JP3626846B2 - 蒸気タービンの低圧車室 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は蒸気タービンの低圧車室構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から使用されている蒸気タービンの低圧車室の構造例を図8に示してある。図8は蒸気タービンの低圧車室の上半部を示しており、4は翼環で、複数段の静翼5および圧力隔壁9と一体化された溶接板構造となっている。翼環4は、圧力隔壁9の上部と内車室部3との間に設けられた嵌合部12によって支持される。7はロータ、6は同ロータ7の外周に植設された動翼である。
【0003】
1は蒸気入口で、この蒸気入口1より低圧車室内に入った高温の蒸気流2は、翼環4を過熱しながら動翼6へ流れ、ロータ7を回転させる。翼環4は蒸気流2によって過熱され、熱膨張を生じるが、翼環4と一体化された圧力隔壁9は嵌合部12によって内車室3と分離されているため、内車室3に翼環4の変形は伝わらない。11は外車室、14は補強材であり、外車室11は内車室3と一体に結合されている。
【0004】
このように構成された蒸気タービンの低圧車室においては、蒸気流2の圧力がタービン運転に伴い変動して嵌合部12の接触面圧が不足すると、その蒸気流2が嵌合部12および水平フランジ継手面(図示せず)より抽気室13および13′へ流入して性能が低下する恐れがある。
【0005】
通常のタービンでは抽気室13および13′の圧力を同一とするが、プラントの性能を上げるためには左右の抽気室13および13′の圧力を変えて抽気することも行われる。このように抽気室13および13′に圧力差がある場合、中央の圧力隔壁9は、矢印8で示すように低圧側へ倒れ、静翼5と動翼6との間のクリアランスが変化し、性能低下を引き起こす一因になることも考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の蒸気タービンの低圧車室は前記したような問題点を有していることに鑑み、本発明は、翼環と一体化した圧力隔壁を内車室から分離した構造の蒸気タービン低圧車室において、圧力隔壁と内車室との嵌合部における蒸気シール性を向上させることを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、圧力隔壁と内車室との間の嵌合部に前記内車室との間及び前記圧力隔壁との間でシールを形成する複数個のシールリングを配設するとともに同シールリングを複数個の板バネで中心から放射方向に向けて押さえた構造の低圧車室を提供する。本発明のこの低圧車室によれば、翼環と一体化された圧力隔壁と内車室との間の嵌合部は、複数個の板バネで押さえられた複数個のシールリングでシールされるので内部リークを減少させることができる。
【0008】
本発明による低圧車室において、圧力隔壁と内車室との間の嵌合部に配設するシールリングの外周面に1個又は2個以上の凹み部と、その両側に凸部を設けた構造にすると、そのシールリングによるシール機能を増すことができて好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による蒸気タービンの低圧車室について図1〜図7に示した実施の形態に基づいて具体的に説明する。なお、以下の実施の形態において、図8に示した従来の装置と同じ構成の部分には説明を簡単にするため同じ符号を付してあり、それらについての重復する説明は省略する。
【0010】
本発明の実施形態による低圧車室を示す図1において、翼環4と一体化された圧力隔壁9の上部と、内車室3との間の嵌合部12には、図2〜図5に示されているように複数個の板バネ16で押さえられた複数個のシールリング15を設けてある。また、嵌合部12においては、内車室3側を凸にし、圧力隔壁9の上部側を凹にして嵌め合せてあり、加工性および組立性を改良している。
【0011】
本実施形態の低圧車室によれば、高温の蒸気流2によって過熱される圧力隔壁9と翼環4、静翼5を一体化し内車室3から分離し、内圧および熱荷重による内車室3の変形が小さくなるようにしている。また、内車室3および圧力隔壁9の応力を材料の降伏応力以下に抑えることが出来、疲労強度が大幅に向上できる。
【0012】
更に、内車室3と圧力隔壁9上部との間の嵌合部12に複数個の板バネ16で押さえられた複数個のシールリング15を配設して嵌合部12をシールする。すなわち、図5に示されているように、シールリング15は内車室3との間(図5のa部)、及び圧力隔壁9との間(図5のb部)を確実にシールすることにより、内部リークが減少し、タービンの運転状況の変化に伴い蒸気流2の圧力が変動しても嵌合部12の接触面圧が不足することなく、蒸気シール効果を向上させることができる。
【0013】
図6及び図7は、圧力隔壁9の上部と内車室3との間の嵌合部に用いる板バネで押されるシールリング15の他の例が示してある。図6に示すシールリング15は、その上部に1個の凹み部15aとその両側に凸部15b,15cが設けられている。
【0014】
