JPH0256483B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔発明の利用分野〕 本発明は、蒸気タービンの蒸気室仕切り部の漏
洩防止構造に係り、特に内外車室間に形成されて
いる高圧側の蒸気室から低圧側の蒸気室への蒸気
の漏洩を確実に防止するために好適な蒸気タービ
ンの蒸気室仕切り部の漏洩防止構造に関する。

〔発明の背景〕

第１図に再熱式蒸気タービンの概略を示し、第
２図および第３図に蒸気仕切り部の漏洩防止構造
の従来技術を示す。

その第１図に示す再熱式蒸気タービンは、高中
圧外部車室１と、高圧内部車室２と、中圧内部車
室３とを備えている。前記高中圧外部車室１と高
圧内部車室２間には、蒸気室としての高圧排気室
４と抽気室５とが形成され、高中圧外部車室１と
中圧内部車室３間には、蒸気室としての中圧排気
室６が形成され、高圧内部車室２内には、再熱蒸
気室７が形成されている。前記高圧排気室４と抽
気室５間は、第１の仕切り部８により仕切られて
おり、前記抽気室５と中圧排気室６間は、第２の
仕切り部９により仕切られている。

前記第１の仕切り部８は、第２図に示すよう
に、高中圧外部車室１の内周に設けられた突起１
２と、高圧内部車室２の外周に設けられた仕切り
板１０に形成された嵌合溝１４とを嵌合させて構
成されている。

前記第２の仕切り部９は、第３図に示すごと
く、中圧内部車室３の外周に取り付けられた仕切
り板１１に設けられた突起１３と、高中圧外部車
室１の内周に形成された嵌合溝１５とを嵌合させ
て構成されている。

そして、前記第１、第２の仕切り部８，９と
も、突起１２，１３と嵌合溝１４，１５間には、
車室の半径方向に、内外車室の熱膨張差による相
対伸び吸収するため、通常５〜20mm程度の隙間１
８，１９を有している。また、タービン軸方向に
は内外車室の組立作業性を考慮し、0.1〜0.5mm程
度の隙間を持たせている。そして、通常運転状態
においては、各仕切り板１０，１１の前後の圧力
差により、第２図、第３図に矢印Ａ，Ｂで示すよ
うに、内部車室が高圧側から低圧側に押され、各
突起１２，１３と嵌合溝１４，１５が前後の片面
で面接触することにより、前後の蒸気室、つまり
高圧側の蒸気室と低圧側の蒸気室間の蒸気の漏洩
を防止するようにしている。

しかし、蒸気室仕切り部である前記第１、第２
の仕切り部８，９とも、従来技術では単に突起１
２，１３と嵌合溝１４，１５とを嵌合させている
だけの構造である。したがつて、内外車室の内外
の温度差、第１、第２の仕切り部８，９の前後の
温度差および圧力差が大きい場合、熱応力によつ
て前記突起１２，１３と嵌合溝１４，１５の接触
面が変形し、全面接触しなくなり、隙間が発生し
て高圧側の蒸気室から低圧側の蒸気室へ蒸気が漏
洩し、漏洩蒸気の影響による性能低下、車室変形
を招く欠点がある。特に、第１図に示すごとく、
再熱蒸気室７が高圧内部車室２内に形成されてい
る構造の蒸気タービンでは、高圧内部車室２の外
周側の仕切り部である第１の仕切り部８の前後
は、高圧排気室４の圧力と抽気室５の圧力とな
り、圧力差が大きいため、蒸気の漏洩量や非常に
多いものとなる。

なお、第１図において、１６は主蒸気入口管、
１７は再熱蒸気入口管を示す。

〔発明の目的〕

本発明の目的は、前記従来技術の欠点をなく
し、高圧側の蒸気室から低圧側の蒸気室への蒸気
の漏洩を確実に防止し得る蒸気タービンの蒸気室
仕切り部の漏洩防止構造を提供するにある。

〔発明の概要〕

本発明は、蒸気タービンの外部車室と内部車室
の間の圧力の相違する蒸気を仕切る仕切り部に、
突起と、該突起を嵌合する嵌合溝と、該嵌合溝と
前記突起との間の〓間に介挿されたシール部材を
備え、かつ前記シール部材に円周方向に分割され
た複数個のシールフインと、該シールフインを前
記突起の周面もしくは前記嵌合溝の周面のいずれ
か一方に圧接するばねを備え、前記圧力を相違す
る蒸気間の蒸気の漏洩を防止し、かつ前記内外車
室の熱膨張を吸収可能に構成したところに特徴を
有するもので、この構成により前記目的を確実に
達成することができたものである。

