JPH025369Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、使用者の腰部に取付けて運動に伴う
振動を感知する振子を有する歩数計、距離計及び
エネルギー計等運動した量を測定する運動量測定
計の測定条件調整装置に関するものである。

〔従来技術〕

使用者の腰部に取付けて歩行、走行等の運動に
伴う振動を感知する振子を有する感知装置と、該
振子の振動を表示装置に伝達する伝達装置と、該
振子の振動を運動量として表示する表示装置を備
えた運動量測定計としては、前記振子の振動を歩
数として表示する歩数計、この歩数を運動距離に
換算する距離計さらに単位時間当りの消費エネル
ギー量である運動強度（cal／min）と運動時間
との積として表される運動量（cal）に換算する
エネルギー計等があるが、次の理由により測定条
件の調整装置が必要であつた。

即ち、実測によれば使用者の歩行及び走行にお
ける速度と腰部に作用する加速度との関係は第１
図の破線Ａ，Ｂで示す如く比例し、この関係は両
者を合成した場合を示す直線Ｃにおいても成立す
る。また、第２図に示す如くそれぞれ直線Ｄ，Ｆ
及びＦで表される歩行、上り坂の歩行及び走行の
速度と消費エネルギー量（cal／min）との関係、
第３図に示す如く直線Ｇで表される腰部における
加速度と体重１Kg当りの消費エネルギー量
（cal／Kg／min）との関係及び第４図に示す如く
直線Ｈで表される平地における腰部の加速度と一
歩当りの消費エネルギー量（cal／Kg／step）と
の関係から、消費エネルギー量は運動の速度に比
例し、さらに一歩当りの消費エネルギー量は性
別、年令、体重及び身長によつても異なつてい
る。

このため、使用者の運動に伴う振動を感知する
振子を有する運動量測定計においては、振子の感
度を使用者の運動状態、性別等種々の測定条件に
応じて調整する必要があり、出願人は先にこれら
種々の測定条件に応じて振子の感度を調整可能と
した運動量測定計の測定条件調整装置を実願昭58
−142900号として出願した。

この測定条件調整装置は両端をフレームに回転
可能に支持された雄ねじを有する調節軸と、該調
節軸の雄ねじに螺合して調節軸の回転により軸方
向に往復移動する可動子と、該可動子に一体的に
設けられる前記振子の下限ストツパと、一端を前
記可動子に係合して可動子の調節軸上の往復移動
に連れて回動するフレームに設けたアジヤストレ
バーと、一端を前記振子に、他端を該アジヤスト
レバーの他端に係止してループ状に配設されるス
プリングとを備えたことを特徴とし、運動時の速
度に対し加速度及び消費エネルギーが比例するこ
とから、この関係及び歩幅が速度に比例するとの
仮定の下に、使用者あるいは歩行、走行等運動種
目に係る測定条件に応じ予め運動量の大きさを下
限ストツパで条件設定し、スプリングの撓み量と
バネ荷重の関係を示すバネ特性が第５図の直線Ｉ
に示す如く、正比例の関係にあるスプリングにア
ジヤストレバーを介して条件設定に対応した撓み
量を負荷し、種々の運動状態等に応じて振子の振
幅量とスプリングのバネ荷重とのバランスをとる
ようにしたものである。

しかし、使用者の運動時の速度と歩幅との関係
は実測によれば第６図の曲線Ｊで示すように略放
物線となるため、歩幅と速度を比例関係にあると
仮定すると、歩幅に対して速度を過大に見積るこ
ととなつてエネルギー換算値が実際よりも大きく
なり、また走行時等大きな加速度を受け、この衝
撃によつて振子が下限ストツパに衝接した際に雑
振動が発生し、この雑振動がノイズとして表示装
置に伝達されて運動量が正確に表示されなかつ
た。

〔考案の目的〕

本考案は以上の点を背景にしてなされたもの
で、その目的とするところは、歩幅に応じて速度
を調整して使用者あるいは運動種目に係る測定条
件に対応して広汎な使用が可能で、しかも振子に
発生する雑振動を防止して測定精度を一層向上さ
せる運動量測定計の測定条件調整装置を提供する
にある。

〔考案の構成〕

本考案は上記目的を達成するため振動を感知す
る振子を有する感知装置と、該振子の振動を表示
装置に伝達する伝達装置と、該振子の振動を運動
量として表示する表示装置とを備えた運動量測定
計において、両端をフレームに回転可能に支持さ
れた雄ねじを有する調節軸と、該調節軸の雄ねじ
に螺合して調節軸の回転により軸方向に往復移動
する可動子と、該可動子に一体的に設けられる前
記振子の下限ストツパと、フレームに回転可能に
設けて振子に作用する加速度が所定値を越えた際
に振子の振動を一端で緩衝する緩衝レバーと、一
端を前記振子に、他端を該緩衝レバーの他端に係
止してループ状に配設されるスプリングとを備え
たことを特徴とする。