このように、圧力隔壁9の上部と内車室3の嵌合部12に配置される複数個の板バネ16で押さえられた複数個のシールリング15の外周部の凸部15b,15cで内車室3の嵌合部12をシールするように構成することで、シール面圧の上昇とシール箇所の分散を図り、内圧および熱荷重により翼環4側が変形しても内車室3との面圧が均等に保持されるので、シール性が一段と高くなる。
【0015】
次に、図7に示したシールリング15では、シールリング15の上部に複数個の凹部15aと凸部15b,15c,15d,15eを設けシール部構造をフレキシブルとしている。このように構成したシールリング15を用いると、圧力隔壁9と内車室3の嵌合部12に複数個の板バネ16で押さえられた複数個のシールリング15に加工された複数個の溝凸部15b〜15eで内車室との嵌合部12を良好にシールする。
【0016】
図7のように複数個の凹部を設けたシールリングを用いることによって内圧および熱荷重により翼環4側が変形してもシールリング15の溝部の剛性が小さくフレキシブルな構造であるため内車室3との面圧が均等に保持されるので、更に一段とシール性が高くなる。
【0017】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による蒸気タービンの低圧車室では、内車室と圧力隔壁との間の嵌合部に前記内車室との間及び前記圧力隔壁との間でシールを形成する複数個のシールリングを配設するとともに同シールリングを複数個の板バネで中心から放射方向に向けて押さえている。この低圧車室では、圧力隔壁と内車室との間の嵌合部が、複数個の板バネで押さえられた複数個のシールリングで内部リークを減少させることができる。
【0018】
また、本発明の低圧車室において用いるシールリングの外周部に少くとも一つの凹み部と、その両側に凸部を設けたものではシール機能が更に増すので嵌合部から抽気室への蒸気の漏れが減り蒸気タービンの性能低下を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の一形態による蒸気タービンの低圧車室の上半部を示す断面図。
【図2】図1のa部を部分的に拡大して示す断面図。
【図3】図2におけるシールリングと板バネを示す側面図。
【図4】図3のIV−IV線に沿った断面図。
【図5】本発明の低圧車室に用いるシールリングの他の例を示す図4と同様の断面図。
【図6】図2のシールリング部分の拡大断面図。
【図7】本発明の低圧車室に用いるシールリングの更に他の例を示す図4と同様の断面図。
【図8】従来の蒸気タービンの低圧車室の上半部を示す断面図。
【符号の説明】
1 蒸気入口
2 蒸気流
3 内車室
4 翼環
5 静翼
6 動翼
7 ロータ
9 圧力隔壁
11 外車室
12 嵌合部
13,13′ 抽気室
14 補強材
15 シールリング
15a 凹み部
15b〜15e 凸部
16 板バネ
Claims (2)
- 蒸気入口側の複数段の静翼を支持する翼環と、同翼環と蒸気入口管との間に設けられた圧力隔壁とを一体に結合し、これを内車室から分離して構成し、前記圧力隔壁と内車室との間に嵌合部を設けて構成した複流型の蒸気タービン低圧車室において、前記嵌合部に前記内車室との間及び前記圧力隔壁との間でシールを形成する複数個のシールリングを配設するとともに同シールリングを中心から放射方向に向けて押さえる複数個の板バネを配設したことを特徴とする蒸気タービンの低圧車室。
- 前記シールリングの外周部に少くとも一つの凹み部と、その両側に凸部を設けてなる請求項1記載の蒸気タービンの低圧車室。
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JP32307197A JP3626846B2 (ja) | 1997-11-25 | 1997-11-25 | 蒸気タービンの低圧車室 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP32307197A JP3626846B2 (ja) | 1997-11-25 | 1997-11-25 | 蒸気タービンの低圧車室 |
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Family Applications (1)
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JP32307197A Expired - Fee Related JP3626846B2 (ja) | 1997-11-25 | 1997-11-25 | 蒸気タービンの低圧車室 |
Country Status (1)
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-
1997
- 1997-11-25 JP JP32307197A patent/JP3626846B2/ja not_active Expired - Fee Related
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