの射出成形可能な剛性プラスチツクで形成す
ることが好ましい）は、総体的に孔あきデイスク
の形を有している。コネクタ２９に連結され、そ
れによつて水を供給するための固定設備に接続さ
れるようになされたアダプタ１９は第５図に示さ
れている。タンク３０に濃縮透析液を充填した
後、このアダプタ１９に栓を装着する。アダプタ
１９には使用前にはこの栓の代りにコネクタ２９
に連結された可撓チユーブが接続されている。水
は、アダプタ１９内の通路を通り、可撓部材６０
のオリフイス６３（第６図）を通つて、ハウジン
グ部材６１の上面に設けた凹所によつて画定され
たチヤンネル６４（第４図）を経てタンク３０内
に流入する。従つて、可撓部材６０は、オリフイ
ス６３の周りの局部的な部分においてはガスケツ
トの役割を果す。チヤンネル６４には可撓部材即
ちガスケツト６０を支持するための複数のフイン
６５（第４図）を設けてある。

タンク３０の底部は、デイスク状のハウジング
部材６１の約半分によつて構成されており、第１
組のじやま板３１はタンクの底部と一体に形成さ
れている。このタンク３０の側壁、カバー及び第
２組のじやま板３１は上側ハウジング部材６２
（第５図）によつて構成する。これらのじやま板
３１は、ユニツトの剛性を高める働きをもするか
ら、やはり多重機能を有している。ハウジング部
材６１と６２とは、可撓部材６０によつて構成さ
れる半円形の密封ガスケツトの上下両面において
ぴつたり嵌合する。タンク３０の一側壁を構成す
る、ハウジング部材６２のほぼ直径方向の壁部分
には、ハウジング部材６２と一体的に形成されて
いる２つのピンを下側ハウジング部材６１の対応
する円筒形の孔６８，６９（第４図）内へ圧入す
るための締付プレスを受容することができる半円
筒形凹部６６，６７（第５図）を形成する。浸漬
チユーブ３２の一部は下側ハウジング部材６１と
一体に形成する（第４図）。

上側ハウジング部材６２には、下側ハウジング
１のチユーブ３２の上方オリフイスの上に整列す
る位置に下向きに突出した細い円筒状のプラグ７
０を設けることが好ましい（第５，１１図）。製
造過程においてこのプラグを押し込むことにより
チユーブ３２を閉塞しておく、使用の際には、プ
ラグ７０は、タンク３０内に流入する水の圧力作
用により急激に押し上げられ、それによつて透析
液がチユーブ３２を通つて容器２０へ流入しうる
ようにする。

柔軟袋画室３３内に貯留された透析液は、ポン
プ３８によりチユーブ３６（ハウジング部材６１
によつて形成される）（第４図）を通して吸上げ
られる。このポンプ３８は、第７図に詳細に示さ
れるように膜式ポンプである。このポンプの重要
な特徴は、可撓部材６０（第６図）が、ポンプ膜
の動作部分７１と、透析液の吸入及び吐出のため
の一方向吐出側羽打弁７２と、周縁シールとを同
時に構成していることである。可撓部材６０は、
剛性又は半剛性のハウジング部材６１と６２の間
に介設されており、その形状は、ポンプ３８の膜
を構成する可撓部材６０と各ハウジング部材６１
及び６２との間に透析液を通すための連絡通路又
はチヤンネル７４，９０を画定するように定めて
ある。それらの通路又はチヤンネル７４，９０に
は、可撓部材６０を支持するためのリブ７５，９
１（第４図）を設けることが好ましい。可撓部材
６０によつて構成されるポンプ膜の、薄くされて
いる動作部分７１の変位は、コンソール１０に一
体的に取付けた任意の手段、例えばカムを駆動す
る減速モータによる矢印F₁の方向への交互（脈
動）動作によつて行われる。ポンプ膜の動作部分
の復帰は、ばねの対抗作用によるか、あるいは好
ましくは膜自体弾性により、あるいは又膜の一部
分をカムと一体的に結合しておくことにより行わ
れる。膜の動作部分７１が矢印F₁の方向に動く
と、透析液はポンプ３８の下流側へ圧送され、吐
出側羽打弁を構成する膜部分７２を押下げて、吐
出オリフイス３９を開放する。膜の動作部分７１
がF₁とは反対の方向に変位すると、ポンプ３８
の上流側に減圧が生じ、吸入側羽打弁を構成する
膜部分７３が押上げられて透析液がチユーブ３６
からオリフイス３７を通つてポンプ３８内へ流入
する。

