JPH0253647B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は自動車等のクラツチ装置におけるクラ
ツチ板に関する。

従来の技術 第１図はクラツチ装置における一般的なクラツ
チ板の構造を示す断面図で、これについて説明す
ると、１はクラツチハブで、このクラツチハブ１
はボス部２とプレート部３を有し、ボス部２には
出力軸（図示せず）に連結するためのスプライン
４を形成してある。５，５′はクラツチハブ１の
プレート部３に対峙して配置したドライブプレー
トである。これらのドライブプレート５，５′と
プレート部３との間に、適度な摩擦抵抗を得る摩
擦減衰手段としてのフリクシヨンワツシヤ６，
６′と、さらにこのうちの一方のドライブプレー
ト５とフリクシヨンワツシヤ６との間にフリクシ
ヨンプレート７およびそのフリクシヨンプレート
を介してフリクシヨンワツシヤ６，６′をプレー
ト部３に押圧する皿ばね８を配置し、ドライブプ
レート５，５′を複数箇所でリベツト９締めして、
これらを一体に挟着してある。１０，１０′は一
方のドライブプレート５′に一体的に取り付けた
主摩擦板、１１はクラツチハブ１の軸心から半径
方向に距離をおいてプレート部３およびドライブ
プレート５，５′の円周上に形成した窓１２，１
３，１３′ないに装着した圧縮ばねで、これらが
複数箇所に配設されている。

かかる構成で、主摩擦板１０，１０′が図示し
ないエンジン側フライホイールとプレツシヤプレ
ートの間に挾圧されると、エンジンの駆動トルク
が圧縮ばね１１を介してクラツチハブ１に伝達さ
れ、スプライン４を介して図外の出力軸に出力さ
れる。このとき、圧縮ばね１１がエンジンからの
伝達トルクの吸振作用をし、フリクシヨンワツシ
ヤ６，６′がその表面の摩擦作用に依り、クラツ
チハブ１に対するドライブプレート５，５′の回
転方向の振動運動を減衰させることは周知のとお
りである。

発明が解決しようとする課題 しかるに、かかる従来のクラツチ板にあつては
圧縮ばね１１に依る捩り特性が一次直線的な剛性
をもつ様に設計されていたので、クラツチ接続当
初にあつてトルクが伝達されたとき、自動車のス
ムースな発進が得られない場合があつた。そこで
これを改善するために、伝達されるトルクの増大
とともに、捩り特性を二次曲線的に変化する特性
が要求され、大きなトルクに対しては捩り角度が
変位が小さく十分なトルク伝達がなされ、小さな
トルクに対しては変位が大きくなつて伝達系の振
動や騒音を十分に吸収できる様にすることが望ま
れる。

これに対し、上記クラツチハブ１のプレート部
３とドライブプレート５，５′のうちの一方に形
成した窓が他方の窓よりも回動方向にその幅が一
方が他方より大きく、かつ前記幅の差の異なる複
数対の窓を設け、これらに圧縮ばねを収容し、ト
ルクの増大に従つて前記幅の差の小さい窓に収容
された圧縮ばねから順次作動させることに依つ
て、段階的に捩り特性を変えることが試みられて
いる。この場合に於いて、それぞれ同じ弾発力を
有する圧縮ばねが円周上等間隔に配する様に各窓
が設けられる場合には、それぞれの圧縮ばねに生
じる弾力はベクトル的に釣り合うが、そうでない
場合には、ある方向の分力、すなわちトルクのア
ンバランスを生じ、これが偏倚力としてドライブ
プレートおよびクラツチハブに作用し、その間の
係合部分の摩耗を生ぜしめるという不具合があつ
た。

課題を解決するための手段 本発明はかかる従来の不具合に鑑みてなされた
もので、基部が前記クラツチハブのボス部に回転
可能に嵌合され最初に圧縮される圧縮ばねの一つ
に遊びなく係合するフオーク部を備えたフオーク
部材を備え、このフオーク部材には、前記ドライ
ブプレートに設けた切欠部に所定の遊び角をもつ
て係合する爪部を設けると共に、前記ドライブプ
レートと前記クラツチハブとの中心軸方向間〓に
配置され、かつ一端が前記ドライブプレートに連
繋したばね部材の他端を前記最初に圧縮される圧
縮ばねの初応力よりも低い初応力をもつて係合さ
せて、前記ドライブプレートと前記クラツチハブ
との相対回動の第１段階においては前記ドライブ
プレートと前記フオーク部材とが前記ばね部材の
ばね力に抗して相対回動し、これら両者が前記遊
び角だけ相対回動した後はフオーク部材がドライ
ブプレートと一体的に回動可能となす一方、前記
圧縮ばねのうち、捩り特性の同一の段階で圧縮さ
れる圧縮ばねは円周方向に等間隔に配置してトル
クのアンバランスを生じないようにしたクラツチ
装置におけるクラツチ板を提供することを目的と
する。