〔発明の実施例〕

以下、本発明の実施例を図面により説明する。

第４図〜第８図は、本発明の一実施例を示すも
ので、この実施例では高圧排気室４と抽気室５間
を仕切つている第１の仕切り部８の突起１２と、
これの嵌合溝１４間の隙間１８に第１のシール部
材２０が介装され、抽気室５と中圧排気室６を仕
切つている第２の仕切り部９の突起１３と、これ
の嵌合溝１５間の隙間１９には第２のシール部材
２３が介装されている。

前記第１のシール部材２２は、第５図に示すよ
うに、円周方向に分割されたシールフイン２４
と、このシールフイン２４を高中圧外部車室１に
設けられた突起１２の内周面に圧接させるばね２
６とで構成されている。前記シールフイン２４
は、第６図に示すように、幅の広いつば２４ａを
有し、このつば２４ａを高圧内部車室２の外周に
形成された嵌合溝１４の内側に設けられたあり溝
形のシールフイン挿入溝２０に嵌合させて介装さ
れている。前記ばね２６は、第８図に示すごと
く、板ばねの一端部に、かぎ形に折り曲げられた
係止片２６ａを有し、この係止片２６ａを前記シ
ールフイン２４のつば２４ａ側に形成された係止
溝に係け止め、第５図に示すように、前記シール
フイン挿入溝２０内において各シールフイン２４
のつば２４ａ側に弦形に装着されていて、各シー
ルフイン２４の外面を突起１２の内周に圧接させ
るようにしている。

前記第２のシール部材２３は、円周方向に分割
されたシールフイン２５と、このシールフイン２
５を中圧内部車室３の仕切り板１１に設けられた
突起１３の外周面に圧接させるばね２７とで構成
されている。前記シールフイン２５は、第７図に
示すように、幅の広いつば２５ａを有し、このつ
ば２５ａを高中圧外部車室１の内周に形成された
嵌合溝１５の外側に設けられてあり溝形のシール
フイン挿入溝２１に嵌合させて介装されている。
前記ばね２７は、シールフイン２４用の前記ばね
２６と同様、板ばねの一端部に、かぎ形に折り曲
げられた係止片を有し、この係止片をシールフイ
ン２５のつば２５ａ側に形成された係止溝に係け
止め、前記シールフイン挿入溝２１内において各
シールフイン２５のつば２５ａ側に弦形に装着さ
れ、各シールフイン２５の内面を突起１３の外周
に圧接させるようにしている。

なお、これら第４図〜第８図に示す実施例の他
の構成については、前記第１図〜第３図に示すも
のと同様であり、同じ部材には同じ符号を付けて
示し、これ以上の説明を省略する。

前記第４図〜第８図に示す実施例の蒸気室仕切
り部の漏洩防止構造は、次のように作用する。

すなわち、第１の仕切り部８の突起１２と、こ
れの嵌合溝１４間の隙間１８は、シールフイン２
４と、これを前記突起１２の内周に圧接させるば
ね２６とで構成されたシール部材２２により封止
される。一方シールフイン２４は運転状態の如何
にかかわらずシールフイン２４前後の差圧により
第６図に矢印ａで示すようにいずれか一方向に押
され、シールフイン２４の一方の端面がシールフ
イン挿入溝２０の相対する一方の端面と接するた
め、シールフイン２４とシールフイン挿入溝２０
との軸方向〓間は接触面２８により密封される。

したがつて、運転状態の如何にかかわらず高圧
排気室４と抽気室５との間の蒸気の漏洩を確実に
防止することができる。

一方、第２の仕切り部９の突起１３と、これの
嵌合溝１５間の隙間１９は、シールフイン２５
と、これを前記突起１３の外周に圧接させるばね
２７とで構成されたシール部材２３により封止さ
れる。一方シールフイン２４は運転状態の如何に
かかわらずシールフイン２５前後の差圧により第
７図に矢印ｂで示すようにいずれか一方向に押さ
れシールフイン２５の一方の端面がシールフイン
挿入溝２１の相対する一方の端面と接するため、
シールフイン２５とシールフイン挿入溝２１との
軸方向〓間は接触面２９により密封される。