かくして、透析液は、可撓部材６０の部分７１
を支持するためのリブ７５を備えたチヤンネル７
４を通り、血液透析器１６の入口オリフイス４０
へ達する。

血液透析器１６自体は、周知の形式のものであ
り、孔無し板又は格子状の孔あき介設板７６（第
５図）積重体と、それらの板の周りに折り挟さま
れた膜とから成つている。これらの介設板及び膜
は、剛性の上側ハウジング部材６２の１つのトラ
フ状部分によつて構成したケーシング内の挿入
し、このケーシングの底部を剛性の下側ハウジン
グ部材６１の対応する部分によつて閉鎖する。こ
のケーシングの血液通流画室（第１画室）と透析
液通流画室（第２画室）との間の周縁の液体密封
は、可撓部材６０と、局部的なリブあるいは適当
な厚肉部を有するハウジング部材６１，６２によ
つて設定する。透析液のための入口オリフイス４
０及び出口オリフイス４２は、下側ハウジング部
材６１及び可撓部材６０（第４，１１図）に形成
され、血液透析器１６の下側に開口しており、チ
ユーブ１２，１３に連通する血液のための入口オ
リフイス１２ａ、出口オリフイス１３ａは、ハウ
ジング部材６２に形成され、上側に開口してい
る。

第８図を参照して説明すると、出口オリフイス
４２（第３，４，６図）からの使用ずみ透析液
は、リブ７７（第４，８図）を備えた連絡通路
（チヤンネル９３）を通り、可撓部材６０と、フ
ロートチヤンバー４４の一部を構成する付属部材
８０のスカート部分とに貫設されたオリフイス７
８（第８図）を通り、チヤンネル９２を通つて、
ハウジング部材６２と一体に形成された、チユー
ブ部材４３を画定する切頭円錐形部分７９内へ流
入し、フロートチヤンバー４４のオリフイス４５
を通つて、該フロートチヤンバー内に入る。フロ
ートチヤンバー４４内には該フロートチヤンバー
の一部を構成するせき部材８０′が付設されてい
る。切頭円錐形部分７９は、ハウジング部材６２
に溶接された、例えばポリメタクリル酸メチルの
ような透明な材料で形成された側壁部分を有して
おり、その両側に比色計を構成する発光素子と受
光素子（図示せず）を配置することができる。こ
の比色計は、コンソール１０に一体的に取付けら
れており、透析液内への血液の漏れを検出するた
めのものである。もちろん、ハウジング部材６２
全体を透明材料で形成することができる。

可撓部材６０は、フロート４７を構成するベル
形部分を有しており、このベル形部分の下縁と可
撓部材６０の本体部分とは複数のフイン８１（第
６，８図）によつて連絡されている。これらのフ
インは、フロート４７を自由に浮動させる柔軟性
と遊びを有している。フロート４７の頂部に形成
されている針弁４６は、付属部材８０によつて画
定されたフロートチヤンバー４４の頂部の弁座４
５内に係合する。せき部材８０′は、オリフイス
８３、リブ付チヤンネル９４、オリフイス８４を
通してハウジング部材６２によつて形成されたチ
ユーブ又は通路８５に連絡させるオーバーフロー
縁８２を有しており、フロート受容チヤンバー８
６を大気圧に露呈させることができる。チヤンバ
ー８６は、ハウジング部材６１に形成されたオリ
フイス４８を介して使用ずみ透析液を貯留するた
めの画室３５と連通する。

