JPH0244969Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 技術分野 本考案は成形機に供給する前に乾燥を必要とす
る合成樹脂の乾燥装置に関する。

従来技術 多くの種類の合成樹脂はその吸湿性のゆえに0.
数〔％〕から数〔％〕の水分を含有している。合
成樹脂が成形機へ供給される段階では、通常それ
らの水分が極力完全に除去されていることを必要
とする。この目的を達成するために通常いわゆる
「ホツパドライヤ」が用いられている。これは通
常下端が円錐形ないしは角錐形で、その上に円筒
ないしは角筒が接合されたホツパ（以下、ドライ
ホツパ）中に一定量の合成樹脂を滞留せしめ、そ
の下方より一定温度の高温空気または高温除湿空
気を吹き込み、乾燥合成樹脂が成形機からの要求
に応じてドライホツパ下端から連続的または断続
的に出て行き、このとき等量の含水合成樹脂が新
たにドライホツパ上端に供給されるという装置で
ある。ホツパドライヤには上記ドライホツパの他
に該高温または高温除湿空気を発生する部分（以
下、乾燥用空気発生装置）が具備されている。

本考案は上記のドライホツパに関するものであ
る。

合成樹脂は種類によつて一定温度下でも平衡含
水率が異なり、ある種類は高温空気で充分乾燥さ
れうるが、高温除湿空気による乾燥が有利ないし
不可欠な種類もある。例えばポリアミドやポリエ
チレンテレフタレートが後者のケースに該当す
る。

合成樹脂成形工業界では近年エンジニアリング
プラスチツクスの成形が重要性を増している。エ
ンジニアリングプラスチツクスの乾燥では概ね高
温除湿空気の使用が有利であるため、乾燥装置の
系（ドライホツパ、乾燥用空気発生装置およびそ
の間の空気往復通路から成る系）から外部への除
湿空気の漏洩、ないしは外部から系内への湿り空
気の流入を避けなければならないから乾燥装置の
系を外界に対して気密構造とする必要がある。従
つてドライホツパ上端は取り外し可能なカバーで
密閉されている。ところがドライホツパには先記
「空気往復通路」への連結口以外に合成樹脂の入
口及び出口が設けられなければならない。合成樹
脂の出口と成形機の原料受入口を外界に対して気
密を保持して連結することは容易であるが、合成
樹脂の入口は大気中にある合成樹脂原料を供給す
るのが目的であるため、ここで外界に対する気密
を保持することは極めて難しい。公知のドライホ
ツパでは上端のカバーの上面に合成樹脂原料の気
力輸送用のサイクロンセパレータが直接設けられ
ている。圧送の気力輸送方法による場合、合成樹
脂は多頻度でドライホツパ上へ輸送されて来てそ
の都度気力輸送用の大量空気が乱気流となつて同
伴されて来る。またサイクロンの内圧は常圧に対
してプラス圧となるため、ドライホツパ内の除湿
空気と輸送用の湿り空気とがかなり大量に置換さ
れる。他方、吸引方式の気力輸送方法による場
合、ドライホツパ上のサイクロンセパレータは通
常その下部に設けられたダンパが輸送の際の減圧
によつて閉じ、ドライホツパとサイクロンセパレ
ータの間に気体通路が理論的にはない状態で合成
樹脂が気力輸送されるべきはずであるが、実際に
はダンパに合成樹脂ペレツトの噛み込みがほとん
どの場合に発生しているなどの理由から気密保持
は不完全で、多頻度な間欠輸送の度毎にサイクロ
ンセパレータ内の真空により、かなりの流量でド
ライホツパ内の除湿空気が輸送用のブロワへと吸
引される。これら除湿空気と湿り空気の置換は、
乾燥装置の系の他部分にも例えわずかでも大気に
対する非気密部分が存在すれば著しく助長され、
成形機を含めた実際の装置系ではほとんどその様
になつている。合成樹脂乾燥用の乾燥用空気発生
装置の除湿能力は通常湿り大気換算では、高々数
立方メートル〜10立方メートル程度に過ぎなく、
この能力は本来合成樹脂から発生する水分の吸着
にあてられなければならないから、輸送に伴う大
量の湿り空気の流入は合成樹脂乾燥装置の効率を
著しく低下せしめるという大きな欠陥をもたら
す。

