JPH0249367B2 - Yojukinzokunokyuyo*toshutsuhanpukunyorukakuhanseirenniokerukyuyoseigyohoho - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は溶融金属浴の吸揚・吐出反覆による
撹拌精錬における吸揚制御方法に関するものであ
る。

精錬容器たとえば取鍋に、溶鉄のような溶融金
属浴を収容し、該浴中にこれに面して開口する筒
形耐火物の一端を浸漬し、この筒形耐火物の内部
に一旦溶鉄を吸揚げ、ついで直ちに浴中に急速吐
出してその噴射の運動エネルギをもつて鉄浴に撹
拌を強制することによる炉外精錬法に関して発明
者らは、夙に開発研究を進めつつありその成果に
見るべきものがある。

ここに有効な撹拌のための運動エネルギを生起
すべく筒形耐火物は、溶鉄の吸揚げのために内部
減圧と、急速吐出のための加圧を、浸漬端の反対
側で反覆操作するわけであるが、このような内部
の減圧・加圧の繰り返しに際し、これによつて昇
降する溶鉄柱の昇降変位にも依存する、圧力変動
に随伴して筒形耐火物の内部に生起される溶鉄飛
沫の胴壁内面への付着堆積による機能障害が不可
避である。

一般に300トン規模の実操業で、筒形耐火物は、
外径ほぼ1000mm、内径ほぼ600mmで、長さはほぼ
3500mmにも及び、その頂部には、加減圧操作用の
配管と、精錬および／または合金剤の投入添加用
シユートなどの装着を必要とするので、上記機能
障害についての対策が、実際上極めて重要であ
る。

発明者らの検討によると、 (1) 加圧から減圧に代わるとき、いち速く排気す
るを要し、遅れると加圧ガスが筒形耐火物の下
端から溶鉄中に吹抜けて地鉄の飛散を招き、危
険である。

(2) 排気の初期には、排気速度を抑えるを要し、
速すぎると湯面の波立ちにて筒形耐火物の内部
でスプラツシユが出易い。

(3) それ故排気の後半で排気速度を大とする制御
を要する。ここにポンプの排気性能にもよるが
一般に低圧力になるほど、排気能力（標準状態
で表わした気体体積の排気流率で評価される）
が下り、これを補償することは困難である。

すなわち実際上、給排気弁の一定開度において
加圧系統を減圧系統に切換えただけでは、それに
よる筒形耐火物内部における圧力変化は吸揚行程
において、その開始の際に最大の内圧変化速度を
呈し、行程終端に向けて該速度が漸減することと
なり、この関係は第１図に実線で示したように、
上記したような望みの特性（破線）は得られ難
い。

ここに吐出行程端における吸揚行程への反転遅
れによる加圧ガスの吹抜けについては、主として
切換え操作のタイミングを適切に選べばよいが、
吸揚行程の開始時における溶鉄柱のスプラツシユ
の発生は、従来回避することが困難で、それとい
うのは、排気切換えに際しては、溶鉄柱の下降運
動の慣性に依存した内圧降下も加わるため、吐出
行程端で筒形耐火物の内部における溶鉄柱の頂面
ははげしい波立ちを生じ易いからである。

スプラツシユはしばしば筒形耐火物の胴壁内面
に付着堆積してその有効内径を減じるので、１ス
トローク当りの溶鉄噴射量の低下をもたらして撹
拌処理能力の減退を余儀なくし、またときに排気
および加圧系統中、流路を閉塞して機能喪失の原
因となる。

そこでこの発明は、かような問題点について、
吸揚行程における筒形耐火物中、内圧の変化速度
を、該行程の開始後、行程終端に向けて漸増させ
る、吸揚げ制御を加えることによる解決を実現し
たものである。

