JPH02581Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の技術分野〕 この考案は室内を冷暖房するウインド形空気調
和機に係り、特にコンプレツサの可変速運転制御
を行なうインバータを収容したウインド形空気調
和機に関する。

〔考案の技術的背景とその問題点〕

室内を冷暖房する最近のスプリツト型空気調和
機には、コンプレツサの可変速運転を制御するイ
ンバータ式空気調和機が広く採用されている。従
来のインバータ式空気調和機は、第４図に示すよ
うに室内側ユニツト１と室外側ユニツト２とに分
割されたユニツト構成にされ、室内側ユニツト２
の送風フアン３の吸込側にインバータ４が収容さ
れる。このインバータ式空気調和機は、コンプレ
ツサ５の可変速運転をきめ細かく制御し、冷暖房
能力の微調整が容易かつスムーズであるという利
点を有することから、ウインド形空気調和機に
も、インバータを搭載することが考慮されてい
る。

しかし、スプリツト型空気調和機のインバータ
据付構造をウインド形空気調和機に適用すると、
インバータ４の設置位置は第５図および第６図に
示すように、ウインド形空気調和機室外側の送風
フアン６吸込側位置に相当する。

一方、ウインド形空気調和機は、セツト寸法上
大きな制約を受け、室外側送風フアン６の吸込側
流路７にインバータ４を設置した場合には、イン
バータ取付部が吸込側流路７のかなりの部分を部
分的に遮蔽するため、大幅な風量低下や、異常音
が発生したり、またウインド形空気調和機の室外
側からの流入する風雨がインバータ部にも飛散
し、環境に敏感なインバータを損傷させたり、絶
縁劣化等により制御機能を損つたり、さらに、イ
ンバータ部の発熱作用による熱影響により、発泡
スチロール等で形成されるフアンケーシング（仕
切部材）８が変形し易い等の問題があつた。

インバータ部９を第６図に示すようにウインド
形空気調和機の室内側に配置した場合には、風雨
等による悪影響は解消されるが、依然として風量
低下や異常音および熱変形の問題が残される。

〔考案の目的〕

この考案は上述した事情を考慮してなされても
ので、インバータの設置により風量低下や異常音
の発生や風雨による悪影響を確実に防止し、イン
バータの制御機能を損うことなく、コンプレツサ
のきめ細かな運転制御を保証し、信頼性を向上さ
せたウインド形空気調和機を提供することを目的
とする。

この考案の他の目的は、インバータ室内に収容
されたインバータを既存のフアン設備を改良する
ことにより、積極的かつ有効的に冷却し、インバ
ータの性能劣化を効果的に防止したウインド形空
気調和機を提供することにある。

〔考案の概要〕

上述した目的を達成するためにこの考案は、本
体ケーシング内をフアンケーシングにより室内側
と室外側とに区画したウインド形空気調和機にお
いて、前記本体ケーシングの頂部にインバータ室
を設け、このインバータ室内にコンプレツサの可
変速運転制御を行なうインバータを収容するとと
もに、上記インバータ室は冷却用通孔により室内
と連通可能に構成されたことを特徴とするもので
ある。

〔考案の実施例〕

以下、この考案の好ましい実施例について添付
図面を参照して説明する。

第１図は、室内を冷暖房するウインド形縦型空
気調和機を示し、図中符号１０はウインド形空気
調和機の本体ケーシングを示す。本体ケーシング
１０は、建物の側壁１１や窓枠等に取付けられ、
その内部はフアンケーシング１２により室内側と
室外側とに区画される。本体ケーシング１０の室
外側には室外側熱交換器１３および横流フアン等
からなる室外側送風フアン１４が収容され、この
送風フアン１４はフアンモータ１５により駆動さ
れる。室外側熱交換器１３の下部にはドレンパン
１６が設置され、このドレンパン１６で発生した
ドレンを回収するようになつている。

一方、本体ケーシング１０の室内側には室内側
熱交換器１８と横流フアン等からなる室内側送風
フアン１９が収容され、この送風フアン１９はフ
アンモータ２０により駆動される。フアンモータ
２０の駆動により室内空気は吸込口２１から吸い
込まれ、吸い込まれた室内空気が室内側熱交換器
１８を通るとき、この熱交換器１８で熱交換さ
れ、冷却風あるいは温風となり、送風フアン１９
により吹出口から室内に吹き出されるようになつ
ている。熱交換器１８で発生したドレンは下部の
ドレンパン２２に回収される。

