JPH0248532Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、便器洗浄水を貯留する主水室と、局
部洗浄水を貯留する清水室とを備えた温水洗浄便
器用の給水タンクに関するものである。

〔従来の技術〕

最近では、便器使用後にあつて、人体の局部を
温水で洗浄するようにした温水洗浄装置付きの便
器が普及している。而して、このような温水洗浄
便器にあつて、温水洗浄装置への給水方式には、
便器洗浄用タンク内に貯留された洗浄水を必要に
応じて温水洗浄装置へ供給する共用タイプのもの
と、別途清水室を備えるタイプのものとがある。
共用タイプのものは、タンク内に手洗い後の汚れ
た水等が流入することがあり、該汚れた水が人体
の局部へ吐出されるので衛生上も好ましいもので
はなかつた。従つて、このようなことを考慮する
と、別途清水室を設けるタイプのものが機能的に
優れていると言える。本考案はこの清水室を別途
設置するタイプに関するものである。

第３図は、従来の別途清水室を設けるタイプの
給水タンク１を示すものである。この給水タンク
１は、内部が隔壁２により主水室３と、清水室４
とに区画されている。そして、主水室３のタンク
底部には、便器側へ洗浄水を供給するためのフロ
ート弁機構５が設置されており、清水室４のタン
ク底部には、洗浄ノズル６へ局部洗浄水を供給す
るための流出口７が形成されている。また給水タ
ンク１の上部には、浮玉８の上下動により開閉制
御されるボールタツプ９が取り付けられている。
前記フロート弁機構５は、弁座１０、フロート弁
１１、オーバーフロー管１２及び連結鎖１３等よ
りなり、操作ハンドルを操作することにより連結
鎖１３を介してフロート弁１１が引き上げられ、
便器側へ洗浄水が供給される。そして、主水室３
内の洗浄水量が少なくなり、浮玉８が下がつてボ
ールタツプ９内のピストン弁が開状態となり、清
水室４へ補給水が供給されるようになつている。
清水室４からのオーバーフロー水は、主水室３へ
流出し、これに貯留されるものである。

一方、洗浄ノズル６による局部洗浄を行つた場
合には、清水室４内の洗浄水がポンプ１４に汲み
上げられて温水タンク１５へ供給され、温水タン
ク１５内で所定温度に暖められていた温水が清水
室４からの流入水量に応じて押し出され、洗浄ノ
ズル６から噴出されて使用者の局部を洗浄するよ
うになつている。

〔考案が解決しようとする問題点〕

ところが、前記従来の給水タンク１にあつて
は、局部洗浄のみの使用を継続すると、清水室４
内の貯留水が無くなり、局部洗浄が出来なくなる
虞れがあつた。そのため、従来にあつては清水室
４の容積を充分に大きくする必要があり、給水タ
ンク１自体が大型化するという欠点があつた。こ
れは、ボールタツプ９のピストン弁を開閉制御す
る浮玉８が、主水室３に位置し該主水室３の水位
が低下しない限り、ボールタツプ９からの補給水
が供給されないからである。

〔考案の目的〕

本考案は従来の前記問題点に鑑みてこれを改良
除去したものであつて、給水タンクのデツドスペ
ースを有効に利用し、しかも清水室の製作が容易
であるこの種給水タンクを提供せんとするもので
ある。

〔問題点を解決するための手段〕

前記問題点を解決するための本考案の手段は、
便器洗浄水を貯留する主水室と、局部洗浄水を貯
留する清水室とが区画して形成された給水タンク
において、低水位レベルより下方の死水域に蛇腹
等の伸縮可能な袋体を設置して該袋体の内部空間
を清水室とし、前記袋体とボールタツプの吐出口
とを蛇腹等の伸縮自在な可撓管で連通接続すると
共に、該可撓管の高水位レベルより上方位置に供
給水の流出口を開口している。