公知のドライホツパの合成樹脂供給のための前
記装置部分には今ひとつの欠陥がある。すなわち
樹脂替えなどの目的でドライホツパのクリーニン
グ手作業をするためにカヴアーを外す際、サイク
ロンセパレータを先に外して別置するか、又は両
者を一体として同時に外し別置することが必要で
あり、サイクロンセパレータが通常重く大きい事
から、上記作業ははなはだ煩瑣で非能率的であ
る。

考案の概要 本考案の目的は、ドライホツパの合成樹脂供給
のための装置部分に関する上記従来の２欠陥を除
去するよう改善工夫がなされた合成樹脂乾燥用の
ドライホツパを提供せんとすることにある。本考
案によれば、前記考案の目的は、下記に詳述する
構成に基いて、実用新案登録請求の範囲に記載の
ドライホツパ装置により達成される。つまり、本
考案によれば開放可能なカバーをホツパ上端に設
け、カバーを除いたホツパ上面壁ないしはホツパ
の上方側壁にホツパ内外を連通する部分を設け、
かつ該連通部分はホツパ内側において、ホツパ内
下方に向かつて傾斜すると共に下端が合成樹脂供
給口として開口された挿入通路が接続されており
ホツパ外側で合成樹脂原料受入口をなしているこ
とを特徴とする合成樹脂乾燥用のドライホツパが
提供され、これによつて上記考案の目的が達成さ
れる。

次に本考案を添付図面に示す実施例に基いて詳
細に説明する。先ず、第１図に公知のドライホツ
パを用いた乾燥系全体を示した。図中、矢視Ａ−
A′前段の部分、及び矢視Ｂ−B′の後段はそれぞ
れ乾燥用空気発生装置、成形機の部分で本考案の
範囲外部分である。１０が公知の技術によるドラ
イホツパで、ホツパ１１、カバー１２、乾燥用空
気入口１３、乾燥用空気放出口１４、乾燥用空気
戻り口１５、合成樹脂出口１７、合成樹脂供給口
１８から成る。合成樹脂供給口１８の上には本考
案範囲外のサイクロンセパレータ３０が気密を保
持して設置される。系全体の作動状態を説明する
と、矢印５３の方向に気力輸送管３２内を輸送さ
れる合成樹脂は、ノズル３１を経由してサイクロ
ンセパレータ３０内に突入し、固体／気体の分離
が行われて合成樹脂は落下し、合成樹脂１６とし
てドライホツパ１０に滞留する。気体は矢印５４
の方向で上方に放出される。乾燥用空気発生装置
２０と乾燥用空気入口１３、乾燥用空気戻り口１
５とはそれぞれホース２３，２４で連結される。
５１，５２は乾燥用空気の往・復の気流方向をそ
れぞれ示している。ドライホツパ１０滞留中に乾
燥された合成樹脂は、合成樹脂出口１７から成形
機４０へ供給される。サイクロンセパレータ３０
がプラス圧力（圧送の場合）またはマイナス圧力
（吸引輸送の場合）をドライホツパ１０内に及ぼ
すとき、好ましくない除湿空気と湿り空気との置
換が発生する。又、カバー１２を開けるか又は除
去したい時、サイクロンセパレータ３０及び気力
輸送管３２が作業を非能率化している。