本体ケーシング１０の室内側下部は機械室２４
として画成され、この機械室２４内にコンプレツ
サ２５やリキツドタンク等が収容される。コンプ
レツサ２５はインバータ２７により可変速制御運
転され、運転負荷に応じてコンプレツサ２５の運
転周波数が制御される。

インバータ２７は本体ケーシング１０の頂部に
形成されるインバータ室２８内に収容される。イ
ンバータ２７は、第３図に示すように、コンプレ
ツサ２５の運転をきめ細かく周波数制御するもの
で、トランジスタモジユール２９やダイオードブ
ロツク３０、平滑用電解コンデンサ３１、ノイズ
フイルタ３２等から構成される。トランジスタモ
ジユール２９は発電部品である複数のトランジス
タ２９ａ，２９ｂ…を組み込んだもので、ヒユー
ズ３３およびシヤント抵抗３４やノイズフイルタ
３２を介してダイオードブロツク３０に接続され
る。ダイオードブロツク３０にも発熱部品である
複数のダイオード３０ａ，３０ｂ…が組み込まれ
ている。

また、インバータ室２８内には、室内側および
室外側送風フアン１９，１４のフアン軸１９ａ，
１４ａが仕切壁３６を貫いて延びており、この延
長軸１９ａ，１４ａに冷却フアン３７，３８が取
付けられる。フアン軸１９ａ，１４ａの上端は軸
受３９ａ，３９ｂにより回転自在に支持され、室
内側および室外側送風フアン３７，３８と一体的
に回転駆動せしめられる。冷却フアン３７，３８
のフアン径は、インバータ構成部品の配置関係を
考慮し、送風フアン１４，１９のフアン径より小
さいことが望ましい。

ところで、インバータ室２８を画成する周側壁
には、第２図に示すように、冷却用通孔４０が多
数穿設されており、この冷却用通孔４０を通じて
インバータ室２８は室内に連通可能とされ、室内
空気がインバータ室内に流入できる構造となつて
いる。この流出入構造により、インバータ室２８
に収容されたインバータ２７は積極的に冷却さ
れ、インバータ機能が維持される。なお、インバ
ータ室２８は室外側が閉じられ、室外側に連通す
る構造となつていない。

次に、この考案の作用について説明する。

暖房運転時には、吸込口２１から吸入される室
内空気は室内側熱交換器１８を通るとき、加熱さ
れて温風となり、この温風は室内側送風フアン１
９により吹出口から室内に吹き出され、室内が暖
房される。この暖房運転時には、冷却フアン３
７，３８も駆動せしめられ、回転駆動されるの
で、室内空気は冷却用通孔４０やフアン軸１９ａ
の貫通孔を通つてインバータ室２８内に入り、イ
ンバータ２７の発熱構成部品２９，３０，３２を
積極的に冷却する。このインバータ２７の冷却に
より温度上昇した室内空気は残りの冷却用通孔４
０を通つて室内に吹き出されるので、インバータ
２７からの放熱作用による室内空気の加熱分だ
け、暖房運転の能力アツプを図ることができる。
一般に、空気調和機は、暖房運転時の能力負荷は
冷房運転時に較べ厳しいが、インバータ２７から
の発熱を有効に利用することにより、能力負荷の
厳しさをカバーすることができる。

その際、インバータ２７は吸込口２１から室内
側熱交換器１８や送風フアン１９を経て吹出口に
至る空気流路４１に設けたものではないので、空
気流路４１を部品的に遮蔽することもなく、充分
な温風流量を確保できるとともに、異常音の発生
を有効的に防止することができる。

一方、冷房運転時には、室内側熱交換器１８で
冷却された冷却風が送風フアン１９により室内に
吹き出され、室内が冷房される。このときにも、
インバータ室２８内に収容された冷却フアン３
７，３８が駆動され、インバータ２７は積極的に
冷却される。この際、インバータ２７からの放熱
は冷却用通孔４０を通つて室内に吹き出されるこ
とになるが、冷房運転は、暖房運転に較べ、冷凍
サイクルの運転負荷が小さいので、能力的に余裕
がある。したがつて、インバータ２７からの放熱
量を考慮して冷房負荷を少し大きめに設定するこ
とにより快適な冷房を効率よく得ることができ
る。

