JPH0251071B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はコンデンサ放電式の内燃機関用点火装
置に関するものである。

従来技術 従来のこの種の点火装置として第１図に示すも
のが知られている。同図において１は１次コイル
１ａと２次コイル１ｂとを有する点火コイル、２
は図示しない内燃機関の気筒に取付けられて点火
コイルの２次コイル１ｂに接続された点火プラグ
であり、１次コイル１ａおよび２次コイル１ｂの
一端は接地されている。１次コイル１ａの非接地
側の端子には点火エネルギー蓄積用コンデンサ３
の一端が接続され、該コンデンサの他端と接地間
に放電制御用のサイリスタ４がそのカソードを接
地側に向けて並列接続されている。５は機関によ
り駆動される磁石発電機内に配置された発電コイ
ルで、その中間タツプが中性点Ｎとして接地され
ている。発電コイル５の非接地側の一端および他
端にはそれぞれダイオード６１および６２のアノ
ードが接続され、両ダイオードのカソードはコン
デンサ３とサイリスタ４のアノードとの接続点に
共通接続されている。サイリスタ４のゲートには
信号供給回路７から点火タイミング信号igが供給
されている。

この点火装置においては機関の回転に同期して
発電コイル５に交流電圧が誘起し、この電圧がダ
イオード６１および６２からなる全波整流回路に
より整流されてコンデンサ３に印加される。従つ
てコンデンサ３は図示の極性に充電される。機関
の点火時期に信号供給回路７からサイリスタ４に
点火タイミング信号が供給されるとサイリスタ４
が導通し、コンデンサ３の電荷を点火コイルの１
次コイル１ａを通して放電させる。これにより点
火コイルの鉄心中で大きな磁束変化が生じ、その
２次コイル１ｂに高電圧が発生する。従つて点火
プラグに火花が生じ、機関が点火される。

上記のように発電コイル５の全波整流出力によ
り点火エネルギー蓄積用コンデンサを充電するよ
うにすれば半波整流出力により該コンデンサを充
電する場合に比べてコンデンサに多くのエネルギ
ーを蓄積することができるため点火性能を高める
ことができる。しかしながらこの点火装置では放
電制御用サイリスタ４が導通すると同時に発電コ
イル５の中性点Ｎの両側のコイルのうちの一方の
コイル、例えばコイル５１の短絡電流がサイリス
タ４を通して流れ、この短絡電流が流れ終わると
同時にサイリスタ４に他方のコイル５２の電圧が
印加されるため、サイリスタ４が再び導通するこ
とがしばしばあり、サイリスタ４の転流に失敗し
易い欠点があつた。

発明の目的 本発明の目的は、交流発電コイルの全波整流出
力により点火エネルギー蓄積用コンデンサを充電
してしかも放電制御用サイリスタの転流を確実に
行わせることができるようにしたコンデンサ放電
式内燃機関用点火装置を提供することにある。

発明の構成 本発明は、内燃機関により駆動される交流発電
機内に配置された発電コイルと、前記発電コイル
の出力を全波整流する整流回路と、点火コイル
と、前記点火コイルの１次側に配置されて前記整
流回路の出力により一方の極性に充電される点火
エネルギー蓄積用コンデンサと、導通した際に前
記コンデンサの電荷を前記点火コイルの１次コイ
ルを通して放電させるように設けられカソードが
接地された放電制御用サイリスタと、前記内燃機
関の点火時期に前記放電制御用サイリスタのゲー
トに点火タイミング信号を供給する信号供給回路
とを備えたコンデンサ放電式内燃機関用点火装置
であつて、本発明においては前記発電コイルの各
端子の内前記点火時期に前記発電コイルから前記
コンデンサ側に流出する電流を流す端子と接地間
にカソードを接地側に向けた発電コイル短絡用サ
イリスタが並列接続され、前記発電コイル短絡用
サイリスタに前記点火タイミング信号と同位相の
信号を供給する回路が設けられている。そして前
記発電コイル短絡用サイリスタの導通時に前記発
電コイル側から該発電コイル短絡用サイリスタを
通して流れる短絡電流の持続時間が前記点火タイ
ミング信号の持続時間及び前記コンデンサの放電
電流の持続時間よりも長くなるように前記点火時
期と前記発電コイルの出力電圧の位相との関係が
設定されている。