〔実施例〕

以下、本考案を距離計に適用した一実施例を第
７図乃至第１２図に基づいて説明する。

第７図は距離計の正面側の斜視図、第８図は同
じく背面側の斜視図、第９図乃至第１２図は内部
機構を示すもので、第９図は緩衝レバーが作動し
ない場合の正面図、第１０図は同じく作動する場
合の正面図、第１１図は同じく左側面図、第１２
図は同じく右側面図である。

この距離計は、ケーシング１内に使用者の歩
行、走行等の運動によつて生じる振動を感知する
感知装置２と、この振動を表示装置４へ伝える伝
達装置３と、距離を表示する表示装置４と、感知
装置２の測定条件調整装置５とを備えている。

感知装置２は、フレーム１１の基盤１２と前板
１３との間に横架した支軸１４に基端を回動可能
に設けたアーム２０と、該アーム２０の先端に固
設した垂錘２１とからなる振子２２にて構成され
ており、また垂錘２１には、ゴム等の緩衝材２３
が周設される。

伝達装置３は、振子２２のアーム２０に固設さ
れた送り爪３０、支軸１４に回動可能に支持され
て該送り爪３０にて回動するラチエツトギア３
１、該ラチエツトギア３１に一体に設けられたウ
オームギア３２、該ウオームギア３２と噛合する
表示装置４の伝達軸４１に設けられたウオーム３
３及びフレーム１１に設けられたラチエツトギア
３１の逆転防止爪３４から構成されている。

表示装置４は前記ウオーム３３にて伝達された
回転量を伝達軸４１を介してデジタル表示するデ
ジタルカウンタ４２からなるもので、運動距離を
表示する。

測定条件調整装置５は、両端をフレーム１１の
基盤１２に回転可能に設けられた雄ねじを有する
調節軸５０、該調節軸５０の下端に固設され、ケ
ーシング１外より調節軸５０を回転させる摘み５
１、該調節軸５０の雄ねじに螺合して該軸５０の
回転により軸方向に往復移動する可動子５２、該
可動子５２に一体的に設けられる振子２２の下限
ストツパ５３、フレーム１１の前板１３にピン５
４を介して回動可能に軸支された緩衝レバー５
５、一端を振子２２のアーム２０に、他端を該レ
バー５５の一端に係止してループ状に配設された
スプリング５６、フレーム１１の上部に位置する
振子２２の上限ストツパ５７、前記下限ストツパ
５３の先端に設けられた感度表示指標５８とから
構成され、前記緩衝レバー５５は、第１図に基づ
いて歩行と走行との加速度の境を1.5Gとし、こ
れに対応する下限ストツパ５３の所定位置以上に
該ストツパ５３と上限ストツパ５７との間隔を設
定し、加速度が1.5Gを越えた場合に、前記アー
ム２０が緩衝レバー５５他端の上部に当たるよう
になしたもので、これにより緩衝レバー５５が回
動しスプリング５６を介して前記振子２２の揺動
を緩衝する。尚、該緩衝レバー５５は支点から両
端までの距離を適宜設定して、拡大機構とするこ
とによりスプリング５６に種々のバネ荷重を選定
することができる。

またケーシング１の上面には、前記表示装置４
の表示部に対応して窓１５と、リセツトボタン１
６が、一側面に前記指標５８の表示窓１７及び歩
幅目盛１８が、夫々備えられ、下面には前記摘み
５１が配設され、また前面には前記歩幅と速度の
関係を示す第６図の曲線Ｊを考慮し、使用者が選
定すべき感度調整の指針となる条件表１９が前記
歩幅目盛１８に対応して設けられている。またケ
ーシング１の背面には使用者のバンド等に差込ま
れる装着具６が取付けられている。

次にこのように構成された距離計を使用するに
は、先ず測定条件、例えば運動種目に応じて、使
用者がケーシング１の前面に表示された表１９よ
り測定条件を選択し、摘み５１を介して調節軸５
０を回転し、指標５８を選択した歩幅目盛１８に
合致させる。