第９図を参照して説明すると、チヤンバー４４
及び８６内の透析液は、リブ付チヤンネル５０
ａ，５０ｂを通して、可撓部材６０及びハウジン
グ部材６２に形成されたオリフイス８７へ至り、
そこからオーバーフローして目盛付受容器５２内
へ流入する。受容器５２の容量は、３〜４程度
とすることができる。受容器５２は、第９図に示
されるようにハウジング部材６２と一体に形成す
るか、あるいは共通ユニツトの周りに同軸リング
の形にハウジング部材６１と一体に形成すること
によつて共通のユニツトとして統合することがで
きる。後者の場合には、受容器５２へオーバーフ
ロー８９（第１１図）を通して透析液を送給する
ことができる。

フロートチヤンバー４４から重力によつて流出
する透析液の流れは、例えばコンソール１０に連
結した慣用の機械的手段（例えばねじ）によつて
ガスケツト即ち可撓部材６０の変形自在の円形部
分５１（第３，６，９図）に矢印F₂の方向にか
けられる不変応力を加減することによつて停止又
は制限し制御することができる。この操作は、連
続的に行うこともできるが、開放時間を変えるこ
とによつて間欠的に行うことが好ましい。又、こ
の受容器５２を含む抽出計量手段１８の代りに膜
式ポンプ３８と同様なポンプを用いてもよい。

透析液を貯留するための透析液貯留手段手段
（以下、単に「貯留手段」とも称する）は、容器
２０と、該容器内に設けられ、該容器の内容積に
等しい容積を占めることができる柔軟袋の２つの
画室３３，３５とから成つている。これらのは、
例えば、ポリエチレンで押出成形した筒状体の両
端をヒートシールすることによつて形成し、それ
ぞれ対応するオリフイス３２，３６，４８に接続
する。

この貯留手段は、容器２０のカバー３４を下側
ハウジング部材６１によつて構成することによ
り、少くとも部分的に上述の共通ユニツト内へ統
合することができる。その場合、ハウジング部材
６１の下面を覆うようにして、画室３３，３５を
画定する扁平にされた袋を装着する。この扁平に
した袋をハウジング部材６１と６２の間、又はハ
ウジング部材６２の周りに組入れることにより上
記統合度を更に高めることができる。その場合ガ
スケト６０と袋の少くとも一方の壁に適当にオリ
フイスを設けることができる。

以上の説明から明らかなように、コンソール１
０内に保持された２〜３の付属品と、作動ユニツ
トF₁，F₂の助けをかりるだけで、僅か３〜４個
の部材により、血液透析操作中透析液の調製及び
循環、及び超過液の定量チエツクなどのすべて
の機能を行う共通のユニツトを構成することがで
きる。この共通ユニツトに柔軟袋を統合すること
により新鮮な透析液及び／又は使用ずみ透析液を
貯留することもできる。

この共通ユニツトは、濃縮透析液を入れて、滅
菌した、即時使用しうるパツクとして供給するこ
とができる。使用者は、このユニツトを容器２０
上に置いて血液回路に接続し、コンソール１０を
装着するだけでよい。

このように少数の部材でいろいろな機能を果す
ことができる統合された透析液回路を有する本発
明の人工腎臓は、下記のような利点を有してい
る。

ａ 構成部品数及び材料所要量が少く、従つて、
エネルギー、製造及び組立コスト、輸送、保チ
ユーブ及び使用コストの節約を実現する。接続
チユーブの大部分を省除したこと、統合ユニツ
トがコンパクトであること、必要に応じてコン
ソール１０及び容器２０に断熱材を施すことに
より、透析操作中の熱損失を実質的に回避し、
血液を加熱し、血液の温度を調節するための装
置を簡略化することを可能にするとともに、安
全性を確保する。

ｂ 透析液回路の使い捨て使用が可能になり、従
つて、自動製造機械による大量生産に適し、組
立が容易であるから一層経済性を高める。使い
捨てであるから使用期間が短く、安価な材料を
使用することができ、厳格な製造条件が要求さ
れない。

ｃ 操作前の点検個所及び接続個所が少く、殺菌
する必要がなく、操作が簡単で安全である。

上述の利点は、いずれも、家庭での血液透析に
とつて特に有利である。

先に述べたように、本発明は、その範囲内にお
いて多くの変型実施形態を可能とする。以下に２
〜３の変型を例として説明する。

例えばプラグ７０を省除することができる。実
際、チユーブ３２は、予め抜気された画室３３内
に開口しているだけであるから、使用前にタンク
３０から画室３３内へ流入しうる濃縮透析液の量
は無視しうる程度にすぎない。