実施例 以下添附図面を参照して本発明の実施例を説明
する。

第２図は本発明の実施例を示したもので、同図
において第１図の各部と同等な部分には同一の符
号を付してある。第２図の実施例において第１図
の回路と相違するのは、発電コイル５の非接地側
の端子５ａ，５ｂのうち、機関の点火時期にコン
デンサ３側に流出する電流を流す端子５ｂと接地
間にカソードを接地側に向けた発電コイル短絡用
サイリスタ９が並列接続されている点である。サ
イリスタ９のゲートは信号供給回路７の出力端子
に接続され、該サイリスタのゲートに点火タイミ
ング信号igと同位相の点弧信号igsが与えられる
ようになつている。

上記の実施例において、機関が回転すると発電
コイル５に第３図ａに示したような交流電圧Ve
が誘起する。この電圧の図示の矢印方向の半サイ
クルにおいて発電コイル５の中性点の両側のコイ
ルの内一方のコイル５１からダイオード６１を通
してコンデンサ３が図示の極性に充電され、続い
て電圧Veの図示の矢印と反対の方向の半サイク
ルにおいて他方のコイル５２からダイオード６２
を通してコンデンサ３が再び図示の極性に充電さ
れる。従つてサイリスタ４のアノードカソード間
の電圧（コンデンサ３の両端の電圧）Vcは第３
図ｂのように段階的に上昇する。電圧Veの図示
の矢印と反対の方向の半サイクルの立ち下がり付
近に設定された機関の点火時期tiにおいて信号供
給回路７からサイリスタ４のゲートに例えば第３
図ｃに示す波形の点火タイミング信号igが供給さ
れる。従つてサイリスタ４が導通し、コンデンサ
３からサイリスタ４および点火コイルの１次コイ
ル１ａを通して第３図ｄに示すように放電電流ic
が流れる。これにより点火コイルの２次コイルに
高電圧が誘起し、機関が点火される。本発明にお
いては、サイリスタ４に点火タイミング信号が与
えられると同時にサイリスタ９に点弧信号igs（本
実施例では点火タイミング信号igと同波形）が与
えられるため、該サイリスタ９が導通し、発電コ
イル５２からサイリスタ９を通して第３図ｅに示
すように短絡電流isが流れる。発電コイルのイン
ダクタンスによつて生ずる位相遅れにより、この
短絡電流isは電圧Veが図示の矢印方向に立上が
つた後も一定時間流れ続け、この短絡電流が流れ
ている間は発電コイル５側からサイリスタ４に電
流が供給されることはない。本発明においては、
この短絡電流isの終止時刻tssが点火タイミング
信号電流igの終止時刻tsg及びコンデンサ３の放
電電流icの終止時刻tscよりも位相が遅れるよう
に位相関係を設定しておく。即ち、点火タイミン
グ信号電流igの持続時間をｔ１、放電電流icの持
続時間をｔ２、短絡電流isの持続時間をｔ３とし
た場合、ｔ３をｔ１及びｔ２のいずれよりも長く
設定しておく。このように設定しておくと、放電
電流が零になつた後放電制御用サイリスタ４のア
ノード電流を零にすることができるため、該サイ
リスタを確実にしや断させることができる。

上記の実施例において信号供給回路７は例えば
第４図に示したように、機関により駆動される信
号発電機内に配置されて一端が接地された信号コ
イル１０と該信号コイルの非接地側端子にアノー
ドが共通接続されたダイオード１１および１２と
により構成することができる。この場合ダイオー
ド１１および１２を通してそれぞれ信号igおよび
igsを供給する。また信号コイルの出力をパルス
波形に整形する回路を設けた信号供給回路を用い
ることもできる。更に機関の回転に同期して進角
範囲を定める信号を発生する信号コイルと、該信
号コイルの出力により制御されて一定の回転角度
範囲に亘つてコンデンサの充電を行う積分動作を
繰返す積分回路とを設けて、該積分回路の出力電
圧を所定の参照電圧と比較することにより、進角
特性または遅角特性を持つた点火タイミング信号
を電子的に発生させる電子制御式の信号供給回路
を用いることもできる。

第５図は本発明の他の実施例を示したもので、
この実施例の各部の信号波形を第６図に示してあ
る。本実施例においては、発電コイル短絡用サイ
リスタ９のアノードゲート間にアノードを該ゲー
ト側に向けたツエナーダイオード１３が並列接続
されている。その他の点は第２図の実施例と同様
に構成されている。この実施例においてはコンデ
ンサ３の充電電圧が時刻tcにおいてツエナーダイ
オード１０のツエナー電圧に達すると該ツエナー
ダイオード１３がブレークダウンし、第６図ｆに
示すように時刻tcにおいてサイリスタ９に点弧信
号が与えられて該サイリスタが導通する。従つて
このサイリスタ９の導通によりコンデンサ３の充
電が阻止され、該コンデンサの充電電圧が一定に
保たれる。従つてこの実施例によれば機関の回転
速度が上昇して発電コイルの出力電圧が高くなつ
たときにコンデンサ３の充電電圧が過大になるの
を防ぐことができる。その他の動作は第２図の実
施例と同様である。