かような吸揚制御は、たとえば排気系統中に、
並列に接続した複数の開閉弁を、行程の進行につ
れて順次に逐次的に開放させること、または、同
じく排気系統中の流量制御弁開度を、行程の進行
につれて漸増させることによつて、さらにはこれ
らの操作につき、筒形耐火物の内圧を逐次的に測
定してその結果から検知され得る該内圧の変化速
度を、予め経験に従つて定めた内圧変化の指標の
設定値と照合してこれに合致させる追従動作とす
ることによつて容易にかつ有利に実施することが
できる。

第２図には排気系統中に並列に接続した複数の
開閉弁＃１，２，３，４，……ｎを、筒形耐火物
１の頂部と、減圧ポンプ２との間に配設した例を
示し、図中３は溶鉄浴、４は吸揚工程中の溶鉄柱
である。

開閉弁＃１，２，３，４，……ｎは、たとえば
応答の早い電磁弁の如きを用い、内圧変化速度の
設定値に従う動作指令５を、筒形耐火物の内圧検
出器６の出力に従つて発するコンピユータ７によ
り動作させるを可とする。

実施例 第２図に示すように並列５台の開閉弁の各作動
開始時刻を排気動作開始から０，１，２，３，５
秒間経過毎に定めた。弁の一部には開閉弁と直列
に絞り弁８を設けてあり、とくに排気開始直後の
排気速度が十分小さくなるように調節した。

この設備を用いて排気した結果を第３図に示し
たように約３秒間強で減圧予定値−600mmHgに達
することができた。なお第３図には、流量制御弁
方法による特性も併記した。

第３図に実線で示した従来の方法の場合には、
吸揚開始初期における過度の排気減圧を抑えるた
めに弁の流路抵抗を大きくする必要があり、この
条件を実現しようとすると減圧予定値−600mmHg
に達するのに8.5秒を要した。したがつて予定さ
れた溶鋼処理時間10分間の加減圧回数は65回にと
どまつたが、この発明の場合には、130回であり
２倍となつた。

以上にのべたようにこの発明によれば、筒形耐
火物の内部における溶鉄柱の吸揚行程開始直後の
短時間は減圧速度が最小となつて、溶鉄柱上面に
おける波立ちが有効に抑制され、この行程の開始
のあと行程端に向けて内圧の変化速度を漸増させ
ることにより、排気所要時間の伸長を伴うことな
しに、必要高さにわたる溶鉄柱の吸揚げを確保で
き、この行程中に筒形耐火物の内部のスプラツシ
ユの発生が有効に防止されるので、有効内径の縮
少による吸揚溶鉄量の減少ないしは減圧および加
圧系統の機能障害のおそれなく、有効かつ適切な
撹拌精錬の実行を可能ならしめ得た。

【図面の簡単な説明】

第１図は吸揚制御の所望特性と在来特性の比較
図表、第２図はこの発明の実施要領を示すスケル
トン図であり、第３図はこの発明による吸揚げ制
御特性線図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 精錬容器内に収容した溶融金属浴中に、これ
   に面して開口する筒形耐火物の下端を浸漬し、こ
   の浸漬端と反対側の筒形耐火物の内部を減圧・加
   圧に交互反転して、該筒形耐火物中に一旦吸揚げ
   た溶融金属を急速吐出する操作の反覆で溶融金属
   浴に撹拌を強いる精錬に際して、 吸揚行程における筒形耐火物中、内圧の変化速
   度を、該行程の開始後、行程終端に向けて漸増さ
   せることからなる、溶融金属の吸揚・吐出反覆に
   よる撹拌精錬における吸揚制御方法。 ２ 筒形耐火物の内部を減圧する排圧系統中に並
   列に接続した複数の開閉弁を順次に逐次開放する
   ことからなる１記載の方法。 ３ 筒形耐火物の内部を減圧する排気系統中の流
   量制御弁開度を漸増することからなる１記載の方
   法。 ４ 弁の開放操作が、筒形耐火物の内圧の測定結
   果に従つて、該内圧の変化速度を、予め設定をし
   た内圧変化指標に合致させる追従動作である２ま
   たは３記載の方法。