実施例 以下に、本発明の実施例を図面と共に詳述す
る。なお、従来と同一構成部分には同一符号を付
し、重複する説明を省略する。

第２図および第３図において、１４，１４′は
フオーク部材で、一方のフオーク部材１４は摩擦
減衰手段としてのフリクシヨンワツシヤ６と皿ば
ね８との間に、他方のフオーク部材１４′は同じ
くフリクシヨンワツシヤ６′，６″間にそれぞれ配
設されている。フオーク部材１４′の一側に接す
るフリクシヨンワツシヤ６″は、他のフリクシヨ
ンワツシヤ６，６′よりも摩擦係数の小さいもの
が選択されている。これらのフオーク部材１４，
１４′は基部がクラツチハブのボス部２に回転可
能に嵌合されその外径方向側に２本のフオーク部
１５，１５′が突設されている。また、そのフオ
ーク部材１４，１４′の内径側の３箇所に係止爪
すなわち爪部１６が突設されている。１７はドラ
イブプレート５，５′の内周面に等間隔に形成さ
れた３つの切欠部で、この対応する切欠部１７に
上記爪部１６がそれぞれ所定の遊び角をもつて係
合される様になつている。なお、上記フオーク部
１５，１５′はその各間隔（内幅）をクラツチハ
ブ１のプレート部３に等間隔に設けた３つの窓１
８の円周方向幅と同一幅に形成し、その窓１８内
に最初に圧縮される圧縮ばね２４に遊びがなく係
合している。１９，１９′は一端がドライブプレ
ート５，５′に係止され他端がフオーク部材１４，
１４′に形成した切欠２０，２０′に係止した、第
４図ａ，ｂに示す如き切欠リング状のばね部材で
ある。２１は上記窓１８に対向し、かつこの窓１
８の円周方向幅より大きいドライブプレート５，
５′上の窓である。２２，２３は上記各窓１８，
２１間のプレート部３およびドライブプレート
５，５′に等間隔に設けられた窓で、窓２２は回
転方向に多段階の弾性特性を得るため、窓２３の
円周方向幅より十分に狭い。２４，２５は圧縮ば
ねで、このうち、圧縮ばね２５は圧縮ばね２４の
ばね定数よりも大きくかつ高い初応力を与えられ
て、それぞれ対応する上記窓１８，２２内に収容
されている。

次に、上記構成の動作について説明する。

先ず、エンジンのトルクがクラツチ板に伝えら
れると、主摩擦板１０，１０′が取り付けられた
一方のドライブプレート５′は他方のドライブプ
レート５と共に圧縮ばね２４，２５を順次圧縮し
て回動しようとして、クラツチハブ１に上記トル
クを伝達する。

この際、ドライブプレート５，５′を回動させ
るとばね部材１９，１９′は最初に圧縮される圧
縮ばね２４の初対応よりも低い初応力をもつてフ
オーク部材とドライブプレートに係合されている
ので、ドライブプレート５，５′はばね部材１９，
１９′の反力に抗して、フリクシヨンワツシヤ
６″に依る摩擦抵抗を受けながら、上記切欠部１
７がフオーク部材１４，１４′の係止爪１６に係
合するまで回動するので、回動の第１段階におい
ては、係止爪１６が切欠部１７に係合するまでは
ばね作用をする部材としては確実にばね部材１
９，１９′のみを作用させることになり、ドライ
ブプレートからフオーク部材への小さなトルクに
対しての吸振作用をする。この回動角はクラツチ
ハブ１の窓１８とドライブプレート５，５′の窓
２１との円周方向幅の差に依つて生ずる回動角と
合致しており、このときドライブプレート５，
５′の窓２１が圧縮ばね２４の端面に当接する。