上記の実施例では中間タツプを中性点として接
地した発電コイル５を電源とした場合を示した
が、３相以上の多相の発電コイルを点火電源コイ
ルとして用いる場合にも同様に本発明を適用する
ことができる。例えば第７図のように、コイル５
１乃至５３を星形結線してなる３相の発電コイル
５を電荷電源コイルとて用い、各コイル５１乃至
５３の非接地側の端子にそれぞれダイオード６１
乃至６３のアノードを接続してこれらのダイオー
ドのカソードをコンデンサ３とサイリスタ４のア
ノードとの接続点に共通接続するようにしてもよ
い。この場合も、発電コイル短絡用サイリスタ９
は点火位置でコンデンサ３側に流出する電流を流
すコイル５３の非接地端子と接地間に接続すれば
良い。

上記の各実施例では、発電コイル短絡用サイリ
スタ９を１個だけ設けたが、第８図に示したよう
に、発電コイル５の両端と接地間にそれぞれ発電
コイル短絡用サイリスタ９，９′を接続するよう
にしてもよい。この場合信号供給回路７からサイ
リスタ４のゲートに点火タイミング信号igを供給
すると同時に点弧信号igs，igs′をサイリスタ９，
９′のゲートに供給する。

また上記の各実施例では信号供給回路７から直
接発電コイル短絡用サイリスタに点弧信号を供給
する回路を設けたが、第９図に示すように放電制
御用サイリスタ４のカソードと接地間にカソード
を接地側に向けたダイオード１５を接続して、該
ダイオードの両端の電圧降下で発電コイル短絡用
サイリスタ９に点弧信号を与えるようにしてもよ
い。

本発明で用いる全波整流回路は必ずしも上記の
各実施例に示したものでなくてもよく、例えば第
１０図に示したように、ダイオード６１乃至６４
からなるブリツジ型全波整流回路６を用いること
もできる。

発明の効果 以上のように、本発明によれば、発電コイル短
絡用サイリスタを設けて点火タイミング信号と同
時に該サイリスタに点弧信号を与えることにより
放電制御用サイリスタのアノード電流が零になる
期間を作るようにしたので、発電コイルの出力を
整流する回路として全波整流回路を用いてしかも
放電制御用サイリスタの転流を確実に行わせるこ
とができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来例を示した回路図、第２図は本発
明の実施例を示した回路図、第３図は同実施例の
各部の電圧電流波形図、第４図は信号供給回路の
一例を示した接続図、第５図は本発明の他の実施
例を示した回路図、第６図は同実施例の各部の電
圧または電流波形図、第７図乃至第１０図はそれ
ぞれ本発明の更に他の異なる実施例を示した回路
図である。 １……点火コイル、２……点火プラグ、３……
点火エネルギー蓄積用コンデンサ、４……放電制
御用サイリスタ、５……発電コイル、６１〜６４
……全波整流回路を構成するダイオード、７……
信号供給回路、９，９′……発電コイル短絡用サ
イリスタ。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 内燃機関により駆動される交流発電機内に配
   置された発電コイルと、前記発電コイルの出力を
   全波整流する整流回路と、点火コイルと、前記点
   火コイルの１次側に配置されて前記整流回路の出
   力により一方の極性に充電される点火エネルギー
   蓄積用コンデンサと、導通した際に前記コンデン
   サの電荷を前記点火コイルの１次コイルを通して
   放電させるように設けられカソードが接地された
   放電制御用サイリスタと、前記内燃機関の点火時
   期に前記放電制御用サイリスタのゲートに点火タ
   イミング信号を供給する信号供給回路とを備えた
   コンデンサ放電式内燃機関用点火装置において、
   前記発電コイルの各端子の内前記点火時期に前記
   発電コイルから前記コンデンサ側に流出する電流
   を流す端子と接地間にカソードを接地側に向けて
   並列接続された発電コイル短絡用サイリスタと、
   前記発電コイル短絡用サイリスタに前記点火タイ
   ミング信号と同位相の信号を供給する回路とを備
   え、前記発電コイル短絡用サイリスタの導通時に
   前記発電コイル側から該発電コイル短絡用サイリ
   スタを通して流れる短絡電流の持続時間が前記点
   火タイミング信号の持続時間及び前記コンデンサ
   の放電電流の持続時間よりも長くなるように前記
   点火時期と前記発電コイルの出力電圧の位相との
   関係が設定されていることを特徴とするコンデン
   サ放電式内燃機関用点火装置。