JP4451882B2 - ガスタービンで使用されるスポークセンタリングブラシシール構造 - Google Patents

Description

本発明は、請求項１に記載の概念の定義に従うガスタービンのステータとロータとの間の非ハーメチックシール（非気密シール（nicht‐hermetische Dichtung））のための構造に関する。

ガスタービン、特に、航空機エンジンにおいて、互いに反対方向へ回転する二つのパーツ、即ち、ガスタービンのステータとロータの、ガスタービンを通過して流れるガス流からのシールを必要とする多くの適用ケースがある。このような適用ケースの一例は、航空機エンジンのステータの静案内翼とロータとの間に形成されるギャップのシーリングである。

ブラシシールは、互いに対して相対的に回転しているアセンブリ同士間で環状ギャップをシールするための関連技術から公知となっている。この種のブラシシールは、例えば、ドイツ国特許出願ＤＥ１９６２８５５９Ａ１やＤＥ１０１２２７３２Ａ１から公知である。

関連技術から公知である上記ブラシシールは、コア要素の周りに巻かれ且つそれにクランプリングによって固定される複数のワイヤタイプの毛から形成されている。関連の技術下では、実際のブラシシールを構成する、クランプリング、コア要素、及び毛を含むユニットは、補強リングによって境界が定められる収容スペース内に配置され、この補強リングは、二つの案内要素間に位置決めされ、且つ補強リングと案内要素は、少なくとも一つのリベットによって互いに結合される。

関連技術から、この種のブラシシールをスポークセンタリングされるように設計することが知られており、ベアリングは、スポークタイプのセンタリング動作を保障する並進自由度を有する。この種のベアリングは、関連技術に従って、スライド要素、特に、スライドブロックによって形成され、スライドブロックは、対応するスロットに係合する。スポークタイプのセンタリング動作によって、互いからシールされる、共軸に配置されたコンポーネント同士間、従って、ステータとロータとの間の熱によって導入される相対的な寸法の変動を良好に補償することが可能となる。

従来の技術に従って、スライド要素、特に、スライドブロックは、個別のアセンブリとして設計される。スライドブロックは、例えば、リベットによって補強リングに結合される。スライドブロックが、補強リングにリベット留めされると、実質的な製造公差が、ブラシシールの共軸性の極端な低下を導く結果となる。更に、アセンブリや製造のための実質的な出費が、リベットを使用してのスライドブロックの締着に課される。更にまた、スライドブロック上に、リベット打ちのために、従来の技術に従って使用されるリベットジョイントを配するために、適切なスペースが補強要素上に設けられなければならない。これによって、シール構造の全体の半径方向高さが増加し、それによって、適用範囲、従って、利用可能性が制限されることになる。

このような背景に対して、本発明の目的は、ガスタービンのステータとロータとの間の非ハーメチックシールのための、新規のタイプの構造を造ることである。

本発明の目的は、ガスタービンのステータとロータとの間の非ハーメチックシールのための最初に述べられた構造を、請求項１の特徴部分で述べられる特徴によって更に洗練することで達成される。

本発明に従って、スライド要素は、スペーサ又は補強要素に一体化される。これによって、構造的に単純な手段によって、正確なスポークタイプのセンタリング動作が可能となる。別個のコンポーネントとして関連技術に従って設計されたスライド要素が、スペーサ又は補強要素の一体部分であるので、アセンブリや製造出費が減少される。従って、コストの低減が、本発明によって達成される。また、関連技術の方法で必要とされた、スライド要素をスペーサや補強要素に結合するための必要性が無いので、全体の半径方向高さを減少することが出来る。

本発明の好適な実施の形態は、従属の請求項及び以下の記述から得られる。
本発明の例示の実施の形態は、この発明を制限するものではない図面を参照することでより詳細に明確にされる。

図１と２は、高度に図式化された本発明に従うシール構造の一好適な特定の実施の形態を示している。図１は、本発明に従うシール構造の断面を示し、図２は、側面を示す。

図１と２に示されるシール構造は、ガスタービンの、即ち、航空機エンジンのロータ１０とステータ１１との間の半径方向ギャップをシールするために使用される。ロータ１０は、所謂ロータブレード（動翼）を有するロータである。ステータ１１には、ガスタービンの同様な固定ケーシングに取り付けられる固定案内羽根が与えられる。従って、固定案内羽根は、ステータに属する。案内羽根は、所謂羽根グリッドを形成し、ロータ１０の周りに同心状に配置される。本発明に従うシール構造は、ロータの周りに同心状に配置されたステータ羽根の根元の領域の半径方向ギャップをシールするために使用される。

ロータ１０とステータ１１との間には、ブラシシール１２が位置決めされる。ブラシシール１２は、複数のワイヤタイプの毛１３から作られ、これらの毛は、ロッド形状のコア要素１４の周りに巻き掛けられ且つ好ましくは断面Ｃ形状であるクランプリング１５の助けを借りてコア要素１４に固定される。

毛１３、コア要素１４及びクランプリング１５から構成されるブラシシール１２は、収容スペース１６内に位置され、この収容スペースは、二つのカバー又は案内要素１７と１８の間に位置されるスペーサ又は補強要素１９によって形成される。この収容スペース１６内において、ブラシシール１２は、両軸方向へのたわみに抗するように形状が固定されている。更に、収容スペース１６の横方向の境界となる案内要素１７と１８の部分は、ブラシシールの毛１３を支持するために使用されることが出来る。従って、案内要素１７と１８のこれらの部分は、所謂支持プレート、並びにブラシシール１２のためのカバープレートを構成する。