しかる後、ドライブプレート５，５′をさらに
回動させると、ドライブプレート５，５′はフオ
ーク部材１４，１４′を伴つてこれらと一体とな
つて回動することになり、ドライブプレート５，
５′はフリクシヨンワツシヤ６″よりも摩擦係数の
大きいフリクシヨンワツシヤ６，６′に依る摩擦
抵抗を受けつつ、圧縮ばね２４を圧縮すること
で、第２段階の吸振減衰作用を生ずる。続いて、
窓２３が圧縮ばね２５を圧縮して、圧縮ばね２５
の作用が加わり、第３段階が作用することとな
る。かくして、小さなトルクに対してはばね力の
小さい切欠きリング状のばね部材１９，１９′及
びフリクシヨンワツシヤ６″が作用して、捩り角
度の変位を大きくして伝動系の振動、騒音を吸収
できる。また、大きなトルクが入力された場合に
おいては、上記圧縮ばね２４，２５及びフリクシ
ヨンワツシヤ６，６′の作用により、捩り角度を
小さくして十分なトルク伝達がなされる。このと
き、第２段階及び第２段階で作用する圧縮ばね２
４，２５は、上記クラツチハブ１に設けた窓１
８，２２及びドライブプレート５，５に設けた窓
２１，２３内に、それぞれ等間隔、すなわち等角
度位置に配設されているので、作動時に既述のよ
うなトルクのアンバランスが生ずることがなく、
よつて、ドライブプレート５，５′やクラツチハ
ブ１の偏摩耗を防止できる。また、フオーク部１
５，１５′は、最初に圧縮される圧縮ばね２４に
遊びなく係合しているので、捩りトルクを除いた
場合に、フオーク部材１４，１４′を確実に初期
の位置に復帰させることができ、上記の吸湿減衰
作用は、順方向あるいは逆方向の振動に対して同
様な作用をすることとなる。

第５図は本発明の別の実施例を示す断面図であ
る。これが第３図と異なるところは、ばね部材と
して弾性ゴム部材２６，２６′を配し、さらに、
第３図に示すフリクシヨンワツシヤ６″及び皿ば
ね８を廃止した点である。上記弾性ゴム部材２
６，２６′はドライブプレート５，５′とフオーク
部材１４，１４′との間に所望の圧縮率をもつて、
接着剤で接着されるかあるいは加硫接着されてい
る。この様に構成することによつて、弾性ゴム部
材２６，２６′の弾発力がフリクシヨンワツシヤ
６，６′をプレート部３に押圧することとなり、
また、弾性ゴム部材２６，２６′自身の減衰能と
ヒステリシスを利用でき、同様の効果を得ること
ができる。なお、この場合において、一方のフオ
ーク部材１４′と弾性ゴム部材２６′は必ずしも必
要としない。

発明の効果 以上の如く、本発明によれば、ドライブプレー
ト及びクラツチハブが、それらに形成した複数の
窓内に収容された圧縮ばねによつて弾性的に相対
回動可能に結合され、前記窓は、ドライブプレー
ト及びクラツチハブのうちの一方に形成した窓が
他方の窓よりも回動方向にその幅が一方が他方よ
り大きく、かつ前記幅の差の異なる複数対の窓よ
りなり、回動につれて前記幅の差の小さい窓に収
容された圧縮ばねから順次圧縮されて多段階の捩
り特性を有するクラツチ板において、基部が前記
クラツチハブのボス部に回転可能に嵌合され最初
に圧縮される圧縮ばねの一つに遊びなく係合する
フオーク部を備えたフオーク部材を設け、このフ
オーク部材には、前記ドライブプレートに設けた
切欠部に所定の遊び角をもつて係合する爪部を設
けると共に、前記ドライブプレートと前記クラツ
チハブとの中心軸方向間〓に配置され、かつ一端
が前記ドライブプレートに連繋したばね部材の他
端を前記最初に圧縮される圧縮ばねの初応力より
も低い初応力をもつて係合させて、前記ドライブ
プレートと前記クラツチハブとの相対回動の第１
段階においては前記ドライブプレートと前記フオ
ーク部材とが前記ばね部材のばね力に抗して相対
回動し、これら両者が前記遊び角だけ相対回動し
た後はフオーク部材がドライブプレートと一体的
に回動可能となす一方、前記圧縮ばねのうち、捩
り特性の同一段階で圧縮される圧縮ばねは円周方
向に等間隔に配置した構成であるので、次に列記
する効果を有する。