〔作用〕

第１図及び第２図の実施例で明らかなように、
今、局部洗浄を開始したとすると、給水タンク２
１の死水域Ａに設置された袋体１６から清水がポ
ンプ１４を介して温水タンク１５内へ供給され、
この供給量に応じて所定温度に暖められた温水
が、温水タンク１５から洗浄ノズル６へ供給さ
れ、人体の局部洗浄が行われる。このため、袋体
１６は清水が吐出した分だけ、主水室２２の洗浄
水に圧縮される。その結果、主水室２２内の水位
が低下し、浮玉８によりボールタツプ９が開弁状
態となつて補給水が可撓管１８へ供給され、清水
室１７へ清水が補給される。清水室１７への補給
に応じて、主水室２２の水位が上昇し、ボールタ
ツプ９からの補給水の供給が停止する。

便器洗浄のみを行い、主水室２２内の水位のみ
が低下した場合には、浮玉８が低下するので上述
の要領でボールタツプ９から可撓管１８へ補給水
が供給される。ところが、この場合は可撓管１８
が満水状態であるので、補給水は可撓管１８の流
出口２０から主水室２２へ流出し、便器洗浄水の
補給が行われる。

〔実施例〕

以下に本考案の構成を図面に示す実施例に基づ
いて説明すると次の通りである。なお、従来の場
合と同一符号は同一部材である。

第１図及び第２図は本考案の一実施例を示す給
水タンク１の縦断面図であり、第１図は非使用時
の場合、第２図は局部洗浄時の場合である。同図
に示す如く、本考案は給水タンク２１の洗浄水量
が最も少なくなるときの低水位レベルａよりも下
方の死水域Ａに、ポリエチレン等の合成樹脂製又
はゴム等の弾性材料で成形された蛇腹等の伸縮可
能な袋体１６を設置し、該袋体１６の内部を清水
室１７としている。袋体１６のタンク底部への設
置は、ナツト２３等により螺合締結することが可
能である。なお、同図において、ｂは給水タンク
２１が満水状態であるときの洗浄水量を示す高水
位レベルであり、Ｂは有効洗浄水域である。そし
て、前記清水室１７のタンク底部に流出口１９を
形成してポンプ１４と連通接続し、上部側には蛇
腹等の伸縮自在な可撓管１８が連通接続されてい
る。また該可撓管１８の他端側は、ボールタツプ
９の吐出口２４に直接連通接続されている。この
ように可撓管１８をボールタツプ９に直接接続す
ることにより、ボールタツプ９の吐出口２４に取
り付けられたストレーナ２５を共用することがで
き、別途可撓管１８の流出口１９へストレーナを
設置することが不要である。このようなストレー
ナ２５は、洗浄ノズル６が目詰りを起こすのを防
止するために必要となるものである。２０は、可
撓管１８の高水位レベルｂよりも上方位置に形成
された補給水の流出口である。而して、本実施例
では清水室１７及び可撓管１８を除いた給水タン
ク２１内を主水室２２としている。

次に上述の如く形成された実施例給水タンク２
１の動作態様を説明する。

今、温水洗浄装置を動作させて局部洗浄を行つ
たものと仮定すると、ポンプ１４が動作して清水
室１７内の清水を汲み上げ、これを温水タンク１
５へ供給する。温水タンク１５では、この供給さ
れた清水の流入量に応じて所定温度に暖められた
温水が、洗浄ノズル６側へ押し出される。そし
て、温水は洗浄ノズル６の噴出孔から噴出され、
人体の局部洗浄を行う。このようにして、清水室
１７から清水が汲み上げられると、袋体１６は第
２図に示す如く、主水室２２の洗浄水の重さに圧
縮されて縮小する。この場合において、袋体１６
と、該袋体１６を吊下げ支持する可撓管１８とは
共に伸縮自在な蛇腹状に形成されており、両部材
の伸縮動作が相乗的に作用して袋体１６の縮小変
形が非常に容易である。その結果、袋体１６の体
積が縮小した分だけ主水室２２の水位が低下し、
浮玉８の位置が低くなつて、ボールタツプ９が開
弁動作する。そして、ボールタツプ９の吐出口２
４から補給水が可撓管１８へ供給され、該補給水
は袋体１６内へ流入する。