本発明の流れに沿って、スポークタイプのセンタリング動作のために使用されるスライド要素２０は、それらがスペーサ又は補強要素１９の一体部分を構成し、従って、最早別々のアセンブリではないように、スペーサ又は補強要素１９に一体化される。その結果、ステータ１１に向い合うスペーサ又は補強要素１９の境界表面２１は、プロファイルデザインを有する。即ち、境界表面２１の高い部分がスライド要素２０を形成している。このことは、特に、図２から推測される。

同様に、図２から推測されるように、スペーサ又は補強要素１９の一体部分として形成されたスライド要素２０は、ステータ１１に設けられたくぼみ又は凹所２２と結合する。スライド要素２０と凹所２２とを組み合わせることによって、ベアリングが形成され、それによって、半径方向への自由度を有する並進運動が可能となる。この種のスポークタイプセンタリング動作によって、ガスタービンの作動中にロータ１０とステータ１１の、異なる熱によって導入される寸法の変動を補償することが可能となる。この異なる寸法の変動は、ロータ１０とステータ１１の異なる熱容量に起因するので、熱の影響は、ロータ１０とステータ１１の膨張に異なるように影響を及ぼす。

ブラシシール１２が、同心的にロータ１０を囲み、ブラシシール１２に加えて、カバー又は案内要素１７と１８、並びにスペーサ又は補強要素１９もまた環形状を有するので、カバー又は案内要素１７と１８は、カバーリングとして、スペーサ又は補強要素１９は、スペーサリングとして記述され得る。このスペーサリングの周領域上に互いに等間隔で位置決めされるのは、複数の、好ましくは、少なくとも３個のスライド要素２０であり、これらのスライド要素は、ステータ１１の対応する凹所２２に結合する。

二つのカバー又は案内要素１７と１８とスペーサ又は補強要素１９からなるユニットは、複数の締結要素２３によって結合され、これらの締結要素は、例示の実施の形態においては、リベットとして形成される。スライド要素２０は、スペーサ又は補強要素１９の一体の部分であるので、スライド要素２０の領域においてこの種の締結要素２３を有する必要があるに過ぎない。従来の技術で必要とされる、スライド要素２０のスペーサや補強要素１９への別個の接続が省略され得る。このことによって、追加のリベット結合の必要性が無くなる。従って、本発明の構造は、全体の半径方向の高さが低いことによって特徴付けられる。

従って、本発明は、シーリング構造を提供し、そこでは、スライド要素２０、特に、所謂スライドブロックは、所謂スペーサリング１９の一体部分である。これによって、本発明に従うシーリング構造の個々のコンポーネントの数、従って、アセンブリに必要な出費が削減される。本発明に従うシーリング構造をより少ないアセンブリステップで、従って、低製造コストで、製造できる。従って、本発明に従うシーリング構造が、コスト効率よく且つ安価で実現されることが出来る。スライドブロック２０のスペーサリング１９への別個の締結の必要性がなくなるので、全体として半径方向高さが低いシーリング構造が達成され得る。従って、よりコンパクトな設計が可能となる。また、本発明の流れに沿って、スペーサリング１９の一体部分であるスライドブロック２０に対して狭い公差が観察される事実から利点が得られる。その結果、本発明に従うシール構造の正確なスポークタイプセンタリングが可能となる。

ブラシシールの毛の配置は、主に半径方向のみならず、固定されていない端部を半径方向に角度付ける場合、軸方向でも良い。この場合、ブラシシールは、フックタイプのブラシシールとして設計される。

高度に図式化された断面図で、ガスタービンのステータとロータとの間の非ハーメチックシールのための、本発明に従う構造の詳細を示す。 高度に図式化された側面図で、図１の構造の詳細を示す。

Claims (6)

1. ロータ周りに同心的に位置される静翼の領域において、ガスタービンのステータ（１１）とロータ（１０）との間の非ハーメチックシールのための構造であって、ブラシシール（１２）を備え、このブラシシール（１２）は、二つのカバー又は案内要素（１７、１８）との間に配置される少なくとも１個のスペーサ又は補強要素（１９）によって形成される収容スペース（１６）に位置され、且つブラシシール（１２）は、スライド要素（２０）を介して半径方向に自由度を有すると共に並進運動が行なえ、
   前記スライド要素（２０）が、前記スペーサ又は前記補強要素（１９）の外縁領域から延在して一体化され、
   前記スライド要素（２０）の外輪郭が、前記ステータ（１１）に設けられたへこみ又は凹所（２２）の内輪郭に対応して形成され、
   前記スライド要素（２０）が、前記ステータ（１１）に設けられたへこみ又は凹所（２２）と結合する、
   ことを特徴とする構造。
2. 前記スライド要素（２０）が、前記スペーサ又は前記補強要素（１９）の構成要素であることを特徴とする、請求項１に記載の構造。
3. 、
   前記スペーサ又は前記補強要素（１９）が、環形状であり、前記スペーサ又は前記補強要素（１９）の外縁領域から延在して、複数のスライド要素（２０）が、前記スペーサ又は前記補強要素（１９）に一体化されていることを特徴とする、請求項１又は２に記載の構造。
4. 前記スペーサ又は前記補強要素（１９）の境界表面（２１）が、スライド要素（２０）を形成することを特徴とする、請求項１乃至３に記載の構造。
5. カバー又は案内要素（１７，１８）とスペーサ又は補強要素（１９）は、複数のリベットによって一体に結合されることを特徴とする、請求項１乃至４のいずれかに記載の構造。
6. ブラシシール（１２）が、カバー又は案内要素（１７，１８）間でロータ（１０）に与えられた収容空間（１６）内で軸方向へのたわみに抗して形状固定されていることを特徴とする、請求項１乃至５のいずれかに記載の構造。

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