(a) 最初に圧縮される圧縮ばねの１つに遊びなく
係合するフオーク部を備えたフオーク部材を設
け、このフオーク部材に、ドライブプレートに
設けた切欠部に所定の遊び角をもつて係合する
爪部を設けると共に、ドライブプレートとクラ
ツチハブの中心軸方向間〓に、一端がドライブ
プレートに連繋したばね部材の他端を前記最初
に圧縮される圧縮ばねの初応力よりも低い初応
力をもつて係合させてあるので、回動の第１段
階においては、前記爪部が前記切欠部に係合す
るまでばばね作用をする部材としては確実に前
記ばね部材のみを作用させることになり、ドラ
イブプレートからフオーク部材への小さなトル
クに対しての吸振作用をさせることができる。

(b) フオーク部材が回動の第１段階でばね部材を
作用させた後は、フオーク部材はドライブプレ
ートと一体的になつて、クラツチハブ及びドラ
イブプレートの窓内に配設した圧縮ばねを作用
させることになるが、同一の段階で作用する圧
縮ばねはドライブプレート及びクラツチハブの
円周方向に等間隔に配置されている。即ち実施
例に示す如く、第２段階及び第３段階で作用す
る圧縮ばね２４，２５はドライブプレート５，
５′に設けた窓２１，２３内にそれぞれ等間隔
（等角度位置）にそれぞれ３個づつ配置されて
いるので、トルクアンバランスを生じることな
く、エンジンの駆動トルクを円滑に伝達でき、
動力系全体の振動や騒音を有効に吸収して、ク
ラツチの断続操作を円滑に行うことができる。

(c) ばね部材は、ドライブプレートとクラツチハ
ブとの中心軸方向間〓に配置されているので、
第２段階以降に作用させる圧縮ばねをドライブ
プレート及びクラツチハブの円周方向配置の設
計に便利である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のクラツチ板の断面図、第２図は
本発明の実施例を示す正面図、第３図は同じく断
面図、第４図は切欠きリング状ばね部材の説明
図、第５図は本発明の別の実施例を示す断面図で
ある。 １……クラツチハブ、３……プレート部、５，
５′……ドライブプレート、６，６′，６″……摩
擦減衰手段としてのフリクシヨンワツシヤ、１
０，１０′……主摩擦板、１４，１４′……フオー
ク部材、１５……フオーク部、１６……爪部、１
７……切欠部、１９，１９′，２６，２６′……ば
ね部材、２４，２５……圧縮ばね。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ドライブプレート及びクラツチハブが、それ
   らに形成した複数の窓内に収容された圧縮ばねに
   よつて弾性的に相対回動可能に結合され、前記窓
   は、ドライブプレート及びクラツチハブのうちの
   一方に形成した窓が他方の窓よりも回動方向にそ
   の幅が一方が他方より大きく、かつ前記幅の差の
   異なる複数対の窓よりなり、回動につれて前記幅
   の差の小さい窓に収容された圧縮ばねから順次圧
   縮されて多段階の捩り特性を有するクラツチ板に
   おいて、基部が前記クラツチハブのボス部に回転
   可能に嵌合され最初に圧縮される圧縮ばねの一つ
   に遊びなく係合するフオーク部を備えたフオーク
   部材を設け、このフオーク部材には、前記ドライ
   ブプレートに設けた切欠部に所定の遊び角をもつ
   て係合する爪部を設けると共に、前記ドライブプ
   レートと前記クラツチハブとの中心軸方向間〓に
   配置され、かつ一端が前記ドライブプレートに連
   繋したばね部材の他端を前記最初に圧縮される圧
   縮ばねの初応力よりも低い初応力をもつて係合さ
   せて、前記ドライブプレートと前記クラツチハブ
   との相対回動の第１段階においては前記ドライブ
   プレートと前記フオーク部材とが前記ばね部材の
   ばね力に抗して相対回動し、これら両者が前記遊
   び角だけ相対回動した後はフオーク部材がドライ
   ブプレートと一体的に回動可能となす一方、前記
   圧縮ばねのうち、捩り特性の同一の段階で圧縮さ
   れる圧縮ばねは円周方向に等間隔に配置してなる
   ことを特徴とする、クラツチ装置におけるクラツ
   チ板。 ２ ばね部材は、クラツチハブのボス部外周に巻
   回された切欠リング状ばねにて形成されてなる特
   許請求の範囲第１項記載の、クラツチ装置におけ
   るクラツチ板。 ３ ばね部材は、ドライブプレートとフオーク部
   材とに接着された弾性ゴム部材にて形成されてな
   る特許請求の範囲第１項記載の、クラツチ装置に
   おけるクラツチ板。