このような状態から局部洗浄が終了すると、ポ
ンプ１４による清水室１７からの清水の汲み上げ
が停止する。このため、ボールタツプ９の吐出口
２４から可撓管１８内へ供給された補給水は袋体
１６内の清水室１７内へ流入し、該袋体１６を第
１図に示す状態へ復帰させる。この袋体１６の復
帰に応じて主水室２２内の洗浄水の水位が徐々に
上昇し、ボールタツプ９のピストン弁の開度は次
第に小さくなる。そして、袋体１６内へ清水が所
定量補給され、第１図に示す状態へ完全に復帰す
ると、主水室２２の水位は高水位レベルｂとな
り、ボールタツプ９は止水状態となる。すなわ
ち、ボールタツプ９から可撓管１８への洗浄水の
補給が行なわれなくなる。

一方、フロート弁１１を引き上げ操作して便器
洗浄のみを行つたと仮定する。この場合は、主水
室２２内の洗浄水が便器側へ流出し、水位は次第
に低下する。このため、浮玉８の高さ位置が低く
なり、ボールタツプ９が開弁状態となつて、補給
水が可撓管１８へ供給される。ところが、今度の
場合、可撓管１８内は満水状態にあり、補給され
た水は可撓管１８の流出口２０から主水室２２内
側へ流れて該主水室２２へ補給を行う。而して、
便器側へ流れる洗浄水の瞬間噴流量は、ボールタ
ツプ９の吐出口２４から補給される水量よりも遥
かに多く、主水室２２内へ吐出口２４から洗浄水
が補給されるにも拘わらず、主水室２２の水位は
低水位レベルａとなる。このため、フロート弁１
１が弁座１０において発生する流出水の吸引作用
を受け、弁座１０へ着座し、便器側へ洗浄水の供
給が停止する。その後は、ボールタツプ９の吐出
口２４からの補給水により、主水室２２内の水位
は徐々に高水位レベルｂまで復帰し、ボールタツ
プ９も止水状態となる。このように、便器洗浄の
みを行つた場合でも、洗浄水の補給は可撓管１８
を通じて行われるものである。

なお、便器洗浄と局部洗浄とを同時に行つた場
合の洗浄水の補給は、先ず清水室１７が優先して
行われ、該清水室１７及び可撓管１８が満水状態
となつた以降において主水室２２への補給が行わ
れることは、上述の説明から明らかである。また
本考案は上述の実施例に限定されるものではな
く、適宜の変更が可能である。例えば、袋体１６
及び可撓管１８の形状や大きさ等は、給水タンク
２１の種類や用途に応じて任意に変更することが
可能である。

〔考案の効果〕

以上説明したように本考案にあつては、清水室
を伸縮自在な袋体で形成しているので、局部洗浄
のみを行つた場合であつても、主水室の水位が低
下し、ボールタツプの吐出口から洗浄水の補給が
行われる。また袋体は、給水タンクの死水域に設
置されており、給水タンクのデツドスペースの有
効利用が図れるので給水タンクの小型化が可能で
ある。更に袋体は、一方側をタンク低部に螺合締
結することが可能であり、しかも他方側は可撓管
を介してボールタツプの吐出口へ直接接続するこ
とができるので、袋体の設置作業が非常に容易で
ある。更にまた、可撓管をボールタツプの吐出口
に直接接続しているので、清水室の流出口に設け
なければならないストレーナをボールタツプの吐
出口に取り付けたストレーナで兼用することが可
能である。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図は本考案の一実施例に係る給
水タンクの縦断面図であり、第１図は非使用時の
状態を示す図面、第２図は局部洗浄のみを行つた
場合を示す図面、第３図は従来例を示す給水タン
クの縦断面図である。 ２２……主水室、１７……清水室、２１……給
水タンク、ａ……低水位レベル、Ａ……死水域、
１６……袋体、９……ボールタツプ、２４……吐
出口、１８……可撓管、ｂ……高水位レベル、２
０……流出口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 便器洗浄水を貯留する主水室と、局部洗浄水を
   貯留する清水室とが区画して形成された給水タン
   クにおいて、低水位レベルより下方の死水域に蛇
   腹等の伸縮可能な袋体を設置して該袋体の内部空
   間を清水室とし、前記袋体とボールタツプの吐出
   口とを蛇腹等の伸縮自在な可撓管で連通接続する
   と共に、該可撓管の高水位レベルより上方位置に
   供給水の流出口を開口したことを特徴とする温水
   洗浄便器用給水タンク。