したがつて、運転状態の如何にかかわらず中圧
排気室６を抽気室５との間の蒸気の漏洩も確実に
防止することができる。

次に、第９図は本発明の他の実施例を示すもの
で、この実施例では各シールフイン２４，２５に
おける突起１２，１３の周面に接する面に、複数
本の条溝２４ｂ，２５ｂが形成され、ラビリンス
構造とされている。

この実施例では、第１、第２の仕切り部８，９
の突起１２，１３と、これに対接するシールフイ
ン２４，２５間に蒸気が入ると、条溝２４ｂ，２
５ｂの所で蒸気が膨張するので、前記突起１２，
１３とシールフイン２４，２５の接触面２８，２
９からの蒸気の漏洩をもなくすことができる。

なお、この第９図に示す実施例の他の構成、作
用については、前記第４図〜第８図に示すものと
同様である。

また、前記第４図〜第８図に示す実施例、第９
図に示す実施例とも、シールフイン挿入溝２０，
２１を突起１２，１３側に形成し、これに挿入さ
れたシールフイン２４，２５を、ばね２６，２７
を通じて嵌合溝１４，１５側に圧接させるように
してもよい。

さらに、本発明ではシール部材２２，２３は、
シールフイン２４，２５とばね２６，２７とで構
成した図示実施例に限らず、突起１２，１３と嵌
合溝１４，１５間の隙間１８，１９を封止しかつ
車室の熱膨張を吸収し得る構造であればよい。

〔発明の効果〕

以上説明した本発明によれば、蒸気タービンの
外部車室と内部車室の間の圧力の相違する蒸気を
仕切る仕切り部に、突起と、該突起を嵌合する嵌
合溝と、該嵌合溝と前記突起との間の〓間に介挿
されたシール部材を備え、かつ前記シール部材に
円周方向に分割された複数個のシールフインと、
該シールフインを前記突起の周面もしくは前記嵌
合溝の周面のいずれか一方に圧接するばねを備
え、前記圧力を相違する蒸気間の蒸気の漏洩を防
止し、かつ前記内外車室の熱膨張を吸収可能に構
成しているので、運転状態の如何にかかわらず高
圧側の蒸気室から低圧側の蒸気室への蒸気の漏洩
を確実に防止し得る効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は再熱式蒸気タービンの概略を示す縦断
側面図、第２図および第３図は第１図の部分お
よび部分の拡大図、第４図は再熱式蒸気タービ
ンとこれに適用した本発明の一実施例を示す縦断
側面図、第５図は第１のシール部材の組み立て状
態を示す正面図、第６図および第７図は第４図の
部分および部分の拡大図、第８図はシールフ
イン用のばねの拡大斜視図、第９図は本発明の他
の実施例としての、条溝を有するシールフインを
示す拡大断面図である。 １……高中圧外部車室、２……高圧内部車室、
３……中圧内部車室、４……蒸気室としての高圧
排気室、５……同抽気室、６……同中圧排気室、
８，９……第１、第２の仕切り部、１０，１１…
…第１、第２の仕切り部を構成している仕切り
板、１２，１３……同突起、１４，１５……同嵌
合溝、１８，１９……突起と嵌合溝間の隙間、２
０，２１……シールフイン挿入溝、２２，２３…
…シール部材、２４，２５……シール部材を構成
しているシールフイン、２４ｂ，２５ｂ……シー
ルフインに形成された条溝、２６，２７……シー
ルフイン用のばね、２８，２９……シールフイン
の端面とシールフイン挿入溝の端面との接触面。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 蒸気タービンの外部車室と内部車室の間の圧
   力の相違する蒸気を仕切る仕切り部に、突起と、
   該突起を嵌合する嵌合溝と、該嵌合溝と前記突起
   との間の〓間に介挿されたシール部材を備え、か
   つ前記シール部材に円周方向に分割された複数個
   のシールフインと、該シールフインを前記突起の
   周面もしくは前記嵌合溝の周面のいずれか一方に
   圧接するばねを備え、前記圧力を相違する蒸気間
   の蒸気の漏洩を防止し、かつ前記内外車室の熱膨
   張を吸収可能に構成したことを特徴とする蒸気タ
   ービンの蒸気室仕切り部の漏洩防止構造。 ２ 特許請求の範囲第１項において、前記シール
   フインの前記突起周面もしくは前記嵌合溝周面の
   いずれか一方に対する面に、条溝を設けたことを
   特徴とする蒸気タービンの蒸気室仕切り部の漏洩
   防止構造。