血液透析器１６は、図示の形式のものではな
く、中空繊維型のものであつてもよい。

フロート式流れ調節器又は閉塞器は、第１０図
に示されるように構成することもできる。この場
合、付属部品は、針弁４６を備えたフロート４７
である。チヤンバー４４は、適当に賦形したハウ
ジング部材６１によつて構成する。チヤンバー４
４の頂部は、閉塞器の弁座を構成する開口４５を
備えた可撓部材６０によつて覆う。可撓部材６０
は、複数の半径方向のリブ８８によつて支持す
る。チヤンバー８６は、チヤンネル９４及びチユ
ーブ８５を介して大気へ連通させる。

超過液をチエツクするために液体を抽出する
装置は、使用ずみ透析液を受容する画室３５に直
接接続することができる。

柔軟袋は、単一のとし、新鮮な透析液か、ある
いは使用ずみ透析液のどちらかを入れるようにし
てもよい。その場合、容器２０に密封ガスケツト
を装着しなければならない。又、柔軟袋を全く使
用せず、透析液を使い捨ての容器２０内へ直接入
れるようにしてもよい。その場合、新鮮な透析液
と使用ずみ透析液とのある程度の混合は避けられ
ない。所望ならば、上述の共通ユニツト内へ１個
又はそれ以上の吸着剤カートリツジを統合するこ
ともできる。