次に本考案の実施例を以下に説明する。第２図
は本考案のドライホツパの１実施例である。第１
図の公知例と異なる部分についてのみ説明する。
カバー１２′はパツキング１９を介して図示を省
略したワンタツチ錠でホツパ１１′に固定される。
カバー１２′には公知例と異なり合成樹脂供給口
がなく、その代わりとしてホツパ１１′の上部側
壁から斜め下に傾斜して先端で開口し、該開口を
合成樹脂供給口１８とする挿入通路６１、これと
ホツパ１１′外部で連結された外部通路６２、そ
の上に連結された受ホツパ６３が設けられてい
る。６４は外部通路６２及び受ホツパ６３用のサ
ポートである。合成樹脂は図示されていないサイ
クロンセパレータより受ホツパ６３内に先ず入
り、外部通路６２挿入通路６１は常時充満してい
る。合成樹脂１６Ａ，１６Ｂはこの状態を示して
いる。挿入通路６１の傾斜は合成樹脂が充満した
状態で自重流下できる範囲である必要がある。本
実施例では水平から35度である。挿入通路６１の
通路に垂直な断面形状は合成樹脂原料が流下でき
るという条件を満足するなら何でもよく、円型、
角型などが使える。本実施例では円型である。
又、該断面の寸法は合成樹脂の必要処理流量が流
下できる範囲で極力小さい寸法とし、本実施例で
は内径30mmである。

本実施例の合成樹脂供給のための装置部分は次
のような作用効果を発揮する。挿入通路６１はそ
の傾斜がゆえに高さの割には長さが大きくとれ、
長く細い通路に合成樹脂が充填しているために完
全とはいえないにしろかなりの閉塞効果をもたら
す。外部通路６２に至るまで同様の手段で閉塞効
果を延長することもできる。該閉塞効果によつて
受ホツパ６３を介しての除湿空気と湿り空気との
置換現象を極減することができる。また今ひとつ
の有用な効果として、本実施例ではカバー１２′
と独立の受ホツパ６３にサイクロンセパレータが
設置されているからサイクロンセパレータや合成
樹脂用の輸送配管に触れる必要なくカバー１２′
を開いてドライホツパ１０内部をクリーニングす
ることができる。

第３図は別の１実施例の要部を示す。ドライホ
ツパの上方部分のみを第２図と異にするため、該
部分のみを示した。本実施例ではホツパ１１″の
直径よりカバー１２″の直径を小さく構成し、ホ
ツパ１１″の上面固定部分に挿入通路６１、外部
通路６２及び受ホツパ６３を付設している。それ
以外の点は第２図の実施例と同様であり、乾燥用
空気入口１３、乾燥用空気戻り口１５等の図示は
省略してある。

構成要件について付記すれば、挿入通路６１の
下端、すなわち合成樹脂供給口１８の水平方向位
置は必ずしも中央である必要はない。また、外部
通路６２及び受ホツパ６３は第２，３図例示以外
の態様もとることができ、要は挿入通路６１に合
成樹脂を常時充満できる構造であればよい。

考案の効果 本考案によりドライホツパの内部のクリーニン
グ作業能率と乾燥用空気発生装置の効率の大幅な
改善が達成され、後者に基づき均質な成形品を安
定して得られるという有用な効果が得られた。

【図面の簡単な説明】

第１図はドライホツパを用いた従来の合成樹脂
乾燥機構の断面図、第２図は本考案によるドライ
ホツパの実施例を示す断面図、第３図は同他の実
施例の要部部分断面図。 １１，１１′，１１″……ドライホツパ、１２，
１２′，１２″……カバー、１３……乾燥用空気入
口、１４……乾燥用空気放出口、１５……乾燥用
空気戻り口、１７……合成樹脂出口、１８……合
成樹脂供給口、１９……シール、６１……挿入通
路、６２……外部通路、６３……受ホツパ。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 １ 開放可能なカバーをホツパ上端に設け、カバ
   ーを除いたホツパ上面壁ないしはホツパの上方
   側壁にホツパ内外を連通する部分を設け、かつ
   該連通部分はホツパ内側において、ホツパ内下
   方に向かつて傾斜すると共に下端が合成樹脂供
   給口として開口された挿入通路が接続されてお
   りホツパ外側で合成樹脂原料受入口をなしてい
   ることを特徴とする合成樹脂乾燥用のドライホ
   ツパ。 ２ 実用新案登録請求の範囲第１項に記載のドラ
   イホツパにおいて、前記カバーはシールを介し
   て前記ホツパ上端に設けられている合成樹脂乾
   燥用のドライホツパ。 ３ 実用新案登録請求の範囲第１項又は第２項に
   記載のホツパにおいて、前記合成樹脂原料受入
   口が受けホツパによつて形成されている合成樹
   脂乾燥用のドライホツパ。