JPH0246323Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 (イ) 産業上の利用分野 この考案はＸ線断層撮影装置に使用される被検
者の頭部固定具に関する。

(ロ) 従来技術 従来、被検者頭部のＸ線断層撮影を行なう場
合、第５図に示すように被検者の両耳に対し、耳
栓１１を有する押圧具１２で両側頭部を挾み込む
ように圧迫して固定していた。

この固定方法では、頭部に対し両側頭部を圧迫
しているのみで、体軸に対する頭部の回転方向に
は固定力が少なく、被検者が身体の一部を動かす
とその動きに応じて容易に頭部固定位置がずれる
ため、被検者に全身の硬直をほぐす余裕を与えず
無理な静止姿勢を強要していたものである。

また、第６図に示すように後頭部が天板１０に
直接当り、当接面だけで頭部を支えているので、
長時間の撮影では上記と同じく被検者を疲れさ
せ、後頭部に痛みをもたらしていたものである。

(ハ) 目的 この考案は、上記従来の頭部固定装置の欠点を
解消し、頭部の固定を確実にし、身体部分の動き
をある程度許容できるとともに、後頭部の支え部
分に痛みを生じないようにし、長時間の撮影にお
いて肉体的緊張を和らげることができ、さらに
は、Ｘ線断層撮影に必要な半軸方向撮影に対する
頭部の設定及び固定が簡単に行なえるようにした
Ｘ線断層撮影装置用頭部固定具の提供を目的とす
る。

(ニ) 構成 この考案に係るＸ線断層撮影装置用固定具は、
天板上に仰臥した状態で被検者の後頭部全体が密
着する凹陥部が形成された頭部受台と、山部と平
担部とが長手方向に一体形成された底板に左右両
枠板を取り付けてなり、前記山部斜面若しくは平
担部水平面に前記頭部受台が嵌合装着されるとと
もに、天板に着脱自在に固定するための固定具を
有する固定基台と、この固定基台に各端部が留め
られ、被検者の額並びに顎を周囲固定する固定帯
とからなることを特徴とする。

(ホ) 実施例 第１図はこの考案の１実施例であるＸ線断層撮
影装置用頭部固定具の構成を示す斜視図である。
断面凹形状の固定基台２はＸ線吸収が少なく堅牢
性のあるアクリライトで形成されており、凹部底
面は水平面部３と斜面部４を有し滑台状に形成さ
れている。また底面端部には固定ねじ７によつて
天板に取付けられるようにねじ穴６が設けられて
いる。左右側面枠板１４には後述する被検者の額
と顎をそれぞれ周回する固定帯８，９に装備した
マジツクフアスナー５′の受部となるマジツクフ
アスナー５が設けられている。この固定基台２の
水平面部３若しくは斜面部４にはＸ線吸収が少な
く、弾力性のあるウレタンフオームで形成され、
被検者の後頭部全体を包み込み密着するようにし
た彎曲面１３を有する頭部受台１が嵌合装着され
るように構成されている。

第２図は上記のような構成要素を有する頭部固
定具によつて被検者の頭部を固定した状態を示す
図である。天板１０に固定基台２が固定ねじ７に
よつて取付けられており、水平面部３に頭部受台
１が嵌合装着されている。被検者は矢印のＸ線中
心に対し頭部ドイツ水平面が一致するよう頭部受
台１の彎曲面１３に後頭部を載置する。次いで第
４図イ，ロに示すように固定帯８，９を被検者の
額と顎にあてがい、頭部受台２に多少沈み込むよ
うに押圧させながら当接し、マジツクフアスナー
５，５′を互いに密着して固定する。

第３図は傾斜撮影を行なう場合に被検者の頭部
を固定した状態を示す図である。かかる場合には
固定基台２を180度回転させた位置で天板１０に
取付け、頭部受台１を固定基台２の斜面部４に装
着し、上記と同じように固定帯８，９によつて頭
部を固定する。図に示すように斜面部４の天板と
の角度ａが、Ｘ線照射中心とドイツ水平面との角
度ａとなる。したがつてこの斜面部４と水平面部
３との連結部分に螺番部を形成して天板１０との
傾斜角度を変えることができるようにすれば、頭
部の半軸方向からの撮影において頭部設定角度を
容易に設定することができる。

(ヘ) 効果 この考案に係るＸ線断層撮影装置用頭部固定具
は上記のように構成されるので次のような効果を
有する。

弾性力のある頭部受台に後頭部を多少沈み込
ませて額と特に顎を固定帯で当接固定するの
で、頭部の固定が確実に行なえる。したがつ
て、被検者が身体を動かしても撮影部位がずれ
ることがなく、被検者に身体的にリラツクスさ
せる多少の動きを許容することができ、長時間
撮影での身体部の苦痛を緩和できる。

また、後頭部が直接天板との当接面で支持さ
れず、後頭部全体を弾力性のある部材で支持す
るので、同じく長時間撮影において後頭部の痛
みが生じない。

固定基台の取付ける向きを変えるだけで、容
易に傾斜撮影に対する頭部固定を実施できる。

構成要素が簡単で固定操作も単純な連続操作
となり、製作コストも低減することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の１実施例であるＸ線断層撮
影装置用頭部固定具の構成を示す斜視図であり、
第２図及び第３図は実施例の固定具により被検者
の頭部を固定した状態を示す図であり、第４図
イ，ロは固定帯で頭部を固定する状態を説明する
図である。第５図は従来の頭部固定具により固定
される状態を示す斜視図であり、第６図はそのと
きの断面を示す図である。 １……頭部受台、２……固定基台、３……水平
面部、４……斜面部、６……天板取付用ねじ穴、
７……固定ねじ、８，９……固定帯、５，５′…
…マジツクフアスナー。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 天板上に仰臥した状態で被検者の後頭部全体が
   密着する凹陥部が形成された頭部受台と、山部と
   平担部とが長手方向に一体形成された底板に左右
   両枠板を取り付けてなり、前記山部斜面若しくは
   平担部水平面に前記頭部受台が嵌合装着されると
   ともに、天板に着脱自在に固定するための固定具
   を有する固定基台と、この固定基台に各端部が留
   められ、被検者の額並びに顎を周回固定する固定
   帯とからなるＸ線断層撮影用頭部固定具。