先に述べたように、透析液回路の各器材を全部
ではなく部分的に統合してもよい。例えば、ポン
プ３８を血液透析器１６内へ統合し、濃縮透析液
タンク３０を自蔵のままにしておいてもよい。
又、容器２０のカバー３４だけが共通ユニツトの
部材の１つによつて形成される構成とされていて
も、容器２０全体を共通ユニツトとして統合する
こともできる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明による人工腎臓の透視図、第２
図は第１図の人工腎臓の一部断面による側面図、
第３図は透析液を調製し、貯留し、循環させるた
めの主要構成部材の概略図、第４図は共通ユニツ
トの下側構成部分、即ち透析液調製、貯留、循環
手段及び液体抽出手段を血液透析器の周りに集め
た下側構成部材の透視図、第５図は共通ユニツト
の上側構成部材の透視図、第６図は共通ユニツト
の中間構成部材の透視図、第７図は膜ポンプの断
面図、第８図は透析液の圧力を調節するためのフ
ロート式調節器及びそれを大気に連通させるチユ
ーブの断面図、第９図はフロート式調節器及び液
体抽出計量器の断面図、第１０図はフロート式調
節器の変型の断面図、第１１図は、第４〜６図の
各部材と同様の部材から成る統合された共通ユニ
ツトの分解図である。 １０：コンソール、１２ａ：入口オリフイス、
１３ａ：出口オリフイス、１６：血液透析器、１
７：透析液調製手段、１９：入口手段、アダプ
タ、１８：抽出計量手段、｛２０：容器、３３，
３５：画室｝、３２：出口手段、チユーブ、３
４：カバー、３６：チユーブ、通路、３７：吸込
オリフイス、３８：ポンプ、３９：吐出オリフイ
ス、４１：膜、４３：チユーブ部材、｛４４：フ
ロートチヤンバー、４５：オリフイス（弁座）、
４６：針弁、４７：フロート｝圧力調整手段、４
８：オリフイス、通路、４９：チユーブ、通路、
５０：チユーブ、通路、５２：目盛付受容器、６
０：可撓部材（密封部材、膜、ガスケツト）、６
１：第１ハウジング部材、６２：第２ハウジング
部材、７１：動作部分、７２，７３：羽打弁、７
４：通路、８５：チユーブ、通路、９２：通路。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 人口腎臓において、 入口オリフイス１２ａと出口オリフイス１２ｂ
   を有する第１画室と、入口オリフイス４０と出口
   オリフイス４２を有する第２画室を画定するケー
   シングと、第１画室と第２画室とを分離する膜４
   １を備えた血液透析器１６と、 透析液を貯留するための透析液貯留手段２０，
   ３３，３５と、 透析液貯留手段２０，３３，３５に接続された
   吸込オリフイス３７と、前記血液透析器の第２画
   室の入口オリフイス４０に接続された吐出オリフ
   イス３９を有する、透析液を循環させるためのポ
   ンプ３８と、 大気と、前記透析液貯留手段２０，３３，３５
   と、前記血液透析器の第２画室の出口オリフイス
   ４２とに接続されており、透析液の圧力を調整す
   るための圧力調整手段４４，４５，４６，４７
   と、 少なくとも前記血液透析器１６と、ポンプ３８
   と、圧力調整手段４４，４５，４６，４７を統合
   するための共通ユニツトとから成り、該共通ユニ
   ツトは、第１ハウジング部材６１と、第２ハウジ
   ング部材６２と、該両ハウジング部材の間に挟着
   された可撓性の密封部材６０とを有し、該第１ハ
   ウジング部材６１と、第２ハウジング部材６２
   と、密封部材６０とが組合わされて、 前記血液透析器１６のケーシングと、 前記ポンプ３８と、 前記圧力調整手段４４，４５，４６，４７のた
   めのチヤンバー４４と、 前記ポンプ３８と血液透析器１６とを連絡する
   ための通路７４及びポンプ３８と前記透析液貯留
   手段２０，３３，３５とを連絡するための通路３
   ６と、 前記圧力調整手段４４，４５，４６，４７と血
   液透析器１６を連絡するための通路９３，９２、
   圧力調整手段４４，４５，４６，４７と透析液貯
   留手段２０，３３，３５とを連絡するための連絡
   通路４８、及び圧力調整手段４４，４５，４６，
   ４７と大気とを連絡するための通路４９，８５を
   構成するようになされていることを特徴とする人
   口腎臓。 ２ 前記共通ユニツトの前記第１ハウジング部材
   ６１と第２ハウジング部材６２は、水供給源に接
   続するための入口手段１９と、前記透析液貯留手
   段２０，３３，３５に接続するための出口手段３
   ２を備えた透析液濃縮溶液のタンク３０をも構成
   することを特徴とする特許請求の範囲第１項記載
   の人口腎臓。 ３ 前記共通ユニツトの前記第１ハウジング部材
   ６１と第２ハウジング部材６２は、透析液を抽出
   し計量するためのものであつて、開閉自在の連絡
   通路５０を介して前記圧力調整手段４４，４５，
   ４６，４７に接続させた受容器５２を含む抽出計
   量手段をも構成することを特徴とする特許請求の
   範囲第１項又は２項記載の人口腎臓。 ４ 前記ポンプ３８は、ポンプ膜７１、吸入側羽
   打弁７３及び吐出側羽打弁７２を有する膜式ポン
   プであり、該ポンプ膜７１、吸入側羽打弁７３及
   び吐出側羽打弁７２は、前記密封部材６０の一部
   によつて構成されていることを特徴とする特許請
   求の範囲第１〜３項のいずれかに記載の人口腎
   臓。 ５ 前記圧力調整手段４４，４５，４６，４７
   は、前記密封部材６０の一部分によつて構成され
   たフロート４６，４７を有するフロート弁である
   ことを特徴とする特許請求の範囲第１〜４項記載
   の人口腎臓。 ６ 前記透析液貯留手段２０，３３，３５は、前
   記共通ユニツトの一部を構成する容器２０を有
   し、該容器は、前記第１及び第２ハウジング部材
   ６１，６２の１つによつて閉鎖されていることを
   特徴とする特許請求の範囲第１〜５項のいずれか
   に記載の人口腎臓。 ７ 前記透析液貯留手段２０，３３，３５は、前
   記容器内に収納された２つの画室を有する柔軟な
   プラスチツク袋を備えており、該袋の一方の画室
   ３３は、前記タンク３０の前記出口手段３２と、
   前記ポンプ３８の吸込オリフイス３７に接続され
   た新鮮な透析液のための画室であり、該袋の他方
   の画室３５は、前記圧力調整手段４４，４５，４
   ６，４７との前記連絡通路４８に接続された使用
   済み透析液のための画室であることを特徴とする
   特許請求の範囲第２〜６項のいずれかに記載の人
   工腎臓。