なお、この考案の一実施例の説明においては、
インバータ室内に室内側および室外側送風フアン
のフアン軸をそれぞれ延長させ、このフアン軸に
冷却フアンを設けた例について説明したが、２本
のフアン軸を必ずしも延長させる必要がなく、１
本のフアン軸を延長させ、その延長軸に冷却フア
ンを取付ける構造としてもよい。

〔考案の効果〕

以上に述べたように、この考案に係るウインド
形空気調和機においては、本体ケーシングの頂部
にインバータ室を画成し、このインバータ室内に
コンプレツサの可変速運転制御を行なうインバー
タを収容するとともに、上記インバータ室は冷却
用通孔により室内に連通可能に構成されたので、
インバータの発熱部品からの発熱を冷却用通孔を
通して流出入される室内空気により積極的に冷却
することができ、しかも、室内空気はインバータ
からの放熱作用を受けて加熱されるので、能力的
に厳しい暖房運転時の能力アツプを図ることがで
きる。その際、インバータ室内に冷却フアンを設
けることにより、インバータの冷却効果をより高
めることができ、インバータによる制御機能の劣
化を防止し、コンプレツサのきめ細かな運転制御
を保証でき、信頼性が向上する。

また、インバータは本体ケーシングの頂部のイ
ンバータ室に、本体ケーシング室外側から区画さ
れるので、インバータ構成部品に雨水等が飛散す
ることもなく、天候に左右されないのでインバー
タの制御機能が損われない。また、インバータが
室外側や室内側空気流路を部分的に遮蔽すること
もないので、充分な量の空気をスムーズに流すこ
とができ、異常音の発生も有効的に押えることが
できる。

さらに、インバータは本体ケーシングの頂部に
形成されるインバータ室内に収容されるため、イ
ンバータの発熱部品をフアンケーシング等のプラ
スチツク部品から隔離でき、プラスチツク部品の
熱劣化を未然に防止できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、この考案に係るウインド形空気調和
機の一実施例を示す縦断面図、第２図は第１図の
−線に沿う平断面図、第３図は上記ウインド
形空気調和機に組み込まれるインバータ回路を示
す図、第４図は従来のスプリツト型空気調和機を
示す図、第５図および第６図は室外側空気流路に
インバータを設置した例を示すウインド形空気調
和機を示す図である。 １０……本体ケーシング、１２……フアンケー
シング、１３……室外側熱交換器、１４……室外
側送風フアン、１８……室内側熱交換器、１９…
…室内側送風フアン、１４ａ，１９ａ……フアン
軸、２５……コンプレツサ、２７……インバー
タ、２８……インバータ室、３７，３８……冷却
フアン、４０……冷却用通孔。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 本体ケーシング内をフアンケーシングにより
   室内側と室外側とに区画したウインド形空気調
   和機において、前記本体ケーシングの頂部にイ
   ンバータ室を設け、このインバータ室内にコン
   プレツサの可変速運転制御を行なうインバータ
   を収容するとともに、上記インバータ室は冷却
   用通孔により室内と連通可能に構成されたこと
   を特徴とするウインド形空気調和機。 ２ 本体ケーシングの室内側および室外側に収容
   される室内側送風フアンおよび室外側送風フア
   ンの少なくとも一方のフアン軸はインバータ室
   内に延長され、その延長軸に冷却フアンが設け
   られた実用新案登録請求の範囲第１項に記載の
   ウインド形空気調和機。 ３ 冷却フアンのフアン径は室内側および室外側
   送風フアンのフアン径より小さい実用新案登録
   請求の範囲第２項に記載のウインド形空気調和
   機。 ４ インバータ室を画成する周側壁の室内側に
   は、多数の冷却用通孔が穿設された実用新案登
   録請求の範囲第１項に記載のウインド形空気調
   和機。 ５ インバータは、トランジスタ、ダイオード、
   電解コンデンサ等の発熱部品を備えている実用
   新案登録請求の範囲第１項に記載のウインド形
   空気調和機。