これによつて可動子５２が調節軸５０上を上下
何れかに移動し、上限ストツパ５７と下限ストツ
パ５３の間隔を調整する。この下限ストツパ５３
の位置とスプリング５６の撓み量との関係は、加
速度が1.5Gより小さく下限ストツパが所定位置
より上方に位置している時はスプリング５６の撓
み量とバネ荷重が比例し、下限ストツパ５３が所
定位置より下方に位置し加速度が1.5Gより大き
くなると、緩衝レバー５５の上端にアーム２０が
当たつてスプリング５６の撓み量が増し、バネ荷
重が大きくなつて振子２２の揺動が緩衝され、こ
れにより振子２２の雑振動がなくなり表示装置４
へ伝達されるノイズが防止されて振子２２の感度
調整が高い精度で行われるとともに歩幅に応じて
歩行、走行の自動切換がなされる。また、振子２
２が緩衝レバー５５や、上下限ストツパ５７，５
３に衝接しても、垂錘２１の緩衝材２３によつ
て、衝撃力が緩衝されてノイズの発生が一層防止
されると共に衝突音を低減することができる。な
お、スプリング５６のバネ特性は第５図に示す曲
線Ｋとなる。

このようにして感度調整された距離計を、使用
者の腰部の比較的振動が安定している所に取付け
て使用すると、使用者の歩行、走行等の運動によ
り生じる振動は振子２２の垂錘２１と互いにバラ
ンスのとれたスプリング５６により感知され、振
子２２は支軸１４を中心に上・下限ストツパ５
７，５３間を往復運動する。この往復運動は振子
２２に固設された送り爪３０によりラチエツトギ
ア３１に伝達され、ラチエツトギア３１が回転す
る。ラチエツトギア３１の回転により、これと同
軸で一体回転するウオームギア３２及びこれと噛
合するウオーム３３から成る減速機構にて換算さ
れて表示装置４に伝達され、運動距離に比例した
値がデジタルカウンタ４２に表示される。このデ
ジタルカウンタ４２の表示値を基に換算して運動
距離が得られる。

尚、この距離計のデジタルカウンタ４２に表示
される値は前述の測定条件が同一であれば歩数に
も比例するため、所定の換算を行うことにより歩
数計としたり、あるいは使用者の性別、年齢、身
長、体重、運動種目等に応じてケーシング前面に
表示された他の表１９により測定条件を選択し、
これに応じた目盛１８に合致させることにより運
動に伴う消費エネルギーに比例した値をデジタル
カウンタ４２に表示するエネルギー計とすること
ができる。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように、使用者の歩行、走行等
の運動量を感知する振子の揺動を、下限ストツパ
が所定位置以上で加速度が所定値を越えた際に緩
衝レバーにより緩衝するようにし、運動速度に伴
う歩幅の関係を修正すると共に歩幅に応じて歩
行、走行の自動切換がなされるようにしたから、
一本のスプリングを用いて運動量に応じた所定の
振幅量とバネ荷重とのバランスが簡単かつ正確に
とれ、大きな加速度を受けた際の衝撃によつて発
生する振子の雑振動による表示装置へのノイズを
防止することができ、使用者の運動状態、性別等
の広汎な測定条件に応じた種々の調整をすること
ができ、測定精度を一層向上することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は使用者の歩行及び走行における速度と
腰部に作用する加速度との比例線図、第２図は歩
行及び走行の速度と消費エネルギー量との関係を
示した図、第３図は腰部の加速度と体重１Kg当り
の消費エネルギー量との関係を示した図、第４図
は平地における腰部の加速度と一歩当りの消費エ
ネルギー量との関係を示した図、第５図はスプリ
ングの撓み量とバネ荷重の関係を示すバネ特性
図、第６図は運動時の速度と歩幅の関係を示した
図、第７図乃至第１２図は本考案の一実施例を示
すもので、第７図は距離計の正面斜視図、第８図
は同じく背面斜視図、第９図乃至第１２図は内部
機構を示し、第９図は緩衝レバーが作動しない場
合の正面図、第１０図は同じく作動する場合の正
面図、第１１図は距離計の左側面図、第１２図は
同じく右側面図である。 １はケーシング、２は感知装置、３は伝達装
置、４は表示装置、５は感度調整装置、１１はフ
レーム、２２は振子、３０は送り爪、３１はラチ
エツトギア、５０は調節軸、５１は摘み、５２は
可動子、５３は下限ストツパ、５５は緩衝レバ
ー、５６はスプリング、５７は上限ストツパ、５
８は指標である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 振動を感知する振子を有する感知装置と、該振
   子の振動を表示装置に伝達する伝達装置と、該振
   子の振動を運動量として表示する表示装置とを備
   えた運動量測定計において、両端をフレームに回
   転可能に支持された雄ねじを有する調節軸と、該
   調節軸の雄ねじに螺合して調節軸の回転により軸
   方向に往復移動する可動子と、該可動子に一体的
   に設けられる前記振子の下限ストツパと、フレー
   ムに回動可能に設けて振子に作用する加速度が所
   定値を越えた際に振子の揺動を一端で緩衝する緩
   衝レバーと、一端を前記振子に、他端を該緩衝レ
   バーの他端に係止してループ状に配設されるスプ
   リングとを備えたことを特徴とする運動量測定計
   の測定条件調整装置。